やはり俺が『怪異症候群』に巻き込まれるのはまちがっている   作:クロスディア

20 / 55
出すのが遅かった分、割と早く決着つきそう…


第17話 ナチュラルな下の名前呼び

第17話

 

少しの間だけ、空気が重くなる。

 

当然だ。

 

直ぐ近くに怪異だけじゃなく、殺人犯が居ると言っている様な物なのだから…

 

「仕方ない、少し離れよう…。彼処に在る公園で話の続きでもするか。」

「…だな。ほら、姫野。早く行くぞ…」

「…はい。」

 

近くにあった公園に行き、俺達はベンチに座る。

 

何故か七望の奴が姫野を俺の隣に座らせたのだが、何がしたいんだコイツ?

 

「…まぁ、あのババアは放っておこう。今は『くねくね』について考えようか。」

「…そうですね。……あの『くねくね』もラリックマみたいなタイプなんですか?」

「いや、違う。あれは普通に倒せば終わるパターンだ。」

 

問題が有るとするなら、奴が全力で俺達を避けている事だ。

 

さっきから気配こそ感じるが、一向に近付いてきやしない。

 

「だね。後はこのループ空間だけど…」

「何かあるんですか?」

「これを仕掛けた奴の気配はするんだが、『くねくね』の奴と違って特定できん。どうやら、コソコソ隠れてるみたいだ。」

 

一番面倒なタイプだ。

 

やることやってる癖に逃げる最低のクズみたいな物で、一番質が悪い。

 

まぁ、こういう相手は…

 

「特務課の人達に任せるか…」

「えっ、氷室さんの事知ってるんですか?」

「知り合いだ。昔色々あって、厄介になった事があってな…」

 

あの人達には本当に世話になった。

 

小暮だけは好かないが…

 

「よし!電話してくるから、その間頼むね…」

 

と、七望兄さんが少し離れる。

 

そして、一時的に二人きりとなり…

 

「あ、あの…」

「ん?何だ、姫野?」

「世話になったって事は、八幡さん達も怪異事件に巻き込まれたって事ですよね?」

「それはそうだが…」

 

この子、何でナチュラルに下の名前呼び?

 

チャラ男モドキな七望兄さんすら出来ない芸当だぞ!?

 

「どうかしましたか?」

「いや、その、下の名前で…」

「へっ?…ああ、同じ名字なのでややこしくなると思って…。ダメでしたか?」

 

と、姫野は聞き返してくる。

 

あざとい!あざといぞ、この娘!

 

しかも、これ間違いなく天然だ!小町達とは違って計算高さを一切感じない…

 

どうしよう、これ…。助けて雪エもん!

「……………?」

「……いや、それで良い。」

 

結局、俺は諦めた。妥協、万歳。

 

俺の座右の銘は『押してダメなら諦めろ』なのだ。押してもダメそうな相手なら、即諦める。

 

これはかなり大事な事だ。女が相手なら、特に。

 

「…話を戻しますね。…八幡さんが遭った怪異は、どんな怪異だったんですか?」

「それは…」

 

俺は言葉に詰まる。

 

どんな怪異と言えば、隅の隅まで語れるだろう。

 

だが、それは…

 

「…すまん。あまり言いたくない。」

「あっ、すみません!聞いちゃいけない事を聞いちゃったみたいで…」

「…気にするな。未だに乗り越えられてない俺が悪いだけだよ。」

 

そう、これは俺自身のせいであり…

 

…俺自身が背負うべき呪いであり、罪なのだ。

 

だからこそ、俺は奴を…

 

『ハチコマチャンネル♪』

「きゃっ!」

「うおっ!な、何だ、いきなり…」

 

そんな思考を遮る様に、近くのごみ捨て場の方から変な音声が聞こえる。

 

しかも、この声は…

 

『本日の犠牲者を紹介しちゃうよ♪』

『目を離さないでね、お兄ちゃん達♪』

「また、お前か…」

 

どうやら、この件にも奴が絡んでいるらしい。

 

続く

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。