少し長めに書きました。
━━━━日本━━━━
佑介「・・・はぁ・・・」
と小さなため息を吐きながら佑介は自分の家の鍵を開けて中に入る。
靴を脱ぎ、疲れきった体をソファに沈める。
佑介「・・・」
自分の首にかかっているドッグタグを弄りながら何やら考え込む。
佑介「・・・いつまで続くんだ・・・この戦いは・・・」
包帯だらけの手を見て言う。
なぜ佑介が戦っているのか、それは今現在世界を脅かしているテロ組織にあった。
それは、20年前、突如現れ、突如勢力を大きくしていった謎の武力勢力オリジンだ。元々は神を信仰しているだけの教団だったのだが、突如彼らは何かに駆られるように凶暴化していったのだ。その暴動は各地で起き、今回の任務もその暴徒を退治するための依頼だったのだ。
そんな戦いは佑介は8年にも及んで戦い抜いてきた。佑介だけじゃない。佑介と一緒に戦っていた望月正志と神楽坂空翔も同じだった。彼らはある人から意思を託され戦い抜いていたのだ。
『鷹川信介』 佑介実の父親であり、唯一の肉親。しかし、彼は数年前に戦死してしまい、佑介がその意思を受けづいだのだ。
佑介「・・・とりあえず、寝るか・・・」
ダランと腕を力ないように下げて目を閉じてしまう。そして、意識は深い深い闇へ溶けていった。
~次の日~
何も戦争だけをしているのが佑介じゃない。いつもの佑介はなんでも屋として生活金を稼いでいる。オリジンが現れてからいつ敵が現れるかわからないため、各国は銃許可証というものを所持していれば銃を持ち歩けるという法律もできた。
何せオリジンは神出鬼没。いつどこで爆弾テロがあってもおかしくない。政府も突然のことでは兵を出せない。自分の身は自分で守れということなのだろう。しかし、日本はそこまで物騒じゃないため、銃許可証を持っている者は銃が好きなだけの平和ボケか傭兵で、許可証を持たずに持っているのはヤクザやケチくさい強盗くらいだろう。もちろん許可証を持たずに所持していたらこれは逮捕ものだ。そのような輩がいては困るため、政府は銃所持のための試験をもさせている。
佑介「ああ。オリジンの動きも今は大人しい。体制を立て直すだろうし、当分は依頼は来ないと考えていいだろう」
コーヒーの入ったカップを片手に佑介は携帯を耳に当てて会話をする。
相手は佑介の戦友 正志だ。
正志『そうだな。久しぶりにのんびりできそうだ。依頼料も結構貰えたしな』
机の上にある茶封筒の中身を見ると、そこには日本円で万札の束が入っている。
佑介「金なんてどうでもいいが、確かに、最近ドタバタしすぎたな」
正志『どうだ?無人島にでも行ってバカンスとするか?ちょうど夏だしよ』
佑介「悪いが、俺は俺のすることがあるんでな」
正志『あ~・・・あのサークルの子か?』
佑介「まあな。あいつらに出会ってからロクなことがないぜ・・・」
正志『トラブルに愛されてるな。佑介は』
佑介「うるせえよ。じゃあな」
正志『おう。また今度な』
携帯のディスプレイを指で触り、画面を消す。
携帯をポケットに入れると頭をボリボリとかきながら銃弾や書類で散らかった机の上を片付ける。
手軽な朝食を作り、それを食べながら新聞に目を通す。そこには、アメリカがオリジンに大打撃を与えたものの、アメリカも打撃を受けたことが大きく取り上げられていた。
佑介「フン・・・」
新聞を投げ、朝食のパンを急いで食べ、食器を洗うとさっさと服を着替えて愛用の銃と刀を身に付けて家を出る。
鍵をかけると何時もより身軽な装備をガチャガチャ言わせながら、なんの宛もないようにブラブラと街を歩く。
時々目に付いた小物や珍しい物を見るために店に入り、その小物を買ったりする。
???「あっ!佑介だ」
と佑介の耳に聞きなれた声が入る。
佑介「蓮子・・・」
その人物は秘封倶楽部というオカルトサークルに所属している大学生 宇佐見蓮子だった。
佑介は本人には聞こえないくらいの声で「めんどくせえのに会ったぜ・・・」と小声で言う。
それもそのはず、何せその秘封倶楽部の活動拠点は佑介の家なのだから。しかも、本人に許可を取らずに蓮子が勝手に決めたのだ。佑介は実際迷惑に思っているものの、心の底では父親を亡くした虚しい気持ちが和らいで感謝している。
