No Step Back   作:紅茶係騎C

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Ep.0-2 いつもの戦場 後編

交戦開始から一時間。戦隊は三機の損害を出しつつも善戦。

市街地特有の遮蔽の多さを利用し、反撃される前に陣地転換を行うことを徹底、圧倒的なまでの戦力差を前にしてなお、遅滞戦闘を成立させていた。

しかし、近接猟兵型(グラウヴォルフ)戦車型(レーヴェ)を全て失った第三波の残余が撤退行動に移った時点から戦況が変化。

撤退に呼応するかのように、戦域全体に降り注いだ長距離砲兵型(スコルピオン)の155mm榴弾が第四小隊及び第六小隊を直撃。戦隊が一度に五機の損害を出したところに戦車型(レーヴェ)を含む大隊規模の第四波が突撃してきたことによって、前線が崩壊した。

そこからは皆、生き残るために必死だった。

 

《Bandit : 1045》

《Alpha 04 : Lost》

《Friendly Signal : 14》

 

『第五小隊!近接猟兵型(グラウヴォルフ)の浸透を許すな!ここで殲────』

 

『──ッ!エコー・リード戦死!エコー・ツー!お前が指揮を執れ!』

 

《Bandit : 781》

《Bravo 03/Echo 01 : Lost》

《Friendly Signal : 12》

 

『デルタ・リードより...戦隊各位......私はここまでだ.........っ先に───』

 

『嫌っ!死にたくないっ────』

 

《Bandit : 617》

《Delta 01/Charlie 02/Foxtrot 02 : Lost》

《Friendly Signal : 9》

 

『ブラボー・リードよりエクスターミネーター。これ以上は持たねえぞ!どうするよ戦隊長!』

 

敵の数は確実に減らしているが、ブラボー・リードの言う通り、このまま防御だけを続けた先に待っているのは全滅だ。誰か一人でも生き残るには、敵の指揮官を討ち取る他はない。

幸い、指揮官の位置は捕捉している。

 

「南東1500丘陵上に重戦車型(ディノザウリア)が居る。おそらく羊飼いだ」

 

『そいつを倒せば終わりだな』

 

「志願者のみで吶喊する。残る者は後退しつつ戦線を維持」

 

生存の望みが薄い吶喊に残った中で何人がついてくるか、少し不安を覚える。

 

《Bandit : 409》

《Bravo 04/Charlie 03/Foxtrot 04 : Lost》

《Friendly Signal : 6》

 

『敵陣ど真ん中に突っ込むなら露払いが要るでしょ?あたしもついていくわ』

 

『どのみちそれしかないんでしょ?』

 

『おいおい、敵の攻勢のど真ん中に置いてけぼりは御免だぜ』

 

重戦車型(ディノザウリア)...57mmでは戦車型(レーヴェ)仕留めるのも一苦労だが......殺ったら最高の気分だろうな』

 

『戦隊長、皆あんたについてくってよ』

 

生き残った戦隊員全員がついてくるつもりらしい。

これでは前線の突破を許してしまうことになるが、もとよりこちらの指揮官からの命令は敵の撃滅だ。

 

「戦隊全機聞け!これより残存戦力による吶喊を行う。目標は前方1500に位置する重戦車型(ディノザウリア)。おそらく指揮官機だ。誰かがこいつを仕留めれば生き残れる」

 

捕捉しているレギオンの残存戦力は397機、重戦車型(ディノザウリア)までたどり着くには少なくとも300以上のレギオンをかき分けて進む必要がある。

何機がたどり着けるかなど、考えたくもなかった。

半数の援護射撃と共に吶喊を開始。

戦車型(レーヴェ)の砲撃を直撃寸前で回避し、近接猟兵型(グラウヴォルフ)の横をすり抜け、斥候型(アーマイゼ)を切り裂いて、やっとの思いで重戦車型(ディノザウリア)へ肉薄する。

突破に要した時間は120秒に満たなかったが、その間に二機が撃破された。

戦隊に残された戦力は僅か四機。

対する重戦車型(ディノザウリア)は二機の近接猟兵型(グラウヴォルフ)を伴い、自身もこちらの主砲とは比べ物にならないほど強力な155mm砲に加えて、砲塔上部の独立した二基の旋回式銃塔(ターレット)に12.7mm機銃を装備している。

ここまで来ても戦力の差は絶望的だった。

近接猟兵型(グラウヴォルフ)二機の撃破と引き換えにこちらは一機を失い、二機が弾切れに。

そしてたった今、僚機も57mmを撃ち尽くした。

自身の背後で隙を見せた機体を仕留めるため、重戦車型(ディノザウリア)が旋回。唯一の弱点である車体後部の排熱口をこちらへ晒したところへ、素早く57mmの照準を合わせ、後部排熱口へ砲弾を二発叩き込む。

《57mm Out of ammo》

唯一の弱点を撃ち抜かれた重戦車型(ディノザウリア)が断末魔のような音を立て、崩れ落ちた。

 

重戦車型(ディノザウリア)撃破。残存機は散開して各個に後退せよ」

 

《Bandit : 317》

《Friendly Signal : 3》

 

戦場に夜明けが訪れる。

東の空からは太陽がゆっくりと顔を出し、戦場に残された敵味方の残骸を照らし出す。

稼働限界を迎えた阻電攪乱型(アインタークスフリーゲ)が、朝日を反射しながら地上へと舞い落ちていく。

夜明けまで戦場に残っていたレギオンは一斉に撤退を開始。

戦隊は十九機の損害を出しながらも戦線の維持に成功した。

 

『ハンドラー・ワンより第一戦隊全機へ、任務の達成を確認。帰投せよ』

 

大きくため息をつき、装甲キャノピーを開放する。

まだ少し肌寒い春先の風が、戦場の香りを運んできた。機械の焼ける臭いと硝煙の匂い、それに微かな血の香り。

眼前に広がるのはいつもの戦場。

無人機たちが殺し合う、戦死者0の戦場だ。

 

「エクスターミネーター了解」

 

最低限の応答を返し、無線機のヘッドセットを乱雑に放り捨てた。

ふと思い立ち、操縦席を離れ、瓦礫の上に立って空を見上げる。

阻電攪乱型(アインタークスフリーゲ)の去った空は雲一つなく、どこまでも青く透き通って見えた。

 




何とか週二で更新していけそうです。
ゆっくりと頑張りますので何卒、よろしくお願いします。
筆が進めば週一にしようかな……

そういえば、今期はロボットアニメが豊作ですね。
毎週水曜日が私の希望の灯だ!
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