仮面ライダーACT [アクト]   作:ヨッツ

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第37章~幸せを運ぶ、青い鳥~

「──。」

 

言葉を放つ暇も無かった

恐怖に晒された人々、心が折れた者達

 

そんな彼らの下に、まるで吸い込まれるかのように

天からチケットは次々と降り注いだ

 

『『『オオオオオオ!!!』』』

 

人々がどんどん変容していく

 

「ひ、人が・・・」

「いやあああ!!!」

 

その様子を見てさらに人が悲鳴を上げる

現実ならざる光景を目撃し

さらに恐怖が広まる

 

まるで、それを感知するかのように

チケットは飛んでいく

 

瞬く間に、塔の根本は怪人達であふれ出す

 

「うっそだろ・・・!」

「なんという・・・!」

 

その光景に、サウンド、そしてラストが狼狽えながらも構える

次の瞬間には、怪人達は

二人目掛けて襲い掛かるのであった

 

 

「なにを・・!」

 

『見てみるといい、人は自ら人であることを()()()()()()()

「!?」

 

アクトは塔の上から真下に目を凝らす

高い塔の上からでも、その様子ははっきりと見えた

 

人々が、次々と怪人へと姿を変えていくその光景が

 

「!・・お前!」

『下はいいのか?多勢に無勢だが──』

 

そう言った瞬間

下で戦いが始まる

大量のテラーがサウンドとラスト目掛けて襲い掛かった

 

「っ・・・クソ!!」

 

どう見ても数が多すぎることが見て取れた

歯がゆい思いを振り切って

アクトは塔から飛び降りた

 

『・・・さぁ、立とうヒデユキ』

『人類の消却は、始まったばかりだろう?』

 

『チルチル・・・』

『ああ、また酷い目に合っている』

『・・・っ黙るんだ

 ・・・引っ込んでいろ』

 

心底心配そうなテラーの言葉を

拒絶するかのようにブルーは吐き捨てる

 

『無理だ、・・・私に任せてくれ』

『必ず・・・人々を消し去って見せよう』

 

そう言うと、テラーもまた

塔から落ちていくのだった

 

 

「ぐぉ!?」

 

背に衝撃が走る

 

「くそっ!」

 

続けて攻撃しようとする

背後のテラーを槍で突き飛ばす

しかし、突き飛ばしたテラーとは別のテラーが庇うように前に出ては

次から次へと2人に迫って来る

 

一対一での戦闘力であれば

仮面ライダー達に軍配が上がり

そして、それはテラー側が2,3体程度増えたところで

覆ることは無かったであろう

しかし数十を超えるテラーが一斉に襲い掛かって来る現状は

さすがの2人にも多勢に無勢であった

 

2人の周りをテラー達が取り囲む

 

「手が間に合わんぞ、チクショウめ」

「さすがに多すぎる・・・」

 

その時、2人の前方のテラーが突然吹き飛ぶ

 

「!?」

 

遅れて響く銃声

そして、上空から迫る影がいま、地に降りる

 

「!雄飛」

「さっさと一掃する!!」

 

CGスタッフを取りだすと

何度も杖を叩く

 

追加(プラス)』『追加(プラス)』『追加(プラス)』『Select(セレクト)

 

次の瞬間、複数のアクトがテラー達の目の前に現れ

そして、その一体ずつに攻撃を仕掛け始めた

 

「いくぞ!!」

「!・・・おお!!」

「助かる・・!」

 

そして降り立ったアクトも駆けだす

それに連なるように、サウンドとラストもテラーに駆けだした

 

始まる乱戦

大量の怪人と、ライダーが入り混じるように戦っていく

しかし、数さえ互角となれば──

 

「ふっ、はぁ!!」

『グォ!?』

 

アクトの攻撃が、テラーに突き刺さる

テラー側も反撃を試みようと手を動かすも

その攻撃は、届くことは無い

すぐさま叩き落とされ、さらに追撃を喰らっていく

 