蓮子「こんなところで会うなんて奇遇だね。遠征に出てたって聞いたけど・・・」
佑介「ああ、昨日帰ったんだ。それより、お前だけか?メリーはどうしたんだ?」
佑介が口にしたメリーとは秘封倶楽部の一員である蓮子と同じ大学生。本名はマエリベリー・ハーンだが、言いにくいことからメリーと呼ばれることになったのだ。
そのメリーの姿が今はない。いつもは二人一緒であるから、佑介はおかしいと思ったのだ。
蓮子「メリーは今日来ないよ。暇だからこうして街に出たんだけど・・・何か面白いことない?」
佑介「(それを俺に言うのかよ・・・)」
などと心の中で突っ込みながら佑介は考える。
佑介「はっきり言ってねえよ。あったらこうして小物なんて買わねえよ」
その言葉が分かっていたのか、蓮子は「だろうね」と言う。
蓮子「あっ、これとかどう?最近ネットで知ったパワースポットなんだけど」
と蓮子は自分の携帯でそのパワースポットの載ったページを開いて佑介に見せる。
佑介「何だ?『神隠しの屋敷』?大きく古い屋敷があるのだが、一人で行くと神隠しに合う。しかし、二人や団体の場合、そのうちの一人に絶大な力を授けてくれる不思議な屋敷・・・嘘くせえな・・・しかも結構近い・・・ここから徒歩20分もかからねえんじゃねえか」
いかにも胡散臭い記事に佑介は眉間に皺を寄せて蓮子に言う。
心の中では「パワースポットじゃなくて心霊スポットじゃね?」と密かに思うのだった。
蓮子「いいじゃん。どうせ暇でしょ?」
佑介「まあ、『今』はな」
蓮子「じゃあ行こうよ」
そういうと、有無を言わせず蓮子は佑介の手を取る。
佑介「お、オイ!」
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そして、記事のマップを見ながら町外れの森の中にある人が長く使っていない草が生い茂っている一本道を通る。
それはまるでジャングルのようで、道を見失うとすぐに迷えるレベルだ。しかも所々にツルがあって前が見にくいのだ。
佑介は刀を手にしてツルを斬って落とす。
佑介「あ~チクショウ・・・結構疲れるじゃねえか・・・」
蓮子「うぅ~ん、ここら辺で合ってるハズなんだけどな~」
佑介「オイ、お前がさっきから指差してる場所、どう考えても森奥深くに向かってるようにしか見えねえんだが」
蓮子「き、気のせいだよぉ~やだな~佑ちゃんってばぁ~」
佑介「お前、もしかして・・・迷ったな」
図星なのか、その言葉を発した瞬間、蓮子はビクッと肩を震わせた。
しかし、蓮子はあれだこれだと言って何とか佑介をごまかそうとするも、既に遅かった。
佑介「ったく、こんな森の中に迷い込むなんてよぉ~・・・」
携帯を開いても画面の右上には圏外という言葉が付いている。
佑介「ったく、熊でも出たらどうする気だよ・・・武器刀と拳銃しか持ってねえぞ。マガジンもこれ一本だし・・・」
蓮子「だ、大丈夫だよ~。オリジンが出てくるわけじゃないんだから・・・」
佑介「わからねえぞぉ~。結構そのパワースポットとやらも奴らの隠れ家だったりしてな・・・」
蓮子「え?」
佑介「一人で行くと神隠しに合うとか言ってたな。それって、オリジンに関する『何か』を見て亡き者にされたってことじゃねえか?一人でこんな森に来られたら索敵なんかしにくいが、団体なら索敵しやすくてすぐに見つかる。な、辻褄は合うだろ?」
などと口にした瞬間、佑介は蓮子を見る。そこには、冗談を間に受けてガクガクと身体を震わせる蓮子がいた。
佑介は「さすがにやりすぎたな・・・」と言いながら蓮子の肩に手を置いて揺らしてみる。
佑介「おい、おい蓮子。大丈夫か?蓮子さぁ~ん」
ハッ!と気がついた蓮子は佑介の冗談を本気で間に受けたようで、涙目になりながら
蓮子「佑介!今すぐ帰ろう!すぐ帰ろう!!早く帰ろう!!」
と佑介の腕を引っ張ってすぐに帰ろうと後ろを向いて通った道をまた歩くことになった。
佑介「いいのか?行かなくて」
蓮子「い、いいんだよ!それよりさ、今日佑介の家でご飯食べに行っていい!!?」
早く話題を変えたいらしい。すごいタイミングで話をそらしだした。
