鬼殺隊と怪人を倒す者   作:托生

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見覚え

 宿で、和郎が死んだことを思い出し泣いた。

 もう被害を出さなくするために、俺は次の任務へ向かうための準備をし、隊服を着て刀を腰に差し、出発の準備を整えていた。

 そして、お館様に手紙を書く。

 和郎の不自然な死に方のこと、警察と関わりを持ったこと、これから新しい任務地へと行くこと。

 全て書き終えると、指笛を鳴らし、ゴーラムを呼ぶ。

 最近覚えた芸だ。

 そんなことはどうでもいいが、こうしてゴーラムに書簡を渡すと、どこからそんな力があるのか、しっかりと足で挟み、ふらつくこと無く外へと飛び去った。

 さて、俺はまだ日も出ず、なんなら、丑三つ時でもなく、深夜の0時くらいだろうに、宿を出て、目的地に向かい、懐中電灯片手に夜道を歩いている。

 街灯も消え、完全に寝静まった夜。

 鼻歌を歌いながら優雅に歩いていた。

 

「しのぶやカナエ、悲鳴嶼さんなら、呼吸を使って素早く走るんだろうなぁ。呼吸どれも使えなかったなぁ」

 

 そう、実は俺は岩の呼吸以外にも、水と雷をやろうと少しだけ桑島さんと鱗滝さんに見てもらった時があったが、2人とも口を揃えてもっといい奴があるの一点張りだった。

 そんなどうでもいいことを考えながら歩を進めていると物陰が一瞬動いたような気がした。

 懐中電灯を当てて見てみてもなにもない。

 気のせいかと思いまた歩みを進めた。

 だが、気の緩んだその瞬間、俺は何者かに羽交い締めにされた。

 そして首元に鋭い痛みが走った。

 

「あがっっ」

 

 すぐに、相手の脇に肘鉄を食らわせるがびくともしない。

 次の行動を考え、手元の懐中電灯を相手の目に向けて光らせた。

 

「ギャッ」

 

 人間の声なのか分からないぐらいの声で相手は驚き、首もとの痛みはなくなり、力が緩んだところで俺はなんとか脱出した。

 振り返ると、何者かが走り去っていくのが見えた。

 俺は首元に手を当てると血が滲んでおり、2ヵ所穴のような傷を手で確認した。

 

「まさか!」

 

 走り去った方向を俺は追いかけた。

 夢中で追いかけていると気づいたら河川敷に出ていた。

 周囲を見渡すと人が1人立っていた。

 

(この時間に人が1人で立っているなんて怪しすぎないか?)

 

 俺は刀に手をかけて、いつでも抜ける準備をして、その人に話しかけた。

 

「もし、そこのお方、少し聞きたいことがあるんだが」

 

 懐中電灯を相手に向けながら話しかける。

 男はこちらを向くが、急に懐中電灯の光を浴びたことに驚き変な声を出した。

 

「ウギャッ」

「これは失敬、眩しかったですよね」

 

 そう言い、懐中電灯の明かりを切った。

 元々夜目には強いので、そのまま話を続ける。

 

「ビガラパ、ガビビンリント(貴様は、さっきの人間)」

「ん? あ、ごめんなさい、声が小さくて、実は人を追ってたんですが、この辺通ってないですか?」

「ゴンズブ、バスゾゾグパガン(その服、なるほど噂の)」

 

 話が通じてないのかと思い俺はその場を去ることにした。

 

「あ、いや、通ってないなら大丈夫です。申し訳無い、手間を取らせた」

 

 そう言って、俺はその場を後にするために下がる。

 

「ビゲスボバ? ビガグパベグバギザソ!! (逃げるのか? 逃がすわけがないだろ!!)」

 

 男はそう言うと、俺を指差しながらニヘラと笑った。

 

「その言語、お前怪人か!!」

「ゴセンダレビギベ(俺のために死ね)」

 

 男は手でよだれを拭う動作をすると姿が変わり、蝙蝠のような姿になった。

 

「っ!! お前は、あのときの!」

 

 俺が少し動揺を見せると、蝙蝠男は低空飛行でこちらに突っ込んでくる。

 それを左に回避する。

 

「ガベスバ!! ゴリグ! (避けるな!! ゴミが!)」

 

 もう一度突進してくる怪人に、俺は変身する隙がなく、刀を抜刀し切り抜く。

 

 

 ガギッ

 

 

 まるで金属にぶつけたかのような音が鳴った。

 

「ラダドグギセバ。ゴバジドグギセゼロ、ゴンバシンドンドグギセンゾググヅジョバダダゾ? (また棒切れか。同じ棒切れでも、女リントの棒切れの方が強かったぞ?)」

「手がピリピリする、どんだけ固いんだあいつの皮膚は」

「ギベ!! (死ね!!)」

 

 もう一度低空飛行からの突進をしてきたにのを、次は右に避ける。

 そして、刀を鞘に戻し、変身のためにベルト部分に両手をかざした。

 