唯のテラー1体で、今のライダー達を止めることは

不可能であった

 

『ッ・・・オオオ!!』

 

まるで自暴自棄になったかのように

テラーが雄叫びを上げながらアクトに突っ込む

 

「っおお!!」

 

そして、そんな攻撃が当たるはずもなく

カウンターで放った蹴り抜きが

テラーの腹を捉え、そして、突き飛ばした

 

テラーが転がり、爆散する

ガチャリと、チケットが転がり

そして、同じようにテラーにされた人間が倒れ込む

 

周りからも、次々と爆発音

次々とテラーが倒されていく

 

「よし、これで・・・」

 

「!?・・・ひっなんだ!?何が!?」

 

これで、この騒ぎも終わり

そう思ったとき、アクトの耳に声が聞こえる

 

「いてぇ・・!なんだよぉ・・!?」

 

あれは・・・テラーにされた人々の声?

どうやら、多少乱暴に倒したせいか

打撲などの軽い傷が──

 

「・・・いやだ!・・・死にたくねぇ!!」

「何なのよぉ!!もういやぁ!!」

 

あちこちから、悲鳴が響き渡る

これは──

 

「落ち着い・・・」

 

突然の出来事が重なってパニックになってしまっている

まずい、このままでは収拾が──

 

そうしてなだめようとしたその時

 

カタリと、無機質な音が響いた

人々が倒れた個所からではない

地面にある何かが、動いてぶつかったみたいな──

 

その時、何かが宙に浮かび上がる

それも、一つや二つではない

大量の、飛び散ったチケットたちが空中に浮かび上がっていた

 

「!?」

「なんだ・・!」

「チケットが・・!?」

 

3人は、その光景に驚愕するも

さらなる驚愕が、すぐさま目に飛び込んだ

 

チケットたちが、まるで目標を定めたかのように

()()()()()()()()()()()()()()()

 

「!・・・まさか!」

 

そのまさかであった

チケットが、人々に再び飛び込んだ

 

「「「!?」」」

 

泣き叫ぶ人々に、チケットが突き刺さり

そして、また苦しみだす

 

体が変容していく──

 

『オオオオ!!!!』

 

そして、倒した怪人達と

同じ怪人達が、またこの世界に現れたのであった

 

「な!?」

「チケットが・・・勝手に!?」

「ありえない・・・!」

 

しかし、現実である

怪人達は、再び仮面ライダー達を補足する

そして、襲い掛かった

 

「っ・・くそっ!!」

 

一体を殴り飛ばす

吹き飛んだ後に再度爆散する

しかし、その後は同じだ

 

一瞬にして、チケットが人に吸い込まれるかのように

再度怪人へと変えてしまう

 

「何故だ、どうしてチケットが勝手に・・・!」

「分かんねぇよ!・・でも、やべぇぞこれ!」

 

サウンド、ラストが焦りを漏らす

それは、アクトも同じことであった

 

これでは、一向に敵を倒すことができない

 

『彼らは今、死か怪人となるを選び

 怪人になることを選んでいるのさ』

「!?・・・お前は!」

 

「ブルー!?」

「いや、違う。あいつは・・・」

 

『私はチルチルと呼ばれている

 ・・・この体の、チケットの中の意志さ』

「「!?」」

 

『・・・さて、彼らは

 死を恐れ、怪人に変異することを選んでいる

 行動に起こさずとも、無意識的にね』

『そして、それがチケットを呼び寄せている』

『何度、倒して人間に戻してもね』

 

「何だと・・!」

 

その言葉が本当だとすれば

ここで倒し続けたとしてもいつまでたっても終わらない

・・・どうする

 

『オオオ!!』

「っ落ち着いてください!!」

 

攻撃を受け止め

言葉を投げかける

どうにかして、彼らを落ち着けなければ

 

『オオオ!!!』

「!?」

 

しかし、そんなライダー達の言葉は届かない

何故なら、そこに()()()()()()()()

 

振りかぶられた腕が

アクトの顔面を叩きつける

 

「っぐ!」

「雄飛!!っ!」

 

ダメージは少ない

しかし、これは・・・

 

『無理さ・・・彼らの意志は怪人の体の奥底

 ・・・戻したら一瞬で怪人化

 彼らはもう、立ち直れない』

 

「まじかよ・・・・」

 

これ以上は為す術がない

しかし・・・どうにかしないと・・・

 

『もう、彼らを人に戻す術はない!

