偽マフティーとなってしまった。   作:連邦士官

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第38話

 なんでこんな目に遭うんだよ。ネットのおもちゃだから投票したんだろ。俺はシャア・アズナブルじゃないんだよ!

 

 俺が何を悪いことをした!おもちゃじゃないんだよ!シャアとアスランとオルガならどうしてもいいから、ついでにクルーゼとグラハムをつけるから俺を許してくれよ。なぜ、こんなに宇宙世紀人は俺を支持するんだよ。かぼちゃを被ってる怪しいやつだろ。どっからどう見ても一般人だしさ。

 

 辞退したいが辞退したら暴動が起きかねない。暴動鎮圧なんかできないよ。サンクキングダムみたいに市民が集まってきたらどうするんだよ。無抵抗の人間は鎮圧できないだろ。

 

「大尉、いやマフティー首相。おめでとう。正直大尉が政治ができるとは感じていなかったが、シャアとのあれで変わったのか?俺は応援している。私もハサウェイも大尉に入れた。あの時に押せなかった自分がなぜ今この権利を得たか、わかった気がする。リ・ガズィを受け取ってくれ。アナハイムが改良したリ・ガズィ・カスタムだ。流石にZや百式は見つけられなかったが、大尉が自ら探して持ってきたしな。」

 だから、ブライトさ。何笑ってんの?ハサウェイも微笑むなや。俺はアムロじゃないっての。なに自信満々にアムロだろ?わかってますよ、とかしてるんだよ。どこがアムロ要素あるんだよ。天パが演説できるわけもないし、電波発言しか出来ないだろうが。

 

 ふざけんなよ。アムロなわけ無いだろ。アムロだったらプルシリーズなんかコックピットに即直撃させて即死させてるし、キンバレー隊が来る前に全員ボコボコにして、「ッ!MSの使い方がなっちゃいないなキンバレー!」とか言ってキンバレーのラー・カイラムの艦橋にバズーカ直撃させてるだろ。そんな芸当できてないのにアムロ認定するな。アムロの人間離れじゃなくて、人間のアムロ離れだからな!ニュータイプとか関係ないんだよアイツ。負ける姿が想像できない。

 

 この地球連邦、ぶっ壊れでは?いや、宇宙世紀がまともに動いていたりしたらジオンとかは出来てないからな。棄民政策とかふざけ過ぎてる。しかも、戦勝国民は残してその他の国の国民を宇宙に上げるとか恣意的すぎる。明け透けにそういう事をするから宇宙市民が怒るんだろうが。もうちょっとわからないようにとか出来ないのか?実際、不自由な宇宙の方が機械をイジれなくても生きていける地球人よりよっぽどエリートではあるが。

 

「あぁ、ブライト、頑張ってくれ。」

 ブライトに大功績をあげさせて首相の地位を押し付けよう。なんなら、ミネバでもいいさ。ミネバを表舞台に出す。これしかない。いや、ミネバじゃなくてもハサウェイがいる。ハサウェイのストーリー性は高いから脚色無しで人気が出るはずだ。更にはニュータイプだしな。

 

 多分、特殊部隊より強いしなハサウェイ。マリーダと一対一で喧嘩したらハサウェイは勝つぞ。次善策でハサウェイも用意しておこう。すべてを計算に入れないとガバ計画になる。ガバ計画のウェスカーやガバチャートのクロウリーよりもそこら辺は俺のほうが賢い。ガバってもいいように次案を作っておく。これこそがガバらない条件だ。

 

「‥‥戦いは二手三手先を読んでやるものさ。急ぐ必要はない。恙なくな。」

 口から漏れ出ていたのを気付いて言い直す。バナージの目が怖いわ。フル・フロンタルじゃないから俺は。

 

「バナージくん。準備をしろ。そろそろアイツらが戦争を始めるはずだ。場所は宇宙のはずだ。」

 勢いで誤魔化しきれたが‥‥。

 

 

 

「なぜ、こうなる!」

 ハワイ近海である。サイド7を接収し、宇宙を根拠地と変えた紅茶野郎が放棄したハワイを接収する為にやって来たのだが、海の中から巨大なビームが出てきた。

 

「くっ‥‥ヘリオス・マリナー!?それに‥‥RFズゴックに水中型ガンダム!?骨董品だろそれは!」

 水中戦力によるゲリラ戦展開か!

