仮面ライダーACT [アクト]   作:ヨッツ

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最終章~誰にでもなれる舞台(せかい)で~

『──。』

 

高い塔の最上

そのさらに上空に浮かぶ黒色を

仰ぎ眺める姿があった

 

このままいけば、世界は滅び去る

全ての人類を消し去ることができると

男は待ち望んでいた

 

 

しかし──

 

それがそう上手くいくことではないことも

男は理解していた

 

『来たか──彩羽雄飛』

 

肩で息をしながら、

この塔の最上まで駆け上がり目の前に立っていた

 

『・・・見事なものだろう?』

『あと少しで、このひずみは現実へと紐づく』

『そうなれば、現実はこの穴を起点に崩壊していくだろう』

 

見上げながら

目の前の男へと言い放つ

 

 

「──なんで」

「なんでそんなことを・・・?」

 

──決まっている

 

『全ての人間を消し去るためだ』

「・・・自分もろともか?

 ・・・自分一人さえ残さずに全部消し去って

 そんなことにどんな意味があるっていうんだよ」

 

そうだ

この状況の果てには、ブルーという存在にも先がない

世界もろとも全て消し去るというのであれば

そこには、彼自身も含まれているはずだ

 

『私は、私自身がどうこうなるつもりは毛頭ない』

「!?」

 

『私の望みは・・・人が残らず消え去ること

 ・・・その先など、考慮する必要はない』

「・・・ふざけんな!!」

 

「あんたの自分勝手な考えに

 世界なんざ巻き込むな!!」

 

雄飛は怒る

その考えの根底が、復讐なのか絶望なのかな関係ない

ただ、そんな自分勝手な考えだけは許すわけはいかなかった

 

しかし、その言葉にもブルーはどこ吹く風と言わんばかりに

上を見上げ、そしてまた雄飛に向き直る

 

そして、2枚のチケットを取りだした

 

『決着をつけよう、彩羽雄飛

 ・・・君を乗り越えて、私はこの全てを終わりにする』

 

『デウス・エクス・マキナ』『青い鳥』

 

ブルーの体が、変わっていく

最早、整合性などどこにもなくなった

不揃いの歯車と青い羽が彼を包みこんでいく

 

『ブルーデウス』

 

「・・・させない

 あなたを止めて、全部守らせてもらう」

 

『仮面ライダー ACT(アクト)

 

「そのための、俺だ」

 

『A new legend , A new Begging』

『Come on stage』『You Are the』

『仮面ライダー !!!』『ACT(アクト)!!!』

 

怪人と仮面ライダーが対峙する

互いに拳を握り

構える

 

そして、同時に駆けだした

塔の最上、その中心で

2つの拳がぶつかり合い

──最後の戦いが、幕を開けた

 

 

 

「うわぁ!?」

「痛ぇ!?」

 

「怪我したやつは下がれ──!!」

 

塔の下、

兵隊たちによる侵攻も佳境に入っていた

 

たくさんの人々が、抗い続けた

しかし、それも限界は迎えてきていた目の前に見えていた

 

「いかん、このままでは押しつぶされる」

 

無限のように増えていく兵隊たち

対して、こちらは力を持たぬ人間たち

どれだけ束になっても、限界がそこにあった

 

このままでは、犠牲を増やすのも時間の問題であった

 

「これは、流石に毛無理じゃないか・・!?」

「おじさん!!何か手は!?」

 

「・・・そうだ、これなら・・!」

 

そう言って、浩司が何かを取りだす

四角い、長方形のような機械を

見慣れたような、しかしどこか違う形をしたそれを

杏奈もよく知っていた

 

「それって・・・ドライバー!?」

「なんで!?」

 

まぎれもない、雄飛達と同じようなドライバーであった

 

「プロトアクトのデータと残骸から作った

 アクトドライバーのスペアだ」

「壊れた時用の急造品だが・・・」

 

確かに、これさえあれば──

 

「誰が変身するんだい!?」

 

大木の一言で、誰もが沈んだ顔をした

そうである、()()()()()()()()なのである

 

「・・・駄目か。」

 

変身できるものが・・・いなかった

そうこう言っている間に、状況は悪化していく

 

木材の砕ける音が響く

 

「いかん!!引け!!」

 

バリケードが破かれて

兵隊たちがなだれ込んでくる

 

もはや人間が何人いても意味などない

これでは──

 

その時、浩司の手からドライバーが抜き取られる

そして、ある男が皆の前に立った

 

「・・・チケットは・・・これか!!」

「大吾!!?」「お父さん!?」

 

それは、これまでの話を黙って聞いていた大吾であった

彼は、まるで思いだすようなぎこちない手つきでドライバーを巻き

そして、備えられていたチケットを起動する

 

「・・・無理だ!大吾!!

