仮面ライダーACT [アクト]   作:ヨッツ

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第38章~歯車に巻き込まれた者~

"おお・・・"

 

目の前には、大量のケーブルに繋がれた

1つの薄い長方形の形をした機械

 

機械とケーブルによって繋がれたモニタには

次々と書き込まれていくコードと

そのプログラムの名前をが1行

 

--人口精神 試験体:A --

 

下地はできた

後は、このプログラムのインストールだけ

それも後、数パーセント程度のものだ

 

そして、それが100パーセントに到達する

 

──自分でも、

もはや危険な領域に達していたことに気づいていた

 

人の、その精神を別の物に書き換えてしまおうなどと

 

それでも、自分の手はそれを作り出してしまった

何が自分をそこまで突き動かしたのか

 

ケーブルに繋がれたままの機械を

・・・チケットを触れようと、手を伸ばす

 

バチリと、大きな放電音が鳴り響いた

 

"!?"

 

チケットにつないだケーブルから、火花が飛び散る

・・・これはいけない!

ここで、壊すわけには──

 

男は、気づけばチケットを掴み取り

そうしてケーブルから引きちぎる

 

バンと火花を散らしながらケーブルが弾け裂ける

 

──危ないところだった

そう、男が安堵したその時

男は、自分の体に起こる異変に、気が付いた

 

体に沸き起こる苦しさ

見やれば、手元から謎の光が漏れる

咄嗟に握ったチケットは、触れどころが悪かったためか

起動を果たしていた

 

自分の中に何かが入り込んでくる感覚

そして──

 

(──初めまして。)

 

声を、感じた。

 

まさか、これは・・・

(あなたは、・・・()()()()()()()()()()()()()()())

 

こうして、青山は

自分の身を以て、人工精神体という存在の

実証実験に、成功を果たしていた

 

 

『・・・ぐっ・・・』

 

頭の痛みが、かつての記憶を呼び戻す

それは、自分にとって痛ましい記憶

 

ブルーは、痛む体を動かし

轟音の鳴る戦場へ向かう

 

それは、一体誰の為なのか

自分の野望の為か

それとも──

 

『やめろ・・・暴れるなぁ!!!』

 

咆哮と共に、大地を蹴る

最早人知を超えた肉体は

それ一つで、距離などものともせずに駆けるのであった

 

 

「お、らぁ!!」

 

アクトが蹴りを放つ

ジャンプなど用いない、

重心を移動させながら足を突き出す普通の蹴りを

しかし、その一撃でもこの姿のアクトは十二分な威力を発揮していた

 

デウスにも通用していた攻撃

ましてや通常のテラーであるのならば

 

『ぐぅあ!?』

 

羽型の2本の剣を交差させて防御態勢をとっても

それごと蹴りで吹き飛ばれる

 

『ぐっ・・・うおおお!!』

 

チルチルが体を起こす

剣を握り込みアクトに向かう

 

斬撃を振るう

1対の羽型の剣は綺麗な流線を描きながらアクトに迫る

 

しかし、その攻撃は

同様にアクトが手にしたブレイガンによって阻まれる

 

上に跳ね上げられ

逆に2度、3度と斬撃がチルチルの体に叩き込まれる

 

転がっていくチルチルに

アクトは止めを──

 

「!?」

 

その場を離れる

次いで、轟音と共に砂煙が立ち上る

 

晴れた先には

 

『はぁ・・・はぁ・・・』

 

息を切らせながら

デウスがアクトの前に立ちふさがっていた

 

「!?・・・ブルー・・!」

 

アクトが構えなおし

そして大地を蹴る

 

同時にデウスもまた向かい打つ

 

拳を放つ

デウスがそれを防御し、返しに殴り掛かる

それを避けると

デウスの足が動くのが見える

 

気づくと同時に蹴りを放つ

互いの脚が、その胸にぶつかり、蹴り飛ばす

 