 ・・・いけ!』

 

号令と共に

テラー達が一斉にライダー達に飛び掛かる

凄まじい数は、3人の上方を覆いつぶし

そして各々の武器を振り上げて襲い掛かる

 

「っ!」

「下がれ!!」

「!?・・・ラスト!?」

 

ズズウンと鈍い音を立てて

なだれ込むかのように怪人達が降り落ちる

ライダー達の姿はない

その圧に押しつぶされてしまったのか

 

『・・・!』

 

しかし、テラー達が退き去った地面には

まるで、水面のような波紋が一瞬だけ立ち

すぐさま消えてしまった

 

『・・・逃げたか』

 

ライダー達が、一度退散したことを確認し

チルチルはその脚を進めるテラーの大群を掻き分け

その先へ

 

そして、テラー達もその後をついていく

テラーの大群は

さらに多くの人々が住まう場所へと

歩を進めだしていた

 

 

『やめろ・・・』

 

塔の最上にて、ブルーもまた、立ち上がっていた

傷は癒えた

しかし、彼はどこか苦しそうであった

目を覆い、何かから逃げるように吐き出す

 

『それを・・・私に見せるな』

 

そうして、彼もまた

塔から降りて、テラー達と同じ場所へと向かうのであった

 

 

「チケットが勝手に・・!」

「心が怪人になることを受け入れてしまっているのか

 ・・・不味いな」

 

喫茶テアトロ──

このままでは為す術がなかった3人は

一度、対処法が何かないかと

仲間たちの下へと戻っていた

 

「恐怖で人の心を押さえつけて

 怪人化で、意思を抑え込む

 卑劣な・・・」

「一体どうすりゃ・・」

 

「・・・どうにかして、彼らを安心させるしかない」

 

そう言ったのは、浩司さんだ

いわく、彼らがチケットを呼び寄せて再び怪人になってしまうのは

彼らが"怪人にならなければ死ぬ"と強く意識してしまっているからだという

そこを解消して、()()()()()()()()()()()()思わせなければならない

 

しかし──

 

「でも、テラーの間は、こっちの声は届いてなくて

 倒して人に戻したら一瞬でまた怪人いなってしまうのだろう?」

 

一体どうやってそれをするのか

そこが問題である

 

「どうにかして、時間ができれば・・・」

 

その時──

遠くで轟音が響く

そして、少し遅れて人々の悲鳴も

 

「!?」

「・・・やつら、侵攻し始めたか」

 

どうやら、深く考えている暇はないようだ

 

「・・・行きます。」

「ああ、じっとしてるわけにゃいかねぇ」

 

3人が席を立つ

──方法は見つかっていないが

だからと言って向かわないわけには行かなかった

傷ついている人が、いるのだ

 

3人が飛び出すように店を後にする

 

「・・・どうすれば」

「うむ・・・時間、時間か・・・」

 

残された者たちは

どうすれば、人々を救えるのか

頭を悩ませる

 

「・・・あっ」

 

その時、杏奈が何かに気が付いたかのように

声を上げた

 

そして、大木を見る

「ん?」

 

「時間、稼げるかも」

 

杏奈は、自分の思いついたことに

冷や汗を流しながら、そう呟くのであった

 

 

都市部、平和に過ごしていた人々は

その光景に唖然とするしかなかった

 

まるで、人ならざる異形の化け物が

群れをなして、自分達がいる場所へと進んできていたから

 

先頭を行く

まるで鳥のような青い異形が

こちらに手を指し示す

その瞬間、後ろに引き連れた

怪物たちが、一斉にこちらに駆けだした

 

響き渡る悲鳴

突然の恐怖に誰もが竦み

そして足を動かそうと必死になる

 

『いけぇ!!