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

そう、危険すぎる意識の上書きは

そのドライバーには備え付けられていない

それなしで、大吾は──

 

「問題ない」

 

しかし、大吾は臆することなくチケットをドライバーに差し入れる

そう、()()()()()

 

()が、一体どれだけの間・・・仮面ライダーだったと思っている?」

 

兵隊たちが、最前線に立つ大吾に対し

一斉に飛び掛かる

 

『MASKED RIDER Reboot』

 

瞬間、風が吹き荒れた

飛び込んだ兵隊たちが、風に吹き飛んで爆散する

 

その爆炎の向こうに

 

『さぁこい!!怪人ども!!』

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!』

 

仮面ライダーが、立っていた

 

「嘘・・・」

「大吾・・・お前・・!」

 

その光景に、浩司たちは目を丸くするしかなかった

 

「・・・仮面ライダー?」

「か、仮面ライダーだ!!」

「やっぱり来てくれたんだ!!」

「勝てる!!勝てるぞお!!」

 

我に返ったのは、

周りからそんな声が聞こえてきたからだ

 

「負けるな皆ぁ!!仮面ライダーが付いてるぞ!!」

「「「うおおおおお!!!!!!」」」

 

その姿に奮い立った周りの人々が

活気立って、武器を取る

 

「・・!これなら・・・!」

「ああ、守り切れる・・!」

 

『いくぞぉ!!』

 

仮面ライダーが、駆け出し

兵隊の中に、突っ込んでいく

 

これならば、勝てる

残った人々を、守り切れる

 

杏奈は、塔を見やる

3人が乗り込んでいった、あの塔を

 

「こっちは絶対に、守り通す」

 

──だから、勝ちなさい

 

 

ぶつかり合った拳が、両者の拮抗を示す

 

弾きあった拳を互いに振り上げ

攻めかかっていく

 

アクトの拳をブルーが防ぎ、カウンターを放つ

それを避ける

しかし、続けさまに蹴りがアクトの眼前に迫っていた

 

腕を前に回しガード

 

「っ・・!」

『うおおお!!』

 

ガードをも押し込み、怯んだアクトに

ブルーの拳が、叩き込まれた

 

強い衝撃に数歩のけ反る

・・・だが、倒れない

足を前に出す

 

アクトの拳が、勢いよく叩き出される

 

ブルーのか体へと突き刺さる

 

こちらも衝撃に数歩のけ反った

 

「はぁ!」

 

そこへ追い打ちが如く、アクトが駆けこむ

 

『っ!』

 

しかし、ブルーも怯んではいない

こちらも拳を握り込み、応戦に向かう

 

再度、2者が激突し

その拳は、互いの体に突き刺さった

 

「『っぐあ!!』」

 

互いに弾かれるように吹き飛ぶ

 

転がっていく中で

互いに手を開く

 

次の瞬間には、互いの手には剣が握り込まれる

倒れている暇などない

互いにほぼ同時に駆けだしていた

 

ぶつかり合う金属音

ブレイガンと羽状の剣が火花を散らす

 

つばぜり合いの中、アクトが口を開いた

 

「・・・なんで、こんなことをするんだよ!

 自分も世界も何もかも、消し去ろうなんて馬鹿げてる!!」

『──本当に、そう思うか?』

「っ・・・何だと」

 

ブルーが、アクトの一撃を

切り飛ばし、弾く

 

距離を離し、構えながらも口を開く

 

『人間全てに、助ける必要があると

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ブルーが天に手をかざす

その瞬間、上空にいくつもの光が現れる

 

それは、まるで流星のようになって

そのままこちらへと向かいだす

 

『おおお!!』

 

流星が次々へ降り注いだ

 

「っ!」

OVER RIDE(オーバー・ライド)!!!』

┌────────────────────────

│■専用武器:アクトブレイガン,CGスタッフ

└────────────────────────

 

両手に剣と杖を握り

迫りくる小さな星々を砕いていく

 

十数のそれを砕ききり

息を切らせながらも、アクトは両手の武器を連結させた

 

『CGブレイカー!!』

 

大剣を構え、足に力を込める

飛び出し、ブルーの目の前へと迫る

 

「はぁ!!」

『ぬぅ!!』

 

大剣と羽型の剣がぶつかる

アクトが振るう連撃を、ブルーが弾いていく

 

「・・・どういう・・・意味だ・・!!」

『そのままの意味だ・・・!』

 

ブルーが、強引に切り返す

弾かれた大剣を縫うように羽型の剣が迫る

 

そして、アクトの体を突き飛ばした

 

「がっ・・・!」

『・・・全員が、助けるに値すべき人間であるのか?

 ・・・悪人は?嫌悪する人間はいないのか?

