鬼殺隊と怪人を倒す者   作:托生

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お久しぶりです。忙しく投稿できませんでしたが、長い目で見ていただければ幸いです。


秘密

 翌日俺は和郎との約束通り、夕飯時にお邪魔することにした。

 それまでの間、他になにか無いか情報収集をするため、町をぶらぶらと歩いていた。

 歩いているだけでも、新聞や近所での噂話等々色々聞こえてくるもんだと、改めて感心する。

 やれ、車は将来的に皆が乗れるんじゃないか。やれ、最近死んだ人がミイラになる殺人があるらしい。

 やれ、米国の技術がすごいだとか、老人の行方不明事件だとか。

 噂話にすぎないやつも含めれば無数に情報らしいものが転がっていたりする。

 もちろん、この全てを信じるわけではないが。

 そこそこに歩いて、目に入った茶屋でお茶と串団子を頬張っていると、俺の相棒であるクワガタ(命名ゴーラム)が手紙を届けに来た。

 

《竜宮進一殿

 初の討伐おめでとう。さて、次はその町から北北西に向かって欲しい。その付近で、鬼の出没情報が出ているんだ。健闘を祈るよ。

                産屋敷より》

 

「まったく、一息つく暇もないな」

 

 苦笑いして、その手紙を懐にしまい、残りの串団子を食べはじめた。

 会計を済ませて、外に出ようとしたとき、ちょうど出入口付近で人とぶつかってしまい、相手が尻餅をついてしまった。

 

「おっと、すまない。怪我はないか?」

 

 そう声をかけ手をさしのべる。

 ぶつかった相手は、その手を取り立ち上がると埃を払いながら、答えた。

 

「いや、大丈夫。こちらの不注意さ。気にしないでくれ、すまなかったね」

 

 すると、遠くから声が聞こえる。

 

「佐藤警部補、こちらですよ!」

「今いくよ!」

 

 返答したサトウと名前の男はそのまま去っていた。

 内容から察するに、警察だろう。

 この時、日輪刀を宿においてきてよかったと安堵していた。

 すると、後ろから「やーねー」と女性の声が聞こえて、ビックリし一瞬体がビクッとなる。

 そんなことには気付かない、茶屋のおばちゃんが話を続ける。

 

「お客さん知ってるかい? 今日の朝方にまた殺人事件だって。警察もたまったもんじゃないだろうねぇ。なんて、同じ手口で何人も殺されてるらしいよ。老人の行方不明事件もあるってのに、困ったもんだよ。あーこわいこわい。お兄さんも殺されないように気を付けなよ」

 

 そういって、中に戻っていった。

 老人の行方不明事件は昨晩の討伐でもう失踪する人はいなくなるだろう。

 だが、それとは別の殺人事件、またもや、鬼関係なのか、それともそれ以外なのか、どちらにしろこの目で見ないことには判断ができない。

 そう結論付けると、先ほどぶつかってしまった男の後を追うことにした。

 追い付くと、そこには既に野次馬がいて俺はそこで道を阻まれてしまった。

 先ほどの警察の人に目を向けると、ちょうどロープを潜るところだった。

 

「佐藤警部補お待ちしておりました。こちらです」

 

 そんな声と共に、警察の人たちは事件現場である家屋に入っていった。

 俺は入っていった家屋に目を向けると、呆然とした。

 

「うそ……だろ……」

 

 俺の口から、そんな言葉がこぼれ出た。

 

 

 何かの夢だといってくれ。

 

 

 

 ただの悪夢だと。

 

 

 

 誰か俺にそう語りかけて欲しい。

 拳を力強く握りしめ、手から暖かい血が流れる。

 気がつけば、俺は膝から崩れ落ち涙を流していた。

 警察が入っていったのは、和郎がいるはずの定食屋だった。

 

 定食屋に今いる人物といったら、和郎以外いないはずなのだ。

 おじいさんとおばあさんは、和郎と俺で、埋めてしまったのだから。

 崩れ落ち、泣けば、周囲からは目立つ。

 回りの野次馬はそんな俺から離れ、気付けば俺の周囲だけ誰も人がいなかった。

 そんな状況だと、見張りの警察も声をかけざる得なかったのか、俺に声をかけてきた。

 

「どうした。坊主」

「ぐっ……ひっ……和郎は無事ですか……」

 

