「ここか…」
マップを頭に突っ込んでから数分、階下に続くであろう階段…というよりは凸凹した坂道といった方が正しい、そんな入り口の目の前に着いた。
坂の先は、今あるフロアと違って淡く光っている鉱石はなく、真っ暗闇が続き、不気味な雰囲気を醸し出していた。
まぁ、この程度で怖気付く雷帝様ではない。
なんの躊躇いもなく暗闇の中へと踏み込んでいった。
降りた階層はとにかく暗かった。
地下に作られた迷宮であるのだから当たり前ではあるのだが、先程までいた階層では、薄っすらと光る鉱石が存在しており、先を視認できないほどではなかった。
だが、どうやらこの階層はその鉱石が存在していないらしい。まぁ、見えなくとも頭に叩き込んだマップに、気配をいつでも察知できるようそれなりに警戒はしてる、気配も絶っているし直に視認されない限りは問題ないだろう。
そもそも、こんな真っ暗闇でなんらかの光源を持っていたら恰好の的もいいとこだ。
頭のマップを頼りに暗闇の中をしばらく進むと、通路の奥で何かがギラリと光る。
マップにも何かしらがいると反応あり、気配もする…
警戒しながら進むと、何かも移動し始めた様子。
気配は段々と近づき、その気配が横についた瞬間…ドゴォン!という音をたてながら男の拳が迷宮の壁に叩きつけられた。
叩きつけられた場所には、拳により肉体を貫通させられた体長2メートル程の金眼の灰色のトカゲが絶命していた。
「うわ、竜人と違ってこう、人型じゃないのがデカイとなんかアレだな…」
そう言いながら、ベチャッという音を出しながら拳を引き抜き、拳についた血などを落とす。
結構な勢いで壁を殴りつけたため、迷宮内にそれなりの音が響いた筈だ、その証拠にここに向かって来てる魔物が何体かいる。
もたもたしてるとまたエンカウントだ、そう思いさっさと階下に続く階段の場所へ急いで移動を開始した。
暗闇の中を警戒しながら移動すること数時間、意外と広いせいか階段の場所に着くのにかなり歩いた気がする。
善は急げ、目的の場所に着いたならさっさと降りる、男は躊躇うことなく次の階層へ降りていった。
「これは…」
次の階層に着くと、地面はどこもかしこもタールのように粘着く液体が垂れ落ち、地面は泥沼のようになっている場所だった。足を取られので凄まじく動きにくい。しかも、このタール沼を泳ぎ回ってる存在がいるため、移動をさらにめんどくさくしている。
男は顔をしかめながら、ビチャビチャと音を立てタール沼を進んでいった。
しばらく進み、次の階層へと続く階段前まで到着した。無駄なエンカウントを避けたため、かなり時間をかけてしまった。
次の階層へ進もうとしたその瞬間…背後から何かが男に襲いかかる。気を緩めたつもりはなかったが、気配に気づくことができなかった。
だが、男はすぐに身を屈めたため、何から頭上を通り過ぎそのままタールのない階段の方へとすっ飛んでいった。それに続く形で男は階段を降りていくと、途中でさっきの何かがびちびちと跳ねていた。
「サメ…タールの中を泳ぐサメか…このままにしとくのもなんか可哀想だしな」
そう言いながら男は、サメの尾を掴んではそのまま上の階層の方に思い切りぶん投げた。
数秒後、ドボンという音が聞こえ、どうやら無事にタールの中に落とせたようだ。それを確認するや否や、男は階段を急いで降りていった。
ちなみに電撃バチバチにしたフロアの魔物は数分後には多分復活してる筈なのでハジメさんは予定通り中二病に進化すると思う、知らんけど。