 違うはずだ!!』

 

転がるアクトに

ブルーは声を荒げながらいい放つ

 

そして、剣を振り上げる

青黒いエネルギーが、羽型の剣へと集っていく

 

そして、青黒い巨大な斬撃が

アクトへ向けて放たれた

 

斬撃が迫る

 

『アクト!!』

『DRAMATIC CUT!!』

 

立ち上がりながら

大剣へチケットを放り込む

そして、迫る斬撃に

ぶつけるように、剣を振るう

 

青黒い斬撃をと大剣がぶつかり合い

そして、弾き飛ばした

 

「・・・悪人はいるさ

 ・・・でも、だからって見捨てていいわけじゃないだろ!!」

 

アクトが走る

そして、大剣を振り降ろす

再び2つの剣が火花を散らし、拮抗する

 

「良い人だっている!悪人と同じくらいずっと!!

 それも丸ごと消し去ろうっていうのか!!」

『──それが間違いなんだ!!!』

 

ブルーも声を荒げながら

その剣を振るう、武器の重量差など感じさせないように

アクトの攻撃を弾き、そしてその体に斬撃を叩き込む

そして再び切り飛ばした

 

『ふぅー・・・ふっー・・・うおおおおお!!!』

 

猛るようにブルーが雄たけびを上げる

その体が、呼応するように青黒いオーラを吹きだす

その時、突如アクトを地響きが襲った

 

「!?」

 

 

 

「よっと」

 

気絶した日暮れを担ぎ上げ

サウンドは上階を見上げる

 

──こちらの決着は着いた

すぐさま増援に・・・

 

「ショウ!」

「!?・・・ラスト!

 無事だったか!!」

 

その時だ、床に空いた大穴から

ラストが飛び出してくる

 

どうやら、そちらも無事に終わったようだ

 

「そいつは・・・」

「あぁ・・・、悪いこいつを」

 

頼めるか

そう言いかけたその時

2人を突然の地響きを襲った

 

「「!?」」

 

ゴゴゴと不吉な異音が

辺りに走り出す

 

そして、異変は訪れた

2人の周り、塔の内部のような景色が

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「なっ!?」

「これは・・!?」

 

2人の周りの世界が突如として元に戻っていく

 

「・・・雄飛が勝ったのか・・?」

「いや・・・違う!!」

 

雄飛が勝って世界が元通り

そんなサウンドの予想は

ラストの驚愕交じりの声にかき消される

 

ラストが指を差た先

はるか上空に向かって伸びた塔

 

それがどんどんと消えていくと同時に

 

その最上へあったひずみを中心に

暗い巨大な球体の何かが出来上がりつつあった

 

「あれは・・・!」

「集まっていっている・・・?」

 

現実を変える物語の世界が

それを一点に集まっていっていた

 

 

 

「・・!なんだ!?」

 

突如の地響きに驚愕するアクト

しかし、さらなる驚愕は、可視化されて目の前に飛び込んだ

 

周囲の風景がどんどん変わっていった

平和そうな空模様が

どんどん暗く濁ったように歪んでいく

まるでよくある異空間の様に

ねじ曲がった風景が辺りを満たしていく

 

『これが、物語の世界の崩壊だ』

「!?」

 

『このひずみによって穴の開いた世界は

 今まさに崩れ去ろうとしている』

『そして、この世界を現実へと紐づけることで

 ・・・崩壊は、現実へと伝播する!』

 

──これで、世界の崩壊は完遂する

 

ブルーが消え去る

いや、一瞬んでアクトの目の前に現れる

 

「!?」

 

迫る斬撃を

大剣を持ち上げて受け止めた

 

『善人がいたところで・・・

 それが善人であり続けられはしない!!』

 

受け止めたアクトの顔面に衝撃が走る

ブルーの蹴りが、その顔を蹴り飛ばしていた

 

転がるアクトに

さらに追い打ちをかけるように剣が振り下ろされる

転がるようにそれを避け

何とか立ち上がる

 

しかし、その隙にさらに斬撃がアクトへと迫っていた

剣を構え、受け止める

 

猛攻が迫り続けるのを防御していく

 

『誰もが、皆、悪へと落ちる可能性を持っている!!』

 

「っそれは・・・!」

『善き行いをしようと志そうと

 ・・・怒りが!失意が!!絶望がそこに追いやる!!』

 

大剣がアクトの手から弾き飛ばされる

 

()()()()()!!!』

「!?」

 

連続の斬撃が

アクトの体に叩き込まれ、アーマーが火花を散らす

全身の痛みが、ブルーの言葉をより鮮明にしていく

 

"こんな仕打ちを平気で起こせるなんて"

"許しておけない"

 

『怒りのままに進み続け!!

