11月16日追記:章立てを変更したのでまだプロローグです。一人称に書き直すかもしれません。
宇宙世紀0079、1月10日。地球連邦軍の奮闘も虚しく、コロニー「アイランド・イフィッシュ」は地球へと落下し、オーストラリア大陸の東半分は大きく抉れた。
しかしジオン公国軍の狙いは連邦本部のある南米ジャブローだったため、一連の「ブリティッシュ作戦」は失敗に終わった事になる。
ジオンの勢力下にある月面都市グラナダのドックで、総帥府の発表する地球圏の被害状況を聞きながら、ある少尉はボソリとつぶやいた。
「外したからもう一発、なんて気軽に言える的当てじゃ無いだろう」と。
結局、士官学校でロラン・セアックはシャアに対して積極的に働きかける事は無かった。復讐を辞めさせるにしても後押しするにしても、自分には状況を操るための力が足りないと考えたのだ。
そして下手に原作ブレイクを起こして先の展開を分からなくするよりは、原作通りの流れの中で自らの居場所を求める事を選んだ。
シャアがガルマを唆し、ガルマが同級生を煽動した連邦軍兵舎襲撃事件。ロランはガルマの居る「本隊」、キースはシャア率いる「先行隊」に参加し、双方大きな負傷も無く切り抜ける。
そして、二人揃ってパプア級「バンテン」を母艦とするMS工兵部隊に配属されることとなった。
MS工兵、それはMSの「汎用作業機」としての側面を重視する兵種である。平時に於いてはコロニーの外壁修繕やデブリ除去等、スペースノイドの生活の安全に直結した作業を担当する。
そして戦時に於いては遠征時の僚艦の補修・予備物資の運搬等が主任務となる。居ないと困るが、地味だし戦功に直結しない部署である。だが、今回は
「なぁロラン、今もう一発って言ったか?またコロニーを地球に落とすってのか?」ロランの呟きを聞きつけたキースが問う。
『しまった、声に出してたか』
「勝手な予想だよ。でも連邦の本部は地底に有ってものすごく頑丈らしいから、それぐらいしないとブチ抜けないらしいし」
「ふーん。またコロニーを落とすとしたら、今度のエンジン設置作業は俺たちも出る事になるのかな」
「今回参加した工作艦はサイド2から戻ったばかりだし、僕らがグラナダに呼ばれてるって事は次はそうなるんじゃないかな」
コロニー落とし用の核パルスエンジンの設置作業、という作戦の要を担う存在である。
「今回の設置担当、褒められるのかねぇ叱られるのかねぇ」
「目標を外したのは連邦の抵抗の結果だよ。設置作業自体は完遂したんだ、勲章は無理でも何か貰えるんじゃない?」
「じゃあ俺らも頑張れば」
「あー、1週間ぐらい休みたいなオレ」
周囲の同僚が希望的観測でザワつく中、ロランは今度こそ声に出さぬよう心中で呟いた。
『でもルウムでは設置作業事態がオトリだったんだよな、確か』
工兵って言うと陸軍。工作艦はもちろん海軍。宇宙軍ってどういう扱いなんですかねコレ。