仮面ライダーACT [アクト]   作:ヨッツ

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第39章~それぞれの結末~

「行くぞおらあああ!!」

「はぁ!!」

 

2人の仮面ライダーが目の前のテラーに目掛け各々の武器を振るう

振り下ろされる槍が、剣がそれぞれのテラーに向けられる

 

しかしそれがたやすく通ることは無い

腕と槍が、剣と杖がそれぞれぶつかり合い火花を散らす

2者同士が武士を押し付け合い拮抗する

 

「てめぇら・・そこどきやがれ!!」

「邪魔をするな・・・このを破壊しなければならんのだ!!」

 

『悪いが・・・こっちにも選択の余地がなくてなぁ!!』

 

サンがそう言いながら槍を弾き、拳に火を灯す

炎を纏った拳がサウンドに放たれた

 

近づくだけでやけどしそうな拳を躱し

再度槍を振るう

槍と拳がかち合い、互いに弾きあう

 

『従わないと、消されちゃうのよねぇ』

 

クイーンが杖を振り払い、ラストを弾き飛ばす

そして、ラスト目掛けてを翳し

 

『ハァッ!!』

 

その手から多数のエネルギー弾が放たれた

迫りくる弾を切り払う

 

『でも、ずっと従うままも悔しいから

 ・・・必ず、殺すわ』

「!?」

 

弾丸を切り払った次の瞬間

いつの間に距離を詰めたのか

目の前にクイーンが現れる

そして、その右手が振るわれ

ラストの顔面をはたいた

 

顔への衝撃に怯むラストに対し

クイーンは穏やかなような口調で語り掛ける

 

『・・・でも、力が足りないの』

『だから──』

 

そうして、優しくラストに手を差し伸べた

 

『あなたの3枚(チケット)、私に渡しなさい?』

「!?」

 

そう、まるで子に嗜めるかのようにそう言った

 

『親の言うことは、聞くもの・・・でしょう?』

「っ!」

 

まるで、親の言い方(こう言って)欲しかったのだろう?

そう、言われているようであった

悪質なことだ

 

そんな気など、最早ないのだろうに

それが理解しているからこそ

悲しかった

 

──そして、それに対して

どこか、反射的に嬉しさを感じた自分も

悲しかった

 

「──断る!!」

 

再び、剣を握り直す

ここにいるのは、貴様の操り人形ではない──!

 

『・・・そう』

 

その返事に、なんの興味もなかったかのように

淡泊にそう返すと

クイーンは

 

『なら、殺して奪い取るしかないわね』

 

ただ、そうとだけ言った

 

同時に、その体に異変が起こる

湧き出るように茨が生え出る

そして、その姿はどんどん膨れ上がり

 

巨大なドラゴンへと、形を変えた

 

茨で出来た足を振り上げ、そして振り下ろす

どれだけ大量のそれを重ねたのだろうか

凄まじい重量の足が、床を叩いた

 

──バキリ

 

鈍い音が響いた

振り下ろした足を中心に、床に巨大な亀裂が走る

 

「!?」

 

そしてそれは、ラストの立つ場所にも及んでいく

次の瞬間

 

クイーンと、ラストが立つ

()()()()()()()()()()()()()

そして、抜けた床の先には

暗く続く、大きな空洞が顔を見せた

──地下空間だ

 

「なに!?・・・うわっ!!」

 

立つ場所を無くしたラストが

重力にひかれるまま、床の下にできた空間へと吸い込まれる

クイーンもまた、その空間へと飛び込んだ

 

闇に溶け、二人の姿が見えなくなっていく

 

「ラスト・・・!」

『おっとぉ!!』

 

追いかけようとしたサウンドを

サンが阻む

炎の拳が、サウンドの顔をかすめる

 

『いいじゃねぇか・・・こっちはこっちで楽しもうぜ!!』

「っ!・・・手前ぇ・・!」

 

ラストの無事を祈りながら

サウンドもまた、自身の宿敵との戦いに身を投じていった

 

 

仮面ライダー達が戦いを始める中

塔の外でも、脅威に抗うもの太刀ん姿があった

 

湧き出てくるように増えて

こちらに向かってくる兵士たち相手に

そこら中にあったものを持って杏奈達は抗っていた

 

頭を叩いても、物を投げつけてもあまり効果はない

それでも、ここで食い止めなければならないのだ

 

彼らが帰ってくるまで

絶対に、誰の下へも向かわせないためにも

 

「・・・ははっ分かってたけどあいてにならないなぁ!!」

「笑ってる場合かぁ!!」

 

「踏ん張れ!!・・・どれも通すんじゃないぞ!!」

 

そう言いながら、効きもしない打撃を与えて

こちらに注意を引かせ続ける

 

しかし、そんなことも限界があるだろう

このままでは、自分達も無残に──

 

「いたぞ!!あそこだ!!」

「!?誰かもういるじゃないか!」

「急げ!!遅れるわけにはいかんぞ!!」

 

──?