 そして・・・()()()()()()()()()()()()()()()()

 

強く切り飛ばされる

吹き飛ばされて倒れ込むアクトに

ブルーは嘆くように、怒れるように独白を続ける

 

『そうしてまた一人、悪人が生まれ出た』

『・・・どれだけ善意を積もうと、人は必ずそこにたどり着く!!』

 

ブルーがその剣に力を込める

アクトが立ち上がろうとするが

痛みにそれが遅れてしまう

 

『──醜い悪意に!!』

 

そうして放たれた斬撃は

アクトを吹き飛ばし

そして、宙に浮かびながらも形を保っていた

塔の最上、その半分を瓦礫のへと変えていった

 

瓦礫と共にアクトが

いや、雄飛が落ちていく

 

ブルーは、勝ち誇るように

それを見送るのであった

 

 

 

『ハァ・・・ハァ・・』

 

大吾が肩で息をする

眼前には、まだまだ数をなす兵隊たち

 

「大吾・・・大丈夫か!」

 

『・・・っまだまだ・・!』

 

仮面ライダーが構えを取り迫る兵隊たちをなぎ倒していく

しかし──

 

「不味い・・・このままじゃ大吾の体力がもたない」

「病み上がりのくせして無茶しおって・・!」

 

がむしゃらに戦っている仮面ライダーを見ながら

博士二人がそう言う

確かに、辛そうだ

 

このままでは──

 

その時

遥か前方で、兵隊たちが吹き飛んだ

 

「「「!?」」」

 

それと同時に、何かが飛び上がり

こちらに突っ込んでくる

これは──

 

「皆無事か!?」

「間に合ったか・・!」

 

「翔!ラスト!!」

 

2人の仮面ライダーが、この戦場へと飛び込んだことを意味していた

良かった、これなら──

 

いや待て

前方の風景

暗い球体が遠く上空にいまだに浮かんでいた

事態が、解決していないはずだ

どうして、こちらに?

 

さらに──

 

「なんでここに・・・雄飛は!?」

「まだあの中だ!!」

「我々だけ弾き出されてしまった」

 

「えぇ!?」

 

上空を見上げる

暗い球体、今にも消えてしまいそうな不安に駆られるそれの中に

まだいるというのか

 

「雄飛・・・」

 

「信じるしかねぇ・・・あいつだけが頼りだ」

「・・・その代わりに」

 

2人のライダーが前に歩き出す

その先には溢れかえるような兵隊たち

 

そして、膝をつく一人の仮面ライダー

 

「いけるか・・?」

『!・・・ああ、問題ない』

 

立ち上がった仮面ライダーを加え

3人の仮面ライダー達が

その軍勢の前に立ちはだかった

 

「もう一仕事、いくか・・!」

「ああ」

 

未だ戦う仲間を信じ

3人のライダー達は、戦うために駆けだした

 

 

 

 

 

 

砕けた床

瓦礫となって浮かぶ岩々

それと違い支える物を失い、重力に従って落ちる体

 

「っぐ・・」

 

衝撃に変身も解けた

飛び上がることは不可能

 

──それでも、ここで落ちるわけにはいかない

まだ、終わるわけにはいかない

 

しかし、痛みに体は動かない

手を伸ばすんだ

何かを掴むのだ

しかし、体が言うことを聞かない

 

「(諦めて・・・たまるか・・!)」

 

ここで負けるわけにはいかない

体が駄目でも、心だけは折れていない

だが、体が──

 

 

 

──?

その時、浮遊感が消えた

 

 

「あっ・・・」

 

一体何かと思い、体を見渡す

その理由は、すぐに分かった

 

手が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

自分の意志ではない

しかし、雄飛の体が勝手に動いて

そこに、しがみ付いていた

 

伸ばした手を見る

変化は、すぐに現れた

ドライバーが駆動する

 

瞬間、その腕が黒く鋭い爪を備えた姿へと変わっていく

 

「・・・うん、そうだな」

 

全身が、黒いアーマーを纏っていく

 

『Night Of Beast』

 

体に力がこもる

しがみ付いた腕を引き、瓦礫の上に上り立つ

 

「まだ・・・終わってない」

 

足に力を込めて

そして、飛び立つ

 

浮かんだ瓦礫から瓦礫へ飛び移って

どんどん上っていく

 

そして、再び

欠けた塔の最上へと駆け上った

 

『・・・何?』

 

降り立つと同時にその変身が解ける

傷だらけになった雄飛は

それでも、ブルーと再び対峙していた

 

『まだ・・・戦うか?』

「ああ・・・戦う」

 

ドライバーを巻きなおす

再び、チケットを取りだす

 

『──私の考えは変わらない

 ・・・全ての人間は、必ず悪意に落ちていく

 ・・・だからこそ、その全てを消し去る

 もう、誰にも悲劇を起こさせない』

 

「俺は・・・それを認めない」

 

さっきは、そこへの答えを見いだせなかった

けど・・・答えは直ぐに見つかった

 

だから・・・消させない

 

「──変身」

『仮面ライダー !!!』『ACT(アクト)!!!』

 