「いくぞ! 変身!!」

 

 進一は、クウガへと変身した。

 

「クウガ! ゴグバ、ガバブバダダバ!! (クウガ! そうか、赤くなったか!!)」

 

 怪人は嬉しそうに口をにへらと歪ませると、先程よりも早いスピードで此方に向かってきた。

 

「同じ攻撃は通用しない!」

 

 突進攻撃を右に受け流し、その間に下から上に突き上げるように腹に拳をめり込ませる。

 

「グガァ!!」

 

 ドサッと倒れる音と共に、地面に転がり腹を押さえる怪人に向かって、足蹴りをお見舞いする。

 

「オラァ! オラァ!!」

 

 ドスドスと、押さえてる腹部を何度も何度も蹴り続けた。

 

「はぁはぁはぁ、お前のせいで!! 何の罪もない人たちが!! 和郎くんが!!!」

 

 腹部を蹴っていた俺の足を、いつの間にか持たれ、そのまま怪人は俺の足に噛みついた。

 

「いってぇ!!」

 

 そこで俺の攻撃が緩んでしまったのを皮切りに、怪人の反撃が始まった。

 起き上がる際に、俺の腹部に蹴りを入れ、数歩後ずさった俺に今度は顔面めがけて、何度も殴ってくる。

 俺はその攻撃をなんとか、腕でガードしながら守っている。

 

「ギギゾ! ギギゾォォ!! ラゲンクウガドパヂガグ! ガヅギグボロダダボヅギ! ボセボゴグボソギガギザ!! (いいぞ! いいぞぉぉ! 前のクウガとは違う! 殺意がこもった拳! これこそが殺しあいだ!!)」

 

 昂っている怪人は殴るのをやめると、ガードしていた俺の両腕を掴み勢いよく投げ飛ばした。

 俺は直ぐ受け身をとり、体勢を立て直す。

 これは何度も反復練習していた悲鳴嶼流武術の賜物だなと、関係ないことに感心してしまった。

 すると、先程まで俺が倒れていたところに大きな音がした。

 そこを見ると、土煙が上がっており怪人の後ろ姿が見えた。

 

「あいつ、どんな速度で突っ込んできたんだよ」

 

 砂埃が舞ってる中、怪人がまた襲ってくる。

 だが、通常の数十倍の感覚がある俺はその動きを察知して既に、受け流す準備をしていた。

 受け流されたことで背中ががら空きになったそこに、回し蹴りを食らわせた。

 

「ギャッッ!」

 

 顔面から地面に突っ込んだ怪人、俺はその隙に数歩後ろに下がる。

 

「ここで、決着つけさせてもらう!!」

 

 以前倒した敵と同様に、今回は足にエネルギーを貯めるようにした。

 すると、暖かい力が右足に集まってくる。

 

 

 ジ、ジジジ

 

 

 そのまま走り助走をつける。

 俺が一歩踏みしめる毎に、地面から煙が上がる。

 助走をつけて上に飛ぶ。

 ちょうど怪人は起き上がって俺のいた方向を見るもそこに既に俺の姿は無く、戸惑っている様子だった。

 

「クウガ、ゾボビギダダ!! (クウガ、どこに行った!!)」

 

 上に上がった俺は、右足を突きだし、飛び蹴りを食らわせた。

 

「おりゃぁぁああああああ!!!」

 

 蹴りは怪人の胸の部分にドスッと重い音を立てながら突き刺さった。

 その勢いで、後ろにのけ反り、倒れた怪人。

 その直後、蹴った部分が赤く光、何かの模様が出てくると、怪人の全体に亀裂が入った。

 

「ブゴ、ブゴブゴブゴブゴ!! ガドグボギザダダボビ、ジュスガンゾクウガーー!! (くそ、くそくそくそくそ!! あと少しだったのに、許さんぞクウガーー!!)」

 

 それを最後に体は爆散した。

 

「はぁはぁはぁ、やってやったぞ、和郎くんの仇……とったぞ」

 

 必殺の蹴りを食らわせ、爆散した姿を見たあと、俺はそう呟くように言ったのだった。

 だが、俺の胸には、ただ悲しみだけが残るだけだったのだ。

 どのくらいだろうか、放心状態だった俺だが、さっきの爆発で人が来たら俺の姿を説明できないことに気付き、直ぐに変身を解除し目的の町へと歩を進める事にした。

 

 

 

 それは人目につかないところ、河川敷を見ていたとある人物は、自分の煙草に火をつけ、煙草をふかした。

 

「あれが……なるほど……」

 

 

 

 

 あれから4日後、道中は特にこれといったこともなく順調に町へ向かっていた。

 増えたことと言えば、悲鳴嶼さんから、新しい修行で突きと蹴りの練習メニューが追加されたことぐらいだ。

 そんなことをボーッと考えながら歩いていると、目標の町に到着した。

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