鬼殺隊と怪人を倒す者 作:托生
2匹の鬼と目が合う、俺と杏寿郎。
俺も杏寿郎もそれはもはや癖なのか、刀に手を添えたと思うと、ほぼ同時に抜刀した。
「あ、あ、あ、あれ、姉ちゃんあいつら落ちて死んでねえ」
「なんで落ちてないんだい、妹」
「わ、わかんね、おかしいな印はしっかりつけたはずなのに、なんで死んでねえんだ」
俺の隣から、独特な呼吸音が聞こえる。
これが全集中の呼吸(常中)なのだろう。
炎の呼吸 壱の型 不知火
ドッっという音と共に鬼の頸めがけて動き出した杏寿郎。
それにつられて俺も動く。
「爆刃」
地面に足のめり込んだ跡がつく。
だが、俺の攻撃は急に地面が泥濘んだことにより勢いを失い、鬼の前に行く頃には何なんくかわされてしまうほどの速度になっていた。
「お、おばかですね、私は、砂を使う血鬼術、少し水分を足すことで泥も操れるんですよ」
そう言うと、飛び蹴りをしてきた。
避けようにも、足がぬかるんで動けない俺は、胴体にもろに食らい、ふっとばされる。
助骨を1,2本持っていかれたかもしれない。
杏寿郎は不知火を使用して突撃していったが、それも止められていた。
「血鬼術 一ノ刃」
ガリガリガリと金属同士の削られるような音が響いている。
「舐めるんじゃないよ、お坊ちゃん、あたしの血鬼術は刃を操るんだよ!! オラァ」
手を刃に変えている鬼は、乱舞の如き速度で杏寿郎を圧倒していく
「ぐっ、これしき!! 炎の呼吸「させないよ!」」
鬼は回し蹴りをし、杏寿郎の呼吸を使用させずにいる。
こちらが完全に防御しかできないでいる。
「妹今だよ!!」
杏寿郎を攻撃している鬼からの一言だ。
ハッとした顔になる鬼はすぐに満面の笑みを浮かべてうなずいた。
「は、はい、姉さん、シネ、鬼殺隊!血鬼術 蟻地獄」
すると、また杏寿郎の足元の中心から始まり、渦状に崩れ始める。
このままでは身動きが取れず砂で窒息死する。
もしくは這い上がろうものならもう一匹の鬼が杏寿郎を滅多刺しにしてしまう。
今の杏寿郎はそんな状況だ。
「させるかぁぁぁ!! 爆刃!」
痛みを誤魔化し、もう一度、砂を操っている鬼に向かう。
だが、足元が急にぬかるみ、勢いが落ちていく。
「クソ!!」
目でちらりと杏寿郎の方を見ると蟻地獄は綺麗に消えていた。
偶然だったが、彼女は砂の能力を1箇所にしか使用することができないらしい。
俺は咄嗟に防御姿勢になる。
それと同時に、両足蹴りが来た。
刀で防御したが、凄まじい力だ、腕はピリピリと痺れている。
「竜宮少年、ありがとう!!」
「なっ、妹ぉぉ!」
「はいぃ、血鬼術っ、大蟻地獄!!!」
先程と同様穴が渦状に開き、今度はそれがグルグルと回転してる。
「同じ技は食らわない」
炎の呼吸 弐の型 昇り炎天
刀を上方向にかちあげることで、自分自身も上空に舞い上がる。
確かに、足を地面から離せば蟻地獄からは回避できるが、このあとどうするのか。
「残念だったな、落ちたらすぐに私の刃のサビになるんだよ!! 血鬼術 最終ノ刃 針千本!」
鬼が口から血反吐を撒き散らすと、その周辺がすべて金属の針で埋め尽くされた。
もちろんその針は、杏寿郎を殺すために上に向いている。
俺は上を見る、すると杏寿郎は笑っているように見えた。
「案ずるな、炎の呼吸 伍ノ型 炎虎!!」
上空にいた杏寿郎はそのまま相手の鬼目掛けて、体の向きを変えると、技を出す。
そしてその方向は、今現在一番動揺している、砂の鬼に対してだ。
炎の虎が、食い尽くさんとするように襲いかかる。
「ちっ、妹!! 血鬼術 ニノ刃 大裁ちバサミ!!」
両手の刃をクロスさせハサミに見立てたそれは、なんとか杏寿郎の前に立つと、ギャリギャリギャリと歪な音を出しながら、片腕を切断され、そのまま妹の肩を切り裂いた。
「まさか邪魔されるとは、驚いた!!」
「がッ、あっ、腕がぁ……腕がァァ……あつい、あついぃぃ」
「姉さん!! 大丈「むっ、よそ見していいのか?」ぶっっ」
炎の呼吸 壱の型 不知火
ーザンッー
妹の頸はいとも簡単に切られた。
そう、煉獄杏寿郎という男によって。
そして、その頸は転がり、姉さんと呼ばれる鬼の前までたどり着いた。
「ね……え……さん……」
「あっ……あああ……うああああああああ!!!」
姉と呼ばれた鬼は手を鎌状に変えると、我武者羅に腕を振るい突っ込んでくる。
そして、その先には杏寿郎ではなく、俺がいた。
突っ込んでくる速度は早く、対処は俺がするしかない。
「竜宮少年、今助ける!!」
「コロスコロスコロス」
「大丈夫です、俺だって鬼殺隊ですから」
鬼の振り上げた鎌状の右手を、刀を持ち替え左手で持っている刀で防ぐ。
先程杏寿郎に切られた左腕も復活しており、左手を俺目掛けて振り下ろす。
それを素早く抜いた刀の鞘で防ぐ。
「お前も、すぐ、コロス」
「……成仏してくれ」
そう言うと、俺はさっきから握ってた鞘の紐が巻かれてる部分を強く握った。
ガンッ
金属が排出されるような音が響いた。
進一の刀の鞘の底から、鞘の長さより2,3cmばかり短い刃が出ていた。
まるで槍のように。