足へと力を込める

 

解き放った跳躍が

一気にその体をブルーの目の前へと押し込む

 

飛びながら、拳を引き絞り

そして、殴り掛かる

 

放った拳が、ブルーの腕に防がれる

それでもかまわない

続けるように、拳を放つ

蹴りを放つ

 

向こうからの反撃を間一髪

避けながら、攻撃を放っていく

 

「良い人も悪い人もいる

 ・・・良い人が、悪い人になることもある」

 

「・・・当たり前だ、人間はそんなに単純じゃない」

「誰だって、最初っから良い心も悪い心もあるんだ」

「ただ・・・どっちを選ぶかだけだ!」

 

そうしながら、言葉を放っていく

奴のその考えを否定するために

人が、生きていく理由を示すために

 

『そうだ・・・そして人間は

 必ず悪い方へと向かい行く』

 

必ず悪い方に向かう?

──そうかもしれない

良い方だけを選べる人間なんていないのかもしれない

でも──

 

放たれたブルーの拳を

がっしりと掴みとる

 

「・・・()()()()()()()()()()()

『・・・何だと』

 

そう、先だ

どうしてそこで止まってしまうと決めつける

 

「そこで、立ち止まらなければ

 きっとまた、人は変わっていけるんだよ!!」

 

拳を放つ

一直線に突き進んだそれは

ブルーの体に突き刺さり、突き飛ばす

 

『ぐっ・・・』

 

「悪い心を選んでしまっても

 ・・・どこかでまた、良い心を選べるかもしれない」

「先に進めるんだよ!!」

 

『黙れ!!』

『そのために・・・!』

『進む間に・・・犠牲になる物がいる!

 それを無視して、進ませてたまるか!』

 

ブルーの手にエネルギーが集う

そしてこちらに振るった瞬間

 

凄まじい衝撃が、アクト目掛けて放たれた

 

「そのために・・・!!」

 

迫るそれを腕で弾き飛ばす

拳が傷つき、痛むのを無視して吹き飛ばす

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

『!?』

 

「・・・間違えた人に

 "それは間違っている"って言い続けなきゃいけないんじゃないか!!」

「それで変わってくれると信じ続けなきゃいけないんじゃないか!!」

 

「信じきれなくて、全部消しておしまいなんて」

「それじゃあ、諦めてるのと一緒だ」

 

「俺は、良い人を信じたい!」

「悪い人だって信じたい!!」

 

「許すわけじゃない

 ちゃんと償って・・・また進めると信じたい!!」

 

「人が変われるって信じてる!!」

 

「いつだって人は!!」

「何にだってなれるんだ!!!」

 

『──っそんな希望論で!!!』

 

ブルーが、怒りのままに力を解き放つ

青い羽状の弾丸が、その周りにいくつも現れては放たれる

 

迫りくる弾幕の中

アクトは駆けだした

 

「あなただって・・・そうだったはずだ・・・!」

 

弾幕を掻い潜って先に進む

一直線に、目の前に

ブルー目掛け駆けていく

 

「人は変われるって・・・」

『おおおおお!!!』

 

一層激しくなった弾幕に

身を削りながら、それでも足を止めずに

 

「優しさを取り戻すために!!戦ってきたはずだろう!!」

『っあああああ!!!』

 

足に力を込め、飛び立つ

羽の弾幕を飛び越えて

はるか上空へ

 

『アクト!!』

『DRAMATIC ACTION!!』

 

「だああああ!!!!」

『消えろおお!!!!』

 

アクトの足に力が集う

ブルーの腕に力が集う

 

真っ白に輝く力と

青黒く込められた力がぶつかり合う

 

一瞬の拮抗

しかしそれは弾けるような衝突で掻き消えた

 

衝撃に、ブルーの腕が弾かれる

その体にキックは届いていない

 

しかし、ブルーの目にはそれが写っていた

 

 

弾かれるように上空へと飛び上がり

翻っている、真っ白なヒーローの姿が

 

『アクト!!』

『DRAMATIC ACTION!!』

 

┌────────────────────────

│■必殺技:ライダーキック

└────────────────────────

 

「ブルー!!!」

「あんたは・・・!!間違っている!!」

 

アクトが再びキックの体制を取る

何かに押されるかのように、その勢いが一気に上がり

凄まじいスピードで落ちていく

 

『ああ・・・』

「ライダァアアアアア・・!!キィイイイイイック!!!」

 

残された塔の床が砕け跳ぶ

 

そして、その一撃は

悲しみに暮れた、怪人の

その胸を、確かに打ち抜いた

 

 

 

 

 

「・・!?兵隊が・・!」

 

戦っていた3人の仮面ライダー達の目の前で

異変が起こる

 

先程まで襲い掛かってきた兵隊たちの動きが

一斉に停止していく

 

そして・・・音を立てて砕け落ちた

全ての兵隊が崩れていく

 

そして・・・残ったのは

人と、仮面ライダー達だけだった

 

 

「・・・これって」

「ああ・・・雄飛が勝ったんだ・・!」

 

 

瞬間、残された仲間たちは理解したと同時に

歓喜の声を上げるのであった

 

 

 

 

『・・・うっ』

 

ブルーは、痛みの中で目を覚ます

掠れた目に映るのは・・・

これは・・・人の背?

