偽マフティーとなってしまった。   作:連邦士官

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第12話

 

 目が覚めると隠しカメラがないかしっかり調べてからマスクを外し、歯を磨く。シャワーから上がりロシア人特有の金髪を雑にオールバックでまとめていると、通信が鳴る。

 

 バスローブを着てから、髪を拭き、マスクを被る。まったく、好きに朝を過ごすのだって出来やしない。笑い草だな。逃げ出したいが逃げ出すにはキンバレーとの交渉を成功させないとならない。キンバレーにはキンバレーの道理があって、こっちにはこっちの道理があるし、ハサウェイがいつ天パ化して襲ってくるかわからん。最悪、ハサウェイがキレて死ぬか襲ってきてケネスが抜け出して、こっちが死ぬんだ。

 

 落ち着いてきた。いや、なんでアイツラにかまってしまったのか無視すればよかった。本当に色々ありすぎて怒ってしまった。オエンベリ軍なんてどうなったって俺には関係ないじゃないか。着替えて、会議室に向かう。

 

 「おはよう。アムロ・レイ。」

違うって。本当にアムロな訳無いだろ。何処がアムロだって言うんだ、天パでも無ければ何でもないし。ニュータイプなんかわからないしアースノイドだし。

 

 「アムロではない。マフティーか大尉だ。」

寝起きに変なおっさんの戯言なんか聞いてる暇はない。マフティー、マフティーうるさいな。

 

 「では、マフティー大尉。他の幹部からはマフティー性を鑑みて正しいと言われた。」

だから、そのマフティー性ってなんだ。

 

 「マフティー性か。なるほどな。で、閣僚と上流階級の皆さんはどうしてる?」

逃げられたら元も子もないからな。アイツら、暇だろうからギギがサークルクラッシャー力を発揮して訳のわからない脱走が起きないとも限らない。そうなったら、最悪殺すしかなくなって、ハサウェイがブチギレて天パになってクスィーガンダムで殺しに来るかも知れない。

 

 「あぁ、営倉に入れている。独房の空気や味とやらを教えこんでる最中さ。ヨクサン長官なんてのは、いつ処刑されるかとビクビクしてる。いい気味だよなぁ、味わい深いだろうよ。狩る側から狩られる側に落ちる味ってやつはな。」

お前、だからやめろってそういうことをさ、ハサウェイに天パポイントを貯めるなよ。リベラがそこそこ強いのはわかったが、原作の描写ではガウマン以下だから不味いんだって。お前の上位互換のガウマンと天パ化マフティーとか誰も止めれないって。

 

 「そういう行為は、マフティー性に反する。オエンベリ一番のホテルに案内して、そこで拘束をしてやれ。彼らはマフティーの客人でもある。高齢者が多いから死んだらどうする?年寄りを労ってやれ。」

また、綱渡りをさせられる。怖がらせたって大した意味もない上にラー・カイラムのブライトがこんにちはする可能性がある。昨日の話を覚えていないのか?頭の中身にちくわとマフティーダンスしか入ってないのかな?なんで、そうなるんですか?

 

 「営倉が一番の安全だ。わかるか?ここはさんざんマンハンターにやられて来た被害者の集まりなんだ。表を簡単に歩かせたら長官はマンハンターのやり口に遭うだろうさ。マフティーだってそのくらいわかるだろう?連中の汚さとかな。」

確かにテロリストが占拠してる街だからそれは言えるかも知れないが、死んだ人質に人質の価値はないだろ。

 

 「相手が生きていなければ反省は促せない。死んだらそこで終わりだよ。上質な部屋を用意してやれ。なに、ロートルのミデアのコンテナが何個かあっただろ?あれを改装して待たせてやれ。キンバレーとの交渉にどのくらいの時間がかかるかわからないからな。」

マジであのおっさんはゴネる可能性がある。ごねられてる中で死なれたら敵わない。ブライト・ノア艦隊とか地獄だぞ。

 

 「負けたから従うが、奴らの命を保障は出来ないぞ?俺だって全員をまとめられている訳じゃない。」

いや、統率は取れよ。それでもお前はオエンベリ軍の指揮官なんだろ?いや、流れ者が集まっただけのテロ組織には難しいか。

 

 「しかし、やらねば大義を、勇を失う。マフティーにはマフティーのやり方がある。マフティー性を見失えばそれはマフティーに跳ね返ってくるさ。」

適当にマフティー、マフティー言っとけばコイツらは黙る。マフティーの意味を勝手に解釈するからな。だから、マフティーってなんなんだよ。誰か教えてくれよ。

 

 「準備をするし、用意はするが奴らをそこまで運ぶのはあんたがやってくれ。俺だと襲われかねない。マフティーとして負けたからな。」

何いってんだお前。こっちの仕事を増やすなよ。ツヴァイに任せ‥‥られないな。奴は環境テロリスト特有のナイーブな感性と人類への絶望があるらしい。絶望的なのはインターネットの晒し者になってる俺なのに、なんでテロリスト達をケアしながらまたケネスとギギの面倒を見ないといけない?