 

後ろから、声が?

振り返る

 

──誰かが、こちらに向かって駆けてきていた

それも何十人もの人影が──

 

一体、だれが

 

ライダーの同志(ライダーズ・フェロー) 推参!!!」

「──はい!?」

 

それは、特別な誰かでもなく

救いのヒーローでもなんでもない

どこにでもいる、普通の人々だった

 

「遅れてすまない!!」

「おお!!これはやばい!!多いぞ!!」

「早くバリケードだ!!ここから進ませるな!!」

 

そう言うと、彼らは持ち合わせた

材料で、バンバンバリケードを組み立てていく

あっという間に、防衛線が出来上がっていた

 

「──これは」

「あなた達、一体・・・?」

 

一瞬の出来事に

杏奈達は、目を丸くしてそう呟くしかない

 

「私たちは、ライダーの同志!!助太刀するぞ!!」

「ああ、この前だって何とかなったんだ!!」

「今度だって耐えきるぞ!!」

 

そう言うと、彼らは兵士に果敢に向かっていく

何と命知らずな

 

なぜ、彼らがこんなことをしているのかは分からない

 

──だが

 

「これなら・・・!」

「ああ、守り切るぞ!!」

 

自分達だけでは、絶対に不可能であった

行為に、希望を与えてくれたのは確かであった

 

「──雄飛達が!!帰ってくるまで!!」

 

 

 

『いくぜええええ!!!』

 

サンが体に力を込める

その瞬間、炎の意匠だけであった体が

逆巻く風のような意匠が現れていった

 

「っく!!」

 

Heat Up(ヒートアップ)! GIGA SOUND(ギガサウンド)!!』

 

槍に熱がこもっていく

 

サンが駆けだす

一気にサウンドと距離を詰め

そして、目にも止まらぬような速さで

蹴り掛かった

 

迫る足に体の間に、ギターを挟み込む

凄まじい衝撃が、サウンドの手に掛かる

防御すら飛び越えるほどの攻撃が突き刺さる

 

一撃では終わらない

防御されたと見るや、さらに別方向から続けざまに攻撃が迫る

間一髪のところで、避ける

 

かすめただけで、焦げるような熱さが走る

その痛みに、気を取られた瞬間

腹に衝撃が走った

 

サンの拳が、サウンドの腹に突き刺さる

数歩の後ずさり

その怯み合わせるかのように

 

サンの連撃が、サウンドへと襲い掛かる

左右の拳での攻撃が、サウンドの体を叩く

そして、炎を纏った右拳が

体重を乗せて、サウンドへと叩き込まれた

 

衝撃に吹き飛び、転がっていく

凄まじい衝撃に、息ができない

 

『うおおお・・・!』

 

しかし、敵は待ってなどくれない

サンが拳を引き、力を込める

 

──っ何か飛ばしてくる!

 

「さ・・・せるか!!」

 

一瞬で、槍をボウガンへと組み替える

そして、足を止めたサン目掛け

弾丸を連射した

 

『!?・・・ぐおっ!?』

 

虚を突かれたサンが

数多の弾丸を受け、吹き飛ぶ

 

その隙に、サウンドが立ち上がり

追撃を──

 

『まだまだ!!』

「!?」

 

勢いよく、サンが立ち上がる

そして、間髪入れずに

空中目掛け、アッパーカットを放った

 

一体何を──

 

その瞬間、奴の目の前に

巨大な炎の竜巻が、立ち上った

 

「!?」

『おらぁ!!』

 

そして、竜巻がこちら目掛けて突き進みだした

瓦礫を巻き込みながら、竜巻がサウンド目掛け

猛スピードで突っ込む

 

「くっ!」

 

咄嗟に回避を取る

しかし──

 

