鬼殺隊と怪人を倒す者 作:托生
カナエは俺の方を向いた。
同じく、しのぶもこっちを向く。
「なんだよ、どうしたよ、こっちなんて向いて、もっと喧嘩すればいいじゃねえか」
ツーッと頬から何かが伝っている。
「ご、ごめんなさい、そんなつもりじゃ……」
「ふん、姉さんも結局は同じこと考えていたのよ」
カナエは心配そうに、しのぶはさも当然といった様子だ。
「そ……うだよな。俺なんて呼吸も使えない役立たずだよな、鬼殺隊何て入らないで、お前らに守ってもらえばいいよな……」
だけど、そんなの悔しいじゃないかよ。
俺は結局なんもできないのかよ。
「そんなこと、許されるわけねえだろ!!!」
大声で気づいたら叫んでいた。
「俺が努力に努力を重ねても優に追い付いてくるお前らにどんだけ嫉妬したと思ってる!! 俺が呼吸をできないのに、お前らはさも当然と言ったように、花の呼吸法を覚えている。そんなに羨ましいか? そんなに、俺を見下したいのか!? 俺は鬼殺隊になれねえってのか? くそが!!」
走り出していた。
笑顔でもっと頑張ると言えば全てが、収まったはずだった。
だが、心のどこかで、それは許しちゃいけなかった。
悲鳴嶼さんに分けてもらった部屋に戻り、部屋の中の書物等を投げて破いて自暴自棄になっていた。
そんな中、とある古文書が目に入った。
胡蝶のお父さんが大事にしていた古文書だ。
なぜだか、それを見たら涙が止まらなかった。
何十秒、何分泣いただろうか。
俺はゆっくりと顔をあげると悲鳴嶼さんのところに向かった。
「そうか、確かにここに来てから忙しかったからな。行くといい」
「はい、ありがとうございます」
「ただ、条件だ。カナエとしのぶも一緒にだ」
「……全てお見通しですか?」
「おお、同郷の者が喧嘩をするものではないよ。かわいそうにかわいそうに」
「すぐ泣く癖やめてくださいよ」
「行くのなら早くがいい。明日の早朝に行きなさい」
「はい」
泣き腫らした顔を無理やり笑わせて、俺は準備をする。
準備をしていると、コンコンと軽い音がする。
「どうぞ」
返事をすると、障子ががスーッと開き、カナエが顔を出した。
「あっと、えと、えへへ。調子はどうかな?」
「……最悪だよ。あ、明日から出掛けるから早朝にここを出る」
「え?」
「あれ、聞こえなかったか?」
「き、聞こえたわよ!! ど、どこ行くの? 私達があんなこといったから? なら謝ります。だから、行かないで!!」
少しはんべそを欠きながらこっちを見てくる。
「ん? お前らもだぞ?」
「え? ……え?」
「いや、墓参りだよ。俺ら、あの時から行ってなかったろ?」
カナエは顔を真っ赤にすると、部屋を飛び出した。
俺は不思議そうな顔をすると、そのまま準備をした。
まだ、日が昇る前に玄関を出る。
そこには、悲鳴嶼さんしかいなかった。
「行ってらっしゃい、気を付けなさい」
「はい、行ってきます。すぐ戻ってきます」
俺はそのまま駆け足で、敷地内を出ると近くの切り株に、2人の姿があった。
「行きましょう、進一くん」
「ふん、姉さんと私を待たせるな無能」
無言のまま3人となり生まれ故郷に向かう。
胡蝶姉妹と鬼殺隊士になると決めた場所。
実家と言った方がいいのか。
だが、そこにあったのは、既に家はなく、あったのは俺らが作った墓標のみだった。
「ここに来るのは久々ですね」
「まあ、来る機会が無かったからな」
「……お母さん、お父さん」
「進一くん、ちょっと……」
「ああ、俺の家の方を見てくる」
2人を後にした俺は実家の墓地にお参りをし、少し周辺をうろうろしていた。
すると、日傘を指した和服の女性が近づいてきた。
「ちょいと坊や、少しいいかい?」
「あ、はい、何でしょうか?」
「この辺に古い何か言い伝えのようなところはあるかい?」
「いえ、特には無かったと思いますよ?」
「あら、そうかい、おかしいね、お知り合いの学者さんがここには古い言い伝えの遺跡があるって聞いたんだけどね」
「はぁ、でも、わかりませんし」
