ルウムの茂みで   作:danny-L

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プロローグ
01 目覚め


宇宙世紀0064年6月、地球から最も離れたスペースコロニー・サイド3の片隅、民家の室内で一人の五歳児が転んで頭を強打した。

 

「―! ―、大丈夫!?」

 

家事をしていた母親が慌てて駆け寄るが、打ち所が悪かったのか少年の返事は無い。

薄れる意識の中で母の声を聞いた少年は、疑問を抱きながら気絶する。

『宇宙世紀なのにロランってどういう事・・・』と。

 

 

 

 

気が付いたら病院のベッドの上であった。薄く目を開けると俗に言う「知らない天井」が見える。母さんが心配そうに僕を見つめている。

しかしどうにも、目の前の母さんを「母さん」と認識することに抵抗がある。何故かと聞かれれば「前世を思い出しちゃったから」としか答えようがない。

頭を打ったショックで覚醒する転生者とは中々に格好悪い、と思いながらも自身の境遇を整理する。

 

「現在」の僕の名前は・・・ロラン・セアック。そう、ロラン。容姿も∀のロラン君を小さくした感じ。こないだ5歳になった。母の日のメッセージカードを自筆で書いたら母さんにメッチャ喜ばれた。パン屋のおじさんに「ママに似て将来美人になるぞ」と言われたが男だ。

 

「前世」の名前は土志田誠也(どしだ せいや)。容姿は自己評価で中の上、特撮ヒーローとロボットアニメを愛する18歳。大学受験もなんとか潜り抜け、高校の卒業式も終えたちょっと気の抜けた春休みを送っていた筈だったが・・・。

どうにも記憶に欠落があるようで、現在に至った経緯を思い出せない。

 

「どうしてこうなった」おっと声に出してしまった。

 

「ロラン!?目が覚めたのね、母さんが分かる!?」

心配かけたのは重々承知ですが、頭打って倒れた子供を揺さぶらないで下さい危険ですママン。ほら医者も止めに来た。

 

検査の結果、脳に異常は無しと言うことで簡単な問診を済ませて病院を後にした。

 

 

その日の夜、ベッドの中で考えて見た。

5歳までのロラン少年の記憶は確かに有るが、どうやら現在思考している意識は前世のものであり、ロラン少年の意識は上書きされてしまったようだ。何とも申し訳ない感じだが、消えてしまったロラン少年の分も「ロラン・セアック」としての生を全うしようと心に決める。

 

では人生を全うするために今後を考える。今年は宇宙世紀0064、僕の現住所はサイド3のマハルコロニー。

 

そう、宇宙世紀でサイド3、オマケにマハル。ここまで揃ったら最早疑う余地は無い。「機動戦士ガンダム」である。

 

えーっと、一年戦争の開戦が0079の正月だからその時僕は19歳で・・・なろうと思えばMSパイロットになれるかな?でもザビ家の独裁とかコロニー落としは嫌なんだよなー。イザとなったらザク盗んで連邦に投降でもするかな。

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