「な!?」

『残念だったな』

 

回避した先に、サンの姿が

拳が迫る

 

回避する間などなく

サンの拳がサウンドの体を打ち抜いた

 

「ぐぁあああ!!」

 

焼けるような痛みに声が漏れる

そして、そのまま吹き飛ばされたサウンドは

床を滑るかのように転がっていく

 

そして、積み上がった瓦礫に激突する

砂煙が立ち、その姿が埋もれていく

 

『・・・終わったか・・?』

 

詰まらない、とそう言いたげな声色で

サンが呟いた

 

しかし、それは杞憂であった

 

 

GREATEST HITS(グレイテスト・ヒッツ)!!!』

FOREVER(フォーエバー)!!』

MILLION SOUND(ミリオンサウンド)!!!』

 

BEST MEMBERS(ベストメンバーズ)!! 』

『 1! 2! 3!』

 

「まだ・・だ!!」

 

砂埃を切り裂いて

4人のサウンドが現れる

 

『・・・!』

 

嬉しそうに、サンが顔を上げた

そんな彼目掛け、4人のサウンドが駆けだす

 

4人が一斉に攻撃を放つ

絶え間ない槍の攻撃

 

サンは、その攻撃を捌いていく

しかし、それにも限度がある

 

槍の一撃が、サンの体を切り裂く

その一撃に怯んだ隙にさらに攻撃が加えられていく

 

「はぁ!!」

 

そうして、さらにサウンドが正面から切り掛かった

 

『・・・・いいぞ!!』

 

しかし、確実にダメージを与えられているはずのサンは

それをものともしないかのように

真正面からの一撃を、掴み取る

 

『もっと・・楽しもうぜ!!』

 

まるで今が、とても楽しいとでもいうかのように

 

「っ!・・・何が楽しんだよ!!」

『分かんねぇかよ!!命の取り合い!!

 ・・・良い最後じゃねえか!!』

 

一方的な虐殺を愉しんだ

しかし、それはそれとして

必至に相手の命を取ろうと動く今も

サンにとっては、最高の道楽であった

 

「・・・言ってる場合かよ!!

 このままだと、全部終わんだぞ!!」

『ああ!?』

 

攻撃を互いに弾きあう

 

「このままだと、世界がぶっ壊れて

 俺の命どころか、お前も全世界の命もまとめてお陀仏なんだぞ!!」

『なんだと・・!?』

 

初めて知ったと言わんばかりに

驚愕するサン

 

「分かったらどけよ!!」

 

怒りすら滲ませて、サウンドが槍の一撃を振るう

迫る槍に、サンは

 

『全部かよ・・・!そんなの・・・!』

『なおさら見てぇじゃねぇか!!』

 

弾き、そのまま流れるようにサウンドに殴り飛ばす

 

「・・っ・・!・・・なんだと・・!」

 

攻撃を喰らったことよりも

言った言葉の方が、気になった

 

『世界の終わり!?・・・最高じゃねえか』

『みんな終わっちまえば!!全部の最後が見れる!!』

 

さらに元気になったかのように

サンの動きが良くなる

 

3人のサウンドが一斉に掛かり

攻撃が飛び込んでくる中で

 

『おらぁ!!』

 

的確に、一撃一撃を捌き

そして、そのカウンターに攻撃を浴びせて吹き飛ばした

3体の分身が霧散していく

 

そして、目の前にいる本体にも

一気に距離を詰める

 

「!?」

『おらぁ!!』

 

サウンドを蹴り飛ばす

そして倒れ込んだところに

 

『フン』

「ぐぁっ!」

 

ストンピングをかます

2度、3度と

倒れるサウンドに足を踏み落とす

 

「くそっ!」

 

振り下ろされる足を掴む

しかし、そうした瞬間

 

『ハアアア!!』

 

サンの体が燃え上がった

 

「熱っ・・・!」

 

手から、体中から

焼けるような痛みが走る

 

そして、手を離してしまった瞬間

横から、蹴り飛ばされる

 

地面を転がっていく

焼けるような痛みが、立ち起こす力を削いでいく

 

『どうした・・・終わりかぁ?』

「・・・!」

 

サンが迫りくる

立たなくては、しかし体が言うことを──

 

『なら・・・一足先に送ってやるよ』

 

っくそ・・!