 これは反乱だ!!人を全て消し去る!』

 

そんな、おっかない言葉が

青い鳥の怪人から放たれる

 

──消し去る、殺される?

逃げ惑う人々は、それだけが理解できた

自分達は、このままでは殺されてしまう

 

『さぁ、愚かな人間たちよ

 選ぶが良い、人のまま死ぬか

 それとも、変異して生きるか!!』

 

その言葉を聞いたとき

誰もが思うであろう、生きたいと

そして

チケットが浮かび上がり、次々と目の前の人間たちに突き刺さっていく

人は異形に変異する

 

生きたいと、考えられなかった

考える余裕もなかったものは

ただひたすらに駆けまわる

 

しかし、そんな足で怪人から逃げれるはずもない

怪人の凶器が、迫る──

 

「や、めろおお!!」

 

あと少しでと言うところ

ギリギリのところで、誰かが怪人に飛び蹴りをかました

 

青年だ

3人の青年が、自分達の目の前に現れ

そして、怪人から遠ざけようとしたのだ

 

しかし、そのことに感謝する余裕さえない

そうにかして、物陰に隠れることが

人々には精一杯のことであった

 

 

『来たか、仮面ライダー』

 

「・・・人を元に戻せ」

 

『どこにその意味があるんだ、お断りだ』

 

分かり切っていた問答

だが、こちらもそれで引き下がれるわけはない

 

「だったら、力づくで取り戻す」

「ああ、いくぞ!」

 

『ほぉ、どうやるんだ?見せてくれ』

 

ドライバーを装着した3人が

テラーの軍勢を目の前に構える

こちらに迫りくるテラーに

臆することなく彼らは変身した

 

「「「変身!!」」」

 

BUBBLE MERMAID(バブル・マーメイド)

MILLION SOUND(ミリオンサウンド)!!!』

『仮面ライダー !ACT(アクト)!!!』

 

3人の仮面ライダーがテラーに立ち向かう

 

飛び掛かってきたテラーを

アクトがいなし、そしてがら空きの腹に蹴りを入れる

怯んだテラーにさらに殴り込む

 

『OVER RIDE』

 

右手にブレイガンが現れる

目の前には5体ほどのテラー

駆け抜けながら、薙ぐようにその体を切り裂いていく

 

切り裂かれた体の痛みで怯んだテラーを

 

『BEST CUT!!』

「はぁあ!!」

 

強力なエネルギーを持った一刀がまとめて薙ぎ払う

くらったテラーは、為す術もなく爆散する

そして、人が顔を出した

 

「皆さん!落ち着いて!!」

 

限られた時間で、何とか安心させようと

言葉を掛ける

しかし、その最中にもテラーは襲い掛かる

 

「諦めないで!!人はまだ終わっちゃいない!!」

 

攻撃を受け止めながら、言葉を投げかける

 

「・・・え!?なに!?なんなの!?」

「な、なんなんだよ!!これぇえ!!」

 

しかし、返ってくるのは

驚愕と怯え

そこに安堵なんてものはない

 

「(こっちの声が、届いてない・・!)」

 

どれだけ声を掛けようとしても

この非常事態の中で、平常を保つことがどれだけ難しいことか

彼らの心には届かない

 

そして、タイムリミットは訪れる

チケットが、倒した人々を再び怪人に変えてしまう

 

そして、怪人は立ち上がり

再びアクトを襲うのだ

 

「くそっ!聞こえちゃいねぇ!!」

「落ち着け、と言うののが無理があるか・・・!」

 

他の2人も似たようなものの様だ

 

「一体どうすれば・・・!」

『オオオ!!!』

 

テラーがアクトに襲い掛かる

その腕がアクトに届くより前に

その体を切り裂く

 