 もしかしたらと期待込めてそう聞いた。

「……坊主、ここの食堂の子と知り合いかい?」

「はい。今日の夜、俺のために飯を作ってくれる約束をしてました」

「そうか、少し待ってなさい」

 

 それから数十秒したうちに、佐藤警部補と呼ばれる男と共に戻ってきた。

 

「警部補、この少年が先ほどの」

「ああ、わかった、あとはまかせなさい。少年、さっきぶりだね」

「はい」

「和郎君に会いたいかい? どんな姿であっても」

「……お願いします」

「ついておいで」

 

 俺は佐藤警部補と呼ばれる男と共に定食屋の中に入った。

 出入口を潜ると中はハチャメチャに荒れていた。まるで誰かと争った後のようだった。

 そして、厨房の奥に横たわって布を顔に被せられている姿が見えた。

 

「手を合わせてやってくれ。君の言った通りなら、君が来るのを待っていたのだろう。料理の準備が進められていた形跡があるからね。そして、そんな中狙われたのだろう。室内を見る限り、最大限抵抗をしたけど…………すまんな、警察はこういうとき何もできず無力なんだ」

 

 俺はその間手を合わせ目をつぶっていた。

 

「警察が無力だなんて言わないでください。そんなこと無いですから」

 

 俺はそういいながら、和郎に被っていた布を少しずらすと、ミイラのように血だけが抜かれたような状況の死体であることにそこでようやく気付いた。

 よく観察すると、首筋に2本の穴が空いてあるだけで、それ以外に目だった外傷はないように見てとれた。

 俺はボソッと、

 

「鬼の仕業か?」

 

 と声をだしてしまったところ、佐藤警部補から、すごい形相で睨まれると、

 

「おい、坊主、今なんていった?」

 

 と質問されてしまった。

 正直鬼なんて話せば、狂っていると思われかねないと思った俺は、どうはぐらかそうか考えていると、

 

「ちょっと来い」

 

 真剣な顔でそう言われ、裏口外へと、2人で出ていった。

 

「坊主、もう一度聞くぞ、さっき何つった?」

「……えっと……その」

「いまここでしょっぴかれてえか?」

「……鬼の……仕業かと……」

 

 すると佐藤警部補は俺の胸ぐらを掴んだ。

 

「お前何者だ」

 

 俺が目線をそらしどう答えようか悩んでいると次の質問が来た。

 

「産屋敷という名前に聞き覚えは?」

 

 まさか警察からその名前が出てくるとは思っておらず目を見開く。

 すると掴んでいた手を離し、気づけば逆の手には、腹に拳銃が突きつけられていたらしくそれを仕舞うと、懐から煙草を取り出すし、火をつけ一服してから、口を開いた。

 

「お前、嘘がつけない性格だろ。表情でわかる。鬼のことは、上層部と俺みたいな一部のやつらしか知らない情報だ。そして、産屋敷の名前を聞いて目をかっぴらく。鬼殺隊か、違うか?」

 

 そんな推理をされるとこちらも否定できなくなる。

 俺は頷いた。

 また、煙草を吸い吐き出した佐藤警部補はため息を付く。

 

「はぁ、あのな、だったら分かりやすく隊服着てこい。じゃねえとわからねえだろ! 一般人の格好で鬼なんて呟くからこっちがびびっただろうが」

「えっと、すみません」

「わかりゃあ、いい。きいつけろ」

「…えっと、俺からも質問いいですか?」

 

 ちょうど煙草を吸い終わったところを見計らい俺は聞いた。

 なぜ、鬼や鬼殺隊、はたまた産屋敷家の事を知っているのかを。

 

「あぁ、そうかそう思うよな。まずは、警察の上の方はこの事について理解しているのを頭にいれておけ。そして、当たり前だが、俺ら警察は殺人やら行方不明やらを扱うよな? その中でも、人がやったと思えねえような手口のものがたまにある。それを解決もしくは解決できる場所に捜査の情報を流す部署がある。それが刑事部刑事6課特別捜査部、通称、怪異特別対策室って呼ばれるところだ。前段階で言った情報を流すって奴だが、今んところ、産屋敷家だけだけどな。まあ、そういうわけで、俺もそこそこにそういうのが詳しいんだよ。戦う術は無いがな」

