えっ?そんなことより続きかけ?
古来から旅をして来たものはどうやって寝る場所を確保してきたか、大まかに二つ。目的地の少し前にある村や町で宿を取ればいいだけのだ。そうすれば次の日の朝に出れば目的地に着くことが多い。
もう一つは単純。野宿だ。火を灯し、何もないところでひっそりと寝る。そして、次の町まで行くのだ。
今回の場合はその話の後者。
佑介はこの世界を甘く見ていた。妖怪の山を降りたまでは良かった。しかし、この世界には未知なる者たちが多く、佑介を見るなり悪戯をしでかす悪妖精。そして、人間を食する妖怪だ。それを相手していくとキリがない。相手をしていた結果、一日目は野宿をする羽目になった。
佑介「・・・」
ゆらゆらと揺らめく火を見つめながら佑介は無言で非常食を食べる。
野宿で一番怖いことは敵の夜襲。佑介も傭兵をしている時に幾度と無く夜襲にあったこともある。時には寝ている隙に喉元にナイフを突きつけられているなんてこともあった。そんなことがあれば野宿なんて早々寝れるものでもないし、寝ようと思っても寝れないものだ。
しかし、この世界で寝るとき、不思議にグッスリと睡眠を取ることが出来たのだ。目を覚ますと太陽の光が視界に入り、焚き火をしていた跡が黒々と残っている。
急いで人里に行きたい。それだけの思いで佑介は足を急がせた。
~人里~
ここは人里。この幻想郷で一番人間が多い場所である。妖怪なんてものは滅多に見かけない。町というよりか大きな村みたいなものだ。流石にみんな佑介のような格好が珍しいらしい。佑介が通るとジロジロと見る。
そして、佑介はそんな中で手帳に書いたオリジンのマークを人里の人たちに見せて何か情報を持っていないか訪ねるが、「さあ、知らないなぁ」「初めて見たよ」という人が大半だ。
民A「さあねえ、見たことないよ」
佑介「そうか・・・」
民A「悪いな兄ちゃん。力になれんで」
佑介「いや、ありがとう」
と言い、またしても有益な情報は入ってこなかった。
佑介「(これだけ人がいれば、それだけ情報が集まると思ったんだが・・・)」
腕時計に視線を落とすと、短い針が1時を指している。昼だ。
丁度お腹が鳴り出した佑介は目の前の蕎麦屋で一杯蕎麦を食べることにした。
店の中は昼時ということもあり、客が多く、空いてる席を一つだけ見つける。
店主「いらっしゃい」
佑介「店主。こんなマーク見なかったか?」
食事をする前に手帳に書いているオリジンマークを蕎麦屋の店主に見せる。
店主「さあ、見たことねえなそんなマーク」
佑介「そうか・・・ざる蕎麦一つ。二人前で」
店長「へいっ!」
いい返事をした店主は早速佑介が注文した蕎麦を作りに入る。
待っている間に佑介は銃の弾薬を数える。
持っているのは今持っている佑介の愛銃『オーガ』と『ファルコン』に使う9mmパラベラム弾と今回佑介の背中に背負っているレミントンM870MCSいわゆるショットガンの弾12ゲージ弾を数える。
それぞれ9mmはマガジン数本分。一方の12ゲージ弾は40発以上持っている。そしてもう一つ、八雲紫からもらった弾幕用銃弾。マガジンに入っている魔法石が壊れない限り撃ち続けれる代物だ。これではまるで戦争しに来たように見えるが、それは違う。佑介は戦争に来たのではなく、賊の討伐に来たのだ。
荷物をリュックに入れていくと、丁度佑介が頼んだざる蕎麦が来た。
割り箸を取り、パチッと丁度真ん中から箸を割り、蕎麦を少し箸でつまみ、つゆに少しつけてそのままズズッと吸い上げる。
佑介「うめえ」
つゆが入った器の端っこに付け合せのわさびを付けてそれを蕎麦と一緒にかきこむ。
佑介「おっ、これまたいいわさびで」
などと言いながら蕎麦を黙々と食べていく佑介。
???「隣、いいですか?」
佑介「ん?ああ、いいですよ」
佑介の隣に座った女性。綺麗な銀髪ショート、おさげに小さなリボンを両サイドにしており、頭の上にはメイドキャップらしきものを付け、メイド服に身を包んだ女性。腰には鎖で繋がれた懐中時計。そして太ももにはナイフを収めるホルスターが付いていた。
女性は佑介の背負っていたショットガンを見る。
???「あなた、外来人ね」
佑介「そうだけど?」
ズズズズッと最後の一口。ゴクンと飲み込み、お冷を飲み、口の中をさっぱりさせる。
佑介「外来人っていうのはそんなに珍しい訳?」
???「いえ、そういうわけじゃないんだけど・・・」
先ほど注文したのであろう、店主が女性の前にかけ蕎麦を出す。
佑介「すまんな。俺は急いでんでこれで・・・。店主、勘定ここに置いとくよ」
さっきまで佑介が座っていたところの机の上にお金を置いて店の中を出る佑介。
外に出ると夏の太陽の熱気が襲ってくる。
佑介「あつぅ~・・・」