 

「目が、覚めたか」

『き・・・さまは・・・』

 

最早聞きなれた声

先程まで戦っていた男の声

 

人の姿になったブルーは

屈辱にも、敵である雄飛に背負われていた

 

『なぜ・・?』

「いや、見捨てられないでしょ」

 

さも当然というように、雄飛はそう言い放った

 

「あんたには、ちゃんと生きて償ってもらうからな」

『・・・。』

 

唖然とした顔で

ブルーはその姿を見ることしかできなかった

 

「・・・しかし、もうどっちが上か下かもわからんな」

 

目の前には歪んだ模様のような空間が続くだけ

それがどれだけの距離なのかもわからない

 

立っている場所も不安定で

重力さえ、最早信用できない

 

崩壊しかけた物語の世界の中で

雄飛は迷子になっていた

 

 

「・・・一発賭けて、真下に落ちてみるか?」

 

上手くいけば、そのまま突き抜けて現実の世界に・・・

 

そんなことを考えていたその時

 

──ひ

 

何かが、聞こえた

 

耳を澄ます

 

 

”雄飛ーー!!”

 

そんな自分を呼ぶ声が、確かに聞こえた

──みんなの声が

 

「!こっちか・・!」

 

声の方角を探る

耳を澄ませる

 

”雄飛ーー!!雄飛くーん!!”

 

──間違いない、こっちだ

こっちへ進めばいい!

 

「助かった・・!」

 

そうして、進もうとした時

()()()()()()()()()()

 

 

・・・一体何が

 

「!?」

 

そして、見上げた先には

それがあった

 

歪んた空間の中で、くっきりと視認できる

暗い球体のような、そのひずみが

 

「っなんで・・!」

『無駄だ・・・』

「!?」

 

背中から、声がする

 

『あれはもう、私の手を離れている』

「な・・・!!」

 

ひずみを見る

鳴動するように揺れるそれは

見るからに危険を滲ませていた

 

『もはや、現実世界と紐づいて

 砕け散るだけだ・・・!』

 

ブルーは、勝ち誇るというよりは

最早諦めるようにそう言った

 

──どうする

止めなければ、あれが現実と繋がる前に・・・

 

──砕け散るだけ?

 

「・・・。」

 

一つだけ、方法が見つかった

・・・自分なら、いける

 

そう思った雄飛は、ゆっくりと

背から、ブルーを降ろした

 

「・・・歩けるよな」

『?なにを・・・』

 

「自分一人であの声の方へ向かってくれ

 ・・・やることがあるんだ」

 

『・・・何を、する気だ』

 

──決まっている

 

「あれが()()()()()()()()()()()()

『!?』

 

要は、現実にあれが到達するのがまずいのだ

なら・・・その前に破壊する

 

『・・・止めておけ』

『それがどういう意味か、分かっていないだろう』

「ん?」

 

『あれを破壊することは、確かに可能だ』

『だが、壊した後はどうする・・?』

 

──壊した、あと?

 

『破壊した瞬間、この物語の世界は

 完全に崩壊する

 ・・・中の物も全て纏めてな』

「──。」

 

それはつまり・・・

 

『壊した瞬間、お前もろとも消滅するぞ』

 

──。

そうか・・・そうなっちゃうのか

 

──うん

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そう言うと、雄飛はアクトへと変わる

そして、跳躍するために足に力を込めた

 

『!?・・・待て、正気か!?』

『消滅するんだぞ・・!』

 

「何もしなくても、消滅だろ?」

 

『バカを言うな・・・何故貴様はそこまで・・・!』

『どうしてそこまで・・・やるんだ・・?』

 

自分を犠牲にしてでも、世界を救おうとする

ブルーには、理解できなかった

避けられない消滅の前に

進んでいこうとするその青年が

 

「・・・理由はないよ」

「言ったろ?助けたいからやるんだ」

「なら・・・途中で放り出せない」

 

『助けたい・・・から・・・』

 

そう言うと、アクトはしっかりと跳躍する

上っていくアクトを

ブルーは見ることしかできなかった

 

 

アクトは着地する

目の前には、真っ黒は何か

 

まるで洞穴のようにも見えるけれど

穴などどこにもなくて

 

そんな不気味な何かの目の前にいた

 

「・・・アクトなら、やれる」

 

そう、世界を破壊することだってできる

そう思ってやればいい

 

──それだけでいい

 