 

『お友達も、待ってるだろうぜ』

「・・!」

 

『同じように、丸焼きでなぁ!!』

 

──そこを突かれれば、黙ってられなかった

 

「っおおおお!!」

BEST HIT(ベスト ヒット)!!!』

 

半ばやけくそに

ベルトを叩き、跳ね上がるように立ち上がる

 

『!?』

「おらぁ!!」

 

怒りに身を任せ

握った拳を、奴の体に叩き込んだ

 

『おおお!』

 

虚を突いたのか、サンの体が後ずさる

 

「はぁ・・・はぁ・・・!!」

 

荒い息をしながら立ち上がる

全身がいたみを放つ

しかし、それを構うことなくサウンドは転がった

ギターランスを掴み取り

サン目掛けて駆けだす

 

『・・・やるなぁ・・!・・・だが・・?!?』

 

攻撃を喰らったサンは

駆けこんでくるサウンドに止めを刺すべく構えようとした

 

しかし、その時

一瞬だけ、力が抜けた

 

『な!?』

 

一瞬の引っ張られるかのような感覚

それは、サウンドの力によるものであった

一瞬だが、サンという人間が、テラーから引き剥がされかけたのだ

 

それは、一瞬の隙であった

しかし、決定的な隙であった

 

「らぁあああああ!!!!」

『しまっ・・・』

 

体に自由が戻った時

サウンドは既に自分の目の前に迫っていた

既に攻撃の体制に入っている

 

サウンドが手にした槍を駆けこんだ勢いをそのまま乗せて突き出す

それに対し、迎撃はおろか防御や回避も行う時間は

サンには残されていなかった

 

槍が、サンの体を・・・貫いた

 

『ぐああああ!!』

 

激痛がサンを襲う

しかし、攻撃はそれだけでは終わらない

 

「うおおおお!!!」

 

貫いた槍を両腕で抱え込み、上方へと差し向ける

突き刺さったサンの体も言わずもがな

どんどん地面から離れ吊り上がっていく

 

「これで、逃がさねぇ・・・!」

『!?』

 

その一言で、何をしようとしているのかを理解した

 

『させるかあああ!!』

 

突き刺さった槍を掴み込み

それをさせまいとサンが抵抗する

 

次の瞬間、サウンドとサンの周りに

円形の炎が現れる

 

次の瞬間、円から炎が立ち上がり

巨大な炎の渦が2人を包みこんだ

 

『焼け死ねぇ!!!』

 

自分の体をも焼き焦がす炎を立たせる

しかし──

 

「うおおおおお!!!!!!」

『MILLION!!』

 

それでも、サウンドが止まるはず等なかった

友を焼いた炎の中

その中で、その敵が目の前にいる

 

死んでも手を離すことなど、するはずがない

 

突き刺さった槍に、膨大な量の力がこもる

 

狙う必要などない

既に敵はそこにいる

後はそれを、ただ

 

『やめ・・・』

「いけえええええ!!!」

GREATEST HITS MEDLEY(グレイテスト・ヒッツ メドレー)!!!』

 

解き放つだけであった

 

膨大なエネルギーが周りの炎すらかき消して

サンに叩き込まれる

 

その瞬間

サンの体に異変が起こる

 

『な・・・ぐうう・・・っがあああああ!!!』

 

突き刺さった体から

まるで何かが剥がれるかのように

その体から飛び出した

 

『ぐあっ・・・ぐうう・・・』

 

それは人間であった

しかし、知った顔であった

それは先ほどまで、自分と顔を合わせていた顔

 

そう、人間 日暮一樹であった

 

『・・・!・・・何!?』

 

サウンドの能力によって無理矢理人間を引っ張り出した

そうなれば、今この槍に刺さっているのはただの抜け殻である

 

「・・・おおらぁ!!」

 

槍を振るい

刺さった怪人を投げ捨てる

 

怪人は、地面に落ちると

ピクリとも動かない

 

そこに、意思は何もない

まぎれもない、唯の抜け殻であった

 

次の瞬間

抜け殻に変化が起こる

 

自身の能力に耐えきれなくなったのか

まるで高温になった鉄のように真っ赤に染まり

そして、膨張していく

 

このままだと、自身の炎に耐えきれずに爆発するであろう

・・・止めを刺す手間が省けたというべきか

 

『・・・・まだ・・だ!』

「!?」

 