それからいろんな所でオリジンのことを聴きまくったが、何一つ有益な情報は出てこなかった。辺りは既に日が落ち、辺りは暗くなる。
町中から灯される小さな火の光で辺りが照らされる程度だ。
佑介「ハァ・・・何一ついい情報が手に入らなかった・・・」
紫「敵も馬鹿じゃないってことでしょ」
佑介「うわあ!!?」
いきなり横に現れたのは佑介の母八雲紫。
驚いてしまい、尻餅をつく佑介。
紫「失礼しちゃうわね。母親に向かって「うわあ!!?」って」
佑介「いきなり現れたら誰だって驚くわ!もう少し普通に登場できないのかよ!?」
タバコをふかしながら佑介は紫の横に並ぶ。
紫「で、どう」
佑介「全然ダメだ・・・オリジンのオの字も出てこねえ・・・ある程度だったらここで情報が入ると思ったんだが・・・空振りみたいだ・・・フゥ~・・・」
白い煙を口から吐き、灰をポケット灰皿に入れる。
佑介「無駄足だったか・・・」
吸殻を灰皿の中に入れてその場を立つ。
もうすでに日は沈んでいる。となるともう今日は情報は集まらないことは明白だ。じゃあこれからやる行動、それは宿探しだ。
こんな大きな町だ、宿場の一つや二つあるだろうと考え、佑介は紫と別れて宿場を探すことにした。
と言っても、佑介はこの町に初めて来。町の形を一日で覚えれるわけない。
宿探し5分で途方にくれてしまう佑介。
???「あら、さっきぶりかしら?」
佑介「・・・うん?」
どこかで聞いた声が佑介の耳に入る。後ろを振り向くと、そこにいたのはメイド服を着た蕎麦屋で出会った女性だった。
佑介「・・・あんたは確か」
咲夜「自己紹介がまだだったわね・・・私は十六夜咲夜。紅魔館でメイド長をしているものよ」
スカートを少しつまみ、お辞儀をする女性。恐らく佑介より年下だ。それなのに落ち着いていて、それでいて可憐だと思っていしまう。
佑介「俺は鷹川佑介。君たちのところで言う外来人だ」
咲夜「そうですか・・・それでは、あって間もありませんが・・・あなたには死んでいただきます」
・・・は? と佑介は声に出ない思いが頭の中に駆け巡った。それもそのはずだ。なぜなら佑介の目の前には、銀色に輝くナイフが飛んできたのだから。
佑介「ッ!!?」
なんとか体の状態を後ろに反らすことによってナイフを避けることに成功する。
しかし、彼女が何をしたいのか佑介には分からない。ましてや佑介とこの咲夜という女性とは会ったばかり、命を狙われるようなことは一切していないのだ。
佑介「いきなり何しやがる!当たったらどうするんだ!」
咲夜「当てるためにやってるんじゃないの!!」
ジャンプして手にいっぱい持ったそのナイフを佑介に向かって放つ咲夜。
しかし、佑介は当たらないように避けていくが、なにぶん民家が多く、人に当たるのではないのか?と思ってしまう。
佑介は一旦体制を立て直すために走る。
咲夜「逃がさないわ!」
佑介「ハァ!ハァ!(ここまで来たらいいだろう!)」
全力疾走で走る佑介。何とか町からそれなりと離れてきびつを返して刀を手にして鞘から抜く。
咲夜「やっと止まったのね・・・」
全力疾走で走っていたのにも関わらず息を切らすどころか汗一つかいていない咲夜。
佑介「全く、戦場で走り回ってる俺に追いつくなんざ、並みの人間じゃねえな・・・ましてやメイドに劣るとは・・・ホントにメイドか?」
咲夜「メイドよ。間違いなくね」
しかし、普通のメイドでもないのも確か、その全身からにじみ出るような殺気か殺意に似たオーラ。只者ではないことは確かである。
だが、佑介もここで殺される訳にはいかない。その為には、彼女を気絶させて情報を聞き出すしかないのだ。
刀をカチャッと構える。
佑介「行くぞ・・・」
間を広めてナイフを投げられると厄介だと思った佑介は咲夜との間を縮めようと一気に突進する。
しかし、距離を置こうと咲夜は後ろにバックステップをしながらナイフを投げてくる。
佑介「・・・ッ?」
走りながら刀を振るい、ナイフを落とす。
佑介「(見える・・・ナイフがスローモーションのようにはっきり見える・・・!)
ギン!ギン!
ナイフを弾きながら佑介は確実に咲夜に近づく。ついに文字通り目と花の先まで追い詰める。
佑介「オラァ!!」
振りかぶった刀を逆刃にして咲夜に向かって振り下ろす。しかし、
佑介「なにっ!?」
咲夜は目の前には居なかった。いや、いなかったというよりいなくなった。消えたのだ。
再び刀を構え直して辺りを見渡す。
佑介「クソッ・・・!どこに・・・」
月夜が照らす道に一人だけいる佑介。はたして、佑介はこの戦いに勝てるのだろうか?
今回は紅魔館の完璧で瀟洒なメイドさん咲夜さんとの戦いですね。
佑介に取っては幻想郷での初めての一騎打ちですね。
次回は期末テストがあるので遅れそうです。まあ、いつものことなので気長に待ってくれたら幸いです。