体制を崩し互いに倒れ込む

 

「く、うう!!」

『ぐ、おお!!』

 

起き上がり、また駆ける

一歩も引かぬ攻防

 

そこに

 

『はぁあ!!』

「!?」

 

割って入るかのようにチルチルが切り掛かる

 

不意を突く一撃に、

咄嗟にアクトがそれを避ける

かすめた斬撃、続けて2撃目が迫る

それと同時に、逃げ場を無くすように

デウスの蹴りが繰り出される

 

デウスの蹴りを手で受け止め

斬撃を身を躱して避ける

 

息の合ったコンビネーションの攻撃が

アクトに連続して襲い掛かる

 

間一髪でそれを避けていく

攻撃は止む気配はない

 

──だったら

 

チルチルの斬撃が目の前に迫る

脚に力を込め、解き放つ

アクトの姿が一瞬で消え

 

斬撃が空を切る

アクトが、チルチルの頭上を越え

その背後へと転がり込む

 

『!?』

「そこだ!!」

 

ブレイガンの銃口を向ける

放たれた弾丸は寸分狂わずに

チルチルの背に着弾し、吹き飛ばす

 

『がぁ!?』

「はああ!!」

 

続けて、デウスに弾丸を放つ

数十発を超える弾丸が、その体に迫る

 

『!・・・はぁ!!』

 

デウスが手をかざす

そうすることで衝撃が、走ったかと思えば──

弾丸が空中で停止する

 

「!」

『おお!!』

 

そして、停止した弾丸は

その向きを変えると、アクト目掛けて

より加速して反射するのであった

 

「くっ!」

 

迫る弾丸を切り飛ばす

攻撃を逆に利用されるとは・・・

そして、その一瞬の隙に──

 

デウスが一瞬で距離を詰め

アクトの腹部に拳を置く

 

「!?」

 

瞬間、衝撃が腹に掛かり

体が空中に浮く

吹き飛ばされて転がされる

 

ずきずきと痛む腹部に悶える

辺りどころが悪かった

 

『おお・・!・・・!?』

 

その隙にデウスが追撃しようとする

しかし、そのために一歩進めたところで

彼もまた、膝から崩れ落ちる

 

もとより、塔の上からの連戦である

そのダメージが抜けきっていない彼にとっても

最早、限界は近かった

 

「く・・うあああ!!」

 

痛みを抑え込み

アクトが起き上がって駆けこむ

 

デウスもまた、それに立ち向かうように立つが

それでも、一手アクトが速かった

 

拳を放つ

鳩尾を捉えた一撃が、デウスの体に叩き込まれる

 

──終わらない

アクトの連撃が、デウスを次々と捉える

 

2撃、3撃、そして

 

「ああああ!!」

 

前に倒れ込むように突き進みながら拳を放つ

顔面を捉えた一撃を喰らい

デウスがふらつきを抑えられない

 

「ここ・・だあああ!!」

 

『アクト!!』

DRAMATIC ACTION(ドラマティック・アクション)!!』

 

飛び上がる

凄まじい力が、アクトの脚へと集まっていく

 

デウスは、そこから動けない

力を振り絞り、避けようと画策するが

体が言うことを聞いてはいない

 

「だあああ!!!」

『・・・!!!』

 

脚が目標を定め、一直線に突き進む

避けようのない一撃に、デウスが言葉を失う

 

そして、凄まじき力が

──その時だ

 

デウスの横から何かが駆ける

そして、その目の前に立ちふさがる

 

『うあああ!!!!』

 

チルチルが、その身を投げ出して

アクトの目の前に、立ちふさがった

 

「『!?』」

 

驚愕する2人をよそに

キックはもはや止まることは無い

 

そうして、必殺の力を持ったキックが

チルチルに叩き込まれた

 

青い羽がまき散らかされる

 

弾かれるように、してアクトが着地する

そして、顔を上げる

その目の前には

 