しかし、安堵したのも束の間

サウンドの耳に聞こえたのは

男の声であった

 

『奪わせはしない・・・まだ、やり足りねぇ・・!』

 

地面を転がりボロボロになったサン・・いや日暮は

どこにそんな力が残っているのか立ち上がり

 

『俺の・・・俺の力だあああ!!』

 

そう言うと、駆けだした

目指すのは、倒れ込んだ怪人である

 

爆発しかけの、怪人であった

 

「っ止めろ!!」

 

間に合わない、爆発するぞと

仮面ライダーのそんな言葉は届かない

 

日暮は走った

膨張していく怪人へと

 

確信があった

()()()()()()()()()()

 

長く使っていた体が、どれだけの熱量に耐えられるかを

彼は感覚的に理解していた

 

そして、この状況で

彼は間に合うと踏んで、駆けていた

もう一度、怪人の体を取り戻すために

 

日暮は駆けた

絶対に間に合うと

 

しかし、それには一つの間違いがあった

爆発目前の怪人に駆け込む男

 

極悪な殺人鬼が、死に飛び込んでいる

そんな状況で、自分のこと恨んでいる男が

 

 

 

 

自分を助けるはずがないと

高を括っていたことだ

 

BEST MEMBERS(ベストメンバーズ)!! 』

『 1! 2! 3!』

 

日暮の体が止まる

いや、止められたのだ

 

目の前に現れた

仮面ライダーの手によって

 

『な!?』

 

焼け焦げた体を押して

サウンドが立ち上がる

 

()()()()()()()()

「どんだけ好き勝手やってきたと思ってやがる」

 

脳裏に浮かぶのは、猫に踊らされた一人の男

自分を庇って、罪を償わずに勝ち逃げをした男

 

「あんたにゃしっかり罪を償ってもらう」

 

槍を持ち上げ

そして、投げる構えを取る

 

『!?・・・やめろおお!!』

 

分身に掴まれた日暮が、暴れ出す

しかし、唯の人間が

仮面ライダーの拘束を剝げるはずなどなく

 

「てめぇ一人だけ、いい思いができると思うな」

 

そうして、サウンドの手から

倒れ込む怪人に向けて

槍が、放たれた

 

そこに避ける意思など存在しない

槍は一寸狂わずに膨張したその体に

 

命中した

 

巨大な火柱を上げ、爆発を起こす

火が収まった先に残っていたのは

 

焼け焦げた、槍と

それに貫かれて、バラバラに砕け散った

一枚のチケットだけであった

 

『・・俺の・・・力が・・・」

 

日暮が膝をつく

そして、呆然としたまま

倒れるように、気を失った

 

「・・・これでいいんだよな」

 

命は奪わない

これが正しい選択だったのかは

きっと答えは出ないのだろう

 

けれどきっと

あの友人達には、笑って報告できると

翔は、そう信じるのであった

 

 

 

 

 

『・・・それじゃあ、始めましょう』

 

「っく」

 

落下したラストは

大きな地下空洞の中で、巨大なドラゴンと対峙していた

 

『死になさい』

 

クイーンが羽ばたき、その体を空中へと浮かせる

そして、その巨大な口から

おぞましい揺らめきを見せる

 

「!・・・」

 

咄嗟に液状と化し

地面に潜る

 

次の瞬間、巨大な緑色をした火炎が

地面へと降り注いだ

 

『・・・そこね』

 

火を吹き終えたクイーン

そこに目掛け、壁から水が吹き上がる

そして、ラストが飛び出した

 

ラストがすれ違いざまに剣を振るう

しかし、その攻撃は厚い茨の体を貫くことはかなわない

 

『無駄よ』

「くっ」

 

クイーンが、竜の右手をラストへ向ける

次の瞬間、幾重にも重なった茨がほどけ

まるでしなる鞭のように、ラスト目掛け振り下ろされた

 

「!?」

 

液状になりスルスルとその間を避ける

 

しかし──

これでは、手がない

 

やはり、有効打なのは──

 

 

振り下ろされた鞭を掻い潜り

大地に降り立つ

 

『MIRAGE TORCH』

『What The Fire Showed Was All Illusions』

 

グリップに炎を灯す

そして、突き出した瞬間

巨大な炎の拳が、クイーン目掛け突き進む

 

『そうね、それしかないもの』

 

