鬼殺隊と怪人を倒す者   作:托生

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久々です
筆が進んだので投稿を


覚悟

 あの日から、およそ2ヶ月が経過した。

 悲鳴嶼さんが設けた期間の最終日だった。

 結局のところ、この2ヶ月間の間に答えは出てこなかった。

 だけど、胡蝶達と離れるわけにはいかない。

 そう思った。

 また、悲鳴嶼さんが、期間を2ヶ月にした意味が分かった。

 1週間後、最終選抜試験なるものが、とある山で行われるらしい。

 そこに、行かせるため、最後の確認の意味で、覚悟を決めて欲しかったのだと思う。

 だが、鬼が元々人であることや、拳で戦うあの感触を思い出すと、今一つ、戦うことに覚悟が持てないでいた。

 

「竜宮、ちょっといい?」

 

 扉を開けると、しのぶがいた。

 俺はとりあえず部屋にあげ、お茶をだした。

 

「どうした?」

「私が花の呼吸を満足に使えないのは知っているでしょ?」

「そうだな」

「だから、考えてたの。あいつらをどうやって殺すか」

「ああ」

「頸を切る以外で奴らが死ぬのって太陽光よね?」

「そうだな」

「でもやつら、それ以外に、藤の花も嫌がるじゃない?」

「ん? そうなのか?」

「はぁ、あんた、そんなこともわかんなかったの?」

「い、いや、まあ」

「それで、それを毒として運用することにしたの」

「マジかよ。できるのか、そんなこと」

「分かんないけど、やってみるしかない。そこで、聞きたいの」

「うん? なにを?」

「私はどうやって毒を奴らに注入すればいいと思う?」

「なるほど、そういうことか」

「いい案が思い付かないのよ」

「西洋とかでよく使われる武術に、突きにのみ特化した武術があるの知ってるか?」

「へぇ、そんなのがあるんだ」

「ああ、ふと思ったんだが、その刃に毒を溜めて、突き刺したときに相手の体内に注入できれば、めちゃくちゃ強くないか?」

「…………確かにそうね。注射の様にってことね。斬らなくても、突きなら、逆に私の方に分があるかもしれない」

「ただ、思い付きだから、これがどう転ぶか分からないぞ」

「いえ、正直参考になったわ。ありがとう」

「お前がお礼を言うとか、怖いからやめてくれ」

「ふふ、なあに? 私の毒の餌食第一号になりたいの?」

「あ、失礼しました!!!」

 

 俺は全力の土下座でなんとか許された。

 しのぶは気づいたら姿を消していた。

 そこでやっと一息ついた。

 ただまあ、あいつもあいつなりに色々と頑張っている。

 それだけは、ひしひしと伝わってきた。

 

 

 

 

 翌日。

 悲鳴嶼さんには、覚悟ができたと嘘をついて、これから最終選別に向かう。

 覚悟なんて今一つできてない。

 ただ、胡蝶姉妹に置いていかれるのが嫌なだけだった。

 考えれば考えるほど、子供らしい理由で嫌になる。

 だけど、呼吸を満足に使えない俺が、守ってもらう側にいるのは辛かった。

 ここまで頑張っているのに、胡蝶姉妹には追い付けないと言う現実を認めたくなかった。

 そんな考えが頭を過ぎりながら、最終選別の地へと向かっていた。

 悲鳴嶼さんには、申し訳ないことをしたと思っている。

 期待を踏みにじったかもしれない。

 だけど、出発する直前、なぜか頭を撫でられた。

 なにかを悟ったのか……はたまた……。

 

「置いてっちゃいますよー」

「姉さんいいんじゃない? 

 置いていっても」

「またそうやって、意地悪を言うんんだから」

「わりい、考え事してた」

 

 こうして、俺ら3人は最終選別へと向かっていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最終選別は、藤の花が大量に咲いている山の麓で行われるらしい。

 いまんところ、ざっと数えて、20人程度がいる。

 

「こんなにいるのか」

「結構いるのね」

「でも、話によるとこの最終選別で隊員になれるのは一握りらしいわよ」

「マジかよ」

「大丈夫、私が皆守ってあげるから!!」

「確かに、一番呼吸使えるもんな」

「うっ、わ、私だって姉さんのサポートにはなれるもん!!」

 

 そんな他愛のない会話をしていると、白髪と黒髪の2人の女の子が現れた。

 

「皆さん、この度は最終選別にようこそ」

「この最終選別ルールは簡単です。鬼がいるこの藤襲山で7日間生き残ることです」

「その7日間後に、この場所まで戻ってきてください」

「また、この山は一年中咲く、藤の花に囲まれており、ここから鬼が出ることはありません」

「また、ここの鬼は小型が多く、鬼殺隊員が生け取りにした鬼が散りばめられております」

「どうか、20人全員が生き残れることを祈っております」

「「それでは、ご武運を」」

 