「・・・いくぞ」

 

拳を握る

力を込めて、その一撃を放とうとする

 

──皆には、悪いことをしてしまったと

そんなことを考えながら()()()()()()

 

しかし──

それは、放てなかった

 

『おおおお!!!』

 

自らの背後にこちらを狙って腕を引き絞る

羽と歯車の怪人の姿を感じ取ったからだ

 

「!?」

 

咄嗟に身を翻す

ブルーの放った攻撃は、アクトのいた場所を通過する

そして──

 

そのまま真っすぐ

()()()()()()()()()()

 

「!?なにを・・!」

 

『ぐ・・・おおおおあああ!!!』

 

ひずみから激しいスパークが巻き起こる

そして、ブルーの腕から、激しい焼ける音が響く

 

「ブルー!!」

 

アクトが・・それを止めようと腕を伸ばす

だが・・・

 

「えっ・・・!」

 

伸ばした手は、届かなかった

アクトの体が、ゆっくりと後ろへ引っ張られたのだ

 

“そうして、風は彼の者を運んでいきます。

 待つ者の下へ、仲間の下へと運びました。”

 

まるで、穏やかな風が

ゆっくりとアクトを引いていく

聞こえた声の方へ、仲間たちの方へ

 

「あんた・・・何を!!」

 

アクトが驚いたようにブルーに叫ぶ

なぜこんなことを──

 

『私に向かう場所はない』

『だが、お前にはあるはずだ』

 

『──なら、これが正しいのさ』

 

「っブルー・・!」

 

手を伸ばす、最早届くはずもない遠くに見える

一人の男に

 

けれど、ブルーはどこか穏やかな顔をして

響く、雄飛への呼び声を聞きながら口を開く

 

「・・・()()()()()()()だ、

 呼ばれているものは、そこに向かいなさい」

 

瞬間、引っ張られる速度が上がる

段々と遠くなる姿

 

「・・・青山!!!」

 

 

 

 

『・・・いったか』

 

見えなくなった雄飛から

目の前のひずみへと視線を移す

 

最早、爆発寸前のそれは

いくつもひび割れを作って崩れ去ろうとしていた

 

そして、そのヒビは自分にも伝わってきている

 

『・・・優しさを取り戻す・・・か』

 

──そういえば、そんな男がいたなぁ

 

 

"お父さんは、何をしているの?"

"そうだな・・・お父さんは、ヒーローをしているんだ"

"嘘だぁ、学者さんでしょ?"

"嘘じゃないさ、学者でもヒーローになれるんだよ"

"お父さんは、悪人を倒すヒーローじゃないんだ"

"悪人を・・・また、良い人に戻すヒーローになろうとしているんだ"

"えー!そんなの無理だよ"

"無理じゃないさ、悪人だってきっといい人に戻れるんだよ"

"悪人がいなくなるんだから、ヒーローだろ?"

"うーん・・・じゃあ、ヒーローになってるとこ、今度ちゃんと見せてね!"

 

"ああ、約束する。お父さんは、誰も傷つけないヒーローだ"

 

 

『──ああ、これで良かったのか』

 

ようやく腑に落ちた

最初の自分は、何も間違っていなかったようだ

 

『随分・・・遠回りをしたなぁ』

 

──けれど

ああ、ああそうだ

 

『──間に合ってよかった。』

 

 

 

そうして、一つの物語が

終わりを迎えた

 

 

歪んた風景が

一瞬で、別の風景へと切り替わった

 

「っ抜けた!?」

 

そこは、青い空に白い雲

見慣れに見慣れた、自分が住む町

 

そんな場所にアクトは戻っていた

 

そして──

 

目の前の暗い球体が瞬間

破裂するように、大爆発を起こした

 

「うわっ!」

 

爆風をもろに食らう

自分を運ぶ風ごとふきとばされる

 

衝撃で、変身が解ける

さらに、自分を運んでいた風の感触が消え失せた

 

雄飛は重力に沿って落下していく

しかし、それどころではない

 

爆発跡を見る

そこには──なんの人影も残っていなかった

 

「・・・っ」

 

やるせない気持ち

彼には、生きて償って

そして、また生きる道もあったのに

 

青山という男は

最後の最後に、優しさを取り戻した

それが、自己犠牲という望まれぬ形であっても

 

どこか悲しい気持ちで落下していく雄飛

しかし──

 

"雄飛ーー!!"

