ありふれない雷帝は異世界では最強です   作:外の神様

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シャンチーを観たので初投稿です。


雷帝と奈落の終わり

 エセアルラウネと恐竜ワールドの階層を移動してから随分経った。現在男は奈落の迷宮、最初の階層から九十九層目。男は次の階層へ続く階段の前にいた。

 

「いよいよ次で百層か、何も反応がないが…迷宮の最後なんだ、警戒はした方がいいだろうな」

 

 男はそう呟き、最後の階層へと降りていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 長い螺旋階段を下り、男は最終層である百層目に到着する。その階層は、無数の強大な柱に支えられた広大な空間だった。直径五メートルはある柱が規則正しく一定間隔で並んでいる。柱には螺旋模様と木の蔓が巻きついたような彫刻が彫られており、空間そのものが一種の芸術作品のようだ。

 男が足を踏み入れると、全ての柱が淡く輝き始める。柱は男を起点に奥の方へと順次輝いていく。

 

 柱は淡く輝くだけでとくになにもおこらず、男はどんどん奥へと歩みを進める。二百メートル程度進むと行き止まり…ではなく、全長十メートルはある巨大な両開きの扉が有り、これまた美しい彫刻が彫られている。特に、七角形の頂点に描かれた何らかの文様が印象的だ。

 

「この扉の先が迷宮のゴールって感じだな」

 

 男が最後の柱の間を越えた瞬間、扉と男の間三十メートル程の空間に巨大な魔法陣が現れた。赤黒い光を放ち、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。

 

「何も起こらないはずないよな…この大きさ、ボスのお出ましか」

 

 魔法陣はより一層輝くと遂に弾けるように光を放った。光が収まった時、そこに現れたのは……

 体長三十メートル、六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の魔物。例えるなら、神話に出てくる怪物ヒュドラだが…ちと首が足りん。

 

 

「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」

 

 不思議な音色の絶叫をあげながら六対の眼光が侵入者である男を射貫く。身の程知らずな侵入者に裁きを与えようというのか、常人ならそれだけで心臓を止めてしまうかもしれない壮絶な殺気が男に叩きつけられるが、男は平然と流す。

 

(雷神とあのオカマ並の殺気を放つ奴がいるわけねぇか)

 

 同時に赤い紋様が刻まれた頭がガパッと口を開き火炎放射を放った。それはもう炎の壁というに相応しい規模である。

 

 だが、男はその場を動かずにそのまま炎に呑まれる。そこに間髪いれずに青い紋様と緑の紋様が刻まれた頭が氷の散弾と風刃を打ち込む。これ程の攻撃を受けた男はひとたまりも無いだろう…が、攻撃が止み、土煙が晴れるとそこには、火傷どころか傷一つ負っていない男が立っていた。

 

「ま、こんなもんか…今度はこっちの番だな」

 

 男はそういうと、手刀の形で構えたと同時に、腕に紫色の稲妻が迸る。

 

「"紫電一閃"」

 

 男はその場を動かず、腕を無造作に払う。

 

「!?!!?!?」

 

 何が起こったのかとヒュドラは困惑した、超スピードやそんなものではない…ましてや時を止められた訳でもない。それなのに目の前の男がその場で腕を振るっただけで全ての首が落とされたのだ。

 

「元がヒュドラだ、まだ首があるんだろうが…復活されると面倒だ」

 

 男はそう言うと、首を全て落とされ動かなくなったヒュドラの胴体に、容赦なく極大の雷を叩き込む。雷を受けたヒュドラの胴体は元からそこになかったかのように跡形もなく消滅した。残ったのは雷が落ち、焼け焦げた床だけだった。

 ヒュドラが完全に消滅すると、巨大な扉がゆっくりとひとりでに開き始めた。扉の奥には何もいないことは確認済みなため、男は扉の奥へ進んでいった。

 中は広大な空間に住み心地の良さそうな住居が広がっていた。

 

「まさか、迷宮のゴールが誰かの住処とはな…とりあえずお邪魔するか」

 

 男はそう呟きながら探索を始めた。

 

 その後、ある程度の探索を終え、男は岩壁をそのまま加工したような住居内に歩を進めた。内部は高級ホテルのような設備をしており大変驚かされた。三階建てらしく、二階には書斎や工房らしき部屋があったがどうやら何か条件があるらしく開かなかった。そして、三階は一部屋のみとなっており男は、三階の奥の部屋の扉を開けると、謎の魔法陣とその奥には豪奢な椅子に座った服を着た骸骨が目に入る。男が部屋に入り、魔法陣の中央に辿り着いた瞬間、カッと純白の光が爆ぜ部屋を真っ白に染め上げる。

 

「なんの光ぃ!?っとネタが古いか」

 

 そんなことを呟きながら男は目を細める。やがて光が収まると、骸骨と同じ服を着た青年が立っていた。

 

【試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスカー・オルクス。この迷宮を創った者だ。反逆者と言えばわかるかな?】

 

 話し始めた彼はオスカー・オルクスというらしい。どうやらこの地下迷宮の創造者のようだ。反逆者、というのはどう言った者なのかはわからないが、何かに対して反逆していたのだろう。

 

【ああ、質問や愚痴は許して欲しい。これはただの記録映像のようなものでね、生憎君の質問には答えられない。だが、この場所にたどり着いた者に世界の真実を知る者として、我々が何のために戦ったのか……メッセージを残したくてね。このような形を取らせてもらった。どうか聞いて欲しい。……我々は反逆者であって反逆者ではないということを】

 