 

 「あぁ、わかった。キンバレーが無茶をしてこないとも限らないから警戒をしておけ。ジェガンが出てきたら勝てないんだろう?」

注意喚起をして置く、キンバレーが強気に来たらズタズタにされる程度のスペックしかお持ちじゃないからなコイツら。せめて、エゥーゴぐらいスポンサーとかを探してから決起しろ。何から何までハサウェイのマフティー・ナビーユ・エリン頼みとか正気かどうかあやしいな。

 

 「あぁ、俺たちもそれぐらいは警戒しているが、噂になってるエコーズの奴らが来たらどうしょうもない。」

まぁ、ロトが来たら死ぬよなそりゃあ。テロリストと特殊部隊なら特殊部隊有利だよな。

 

 「ロトは面倒だからな。」

うん?なんでこいつは不思議そうな顔をしてるんだ?

 

 「なんだ?ロトって。マフティーは知っているのか?」

テロリストの癖に情報弱者か?もう、ロトは出てるはずなのに知らないとは。

 

 「ロトと言うのはエコーズの特殊モビルスーツだ。司令部偵察ができる指揮用ホバートラックとガンキャノンを合わせたような小型モビルスーツだ。12mぐらいしかない。当然、速い上にステルス性を持っている。火力も馬鹿にできないが一番は小ささ故の市街戦能力の高さとエコーズ特有の無慈悲さだ。」

そして、バンバン説明をするとリベラの顔色が悪くなっていく、こんなことも知らずにテロしてたのか?殺してくださいって言ってるようなものだろう。

 

 「そいつらが来る可能性は?」

知らないよ、もし来るかも知れないとか分かるんだったら月面にでも逃げてるわ。

 

 「わからない。」

ちゃんとそう伝えるのだが、リベラは苦い顔をする。

 

 「マフティーで、ましてやニュータイプなんだろ?なら、わかるだろ。」

だから、ニュータイプじゃないと言ってんだろ。ニュータイプだったら、アナハイムが何かしらしてくるわ。

 

 「何度だっていうがニュータイプじゃないさ。それに、ニュータイプだとしても未来が見えるわけでもない。未来が見えるならハマーン・カーンやシロッコにグレミー・トトやらシャア・アズナブルが何故あんなに焦った?ニュータイプと言えど絶対でもなければ預言者でもない。ニュータイプが何でもできるというそのセンチメンタリズムなナイーブな考えは捨てろ。それこそがニュータイプをエリートだと僻む元になる。」

ギギとかカミーユを見て羨ましいわけ無いだろ。まて、そういえばこの世界のカミーユはマイルドなカミーユなのか、生身の人間にMSをやる旧式カリカリニュータイプカミーユなのか?

 

 落ち着け、カリカリカミーユなら逆襲のシャアの時にグラサンが立てなくなるまで修正してる筈だし、カミーユが廃人になってなければシャアだって絶望してな‥‥いや、やっぱりするわあのオールバック、だってシャアだぞ?なにより、シャアだし。

 

 「ならどうしたらいい?」

知らんがな。エコーズが突入してきたら俺は逃げるよ。エコーズとやり合うのは怖すぎる。

 

 「哨戒機を増やして探し続けるしかないさ。奴らは小さいから踏破力はあっても深い堀に水を溜めればロトであっても突入出来ないだろうさ。」

それぐらいしか防ぐ方法がないぞ。真面目にそう思う。

 

 「なら、同時にそれもやっていく。しかし、一番の脅威のブライト・ノアのラー・カイラム艦隊が頭の上から降下してきたらどうしたらいい?」

一番、簡単な対処法がある。それしか対処法はない。

 

 「神に当たらないように祈りながら白旗を掲げろ。ロンド・ベルが来たなら、死神が列を作って待ってるのと一緒さ。俺でも、ブライトが来たら逃げる。身構えてるときには死神は来ないからな。」

ロンド・ベル艦隊とか逃げるに決まってるだろ。クスィーガンダムが12機ぐらい無いと無理だわ。待てよ?12機って縁起が悪いな。

 