爆散

そして、また復活を果たしてアクトに襲い掛かる

 

「くっ」

 

振るわれる腕をブレイガンで受け止める

これでは、こちらの体力が──

 

『フゥ・・・フゥ・・・』

 

その時、テラーもまた

荒く息をしているのに気付いた

そして、その動きも遅くなっていることも

 

──まさか

考えてみれば、当たり前のことだ

怪人化して、戻して、すぐにまた怪人化なんて

体にいいはずがない

 

『フゥ・・・オオオ!!』

「くっ」

 

先程よりも緩い一撃

それは、唯戦うだけなら都合が良かっただろう

しかし、今回は

 

「迂闊に・・・倒せない・・!」

 

そう、このまま下手に倒し続けてしまえば

テラーの方が、持たない可能性があった

 

『そうさ、下手に怪人にするなんてことを続けていれば

 ・・・その人間、壊れてしまうよ』

 

「っお前・・!」

 

チルチルが、気づいたアクトに挑発するようにささやく

 

「ふざける・・な!!やめさせろ!」

『君が倒さなければいいだけだ

 ・・・どうする?人を傷つけ続けるのかい?』

 

テラーが拳を振るう

避けながら、攻撃を放とうとして

──放てない

 

「くそっ!」

 

攻撃を避ける

テラー一体だけではない、自分に群がるテラー全員の攻撃に反撃ができなくなった

しかし、避けていなしてがいつまでも可能なわけではない

 

「ぐっ!」

 

避けきれずに攻撃がぶつかる

しかし反撃はできない

一度捉えた攻撃は、何度も当たる物で

連撃が、アクトを吹き飛ばす

 

「ぐぁ!・・・くそ、このままじゃ」

 

手も足も出せない

万事休すかと思われた

その時

 

遠くから駆けてくる人の声が、聞こえた

走って来る人影が2つ

 

「雄飛!!」

「っ!?杏奈さん・・大木さん!?」

 

それは、テアトロに置いてきた

2人であった

 

自分を呼ぶ声が、響くと

テラーがそちらを向く

 

そうすれば、2人を視認するわけで

テラーの内一体が、2人目掛けて駆けだした

 

「っまずい!!」

 

アクトが立ち上がり地面を蹴り飛ばす

一瞬で杏奈とテラーの間に割り込み

そして、その攻撃を受け止める

 

「危険だ!・・離れて!!」

「いや、ここでいい!!」

 

隠れるように言うと

そう、大木が言い放った

 

「雄飛!そいつを倒して!!」

「えっ!・・・いや、むやみに倒すわけには」

「いいから!!」

 

杏奈さんのその言葉に

不安を覚えながらも

 

『ウォオオ!!』

「っ!ぜぁ!!」

 

振るわれるテラーの一撃を避け

そしてカウンターを放つ

 

放たれた拳は、一直線にテラーに突き刺さり

そして、爆散を起こした

 

人が、倒れ込む

そして、はじけ飛んだチケットは・・・

 

再び浮かび上がり

倒れた人目掛け、狙いを定めた

 

チケットが、目を覚ました人目掛けて飛び込む

 

「やっぱり・・!」

 

言葉は間に合わない

これでは──

 

「今!!」

 

その時だ、大木が動く

駆けだしたかと思えば

体を広げ

チケットと、人の()()()()()()()()()()()

 

「なっ!?大木さん!!」

 

そうすれば、突っ込むチケットは当然

その前にいる者にぶつかる訳で

 

チケットが、大木にへと叩き込まれた

 

『ぐ・・・おおお』

 

大木が苦悶の声を上げながら

怪人へと変異していく

 

『ゆ・・うひくん・・・いくぞ・・・!』

「!?」

 

その言葉を聞いて、アクトが

今にも暴れ出しそうな、テラーと対峙した

 

そして──

 

「一体・・なにが・・・」

 

テラーにされていた男が

ようやく周りを認識し始める

 

「よく見て・・!」

 