しかし、クイーンはその攻撃を呼んでいたと言わんばかりに

軽い旋回一つで避ける

 

「!?」

『でも、もう避けられないわよね』

 

次の瞬間、巨大な炎が

ラスト目掛け、放たれる

 

「ぐうううあああ!!」

 

炎弾が、周りに降り注ぎ爆発を起こす

その衝撃がラストを吹き飛ばした

 

地面を転がる

──まだだ

 

「まだ、戦え」

『遅いわ』

 

立ち上がった矢先に

茨で出来た、巨大な尾が眼前に迫る

 

巨大な質量が、自分の体を容易く巻き込み

そして、吹き飛ばした

 

「っが・・・」

 

叩きつけられ、一瞬意識が飛んだ気がした

 

『これで終わりね』

 

ドラゴンが降り立ち

その茨がどんどんほどかれていく

 

そして、最終的には

人間サイズの怪人が、姿を現した

 

『さぁ、チケットを出しなさい』

 

「・・・断る・・!」

 

痛みを押して、立ち上がる

負けるわけにはいかない

 

世界のためにも、自分の為にも

「っ!」

 

 

BEST END(ベストエンド)

 

グリップから大量の炎が吹きだす

巨大な拳を形成した火炎が

クイーン目掛け突き出される

 

『!・・・・はぁ!!』

 

クイーンの手に大量の茨が現れる

推し固めたそれを迫りくる火炎にぶつけ

 

そして、別方向へと弾き飛ばした

 

「っああ・・?!」

『・・・さっさと倒れなさい、愚図』

 

そして、翳した手から

大量の弾幕が放たれる

 

迫るそれを、ラストに避ける体力は残されていなかった

 

「ぐあああああ!!」

 

体中に弾丸が突き刺さる

弾幕が、終わるころには

ボロボロになったラストが倒れ込んだ

 

「ぐ・・・あっ・・・」

 

変身が解け、その手からグリップが零れ落ちる

 

『フン・・・邪魔よ』

 

ラストの目の前にクイーンが立つ

しかし、その目にラストに対しての情感などなく

ラストの体を蹴りどける

 

そして転がった拍子に零れ落ちたチケット一枚を拾い上げた

 

『さぁ・・・残りも出しなさい』

「・・・!」

 

ラストがグリップへ伸ばそうとした手を

 

『フッ!』

「うぁ・・!」

 

鋭利なその足で踏みつける

 

そしてさらに

足元に落ちた、グリップを踏み

──そして、踏み砕いた

 

「・・・!」

『ほら、これで満足でしょう?

 ・・・さっさと出しなさい』

 

うんざりだといった口調で

クイーンが言う

 

しかし、最早待つ気も起きないのだろう

また、ラストを蹴り飛ばした

 

「うぁ・・!」

『・・・もういいわ、さっさと死んでちょうだい』

『どこまでも、あなたは愚図だったわ』

 

「!・・・!」

 

拳を握りしめる

悔しさがこみあげてくる

 

どうして、勝てないのか

自分は、ここで終わるしかないのか

 

そんな、怒りとやるせなさがひたすら脳内を駆け巡る

──もう、いやだ

 

そんな思いがこみ上げてくる

もう、こんな気分は嫌だと心底思えてくる

 

──諦めてしまった方がいいのではないだろうか

 

ポケットからチケットを出して

さっさと終わりにしてしまった方が

 

折れかけた心は

思ったことをすぐにしてしまうもので

 

ポケットを探る

──何かが触れた

 

もう確認するのもきつくて

何も考えずに、それを取りだした

 

けれど、それは

チケットなどではなかった

 

それは、一枚の紙切れであった

それは──

 

 

"少年は、全てを失い

 親からも見捨てられて、

 一人ぼっちになってしまいました。

             おしまい

 けれど、少年は新しい仲間を見つけました。

 そして、彼は新しい仲間と笑い合って

 末永く、幸せに暮らしました

             おしまい"

 

「──。」

 

"君は、そのおしまいで満足できるのかい?"

 

それは──

 

「──できるはずが、ない」

『・・・なに?』

 

拳を握る

足に力を込める

──立て、立て、立て!!