倒れ込む

チルチルを呆然を受け止めるデウスの姿があった

 

『あ・・・・!?』

『・・・あ・・・ぐぅお・・・!』

 

バチバチと火花を散らしながら

チルチルがその腕の中で悶える

 

しかし、デウスの顔を見た瞬間

 

『・・・ああ、・・・すまない』

『──。』

 

どこか、穏やかな口調を取り戻して、そう言った

 

『すべての人を・・・消せれば・・・よかったんだが』

『許せなかった・・・のになぁ・・・』

 

それだけを残し

体がひび割れていく

 

そして、崩壊は止まることもなく

その体は砕け散った

 

そうして、デウスの手には一枚のチケットだけが残るのだった

 

 

"な・・に・・・"

 

男は、自分の中に入ってきた精神体の挨拶に

反応を返せないままであった

 

(──すべきことは分かります

 あなたの体を奪い取らせていただきます)

(──記憶の読み取りを、開始します。)

 

設計した通りに、その精神体は

自分の体を奪いにかかる

記憶を見て、そうして自分の存在を奪い取ろうとする

 

──待て、止まれ

 

(──なんと)

 

やめろ、私は奪われる訳には・・・

こんなことで、終わるわけには・・・・

 

(──なんと、醜い)

 

・・・え?

 

──この直ぐ後

自分は、この精神体の欠陥を知ることになる

 

自分は、悪人と置き換えるために

彼らを生んだ

・・・しかし、精神体なんて繊細なものは

人が作れば、それはそれは純粋にできてしまうものであった

 

(ああ、酷い、酷すぎる)

(なぜ、こんなことが起きるのだ)

(なぜ、こんな仕打ちを受けなければならないのだ)

 

・・・待て、何を・・・

 

(──許せない)

 

・・・何?

 

(許せない、許せない、許せない)

(こんな仕打ちを平気で起こせるなんて)

(許しておけない)

 

・・・ヤメロ

そんなことを、言うな

 

(消し去らなければ)

 

やめろ、それ以上はやめろ

 

(人間なんて、存在してはいけない──!!)

 

それ以上、私のせいで(ために)、怒るな──!!!!

 

「や、めろおおおおおおお!!!!!』

 

 

これが、人工精神体、テラー

その実験第一号が生んだ、一幕であった

 

 

『・・・あ、ああああ!!!』

 

砕け散ったテラーの残骸を手に

デウスは咆哮する

 

こうして、一つの精神(いのち)が失われた

一体、どうしてこんなことが起こった

 

なぜ、こうなってしまった

 

「・・・。」

 

その光景を、アクトは見る

それは、一体何の感情なのか、読み取れない

 

怒りなのか・・・それとも哀しみなのか

 

『──。』

 

咆哮が止み

そして、ゆっくりとデウスがその脚で立ち上がる

 

アクトが、構える

それを見てか、はたまた独り言か

デウスは、ゆっくりと口を開いた

 

『私は・・・人間を滅ぼす!!』

 

確固たる意志を持って、そう言い切って

 

青い鳥(ブルーバード)

 

手にした、一枚のチケットを起動し

 

『・・・おおおおお!!!』

 

そして、それを自分の体に、突き立てた

 

「!?」

 

チケットが、体に取り込まれていく

そして──

 

『!・・・ぐおおおおお!!!』

 

その体に変化が起こる

 

完成された造形

歯車のような機械の意匠を持った仮面ライダー

その姿が、どんどん崩れていく

 

統率された歯車は

ガタガタと歪み、まともにつなぎ合わず

その顔も、仮面ライダーの整ったものではなく

怪人然としていった

 

そして、さらに

ガタガタに歪んだ歯車

その隙間隙間から、青い羽が飛び出すかの様に現れる

 

『──Blue Deus(ブルーデウス)

 