それから二人はそのまま森を出て町に戻り、食材を買い自宅に帰宅した。途中用事を終わらせたメリーとも会い、一緒に佑介の家で食事をすることになった。
正志「へぇ~そんなところにそんなのあったんだ・・・」
空翔「噂で聞いた程度だけど、なんか佑介の言ったこと一理あるかもね」
佑介「んなわけあるかよ。俺の妄想だ。それよりなんでお前らここにいるんだ?」
正志「いやぁ~・・・やることねえし、久しぶりにお前の手料理でもいただこうと・・・」
空翔「ごめん佑介。僕も手伝うから許してくれない?」
佑介「お前らと飯するのなんか今に始まったことじゃねえだろ。空翔、ここはいいから皿取ってくれ。あっメリー、そこにある中華麺取って」
メリー「はい。これ?」
佑介「サンキュー」
手馴れた手つきで料理をする佑介。それを見ているどうやら冷やし中華を作っているらしい。といっても、ダシは普通にスーパーで売ってあるもので、麺も袋で売ってあるものだが、しかし、その付け合せである玉子は焦げ目を一つも付けず綺麗に作られており、プロ顔負けの素早さで作っていく。
盛り付けられた人数分の冷やし中華を一人暮らしにはデカすぎる机の上に置いて席に着く。
佑介「それじゃあ・・・」
一同は手を合わせて口を同時に開ける。
一同「いただきます」
そして、各々冷やし中華を口にする。
正志「おっ、いつもながら佑介の作る料理はうめえな。いい嫁さんになれんじゃね?」
空翔「正志、嫁じゃなくて、婿だよ・・・」
佑介「・・いつも思うが、こいつが銃許可証の試験合格したのがホント不思議だよ・・・」
空翔「そうだね。筆記はボロボロだったけど、実技は天才だからね。正志は」
メリー「確か、佑介はどっちも良かったんだっけ?」
空翔「うん。佑介は筆記も実技も全て完璧だったから。僕は筆記だけで、実技はあまり優れてなかったけど」
佑介「あれ?お前確か全て射抜いたって聞いたけど」
空翔「的の大きな胴体の部分しか撃てなかったよ。それに比べて佑介はすごいよね。すべての的の頭を射抜くなんて」
蓮子「へぇ~。佑介ってそんなに腕がいいんだ」
佑介「一定の角度に合わせて撃っただけだ。そこまで難しくないぜ?」
佑介の言う一定の角度とは、結構難しく角度や位置などを変えているものの、そこまで角度を変えているわけじゃない。近づけたり遠ざけているだけでそこまで角度を変えているわけではないのだ。しかし、それでも実技が難しいと言われているのは単なる目の錯覚を使っただけのトリックなのだ。
佑介「そういえば、蓮子お前銃許可証取るって言ってたな。結果はどうなかったわけ?」
サッと顔を背ける蓮子はそのまま麺をチュルチュルと麺をすする。
それを見てメリーは「あははっ・・・」と苦笑いをする。
蓮子「・・・落ちた・・・」
一同「・・・」
ここだけの話、蓮子は一ヶ月の間佑介に銃許可証を取るために模擬試験を何度かしてもらっているのだ。
銃許可証があるということはそれは一つの資格扱いになる。しかし、就職に影響があるかと言われたら微妙でもある。
なぜ蓮子がそんなものを欲しがるかというと、せっかく専門の佑介たちがいるからついでに教えてもらおうと思ったからだ。
佑介「・・・まあ、わかってたことだからいいんだけど・・・」
蓮子「わかっていたこと!?」
佑介「当たり前だろうが・・・一番反動が小さい銃を貸してやったのに的に当てるのが精一杯で、筆記に至ってはお前・・・」
ハァ・・・とため息をつく佑介。
佑介「大体、お前は傭兵になるわけじゃねえんだ。それだったら大学を出て他の資格を取った方がいいんじゃねえ?オリジンはここを攻める気はないらしいし」
メリー「そういえば、オリジンってどういう意味なの?」
空翔「色々意味はあるんだけど、ラテン語で『始まり』っていう意味だよ」
蓮子「それってどういう意味?」
佑介「確か、旗を掲げた時は『我々は新しく昇る太陽の光。我らは始まりの人類の太陽の子ら』とかなんとか言ってたな。おかしな話だよなぁ。自分らは邪神を信仰してるくせに太陽の子らってよ、意味分かんねえよ」
正志「アメリカが大打撃を与えたし、半年くらいまで動けめえよ」
佑介「そうだな・・・だが、戦いは続くだろうな・・・」
次回は少し短めにして、幻想郷の住人を出したいと思います。
次回をお楽しみに。