職場体験当日
コスチュームを取りに学校へ行き、駅のホームで解散となった
「くれぐれも失礼の無いように解散」
相澤先生の掛け声で解散となり、ファミールの事務所に向かう
といってもファミールの事務所は実家から徒歩5分の場所だから実質実家に帰るようなもんだけど……
「来たよー」
「お、待ってたよ率!! ようこそファミールへ!」
「早苗さん、町田さんこんにちは」
「いや率ちゃん立派になって」
迎えてくれたのは愛冠姉と事務員の早苗さんと町田さんだった
早苗さんはバリッバリのキャリアウーマンって感じの女性で、愛冠姉と同じ年って言うより幼馴染みだ
愛冠姉が小学生の頃からの付き合いで元々はヒーローを2人で目指してたんだけど、足を怪我してから愛冠姉のサポートに回るようになったんだって
町田さんは緑姉の中学の時の同級生でいわゆる彼氏だ
町田さんは無個性だけど引き締まった筋肉が特徴の男性で、毎日夜にジムに通うほどストイックに体を鍛えてる
今は一緒に働いて一軒家を買おうとしてるらしい
まぁ実家の隣に建てるらしいから緑姉がどこかに行ったり、ファミールを抜けたりすることは無いんだけど……
あとは経理の縫島さんっていう人もいつもはいるんだけど、今日は休みらしい
縫島さんは愛冠姉の高校の時の友達でそっから引っ張ってきた人で小柄だけどファミールの経営が大きな黒字なのは縫島さんの力量が大きい
計6名の事務所がファミールだ
「あれ? 緑姉と星姉は?」
「二人はパトロール。今頃商店街か町工場の一帯にいるんじゃないかな?」
商店街と町工場はファミールに切っても切り離せない大事なお得意様だ
商店街と町工場の周辺はファミールのテリトリーで犯罪も万引きや引ったくり等の軽犯罪が殆どだが、断固とした姿勢で現行犯で捕まえるから元々はよそ者の私達だけど良くしてもらってる
まぁこの2つの地域に支えられてるからヒーロービルボードチャートで25位にいられるってのもある
「さて、じゃあ私達もパトロール行くよ」
「はい!」
「あ、ヒーロー名一応聞くね」
「率だよ」
「私達と一緒か」
「ファミールはそうでしょ?」
(言えないなぁ思い付かなかったからそのまんまなんて……なんか伝統になっちゃったし)
「じゃあヒーロー率!! 今日は海浜公園のパトロールに行こう!」
「はい!」
私達普通にパトロールしていただけだよね?
それがなんで
「お久しぶりですね……ようこそベルベットルームへナチチ」
雄英襲撃の奴がいるんだ?
「率下がって」
「愛冠姉、そいつ雄英襲撃犯の一人!! 倒しても残基が減るだけで倒されない」
「正確には違うんですがね……まぁまぁナチチ。今日はお話に来た」
空間が歪みテーブルと椅子が現れいつの間にか私達は席に座っていた
「「!?」」
「飲み物は何が良いか……とりあえずコーヒーにしようナチチ。客人の二人は何が良いか」
「……そうねアップルティでもある?」
「愛冠姉!!」
「私の勘が目の前の人物に会ったことが有るって告げている……恐らく知り合い」
「え!?」
「あちゃーバレちゃったかナチチ」
ベリベリっと顔の皮膚を剥がすかのように顔型の被り物を目の前の人物は脱いだ
「政治家の!?」
「名地先生だったか」
現れたのは名地先生で地元だと有名な元国会議員だ
渾名は若すぎる女性議員として有名な方だ
「先生がなぜヴィランの真似事を?」
「ナチチ、いやいや、私独自の情報源で雄英襲撃を察知してね。率ちゃんを救助しに動いたまでさ」
「……信用できません」
個性で顔を変えてるかもしれない相手だ
そもそも話し合いは前の段階で決裂したはず
「なぜこんな真似を?」
「いやーねー、敵がどこに潜んでるかわからないから異空間に来てもらった」
「敵? ヴィランではなく?」
「ヴィランでもあるがそうでないかもしれない……民衆の中にいるんだよ今回の敵は」
「敵……」