変わり切ったその姿は

──まるで、鳥を巻き込んで壊れ去ってしまった

機械細工の様であった

 

「・・・。」

 

その代わりように、言葉を失うアクト

そんな彼を見たブルーは

ガタガタに歪んだその腕を天にかざし

 

そうして、その力を行使した

 

突如、頭上が真っ暗に変化する

 

「!?・・・夜?」

 

驚愕し、空を見上げる

空には、満点の星空が広がり

 

そして、その光が、どんどん大きくなって近づいてくるのが見えた

 

「!・・・まさか!?」

 

次の瞬間、アクトの目にも見えるほどに

小ぶりないくつもの隕石が

周囲に降り注いだ

 

 

「だあああ!!」

 

サウンドがテラーを薙ぎ払う

これで、最後の一人

 

そうして飛び出た人は

周りにいる助けられた人々も強力して

ゆっくりとその恐怖感を鎮めさせていく

 

そして──

 

『ぐ・・・うう・・・!』

「はあああ!!」

 

足を止めた奇妙なテラーに

ラストが攻撃を放ち撃破する

 

カラリと転がるチケットは

既に怪人へと変える対象を見失ったかのように

微動だにしなかった

 

「・・・ぐええええ・・・!」

 

酷いうめき声を上げながら

大木が地面に倒れる

 

──全く無茶をする

 

そうねぎらおうとしたその時

 

空が暗くなる

 

そして・・・

 

「な、なんだこりゃあ!!!」

「!・・・危ない!!」

 

いくつもの隕石が自分達にも目掛けて降り注いだ

 

 

「く・・・そおお!!!」

 

手にブレイガンを持ち、アクトが飛び上がる

通り際に1つ2つと降り注ぐそれを切り裂く

 

全部迎撃?

──不可能である

 

圧倒的な量のそれに

押し潰されるかのように地面へと叩きつけられた

 

「ぐあああ!!!」

 

大量の隕石が降り注ぎきる

 

先程までは、唯の街並みだったのが

途端に瓦礫の山であった

 

「くっ・・・!」

 

瓦礫を蹴り飛ばす

そして、立ち上がった先に

 

『・・・。』

 

ブルーは、悠々と立っていた

 

「いきなり・・・力が・・・!」

『ああ、・・・私も想定外だ』

 

この形態は計画には、なかったと

隠すことなく白状しながら、ブルーはベルトに手を掛ける

 

最早、仮面ライダーの機械的なものではない

体と一体化するようにどこか崩れた印象を受けるそれを撫でる

 

『私は、ここに宣言する』

 

ALL Write(オール・ライト)

 

“明日、世界は変わります。

 花が舞い、蝶が飛び交う平和な未来。

 けれど、それはすぐさま終わりを告げます。

 世界は、跡形もなく消え去るのでした。”

 

『世界は、明日

 ──終わりを迎える』

 

その言葉が鳴り響いたとき

遠くに見える塔

ブルーが打ち立てた塔の先にて

変化が起こった

 

塔の上空に

何か黒い球体が生まれる

 

黒い、吸い込まれるような黒だった

まるで、その中には、何もないのかのような

 

「・・・あれは」

 

()()()だ』

 

「!?」

『あそこには、()()()()

『あのひび割れこそが、世界の崩壊そのもの』

 

「世界──!?」

 

見やる、塔の周囲を

後ろの空が、どんどんと

どこか違う風景へと変わっていく

 

「また、世界を・・・!」

『世界が全て切り替われば、あのヒビはどんどんと広がっていく』

『そして、世界の全てを壊し行く』

『・・・それが、私が用意した世界の終焉だ』

 

「・・・」

 

そこに冗談などあるはずがない

この男は、本気で世界全てを壊そうとしていた

 

「そんなの、自分も唯じゃ・・!」

『そうだ、私も消えていく

 ・・・それが良いんだ』

 

「!?・・・なんで、そこまで!」

 