 このオスカーは話した、この世界では他種族同士での戦争が起こっており、その戦争は初めから神の遊戯として作られたもので、反逆者達はその神を殺し、世界を解放せんと立ち上がったとのこと。

 だが反逆を知った神の策略により目論みは破綻してしまう。神は何も知らない人々を煽動し、彼等は反逆者として世界を破滅に導かんとする神敵として追い詰められた。

 最後まで残った七人の反逆者…いや、解放者はもはや自分達では神を討つことはできないと判断した。そして、バラバラに大陸の果てに迷宮を創り潜伏することにしたのだと。

 そこに試練を用意し、それを突破した強者に自分達の力を譲り、いつの日か神の遊戯を終わらせる者が現れることを願って。

 

 長い話が終わり、オスカーは穏やかに微笑む。

 

【君が何者で何の目的でここにたどり着いたのかはわからない。君に神殺しを強要するつもりもない。ただ、知っておいて欲しかった。我々が何のために立ち上がったのか。……君に私の力を授ける。ここにあるもの全てを、どのように使うも君の自由だ。だが、願わくば悪しき心を満たすためには振るわないで欲しい。話は以上だ。聞いてくれてありがとう。君のこれからが自由な意志の下にあらんことを】

 

 そう話を締めくくり、オスカーの記録映像はスっと消えた。同時に、魔法陣内にいる男の脳裏に何かが侵入してくる。頭の中を覗かれているような感覚があり、男は嫌な表情をするが、それがとある魔法を刷り込んでいると理解はしているため大人しく待った。

 やがて、嫌な感覚と魔法陣の光は収まった。

 

「こう、直接頭の中に情報を突っ込まれるってのは変な感じだな」

 

 そんなことを呟きながら男は今後どうするかを考える。この世界に男が召喚されたのは間違いなくエヒトと呼ばれる邪神が関わっているだろうと、だからといってこの世界を救う義理もない。この世界が滅びたところで男の世界には一切影響がないのだから。と、男はこの時点ではそう思っていたが、このオスカー・オルクスの住処でとある物を見つけてしまいその考えを全て改めることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間は少し進み、男が三階の奥の部屋から出て、開かなかった書斎や工房をオルクスの指輪で開けていった。どうやら指輪は迷宮のボスを倒せば全員手に入れれるらしい。まぁ、そうしなければ後から来た者にその意志が伝わらないからな。当たり前である。

 書斎にはこの住居の施設設計図などを発見できた。設計図にはどこに何を作るのか、どのような構造にするのかということがメモのように綴つづられていた。どうやら地上への道はあの三階の部屋にある魔法陣が地上に施した魔法陣に直接繋がっているらしい。起動には指輪が必須らしく、迷宮を攻略した者であれば誰でも起動が可能だ。

 

 工房には、生前オスカーが作成したアーティファクトや素材類が保管されているらしい。

 ある程度設計図をチェックし終え、他の資料を漁っていると一冊の本を見つける。どうやらオスカーの手記のようだ。かつての仲間、特に中心の七人との何気ない日常について書かれたもののようだ。

 

 その内の一節に、他の六人の迷宮に関することも書かれていた。

 

「他の六人の迷宮か…帰る前に見て回るのも良さそうだな」

 

 手記によれば、オスカーと同様に六人の〝解放者〟達も迷宮の最深部で攻略者に神代魔法を教授する用意をしているようだ。

 しばらく書斎である程度資料を読み終わると、男は工房へと足を運んだ。工房には作りかけの物やほぼ完成品のようなものも散乱していた。

 そして、工房には小部屋が幾つもあり、その全てをオルクスの指輪で開くことができた。中には、様々な鉱石や見たこともない作業道具、理論書などが所狭しと保管されていた。

 

「ほーう、結構あるんだな…ん?あれは…」

 

 鉱石の中で異様な輝きを放つ何かを見つける。鉱石ではなく、何か武具などが砕け欠片となったような物だ。男はその欠片がなんなのか知っているようだった。

 

「マジかよ…なんでコレがこんな場所にあるんだ…」

 

 男は鉱石に紛れていた欠片を手に取った。

 

 神装器の欠片、一つ手にしただけでも世界をどうこうできるほどの力を秘めている。そんな物がなぜこんなところに…手記には欠片のことなど一切書かれていなかった。だとすればここ最近この世界に飛来したことになる。欠片がもし、エヒトとかいう奴の手に渡れば…

 

「帰れない理由ができちまった…」

 

 男はそう呟くと欠片をどこからか出した小さな巾着袋にしまい、工房からまた書斎に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 書斎に戻った男は、またオスカーの手記を読みながら今後の方針を考えていた。

 欠片は何かしら強い力がある場所に引き寄せられる傾向がある、ならこの手記に書いてある他の迷宮にもここと同じく欠片が現れている可能性がある。が、男は迷宮の正確な場所を一切わかっていない上に、手記にも迷宮の名称だけでちゃんとした場所は書かれていなかった。

 

「他の資料を漁ってみたものの…迷宮の場所をちゃんと記した物はなしか…だが、方針は決まった、まずはここから出てどこか街を探して一時的な活動拠点の確保、そして他の迷宮を探し出し欠片を回収だな」

 

 今後の方針が決まり、男はとりあえず風呂に入ろうと書斎から出て行った。




ハジメさんはそろそろユエと出会ってる頃だと思う。
雷帝様の手にかかればヒュドラ程度はしゅんころでござる。奥の手である銀頭、出番なし。
ちなみに帰ろうと思えば速攻で帰れたけど迷宮攻略という魅力的なものに抗えない男の子なのである。


次回、多分外
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