「なるほど、警察にも実はそういうのがあったとは、驚きです」

「まあ、表向きは左遷された奴が行くってもっぱらの噂がある部署だし、秘密主義だし、鬼殺隊が別に俺らの事を知る必要もないからな」

「そうかもしれませんが……」

「坊主1人が、そんな顔すんな。光は当たらないが、普通の事件とは違くてそれはそれで面白いからいいんだよ。それに、産屋敷家には俺ら怪異特別対策室の全員が世話になってるしな。だからこそ、こっちの捜査情報をあっちにできるだけ詳しく、流してるんだが」

 

 そこで、ふと俺は気づいた。

 もしかしたら、俺のこの任務もこの人が情報を渡したんじゃないのかってことに。

 その事を質問すると、佐藤警部補は頷いた。

 

「俺が流した奴だな。なるほど坊主にあてがわれたのか。解決できたか?」

「はい……鬼の仕業でした」

「やっぱりか。ありがとう、解決してくれて」

「え?」

「え? じゃねえよ、坊主、いや坊主って言うのもよそう、名前は?」

「えっと、竜宮進一です」

「そうか、竜宮か。竜宮改めて、警察として、一個人として、礼を言う。民衆の平和を守ってくれたことに」

「あ、その、いえ……」

 

 何とも言えなかった。

 確かに、行方不明者があれ以上増えることはもうないだろう。

 一般人が平和に暮らせるだろう。

 だが、和郎の死を考えてしまい、どうしてもやるせない気持ちになってしまった。

 

「しょぼくれた顔するな。今回の事件は、ちぃと今までとは違うからな」

 

 そういうと、佐藤警部補は2本目の煙草を吸い始めた。

 煙草の先端がじりじりと紅くなり、煙を一気に吐き出すとこちらを向いて話し始める。

 

「今回の和郎くんの死、これは怪異と見て間違いない。だが、鬼と言う可能性は低いのが確かだ」

「なぜ?」

 

 疑問だ。

 和郎君が恨まれること事態あまり無いと思ってしまったし、あり得るとすれば、鬼殺隊の俺に対する報復ぐらいしか思い付かなかったからだ。

 

「鬼ってのは、死体を食べるだろ。もちろん、その血肉が食料になって、力をつけるからな。

だが、今回のこいつは、食べられてないんだよ。血が抜かれただけ。それじゃあ、西洋の吸血鬼だ。

だが、ここ日本の鬼は血だけなんて器用なことは今までの死体を見てきたが1体もいなかった。

それに、まあこっちが決め手なんだが、同じ手口の死体がここ数日で42体……、42体発見されている。

正直驚いてるよ。

鬼でもここまで大胆に大量殺人はしないし、死体の死亡推定時刻から、昼夜関係無しに襲われてる感じだ。

ここまで来れば、鬼以外の怪異がいるって想像つくだろ」

 

 全く嫌になるよと最後に締めくくり、煙草を吹かす。

 俺はふと、鬼以外の怪異について、あの怪人を思い出した。

 それを口にだそうと思ったが、不確定事項が多すぎること、またそんな現実を認めたくなかったことから口に出すのをやめた。

 

「あ、それからこれは俺からの助言だがな。こういう現場だったり刀もつときゃ、隊服着てろ。最悪しょっぴかれても、調べが俺らだったり、俺らがお前ら見たときゃ見逃がすためにも着ててくれ。こっちは、そっちの貴族の部員全員の顔を覚えてる訳じゃねえんだ」

「あ、はい」

「わかればいい」

 

 かくして、警察と知り合いになったわけだが、佐藤警部補ももう話すことがないのだろうか。

 2本目の煙草を吸い終わると、「戻るぞ」と声を俺にかけ、現場に戻った。

 2人でよく確認しても、やはり外傷は首筋の2本の穴だけであった。

 

「お、この映写機最新式か。なに、そんな簡単に撮れるのか!?」

「あ、あの、佐藤警部補俺そろそろ」

「ああ、竜宮わりいな、俺は機械系統には目がなくてな、そうか、戻るか。気いつけて帰れよ」

 

 こうして俺は、1日の情報量として処理しきれないくらいの出来事を胸にもう一晩泊まるため、宿へと戻った。




気づいたらお気に入り件数が30を越えててびびっています
こんな行き当たりばったり、駄文構成を読んでいただき本当に感謝しかありません。
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