そこまでのことをやろうというのか

 

『・・・人間は、不要だからだ』

「・・・なんだと!」

 

『決着をつけよう・・・仮面ライダー』

『明日までに、私を止められなければ

 ・・・私の勝ちだ』

 

そう言うと、ブルーはこちらに背を向ける

 

「待て・・!」

 

アクトが飛び出し

そして、ブルーに蹴りを放つ

 

しかし、その攻撃は当たることなく空を切る

 

「・・・決着か・・・。」

 

遠くにそびえ立つ塔を見る

最早、探し出すまでもない

 

奴は、あそこで世界の終わりを待つだけだろう

──やることは、一つだった

 

「ああ・・・つけよう

 こんな戦い、終わらせよう」

 

塔を睨みつけながら

そう呟いた

 

 

 

喫茶テアトロ

 

「明日!?」

 

あの後、隕石群でボロボロになっていたサウンド達を救出し

そうして一度拠点に戻っていた雄飛は

 

ブルーが語った、世界の状況を皆に話す

また、世界がどんどん書き換わっていっていること

そして、それが全て終わると世界が崩壊すること

そして、それが完了まで残り1日であるということ

 

「そうか、もう時間は・・・」

「あまり残っていないのか」

「・・・はい」

 

「っ急がなければ・・・!」

 

傷だらけのラストが立ち上がろうとする

 

「おっと!・・無理は駄目だって!」

 

ふらつきながら入口に向かおうとするラストを

ストップする大木

 

「しかし・・・!」

「いや、ラスト今すぐじゃなくていい」

 

それを見て、雄飛もまた静止する

 

「ブルーは・・・明日といった。」

「なら、明日まではセーフだ」

 

今日はしっかり快復に努めようと

雄飛はそう言う

 

「・・・嘘って可能性は?」

 

翔が、もっともなことを言う

そう、こちらを欺くために

今日中に越させないために明日までは無事といったのかもしれない

 

──だが

 

「ないけど・・・」

 

"決着をつけよう"

──そう言った、ブルーの顔を思い出す

あの顔は、そしてあの言葉は

 

「あれは、嘘じゃないと思うんだ」

 

人間を消すといったのも

自分ごと消すといったのも

そのすべてが、本心からの言葉だったと

雄飛は感じたのだ

 

「だから、決戦は明日」

 

きっぱりとそう言うと

雄飛は、疲れたようにソファへ寝っ転がる

 

その様子を見て、皆も仕方がないと

腰を落ち着け直すのであった

 

「・・・なら、今日すべきことは一つかな」

 

口を開いたのは、大吾であった

皆が、なんだなんだと注目する中

 

大吾が語ったのは・・・

 

 

塔の最上で、ブルーは腰を掛けていた

最早、やることは2つである

 

1つは、このまま世界が壊れるまでを待つこと

 

そして、もう1つは

『・・・仮面ライダー・・・か』

 

明日、ここへやって来る者たちの撃退であった

これで、全てが終わる

 

ここをしのぎ切れば、世界は、人間は終わるのだ

 

──そのためには

 

『・・・駒が、必要だな』

 

立ち上がる

そうして、体に力を込める

 

自分の中にある、何かを探していく

──見つけた

 

”消えていった者たちが

 今、ここに復活しました。

 素晴らしき、再開を果たしたのです。”

 

自分の中から、何かが湧き出す

うごめく何かは、強力なエネルギーを秘めた何か

 

そして、2つ地面に撒き散らかされたそれは

やがて起き立つように高く立っていく

 

やがて、その姿はどんどんある形になっていく

人の形

──火のような形

──ドレスのような形

 

『・・・が・・・ぁ・・!?』

『う・・・ぅ・・・!?』

 

そうして、何かは2人の人へと姿を変えた

 

『・・・ここは・・・!?』

『生き・・・てる!?』

 

『久しい気がするよ、()()()()()()

 

