やはり俺が『怪異症候群』に巻き込まれるのはまちがっている 作:クロスディア
第17話
少しの間だけ、空気が重くなる。
当然だ。
直ぐ近くに怪異だけじゃなく、殺人犯が居ると言っている様な物なのだから…
「仕方ない、少し離れよう…。彼処に在る公園で話の続きでもするか。」
「…だな。ほら、姫野。早く行くぞ…」
「…はい。」
近くにあった公園に行き、俺達はベンチに座る。
何故か七望の奴が姫野を俺の隣に座らせたのだが、何がしたいんだコイツ?
「…まぁ、あのババアは放っておこう。今は『くねくね』について考えようか。」
「…そうですね。……あの『くねくね』もラリックマみたいなタイプなんですか?」
「いや、違う。あれは普通に倒せば終わるパターンだ。」
問題が有るとするなら、奴が全力で俺達を避けている事だ。
さっきから気配こそ感じるが、一向に近付いてきやしない。
「だね。後はこのループ空間だけど…」
「何かあるんですか?」
「これを仕掛けた奴の気配はするんだが、『くねくね』の奴と違って特定できん。どうやら、コソコソ隠れてるみたいだ。」
一番面倒なタイプだ。
やることやってる癖に逃げる最低のクズみたいな物で、一番質が悪い。
まぁ、こういう相手は…
「特務課の人達に任せるか…」
「えっ、氷室さんの事知ってるんですか?」
「知り合いだ。昔色々あって、厄介になった事があってな…」
あの人達には本当に世話になった。
小暮だけは好かないが…
「よし!電話してくるから、その間頼むね…」
と、七望兄さんが少し離れる。
そして、一時的に二人きりとなり…
「あ、あの…」
「ん?何だ、姫野?」
「世話になったって事は、八幡さん達も怪異事件に巻き込まれたって事ですよね?」
「それはそうだが…」
この子、何でナチュラルに下の名前呼び?
チャラ男モドキな七望兄さんすら出来ない芸当だぞ!?
「どうかしましたか?」
「いや、その、下の名前で…」
「へっ?…ああ、同じ名字なのでややこしくなると思って…。ダメでしたか?」
と、姫野は聞き返してくる。
あざとい!あざといぞ、この娘!
しかも、これ間違いなく天然だ!小町達とは違って計算高さを一切感じない…
どうしよう、これ…。助けて雪エもん!
「……………?」
「……いや、それで良い。」
結局、俺は諦めた。妥協、万歳。
俺の座右の銘は『押してダメなら諦めろ』なのだ。押してもダメそうな相手なら、即諦める。
これはかなり大事な事だ。女が相手なら、特に。
「…話を戻しますね。…八幡さんが遭った怪異は、どんな怪異だったんですか?」
「それは…」
俺は言葉に詰まる。
どんな怪異と言えば、隅の隅まで語れるだろう。
だが、それは…
「…すまん。あまり言いたくない。」
「あっ、すみません!聞いちゃいけない事を聞いちゃったみたいで…」
「…気にするな。未だに乗り越えられてない俺が悪いだけだよ。」
そう、これは俺自身のせいであり…
…俺自身が背負うべき呪いであり、罪なのだ。
だからこそ、俺は奴を…
『ハチコマチャンネル♪』
「きゃっ!」
「うおっ!な、何だ、いきなり…」
そんな思考を遮る様に、近くのごみ捨て場の方から変な音声が聞こえる。
しかも、この声は…
『本日の犠牲者を紹介しちゃうよ♪』
『目を離さないでね、お兄ちゃん達♪』
「また、お前か…」
どうやら、この件にも奴が絡んでいるらしい。
続く