「あぁ、そうだよね、ありがとうね」
「いえ、お役に立てず……あっ!!」
そこで俺は、昔胡蝶お父さんから教えてもらった場所を思い出した。
「ん? どうしたのかな?」
「いえ、古い墓地ならわかるのですが、遺跡じゃなかったので」
「ああ、なるほど、うん、坊や色々教えてくれてありがとう」
「いえ、それじゃあ、お気をつけて」
そう言うと、俺はその場後にした。
それにしても、変な人だった。
曇り空なのに、日傘をして。
俺は気づかなかった、その時彼女の目線は、俺の懐から出ている古い古文書に行っていたことに。
その古文書の題名は
2人の元に行くとしのぶは目を赤く腫らしながら、カナエから、ちょうど離れたところだった。
「こっちはもう終わったけど、そっちは?」
「ええ、こっちも大丈夫ですよ。ね、しのぶ」
「はい、姉さん。それと、竜宮、あの時は
…………何でもないわ。日もだいぶ傾いたわ。もう少しで夜になっちゃう、帰りましょう!」
「もう、しのぶったら、何で謝れないのかしら」
日も暮れて来たとき、森の方からガサッと何かの音がした。
その音に身構える。
2人は腰に備えていた刀に手を掛ける。
俺は、とりあえず握り拳を構えてファイティングポーズを取る。
「いや、竜宮は逃げる準備しなさいよ」
「あはは、だよね」
そして、もう一度森の草むらがガサッと動いた。
そして、そこからカラスが2羽飛んでいった。
「なによ、カラスじゃない、もう!!」
「はぁーー、お姉ちゃん疲れちゃったよー」
2人が少し気が抜けた瞬間。
ドガッと、音と共に俺が数mすっ飛ばされ、木に叩きつけられた。
「ガハッッ!」
「進一くん!!」
「なに、こいつ!!!」
「キキキ、今日は3人も喰える。あ、だけど、あの方から、男は生かせって言われたんだっけ」
「鬼!!」
「なんだぁ、女2人くらいキキ!」
鬼は素早い動きでカナエを狙い始めた。
「オラオラ、どうしたぁ? 刀が俺に届いてないぞぉ!!」
「くっっ、一撃が重い。これが実戦なのね」
「お姉ちゃん!! よくも!!」
花の呼吸 壱の型 流れ椿
それは流れるように、ただ儚く、それでも美しさがあるそんな様子を想像できる横に一文字斬りを素早くする初歩の技。
が、しのぶが振った日輪刀は頸ではなく肩を掠めて、そのまましのぶの体は刀の方向によろめいた。
「しのぶ!!」
「姉さんは集中して!!」
(やっぱり、私は、花の呼吸はできない……それどころか、刀すらまともに振れないじゃない! あいつのこと、あんなに厳しく言ったのに……結局あれは私に対しての言葉でもあったってことね)
「しのぶ危ない!!」
「え?」
姉さんが叫ぶと、私の目の前にはさっきの鬼が大きく腕を振り上げていた。
私は悲鳴をあげることさえできずに、ただ目を瞑った。
グシャッ
何かが折れて潰れたかのような音がした。
4秒、5秒、されど痛みは来ない。
音だけがして、私には何も来なかった。
目を開くと、ちょうど私の目の前を、嫌いな男が空中に体を浮かせて、地面に叩きつけられた。
「ガァァ、グッッ!!」
「あ、こいつは生かすんだった」
「進一!! なんで!!?」
「ゲホゲホ、大切な人、傷つけられて黙ってみてるほど、男捨ててねえんでな」
「バカ!! あんたが鬼に敵うわけ無いでしょ!!」
「いや、そうでもないぜ。おい、そこの鬼とやら、目当ては俺だろ!! 俺は好きなだけ喰え。だが、こいつらは見逃せ!!」
「「なっっ!!」」
「キキ、いいぜぇ、その交渉乗ってやるよぉ」
俺は鬼に連れられて森の中に入っていった。
「何言ってるのよ、あんのばか!!」
私はやるせない気持ちを今凄くぶつけたい。
「……ちょっとお姉ちゃん、久々に怒ったなぁ」
「お姉ちゃん、私まだあいつに謝れてない。だから、追っかけてもいいよね?」
「そうね、私も一回お話しなくちゃ。行きましょうか、しのぶ」
こうして、鬼と進一の後を追う2人だった。
動き出す歯車、この後に続く死の恐怖
早めに次回のもあげようと思います。