「そいつについて少し良いか」
暗闇から男性がふらっと現れる
「願成寺の……お坊さん」
「只野少林だ。元を正せば俺が始まりだから話させてもらいたい」
お坊さん……只野さんが席に座る
私達の目の前にティーカップが現れ、アップルティが入っているようだ
私は口を付けないが、愛冠姉は普通に飲み始める
「愛冠姉」
「今は聞きなさい。先生の人柄は知っている。このタイミングも何かしらの理由があるのでしょう」
「いいか? 良いよな。まず事の始まりは俺の占いで来年世間がひっくり返るような崩壊が起こる」
「俺の個性は占いで9割当たる……占いといっても星やタロット、水晶なんかがあるが、水晶に崩壊する日本が映し出された。それを他の占いで補完していったが崩壊する事実が覆ることは無かった。オール・フォー・ワンっつうワードが関係していることも掴みんだが、ただの坊主の俺ができることは少なかった」
「どうしようもない閉塞感を感じたが、当時国会議員で檀家だった名地先生に相談しに行ったのが始まりだ」
「先生は組織を作って対抗しようと仰った。そしてできたのが右派と呼ばれている未来連合だ」
「未来連合にそんな過去が」
「只野坊には昔から占いで助けられたことが有ってね。その坊さんが慌てて崩壊するなんて言うから最初は気が狂ったのかと思ったよナチチ」
「ナチチ、まぁそれよりも……だ、オール・フォー・ワンだがこちらでも調べていってね。わかったのが昔話の救世主にして伝説の支配者オール・フォー・ワンってのがヒットした」
「ナチチ、オール・フォー・ワンは複数の個性を所持し、個性が有ることで困っていた人から個性を奪うことで力を蓄え裏を支配していたらしい。そんな人物が生きているとしたら」
「昔話でしょ老衰で死ぬでしょ」
「いや、率、もし奪った個性に姿を止めるや若返りなんかが有ったとしたら。生きていても不思議じゃない」
「ナチチ、やっぱり愛冠さんを連れてきて良かった。話が早い」
「占いにはキーワードがあるオール・フォー・ワンの他にデストロと張間歐児の名もあった。個性黎明期の伝説の悪党達だよ。もしもこれ等の子孫が生きていて結託していたら? 崩壊の話も嘘じゃなくなる」
「ナチチ、更にだ、求心党というワードもあった。花畑の野郎が率いる党だ。現在は議席数第4の党だ。思想は個性の自由だ」
「現在規制されている個性関連の法律を緩和することで個性により抑圧された社会を正す事を善としている……ナチチ」
「ナチチ、未来連合とは対極にいる正当だよ。こちらはどちらかと言うとヒーローに更に逮捕権限を与え、警察の個性使用の緩和等現在の社会の拡大を望んでいるからね」
コト
ティーカップを置いた愛冠姉は頬杖をつき
「なぜ私達にそんな踏み込んだ話を?」
「占いでその運命に抗える人物を探した。1人はオールマイト、1人は緑谷出久、1人は……君だよ八雲率」
「……私?」
「そう、占い結果がコロコロ変わるんだ君は。まぁ死の占い結果は総統……名地さんが介入しなきゃ覆らなかったがな」
「……そうなんですか」
「ナチとしては君達ファミールに全面協力したい。資金援助からサポートアイテムまで取り揃えよう。その代わりファミール全員に力を付けてもらいたい。これも強制的にパワーアップする方法がある」
名地は断言した
「資金はいらないけどその話が本当なら現在の社会の危機だ。確かに求心党の考えは綺麗事過ぎて気に入らないところが有ったわ。……家族で一旦話し合ってきても良いかしら?」
「ナチチ、勿論。ただ、明日全員来てほしい。場所はまた海浜公園でいいかな? 私の手の者でテレポートするから」
「頼む信じてくれ」
「……愛冠姉」
「大丈夫、率は第一印象が悪かっただけ。たぶん信じても良いわよこの話は」
話が終わると空間が歪み、気がついたら海浜公園に居た
「家に帰ってから話し合いかなー」
アップルティ飲めば良かったかな……