 

「えぇい!やってくれるな!紅茶の国が海を使って拡大したのがわかる。」

 こっちはSFS代わりにEx-sガンダムに乗るグスタフ・カールなんだぞ。スターク・ジェガン風にミサイルとか増加ブースターを付けてはいるが。

 

「だが、海には海の制し方がある!」

 水中にラックに付けた巨大なミサイルを撃ち込み、水中で爆発させる。その連続だ。別に直撃させなくても中のパイロットが揺さぶられて気を失うはずだ。飽和爆撃による水しぶきとたまにビーム兵器で海水が蒸発し塩が作られるのがわかる。よく見えすぎる。

 

「余計なものが見え過ぎだぞ!だからこうもなる!巫山戯るなよ俺。」

 右左とハワイの陸上から飛ぶ、“巨大な花火”を避ける。

 

「逃げ回れば当たりはしない。当たらなければどうということはないさ。」

 雰囲気で察する。本命は後ろに飛ぶ。

 

「邪気が来た!何だこの光は!」

 大気圏外から降り注ぐ質量的な光。針のようなものが見えた気がした。

 

「まさか‥‥レールガンか!?」

 ダインスレイヴのようなものか?なぜそんなものが‥‥いや、待て。今なにか引っかかりがあった。そうだ。

 

 俺はあのジャックがいた基地にノートを隠してきた。俺のガンダム知識を保管したものを。宇宙世紀以外の事しか書いてないから忘れていた!あれをジャックが手に入れていたなら紅茶野郎と共有していてもおかしくはない!それをアナハイムが手に入れてしまったら‥‥。

 

 世界は血に染まるだろう。待て、ならヴェーダとかもアイツら知っているのか?ゼロシステムとか作らないよな?HADESを下地にすれば作れないこともなさそうだが。

 

 戦争どころの話ではない!マイクロウェーブによるビーム兵器なんか作られた日には‥‥フラッシュシステムとMDシステムのハイブリッドとかでもそうだが、それを作られたら人類は死ぬ!

 

 まさか‥‥俺のあの知識のせいでハシュマル的なものが作られて厄祭戦が‥‥。冗談じゃない!人類の虐殺の歴史の片棒を担がされるなんて‥。チャンネルを切り替える。

 

「だから‥変わるぞ。変わってみせる。流されるだけのパイロットから戦えるエースとやらにな。シャア‥アムロ‥いや違う‥リディでもバナージでもいい!力を貸してくれ!今こそがニュータイプとやらの出番だろう!」

 マニュアルに切り替えて、水面から飛び出してきたMSの頭にバルカンを撃ち込み撃墜する。

 

「くっ!オールドタイプでもやれるさ!ニュータイプなど幻想に過ぎない!ニュータイプを信じすぎるからニュータイプと言う名の可能性に人々は魅せられ殺されてきた!なら、俺はニュータイプなんて上等なものにはならん!オールドタイプとしてお前らを討つ!」

 水面から出ようとしたRFズゴックを感じる。先にミサイルを撃ち込み、回避行動を取って避けるだろう場所にグレネードランチャーを放ち撃墜する。

 

「ヘリオスは逃げたか。しかし!」

 すぐさま体勢を立て直し、太陽を背に飛んできたコアブースターの編隊をクレイ・バズーカの散弾とショットガンが作る鉄の雨で壊滅させ、落ちてきた残骸を足場にそれを蹴り、雲の中に隠れていただろうスターク・ジェガンに斬りかかり、それを蹴り飛ばしSFSを奪う。

 

「オールドタイプでもやれば出来るんだよ。ニュータイプなど言い訳に過ぎない。ニュータイプこそが人類の革新なら、オールドタイプはどうなる?オールドタイプだからこそ、わかり合えないからこそ、相互理解をしようとする!下手に簡単にわかり合えると思ったら人は歩み寄る努力を忘れる!歩み寄る努力を忘れれば、お互いに言葉で切りつけ合う恐ろしい事が起こる!」

 水中から出てきたアームクローを掴みズゴックEを引っぱり、その無防備な体に外付けの腕部ガトリングを撃ち込む。一瞬で装甲が溶けて誘爆しそうになっているズゴックを海に投げる。敵の居そうな所を狙ったのが功を奏し敵が減る。

 

「こんなことばかり上手くなる!なんの意味があると言うんだ、こんな事に!?」

 本当になんの意味があるんだよ!こんなに戦争をして。話にもならんよ。戦いばかりで戦いの中に何があると言うんだ。争いの先に何がある?みんな死ぬぐらいのもんだろ。

 

「撃て!リディー!」

 デルタガンダムがビームを撃つ。でも、リディは割となんだ、その‥‥あまり近くに置きたくないようなハサウェイの仲間な気がする。

 

『撃たせてもらうよ!このビームスマートガンをな!』

 いや、良いから撃てよ。

 

「リディ・マーセナス、戦いは非情だよ。一回一回、言わなくても撃ちたまえ。ではないと君の命が落ちることになる。うん?邪気が来たか!そこ!出なければ撃たれないものを!命を粗末にするんじゃない!」

 話してる最中に攻撃を仕掛けようとするとか、なんて卑怯なんだ。宇宙世紀だからな。毒ガスパイ投げ祭りしてるし、月面にコロニー落としもしようとするからな。やっぱり野蛮だわ。