姿を現したのは

この戦いの中で、命を落とした2人の怪人

ストーリーテラー、サンとクイーンであった

 

チケット(デウス)を作るのに取り込んだ結果

 ・・・君たちのサルベージが可能だった』

 

『!・・・ブルーぅ!!』

『あんた・・・よくも・・・!』

 

何が起こったのか分からなかった2人

しかし、目の前に座るブルーの姿を見た瞬間

 

彼らは思いだした

──自分の身に何が起こったのかを

 

自分達を捨て石にした本人が目の前にいた

それだけで、2人が怒りを持つのは当たり前であった

 

2人の怪人が、ブルー目掛け襲い掛かろうとする

しかし・・・

 

”消えていった者たちが

 今、ここに復活しました。

 素晴らしき、再開を果たしたのです。”

 

2人が崩れ落ちる

いや、正確には立っていられなくなった

 

『な!?』

『これは・・・!?』

 

2人が、動かなくなった足を見る

──いや、明らかに透明になって消えていっている自分の足を見た

 

『悪いが、君たちに拒否権はない

 ・・・働いてもらうぞ』

 

復活をさせた

・・・なら、消すのも自在だと

言外にそう告げる

 

『なんだと・・!』

『お…んのれぇ!!』

 

それを読み取った2人は

現状を甘んじて受けるしかないのだ

 

動けない2人に

ブルーが現在の状況を説明する

 

あと少しで、世界が終わることを

それを阻むために仮面ライダーがやって来ることを

 

そして、それを阻むためにお前たちを呼び戻したのだと

 

それを聞いた2人は

 

『は・・・ハハハ!!なんだよそれ!!

 最高じゃねぇか!!』

 

サンは楽しそうに

 

『・・・チッ』

 

クイーンはそれでも悔しそうに

 

その役割を甘んじて受けることを決めたのであった

 

 

ジュウジュウと、何かが焼ける音が響く

 

「肉、焼けたよー」

「「おお!!」」

 

群がるように、網に乗せられたそれの争奪戦が始まる

 

”決起会さ!!”

 

大吾のその一言で、

彼らの最後の晩餐になるかもしれない食事は

バーベキューに決まっていた

 

「ちょ、博士!!俺の肉!!」

「悪いが、速い者勝ちだ」

 

「・・・。」

「野菜・・・嫌いかい?」

「・・・いや、・・・いや・・・」

 

みな、思い思いに食事を楽しんでいた

その中で、腹も膨れた雄飛は

遠くに見える、高い塔を眺めていた

 

ゆっくりと、付近の場所が変わっていくのが見える

くっきりと、世界同士の境界線が見て取れた

 

──あれが世界中に到達したら、終わり

 

「もう、食べないの?」

 

不意に、隣からそんな声を掛けられる

見やれば、隣に杏奈さんが座り込んでいた

 

「うん、腹一杯」

「そ」

 

・・・。

・・・。

 

「ねぇ、・・・勝てるの?」

「・・・勝つよ」

 

ちらりと、見た顔には

ほんの少しの不安が見て取れた

 

それを押し返すように、力強く宣言する

 

「──この店にさ」

「?」

 

「ここに来てから、すっごい大変だったけどさ」

「・・・。」

 

「同じくらい、すっごい楽しかったんだ」

「・・・うん」

 

つらい戦いがあった

苦しい戦いがあった

 

それでも、ここで得たものは大きかった

いろんな人に出会って、友達になった

いろんな経験をして、成長できた

 

ここに来ることを選んで、よかったと

胸を張って言い切れる

 

「こんなところで、終わりにさせるもんか」

「──うん」

 

あんな、全てを投げ出すような

そんな終わらせ方をしてたまるか

 

もっと、生きるんだ

だって、もっと楽しみたいんだ

生きるって、素晴らしいんだ

 

そう、思った。

 

 

日が昇る

 

タイムリミットの日が始まる頃に

 