 「マフティーでも、勝てないのか?」

勝てるわけ無いだろ、キンバレー隊の微妙なのですら死にかけたんだぞ。奇襲できる状況でも無ければ無理も無理だ。どんだけ強いか単騎でロンド・ベルに突っ込んできたら良いのに。

 

 「勝てない。まともな実戦経験豊富な指揮官と連携が出来る兵士に艦砲射撃まである。勝てる要素はない。なら、戦わないようにするしかないな。俺がブライトなら、海側ティモール海とアラフラ海から2つに別れて高高度から艦砲射撃を叩き込んで、ロンド・ベルのグスタフ・カールをSFSで降下させて、途中でSFSは廃棄して、オエンベリに叩きつける。その後は南からキンバレー隊が手柄欲しさにハイエナだ。勝てると思うか?」

マジで勝てないよ、ロンド・ベルが来たらゲームセットだからゲームセット。袖付きの戦力が残ってて、こちらに参加するならまだしも人も質も量も何もないから勝てないです。

 

 「勝てないな。しかし、奴らが来るまでの間に切り札のレストアが済むはずだ。」

ほー、切り札って何よ。

 

 「アプサラスとライノサラスと言うMAだ。研究データがジオンのマフティーを名乗る人物からもたらされた。」

えっ?コイツら、何してんの?迷惑系テロリストじゃないか!アプサラスってアプサラスだよな?アプサラスなんだよな?ライノサラスはかわいい範疇だからどうだって良いが。

 

 「なるほど。だが、それだけの物を作るなら他のモビルスーツを数作ったほうがマシじゃないか?」

リベラが今、気付いたって顔をしている。なんで何ですか?当たり前だろう。

 

 「確かにな、バーザムが後3機とギャプランが2機、ハイザックは10機ほど残骸はある。そちらを優先させよう。」

当たり前だろ。数さえあれば戦車でもMSを倒せるし、大量にコアイージやセイバーフィッシュがあればSFS乗りのMSと渡り合える筈だぞ。

 

 「戦いは数だよ。数じゃなければオデッサで勝ててはいない。強い兵器一機の働きで、人質になった味方が助けられたり、戦争が勝てるなどと言うほど戦争は甘いものではないんだぞ。」

本当にそうだからこそ、地球連邦はジオンに勝てた。テロリスト達が勝てないのは大衆を敵に回すか、蚊帳の外にするからだとアムロも言ってた気がする。ダバオのタクシー運転手も言ってた。

 

 「では、やはり、早めにキンバレーと交渉を成立させるしか無いのか。」

だから、何度もそうだと言ってるだろ。一発逆転兵器で何とかなったのなんて見たことないわ。

 

 「北部にいるからと言って、平気なわけでもない。地球連邦はジャブローさえも捨て駒にしたのを忘れるなよ。」

実際はバスクみたいなものだけど、似たようなものだろう。

 

 「だからだなぁ、マフティーが大衆を引き込むために踊ったのは、大衆がマフティーを理解すればマフティーが大衆に潜み、無数のマフティーが反省を促し、また武装マフティーとなる訳で、地球連邦の数の利点をマフティーが奪おうとした訳だろ?」

いや、なんの意味もないわ、踊ったことに関しては。むしろ、なんで意味があってあんな動きをしてるとかお前ら宇宙世紀人は思うの?感受性が豊かなの?暇人なのか?

 

 「意味なんか無いだろうさ。踊りに意味を見出すのは無駄に思うが。インテリの言うこの手の解説が正しかった試しがないさ。インテリはインテリ故に客観性が足りなくて、何にだって意味を求める。」

本当にそうなんだよ。迷惑しまくってる。紅茶野郎のまさにブリティッシュ作戦でオーストラリアに居る俺とアデレードの連邦政府が被害を受けてるよ。シドニーを地図から消すだけじゃ飽きたらないのかよ。

 

 「だけども、賢いからインテリはインテリなんだろう?学がない俺だってわかるさ。賢いなら正しいことぐらい言うだろ?」

学がある奴が意味を追加したフェイクニュースをバンバン流してインターネットの晒し者にして来てるから困ってんだよ、こっちはな! 

 

 「なら、ハンドリー・ヨクサン長官だってインテリだが、正しいか?立派な経歴だけで正しさの証明にはならんさ。だから、人は困り、人は悩む。」

あたりを見渡すとリベラと俺しか話してなかった為にお開きとなった。キンバレーがお返事をくれなきゃどうすることも出来ないからだ。

 

 

 

 




 端末の力が足りなくて、ダンスマフティーでわかる宇宙世紀が作れなかったので本日初投稿です。

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