 

 海上に出てきたアクアジムのカスタム機を蹴って水中に戻してシールドナックルで殴り撃破し、その反動で囲むようにしていたハイゴックをチューンナップしたエース機体のカスタムにチェーン・マインを叩き込む。そして、爆風の中に隠れていたジェガン水中型にワイヤークローを三次元的に撃ち込みそれでもジェガンはバルカンとビームサーベルで抵抗してきたので、コックピットを殴りつけて次にマニピュレータでメインカメラをへし折る。

 

 次にそのまま胴体にシールドクローを突き刺し、蹴りで押し込む。そして、ワイヤーで胴体を縛ると締め上げて両断する。

 

「出てこなければやられもしなかったろうに。」

 脳内で鋭い、鋭角のような感覚がする。背後だ!覆いかぶさるように水中型スターク・ジェガンとカプールが現れる瞬間だ!

 

「寄ってたかって貴様らは連邦だろうに!オールドタイプの相手なのに囲まないと勝てないというのか!」

 あまりの敵の多さに苛立つ。空中でブースターをふかしてバク転の形でビームサーベルを振り、相手が避けたところにバルカンと腕輪型のガトリングを撃ち込み、足先に付いているクローで蹴り飛ばす。

 

 カプールが吹き飛ぶが水中型のスターク・ジェガンがしつこい。

 

「えぇい!なんだと言うんだお前は!」

 ボックスタイプビームサーベルを起動と消すのを繰り返し、瞬間的に高速の突きを繰り出すが相手は避ける。

 

『また会ったな!シャトルとガルダの時以来だな!ニューディサイズの亡霊!めちゃくちゃにした秩序の為に罰を受けてもらう!』

 お前はあの時の‥‥まだ生きていたのか!

 

「人が人に罰を与えるなどと!思い上がるんじゃない!誰にも裁く権利など有りはしない!だから、反省を促されるのだろう!人が人に罰を与えすぎた結果のマフティー動乱だ!罪と罰はセットだ!罪以上に罰を与えたのならば、罰を与えた側に罪が乗るだろう!」

 何なんだよお前!くっ、ニュータイプか?先読みをされて避けられる。へばりつく重力と汗に体を取られる。なんだ、このげっそりする感覚は!

 

『だとしても、罰を与える権利はある!コロニーを落としたのはジオンで、コロニーにガスを撒いたのはティターンズで、エゥーゴは戦火を広げて宇宙移民の光と言われて思い上がった!すべての人間に罪があるのに何故、地球連邦だけを責められる!?ジオンの侵略で地球の命はいくら潰えたと思う!許されるわけがない!ジオンも!ティターンズも!エゥーゴすら!正当な地球連邦軍が正しくやらなければあぁもなる!』

 水中型スターク・ジェガンは、高圧の水流カッターのようなもので攻撃してくるので距離を取る。凄まじいプレッシャー、いや怨念だ。地球連邦軍としてのプライドが怨念になってるんだろう。

 

「そんな道理!無理でこじ開けてやる!宇宙も地球も人類も一つの単語になっているだろ!ユニバース!この単語にな!そこまでわからないのなら、修正してやる!」

 こちらの攻撃の前に巨大なビームが通り過ぎる。バナージ危ないな!お前、ビームマグナム簡単に撃つなよ!当たったらどうする!イカレ兵器だぞそれ。この隙に水中型スターク・ジェガンは逃げていった。

 

『危なかったですね。あのままだと嫌な感じがしました。』

 バナージも感じていた?あのスターク・ジェガンのパイロットは一体?

 

 ハワイに入るとすぐさま占拠は終わり、ハワイの陥落をもって北米地球連邦軍はこちらに従う事になった。北米地球連邦軍のサラミス改とマゼランなどの旧式艦艇が多く手に入り、旧式とはいえ宇宙の戦力は整った。

 

 ただ気がかりなのは、ルナツーをこうしている間にあの紅茶は抑えて、ルウムをA.G.E.が抑えて、茨の園を拠点とした遊撃戦ができるという事だ。

 

 ルナツーも馬鹿にはできない。紅茶野郎が言っていたパブリクの下半身を持つドラッツェは広大な機動力があり、それらを強化した簡易GP03みたいなものやオーキスもどきをボールに着けた強化案をされれば、MSを操れなくてもボールの簡単な操作性で若干弱い量産性が高いMAの完成だ。

 

 A.G.E.と紅茶にアナハイムは二股をかけてるのだろう。ならその股を割いてやるだけだ。

 

「バナージ、やれると思うか?」

 バナージに話しかけてみる。

 

『何かわからないですけど。やらなければいけないのならやるしかないと思います。』

 素直なやつだなバナージ。ま、それよりも宇宙に登らねばならない。無重力嫌いなんだけどな。

 




 偽マフティー、宇宙に飛ぶ。

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