 

──落下の中で、声が聞こえた

 

下を見る

 

そこには──

 

 

嬉しそうにする仲間の姿が

そこにはあった

 

「・・・。」

 

ああ、そうだ

後悔も、やるせなさもある

けれどここは彼に感謝を

 

この素晴らしき仲間たちと

再び合わせてくれた彼に、感謝を

 

そうして、

彩羽雄飛という男は

仲間の下へと帰っていった

 

 

 

3か月後──

 

平和になった町の一角

道端に人だかりができていた

 

その中には・・・

 

ギターをかき鳴らし

とてもいい音色を流す、一人の青年の姿があった

 

聞いていく人の耳を魅了する音色が

通行人の足を止め、大きな人だかりを作る

 

そんな中で、青年は気持ちよさそうにギターを弾く

 

だが、そんな中

彼の目の前に、2人の男の姿があったことで

彼は、一度その路上ライブをお開きにすることを決めた

 

 

「いやー久しぶりだな!太田さん、博士!!」

 

水を飲みながら、楽しそうに話す翔に

太田は、一通の封筒を渡す

 

「裁判結果が出たよ」

「無事、日暮は終身刑だ」

「そっか・・・太田さんも頑張ったもんな」

 

あの戦いの後、捕まった

サン・・・日暮は取り調べの後

しっかりと法の下、裁判にかけられた

 

太田さんの尽力により、過去の放火事件とも無事紐づけられ

結果は有罪、実刑判決を勝ち取った

 

「しかし──見なくて良かったのか?」

 

親友たちの敵の裁判である

彼もその目で見る権利もあったはずだ

 

「良いんです、結果は分かってたし」

 

しかし、翔はそれを辞退した

彼にとって、あの時の敵討ちはしっかりと自分の手で掴み取っていた

 

「それに、そんな暇があったら

 もっとギターの腕磨けって・・・あいつらも起こりますよ」

「そうか・・・これからはどうするんだ?」

 

「勿論!!世界一のシンガーソングライター!!ってね」

 

「・・・ああ・・そうか」

 

ギタリストにしないか

そう、太田と音石にはいうことができなかった

 

 

「はい、大木です」

 

「えっ!?例の脚本・・・?

 ええーまぁー順調ですよーはい。」

「はい、はい・・・えっ3日後にすり合わせ?

 ・・・ああはい、オッケーです。」

「それじゃ」

 

受話器を置いた大木は

のんびりと、窓の外の景色を眺めた

 

「・・・オオキ、書いてないのか?」

 

しかし、話の流れから

そして、目の前にいる男の様子から

それを理解したラストは

それに気づいていた

 

──これは、現実逃避である

 

「うん、忘れてた」

 

涙を流しながら、窓の外を眺める大木

そんな、男にため息を吐きながら

ラストは原稿用紙に何かを書き連ねていく

 

「こうしちゃいられない

 いまから外に飛び出してネタの発掘だ!!」

「ラスト!!ついてきたまえ!!

 ()()としての大仕事だぞう!!」

 

張り切りながら、外に飛び出した大木に

弟子兼助手であるラストは

呆れたように、けれどどこか楽しそうに

 

出かけていくのであった

 

 

喫茶テアトロ──

 

「いやー、この店も寂しくなったねぇ」

 

浩司が間延びした声でそう呟く

3か月前までは席が足らない程の人がいたのも

今ではたったの4人である

 

「まぁ、みんな元気にやってるようだし

 また、いつでも集まれるだろうさ」

 

フロアの掃除をしながら

大吾がそう返す

 

「そういえば、雄飛君は?

 今日非番だっけ?」

 

「ああ、彼なら

 これに──」

 

そう言いながら、浩司が広げたのは

 

"舞台戦隊 アクトファイブ オーディション開催"

 

と書かれた

一枚のプリント

 

「オーディションか・・・これで決まっちゃうと

 また寂しくなるね」

「確かに・・・」

 

ハッハッハ・・・と2人そろって笑い合う

 

その頭に

 

「何言ってんの」

 

バシンと、お盆が突き刺さった

 

「痛い!」「あ、杏奈・・・!」

 

「叔父さんもお父さんも無駄口叩いてないで

 早く開店準備!!」

 

「いやーしかし、雄飛君が抜けることも考えるのは

 必要だと思うけど・・・?」

 

そう言う浩司の言葉に杏奈は

 

「何言ってんの

 ──どうせ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

呆れかえったように

けれど楽しそうにそう言うのであった

 

 

 

 

"うぇぇぇぇん!!"

 

道端で、一つの泣き声が響いていた

放っていたのは小さな子供

迷子だろうか、怪我したのだろうか

 

どちらにしても、その子は

心細いように泣いていた

 

「大丈夫?」

 

そんな子供に、一人駆け寄る影があった

穏やかに、優しく男は語り掛ける

 

どうやら迷子の様だ

 

「そっかそっか」

 

男は、その手を取って

明るく、そして何も心配はいらないと言わんばかりに

胸を張ってこう言った

 

「でも大丈夫

 お兄さんにまっかせなさい!!」

 

心細い、少年にとって

その姿はまるで

 

輝けるような、ヒーローの様だった

 

 

おしまい

 




ご愛読、ありがとうございました。
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