雄飛達は、塔に向かって歩き出していた

 

近づいてくる塔

しかし、そう簡単には近づかせようとはしていなかった

塔は、ゆっくりとその力を解き放ちだしていた

 

塔の根から

また、いくつもの兵士たちが這い出てくる

 

ゆっくりと兵士たちが

まだ侵食していない世界へ向けて

行進を始めていた

 

「・・・!」

「チッ・・・無視したら住人たちを襲いに行くってか」

「・・・ここは私が・・!」

 

ラストがそう言って、前に出ようとした時

 

さらにその前に立つ人影があった

 

「!?みんな!」

 

浩司たちが目の前に立つ

一体いつの間に!

 

「雑魚に構うな!!」

「さっさと進むんだ!!」

 

手には棒やらバットやら

まさか、戦う気だっていうのか

 

「いや、でも!!」

 

いくら兵士たちが弱い存在だと言っても

一般人達が相手できるとは・・!

 

「ここで時間を潰してどうする!!」

「無理はするつもりはない!!

 時間を稼ぐだけだ!!いけ!!」

 

そう言うと、皆兵士に向かっていく

そうして、兵士たちの動きが確かに停滞する

 

──この頑張りを無駄にはできない

 

「行こう!!」

「無茶するなよ!!」

 

3人がその隙を一気に駆け抜ける

そうして、塔へと入り込んだ

 

 

塔には言った瞬間

 

凄まじい熱気が、3人を襲った

 

「!あぶねえ!!」

 

飛びのいた瞬間、前方から火炎弾が飛んで

そうして壁に激突する

焼け焦げた壁に、冷や汗を垂らすと

 

『やるねぇ』

「「「!?」」」

 

声に振り返る

その先には

 

「サン!?・・クイーン!?」

「てめぇ・・・どうやって」

 

そこには、楽しそうにするサンと

無表情を貫く、クイーンの姿があった

 

『地獄の底から、舞い戻ってやったのさ!!』

『・・・あんたたちを止めないと

 消されるっていう条件付きでね』

 

そう言うと、2人がチケットを取りだす

そして、

 

次の瞬間には

燃え盛る太陽のテラーと

女王のテラーがそこに現れる

 

『さぁ、世界の終わりまで楽しもうぜ!!』

『私は、死ぬ気はない

 ・・・だから、あなたらを殺すわ』

 

そうして、臨戦態勢を取る

──これは、相手をせずに突破はできそうにない

 

「・・・雄飛、先いけ」

「え?」

 

「ここは、私たちがやる

 どちらにせよ、ヒビとやらはお前でなければ壊せないだろう」

 

そう言うと、翔とラストは前に立つ

 

──確かに、ここで時間を食っている場合ではない

 

「・・・頼む!!」

 

「おお!」「任せろ」

 

BUBBLE MERMAID(バブル・マーメイド)

POP UP SOUND(ポップ アップ サウンド)!』

 

「「変身!!!」」

 

『PLAY!!』

『ON STAGE!!!』

POP UP SOUND IS(ポップ アップ サウンド イズ)

SINGER SONG RIDER(シンガー・ソング・ライダー)!!! 』

 

Last UP(ラスト アップ)

『Love Disappears as Bubbles』

BUBBLE MERMAID(バブル・マーメイド)

 

2人の仮面ライダーが

前に立ちはだかる怪人へと駆けだす

 

それを見送って雄飛もまた

上階へと走り出すのであった

 

 

続く

 

 




次回 仮面ライダーアクト

始まった最終決戦

サウンドの戦いの行く末は
『みんな終わっちまえば!!全部の最後が見れるんだよ!!』
「てめぇ一人だけ!!いい思い出来ると思うな!!」

ラストの戦いの行く末は
『親の言うことは、聞くもの・・・でしょう?』
「私は──まだ、終われない」


第39章[それぞれの結末]
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