 そういうと、2人は道を空けた。

 回りをみると、皆それぞれ色々な反応を示していた。

 一番乗りしたいのか、突っ込んでいく奴。

 どうしようかキョロキョロしている奴。

 絶望的な表情になっている奴。

 中には辞退している奴もいた。

 俺はというと、姉妹2人の後ろをついていくことにする。

 ちなみに、2人はいま、日輪刀という、鬼を殺せる刀を持っている。

 何でも、太陽光を大量に浴びた鉄が主成分らしい。

 俺も持ってはいるが、気休め程度にしかならないと思ってる。

 2人は奥へ進んでいく。

 これから7日間ここで生き抜くのかと思うと気が滅入る。

 

「さてと、ここまで進んできて言うのもなんですけど、まずは寝床を探しましょうか」

「あ、ああ……」

「ちょっと、竜宮あんた、こんなんでへばらないでよね!」

「わーってるって」

 

 山小屋がすぐに見つかり、そこを拠点として、付近の鬼を倒すことを目標とした2人。

 俺は、とりあえずって感じで、2人に賛成した。

 その後は怒涛の鬼の蹂躙が始まった。

 しのぶが毒を撒いたり、刺したりで注入し、弱ったところを、バッサバッサと倒していく。

 いくといっても、鬼が倒されたところを目の当たりにした訳じゃない。

 そんな感じで2日が経った。

 え? 俺は何をしているかって? 

 最初は鬼と戦った。

 でも、頸が斬れない。

 剣で斬る感覚とかがやっぱり好きになれないでいた。

 だから、その後は食料集めに集中していた。

 また、そんな俺を2人は何もいわずにいてくれたのもありがたかった。

 

 そして、残り4日となったところで事件が起きた。

 それは鬼と鬼が共食いをしていた場面から始まる。

 

「キキッ、食料が足りねえ!!」

 

 バキッ

 

「お前を食えば腹満たせるかな」

 

 ドガッ

 

 2匹? 2人? が殴り合いをしていた。

 それを見つけた俺と、俺のために付いてきてくれたしのぶとカナエ。

 

「あいつら、何やってんだ」

「喧嘩かしら」

「鬼同士がか?」

「確かに鬼は群れることはないって聞いていたけど、まさか喧嘩するほどなの?」

「とりあえず、どうしましょう」

「そりゃ、倒すしかないでしょ。竜宮あんたは下がってなさい」

「うーん、ちょっと待ってしのぶ。もしかしたら、話せば分かるかも」

「え、ちょ、姉さん!? もうーー!!」

 

 2人は鬼の方へと向かっていった。

 鬼の喧嘩はヒートアップしていき、どちらかの鬼の腕がちぎれたかと思うと、それを口に咥えもう一方の鬼が食べていた。

 

「姉さん、これ」

「共喰い……ね……」

 

 2人の存在に気づかずまた喧嘩を始めた。

 その時、しのぶの首めがけて太い糸が飛んできた。

 

「なにこれ!!」

 

 刀でなんとかそれを切って後ろに下がる。

 飛んできた方向を見ると、そこには木上に立っている人型で蜘蛛のような顔をした怪物がいた。

 

「ゼンギンゴセンゲロボ(全員俺の獲物)」

 

 口からまた、蜘蛛の糸のようなものを吐き出すと、今度は鬼の四肢に絡み付いた。

 

「お、おい! 何をする!!」

 

 ボキッボキッ

 

 骨が折れる音が響き渡る。

 

「あああぁぁぁぁぁっっっ!!」

 

 鬼の悲鳴が山の中にこだました。

 だが、もちろん鬼だから死にはしない。

 だがそれが逆に怪物の好奇心を刺激した。

 

「ギババギリント、ギジャ、リントジャバギ、ギババギゲギヅヅダボギギバァ(死なないリント、いや、リントじゃない、死なない生物楽しいなぁ)」

「や、やめてくれ! 殺してくれ!! 嫌だいやだいやだ!」

 

 俺ら3人はその光景を唖然と見ているしかなかった。

 怪物は木上から降りると、四肢を折った鬼の方に歩き出す。

 そこに、仲間割れしていた鬼が怪物めがけて殴りかかりにいく。

 

「おらぁ!」

 

 ドスッ

 

 大きく振りかぶった拳が、怪物の頬にヒットした。

 が、怪物は顔が少し首が傾いたのみ。

 ダメージなんて無いに等しい感じだった。

 

「あいつ、楽しんでやがる。人や鬼なんて関係ない。生物を傷つけて楽しんでやがる」

 

 俺は直感でそう感じた。

 蜘蛛の怪物はいまだに糸を自在に操り、鬼の四肢を折り、もう一方の鬼が向かってくれば殴る、蹴りでボコボコにしていく。

 

「ボンゾパゴボンゴンバザ(今度はそこの女だ)」

 

 俺らに向かって指を指してきた。

 俺はとっさに2人に向かって逃げろと叫ぼうとした。

 だがそれよりも先に、鬼の悲痛な声が聞こえた。

 

「頼む、殺してくれ。死にたい。嫌だ!! あああぁぁぁぁぁぁっっ!! 痛い、痛い!!」

「姉さん……」

「これ以上見てられないわ。殺してあげましょう」

 

 するとそこへ、仲間割れして先ほどまでボコボコに殴られていた鬼がこちらへ来たのだった。

 




また、次の話は遅くなるかもしれません。
よかったら、待っていてください。
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