そんな男を、杏奈が指を差しながら声をかける

指し示された先をなぞられるように

男が、ゆっくりと前を向く

 

そこには──

 

『ぐ・・・ううう!!』

「くっ!」

 

衝動に振り回されるように

腕を振るう怪人と、それを避けながら戦う何かがそこには居た

 

「あ・・・れは・・・!?」

「仮面ライダー」

 

目の前の異様な光景に驚愕する男に

杏奈がその男の名を告げる

 

「仮面・・・ライダー・・・!」

「そう、人々を襲う、怪物と戦う戦士

 そんな彼が、今まさに戦っているの」

 

「皆を、守るためにそこにいるの」

「・・・。」

 

男は、目を離せなかった

まるで物語の中のようなその光景

怪物に、狙われもう駄目だと思っていた時に

ヒーローが、現れたのだ

 

「だから、諦めないで」

「・・・。」

 

「皆もそう!!」

 

立ち上がって、杏奈が大きな声で

周りに見回しながらそう告げる

 

それは、周りに隠れ込んで

逃げ込んだ人々に向けて

 

「まだ、終わりじゃない!!

 彼らは、諦めずに戦っている!!

 だから!諦めちゃダメ!!」

 

それは、絶望から掬いあげる一言であった

逃げることはできない絶望があると

そう思っていた

しかし、今目の前に

そんな自分達のために、戦う戦士達がいるのだと

彼らは、理解したのだ

 

『ぐう・・・うう・・うおおお!!!』

 

テラーと化した大木が

力を振り絞って、手を広げて立つ

まるで、何かを待つように

アクトは、その意味をよく理解していた

 

『アクト!!』

『DRAMATIC ACTION!!』

 

飛び上がり、必殺キックを放つ

テラーはそれを避けることさえせずに見事に受けた

吹き飛び、爆散する

 

「がっ」

 

弾き飛ばされるように、大木が飛び出で

さらに、一枚のチケットが、転げ落ちる

杏奈と共に立つ、男の目の前にだ

 

「仮面・・・ライダー・・・」

「凄い・・・!怪人を倒した!!」

「助かるんだ!!勝てるんだよ!!」

 

そんな声が響く

 

「・・・やった・・!」

 

男もまた感嘆の声を上げた

 

男の目の前で、投げ出されたチケットが、怪しく光る

しかし・・・それだけであった

チケットは、動かない

 

怪人になりたい

男の中から、そんな気持ちはもう消え去っていた

 

『な・・・に・・!』

 

その光景に、チルチルは驚愕する

まさか・・・こんな・・・

 

「・・・誰だって死にたくないさ」

「勝てない相手がいたら、生きることだけ考えても仕方ない」

 

「だから、代わりに戦う人がいるんだ」

「選びたくもない選択をしないために・・・」

「・・・そのための、仮面ライダーなんだ」

 

そう言いながら

アクトが、チルチルの目の前に立つ

 

その背後から、軟体化のテラーが襲い掛かる

 

「おっと!」

 

しかし、その攻撃が届く前に

何者かが割り込む

サウンドと、ラストだ

 

「なるほど・・・こうやって治すのか」

「テラーは任せろ・・・そっちを頼む!」

 

そう言って、テラー達を押し込んでくれる

アクトは、邪魔されることなく

チルチルと、相対する

 

『余計な真似を・・・』

「お前の好き勝手にさせない・・・!

 誰も、テラーになんてさせてたまるか!!」

 

そうして、多くの人の目の前で

青い鳥のテラーは、人々に絶望を振りまくために

仮面ライダーはそれを弾き飛ばすために

ぶつかり合うのであった

 

続く

 

 




次回 仮面ライダーアクト

チルチルとアクトの戦いに終止符が
『憎い・・・醜い人間がぁ!!!』
「どれだけ醜くても、生きてる限り奪い取っていい道理はない!!」

そして、ブルー(青山)は...
『私は・・・人間を滅ぼす!!』


第38章[歯車に巻き込まれた者]
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