 

ふらつきながら、それでも立ち上がる

 

『・・・何のつもり?』

「私は──まだ、終われない」

 

クイーンを見据える

恐ろしい、自分にとって本当に恐ろしい相手を

ボロボロにされて、

あれだけいいように言われて

心を折られそうになった

 

それでも──

 

「終われない・・・私はまだ

 何も見つけていない」

『・・・?』

 

勝たなければならない

そうでなければ、先に進めない

 

「こんな場所で、貴様なんかで終われない!!」

「私は、まだ生きていく!!」

 

「私を、望んでくれた人達がいる!!」

「私に教えてくれた人がいる!!」

 

『それが、なんだというのよ』

 

決まっている

 

「私は、彼らと一緒に生きる!!」

「生きて!!私が望むおしまいを見つける!」

 

『・・・それで?口だけで何ができるの?』

「口だけなんかじゃない・・・

 私は、先に進む!!」

「こんなところで、貴様なんかで終わりにできやしない!!」

 

そう、言い切ったその時

ラストの右手が、光り輝いた

 

『!?──なに!?』

 

ラストはそれを見る

右手の中に納まっている、あの励ましのメモを

光り輝いている、一枚の紙切れを

 

そうして、奇跡は起こった

 

さらに眩しくなった光

眩んで閉じた目を開いたその時

ラストの手には、メモではない何かがあった

 

それは、先ほど踏み砕かれたものと同じ形をした

けれどどこか違う、新しいグリップであった

 

『!?・・・それは、壊したはず』

「──言ったはずだ、終わりになんてできないと」

 

チケットを取りだす

恐れはもう、どこにもありはしなかった

 

BUBBLE MERMAID(バブル・マーメイド)

 

チケットをドライバーに装填し

そして、グリップをドライバーに差し込む

 

Ever Last(エバー・ラスト)!!』

 

「変身!!!」

 

愛を掴み(Get To Love)深海より飛び立った(Rise up From Under The Sea)!!』

BUBBLE MERMAID(バブル・マーメイド)

 

ラストの体が変わっていく

空色のアンダーアーマーに鮮やかな青のアーマーが装着され

両肩に、魚の鱗のような文様が施されたマントが装着される

 

それは、今まで見たこともないような

ラストの姿であった

 

『なによ・・・その姿』

「──。」

 

答えることは無く

ラストはクイーンを見据える

そして

 

クイーンが気づいたときには

一瞬で、ラストが目の前に迫っていた

 

『!?いつの』

「はぁ!」

 

拳が、クイーンの体に叩き込まれる

クイーンが、衝撃に後ずさる

 

『!・・・貴様ぁ!!』

 

傷つけられたことに、怒れるクイーン

その腕から、大量の茨が放たれる

 

何重もの茨の鞭が、ラストに振り下ろされる

 

「無駄だ」

 

ラストが構える

無防備なその姿に茨が降りそそぐ

 

しかし、それ触れた瞬間

ラストの体は、それをすり抜けた

 

『!?・・・なに!?』

 

まるで、姿を変えていないのに

しかし、その攻撃が触れる瞬間

ラストの体は、まるで水のように

その茨を通り抜けさせた

 

ラストが足に込めた力を解き放つ

まるで激流のような勢いで、足元から水が噴き出し

ラストが猛スピードでクイーン目掛け突き進んだ

 

「はぁ!!」

 

そして、クイーンのその横を通り過ぎながら

一撃を食らわす

 

『ぐあっ!?』

 

さらに方向を変え、再度クイーン目掛けて突き進む

さらに通り際に一撃

 

さらに方向を変え

何度もクイーン目掛けて攻撃を放つ

 

そして、トドメにその体を蹴り飛ばした

 

『っああ・・!?』

 

反応もできずに、クイーンが吹き飛び

地面を引きずる

 

『っ・・・愚図がああ!!!』

 

クイーンの体を茨が包み

その体を巨大なドラゴンへと変える

 

『死ねよお!!』

 

そして、巨大なその腕を振りかぶり

ラスト目掛け振り下ろす

 

「その力も・・・・もう負けない」

 

ラストは、ドライバーに収めたグリップを引き抜く

次の瞬間、グリップから魚の尾びれを模した形状の刀身が現れる

 

迫る竜の手に

ラストは、剣を振り抜く

先程までであれば

外側の茨を気づ付ける程度であったあの剣は

 

一息に、振り下ろされたその腕を切り飛ばした

ズンと音を立てて、腕が落ちる

 

『な、なに!?』

 

もはや、その堅牢であった防御は

ラストに対して、意味をなしていない

クイーンの奥の手であった

この形態を、ラストは完全に攻略したのだ

 

『っ・・・・そんな訳が・・・!!