そしてそれは見事に鬼の脳天を貫き、鬼は一瞬体を震わせると、腕の力が抜けたのか、血鬼術の刃は普通の腕に戻り、だらりと脱力していた。
進一は、そのまま左手の刀で頸を刎ね、右手の鞘の刃に刺さった鬼の頭を振り払った。
「竜宮少年それは……」
「俺の刀鍛冶が作った秘密からくりの1つです、何でも圧を一定かけると刃が鞘の底から排出し短い槍になります。呼吸が使えないので、頭を使えってことです」
そういうと、2つを血振りして、鞘の紐をきつく引っ張るとシャンと音と共にもとの鞘に戻り、刀は普通に鞘に戻した。
気づけば2体とも灰となって消えていた。
任務の対象であった鬼を始末した2人は、杏寿郎の鴉を使い任務完了の報告をした。
鴉はすぐに帰ってきた。
「杏寿郎お館様がお呼びだ」
「ふむ! あい分かった、じゃあ俺は隠が来るまで村にでも戻るかな!!」
「そうか、そうすると杏寿郎さんともここでお別れか」
「ふむ、だが竜宮少年いや進一のおかげでこれで柱としてあと少しになった、礼を言わなければな」
「そうですか、杏寿郎さん……また会った時は、飯行きましょう」
「もちろんだとも!! またどこか出会おう達者でな!!」
「はい!」
そう言い残すと俺はいつの間にか来たゴーラムの掴んでいた指令書を見て、次の街の方面へ。
杏寿郎さんは先程の村へと戻る方面へと足を進めたのだ。
なんとなくもう一度手を振ろうと振り返り、さようならと言おうと声をかけようとした。
すると、杏寿郎さんの付近の木が一本だけ激しく動いた。
咄嗟に「避けろ! 杏寿郎!!」と叫ぶのとほぼ同時に、杏寿郎さんは動いた。
それは避ける動きではなく、受け流す動き。
炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり
腰を入れ、その未知を切断する勢いで振った刀はぶつかりはした。
だがそれだけだった。
逆にぶつかった反動を利用してその謎の物体は杏寿郎の後方10メートルほどまで下がった。
「ゴンズブ、ドググビンヅンビバスジャヅザソ、ゴセグドググビン、ボセパギギ!! (その服、二人分になるやつだろ、それが二人、これはいい!!)」
「何だこの鬼は!!」
するとまた鋭い謎の攻撃が杏寿郎にくる。
それを避け反撃するも刃は通ることもなく、皮膚に切り傷をつけるだけだった。
「進一!! すぐに逃げて柱を呼ぶのだ!! これは十二鬼月かもしれない!!」
その間も、激しい攻防が続いている。
「俺でも手に負えないのだ!! 早く!!」
そうして俺に心配をする杏寿郎、だがそれは俺が倒さなくてはいけない怪物でもある。
「杏寿郎さん、そいつは俺が倒さなくちゃいけな怪物だ、鬼でもなんでもないクソみたいな怪物なんだ」
「なに!?」
杏寿郎は相手の攻撃を避けると、2度のバックステップこちらに戻ってきた。
「まさか、これは父上が言っていた……いや、だが……」
「……杏寿郎さん、俺にここは任せてもらっていいですか」
「分かった! 任せるぞ!! 進一!!」
「はい!!」
腹部に手を添えることでベルトと霊石が出現する。
そして、片手を右側部分に手を添え、反対の手を右手前に付き出す。
その手を左にスライドさせる。
「任されたからには、俺はお前を倒す!! 変身!」
そうして、左にスライドさせた手を、右側部分に移動させ添えていた手を上から押し込むと、姿は赤い炎のような姿の戦士となった。
赤いクウガは、走り出し敵にボディブローを2,3回お見舞する。
だが、おかしな事に殴っても殴っても不思議と手応えを感じない。
そしてラッシュの終わりとでも言うように回し蹴りを放つ。
「オラァ!!」
だが寸前で怪物は木の高いところにジャンプで飛び移った。
完全に避けられた。
そう思うと、そこから敵の反撃が始まった。
敵の特徴である高い跳躍力を武器に、高いところから蹴り技を出され、なんとか避け反撃しようとするも気づいたときには飛ばれて高いところに戻っている。
それを繰り返されている。
「バンザ、ボンバギンクウガパギソグバパサバギボバ、ジョパグギス(なんだ、今回のクウガは色が変わらないのか、弱すぎる)」
段々とこちらの体力が削られていく。
次第に俺は相手の跳躍したところの落下地点を予測し、そこを攻撃するようにした。
だが、相手の方が動きが軽く身軽なため、逆に俺自身を蹴ることでそれを回避し、攻撃に変えている。
俺がどうしようもなく、やつと睨み合う。
そして、やつがまた俺に攻撃を仕掛けてきたその時。
炎の呼吸 伍ノ型 炎虎
杏寿郎の技が奴に対し牙を向いた。
技は直撃した。
それを受けても、怪物は切り傷がついただけであった。
怪物は杏寿郎を殴り飛ばした。
「がっ! すまない、助太刀できずに」
「いえ、ありがとうございます、やつの動きが止まったので」
俺はすぐに2,3歩下がり右足にエネルギーを収縮させる。
ジッ……ジジジジ……
そして俺はやつ目掛けて走り出す。
右足が地面につく度に、力のエナジーで赤く燃える。
そうして高く飛び上がり、右足を前に出し飛び蹴りを放った。
「テリャアァァァァ!!!」