宇宙世紀0074年4月、地球から最も離れたスペースコロニー・サイド3の士官学校の片隅で、一人の新入生が頭を抱えていた。
「おい、そこの一年坊!調子でも悪いのか?」
通りがかった先輩の呼びかけに「何でもありません」と答えつつも、少年は自身の迂闊さを呪っていた。
『赤いのと坊やが同期じゃねぇか、すっかり忘れてた!』と。
どうも、転生者の土志田誠也改めロラン・セアックです。10年ぐらい時間が飛んでいるけれど、僕は元気です。
とりあえず頭を打ってからは「船乗りになる(無論、宇宙船の)」と言う夢を抱いたことにして、無理の無い範囲で勉学とスポーツを頑張った。
友達は余り多くなかったので、二人の幼なじみとつるむ事が多かった。パン屋の息子のキース・レジェと、新聞屋の娘のフラン・ドール。もう名前にツッコむのも諦めた。うちの父さんだって資源衛星の運営責任者(単身赴任)だ。きっとそう言う世界線なんだ。
幼なじみ。
何か前世を思い出せそうな感じがする言葉だが、今は置いておこう。
そんな狭い交友関係の中でそこそこ優秀な成績を修めた僕は、進路を決める際にジオン士官学校を選択し、無事に合格して今に至る。親の説得とかそう言うのは省く。
「おいロラン、二段ベッドはどっちが良い?」
「僕はどっちでも良いよ。寝相に自身が持てないなら下にしたほうが良いんじゃない、キース」
ついでにキースも合格して今に至る。同室である。
近い将来、彼が「戦争が終わったら、故郷に帰って実家のパン屋を継ぐんだ」とか、その手の死亡フラグを立ててしまわないか心配である。
・・・そもそも、原作通りに事が進めば僕らの故郷・マハルコロニーはソーラ・レイに改造されてしまうのである。帰る故郷はどこになるのだろうか。
あと、マハルにいる間に密かに進めていた「シーマ・ガラハウさん接触計画」は失敗に終わった。同郷のよしみだし、出来れば救済したい人筆頭なのだが。
しかし接触したところで、歳が二桁も離れている子供に何が出来たのだろう。
軍属になってから開戦までの約1年、どこかで縁がある事を期待するしか無い。
入学式でドズル校長のありがたい話を聞き、クラス分けでキースやシャアやガルマと一緒になり、いきなり体力テストという名のシゴキで延々と走らされ、味はともかく量だけは一級の食事を無理やりに流し込み、迎えた就寝時間。
僕はこれからの学校生活に期待や不安を抱きつつ、オリジン版が混ざっていたら来るであろうイベントに思いを馳せた。
「兵舎襲撃事件、参加しなきゃダメなのかなぁ・・・」
一千文字書くのって中々に面倒ですね。