 私が・・・こいつに・・!』

『ある訳がない!!』

 

口に、揺らめく炎を構え

クイーンが叫ぶ

 

ものすごい熱量を持った炎が吐き出されようとしていた

 

「終わりにしよう・・・

 ・・・私と、あなたの因縁を」

 

グリップをドライバーに収める

そして、目の前の今にも吐き出されそうな炎に怯えることなく

ラストは、そのグリップを引き抜いた

 

BEST END(ベストエンド)

 

その刀身に、凄まじい勢いで流れる水流が纏う

そして、ラストは駆けだし

足から水流を放って、飛び立った

 

『消えろ・・・・私の汚点!!』

 

クイーンが炎を吐き出す

緑色の凶暴な火炎がラストを飲み込まんと突き進む

 

しかし、ラストも止まらない

剣を突き出して、炎の先目掛けて突き進む

 

そして、2つが、激突した

 

一瞬の拮抗

しかし、それは

 

「はああああ!!!」

 

火炎を真っ二つに切り裂いたラストの姿で勝敗を決した

 

『そんな・・・!』

「だあああ!!!」

 

火炎を突き抜け

ドラゴンの腹に剣を突き立てる

分厚い茨の壁が、斬撃を阻み押し止めていく

 

「私の・・・・!!」

 

止まりかけた斬撃

しかし、流れ出る水流が、それの後押しをする

そして

 

分厚い茨の壁が

今、切り開かれた

 

「勝ちだ!!クイーン!!!」

 

グリップをドライバーに差し、引き抜く

 

BEST END(ベストエンド)!!』

 

足を突き出す

瞬間、背から凄まじい勢いで水流が放たれ

ラストを一瞬で、加速させる

 

『うあ・・・あああ!!』

「だああああ!!!!」

 

そして、がら空きになった

クイーンの体に目掛けて、放ったそのキックは

 

クイーンの体を容易く、蹴り抜いた

 

地面を滑りながら着地する

その背後には

 

伸びた茨が、静かに

しかし重く音を立てながら崩れ落ちていく

 

そして、最後には

胸にぽっかりと穴の開いた

女王の姿をした怪人が残されていた

 

『・・・ああ、・・・負けちゃった・・・?』

 

女王の姿をした怪人は

緩やかに、しかし確かにそれを感じ取っていた

 

そして、怪人の姿はやがてしぼみ

中から、一人の人間が姿を現す

 

『・・・ああ、負けちゃったわ・・・』

『なんでかしら・・・?女王さま・・・だったのに』

 

「・・・。」

 

全てを無くし、女王は地に落ちた

そして、女が振り向く

 

ラストもまた、変身を解いてそれを見た

 

『・・・あら』

 

もはや、騒ぐ気力すら失った女は

ボロボロとその体を崩れさせていく

 

『あなた・・・』

 

女は最後にラストを見て

一体何を思ったのか

 

『・・・私に似て──』

「っ!?」

 

ラストは反射的に手を伸ばす

しかし、ボロボロと崩れた女にその手は届くことは無い

残ったのは、灰のようなかけらと

砕け散った、一枚のチケットだけであった

 

 

最後に、何を言おうとしたのか

そんなものは分からなかった

 

酷い人間であった

消えてしかるべき人間でもあった

 

けれど、最後のあの顔は

自分を見ていた気がした

どこか・・・親の顔をしていた気がした

 

「さようなら・・・私の母であった人」

 

そう呟いて、ラストはその場所を後にする

どうかこの場所で、消えるしかないこの場所で

自身の母であった者が、安らかであれと思いながら

 

 

続く

 




次回 仮面ライダーアクト 最終回

太陽は燃え尽きた──
女王は堕ちていった──

残ったのは、青い鳥
『どれだけ善意を積もうと、人は必ずそこにたどり着く!!
 ──醜い悪意に!!』

アクトよ、世界よ、どこへ向かう?
「そこで!!立ち止まらなければ!!
 きっとまた、人は変わっていけるんだよ!!」


「いつだって人は!!」


「何にだってなれるんだ!!!」

最終章[誰にでもなれる舞台(せかい)で]
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