やはり俺が『怪異症候群』に巻き込まれるのはまちがっている 作:クロスディア
第24話
「はぁはぁ…また……あの夢?」
あの悪夢から覚めた私は、慌てて氷室さんの元へと向かう。
「……氷室さん!!」
「どうした!?何かあったか!?」
そんな私に、氷室さんは驚いた表情を見せる。
その顔を見て、私は冷静さを少し取り戻した。
人の慌ててる顔を見ると落ち着けるって本当だったんだなぁ…
「あの…その……また、嫌な夢を見てしまって…」
「…そうか。」
と、氷室さんは安心した表情を見せる。
…どうしよう?
もう、このまま一人の部屋で寝るのが怖い。
……そうだ!
「…あの……ここに居ても良いですか?」
「俺は構わないが…君自身、相当疲れが溜まっているだろう?今は無理にでも休んだ方が良いぞ。」
「はい…でも……」
眠るのが怖い。
また、あの悪夢を見る様な気がして…
「一人で眠れないのなら、そこのソファーで寝たらどうだ?」
と、氷室さんが提案してくる。
普通なら断ってたかもしれない。
でも、今はひたすら怖かった。
一人で居る事も、眠る事も…
「…………そうですね。」
そう答えるしか無かった。
眠るのが怖くても、眠気は執拗に私を襲う。
今も、眠くて立っているのがやっとだ。
「酷な事を言うが、君にはしっかりしてもらわないと困るんだ。…怪異の奴等は、人間の消耗した精神に容赦なく入り込むウイルスみたいな物だ。そうなったら、もう他人には手を付けられん。まず君は、立ち向かえるだけの精神力を取り戻す事が大切なんだよ。」
と、優しく私を諭してくれる。
「…分かりました。おやすみなさい、氷室さん…」
「ああ。また、明日な。」
と、私はソファーに寝転ぶ。
そして、寝ようとした時…
「あっ、そうだ。電気は消した方が良いか?」
いえ、大丈夫です…
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【出発します~♪】
う、嘘!そ、そんな…何で!?
【次は挽肉~~挽肉です~~♪】
残酷にも、私への死刑宣告が響き渡る。
(は、早く逃げなきゃ!早く、早く!)
だが、意思に反して身体は動かない。
刻々と、私の身体は勝手にピエロへと近づいていく。
そして、完全に私を挽肉にする為の凶器が届く場所まで来てしまい…
覚めて、覚めて、覚めて、覚めて!さめてさめてさめてさめてさめてさめてさめてさめてサめてさメてさめテサメてさメテサメテサメテサメテサ…
【また逃げるんですかぁ~?無駄ですよ~】
私の目が覚めそうになった瞬間、そんな声が頭に響く。
だが、それと同時に私の身体も動ける様になり…
(きゃぁああ!)
【追いかけっこですか~?負けませんよぉ~♪)
動ける様になった身体で、私は電車の後ろへと逃げ出す。
勿論、後ろからあのピエロが追いかけてくる気配がする。
追い付かれたら、挽肉に…
(そんなの、嫌!)
私は必死に逃げ、何とか一番後ろの車両へと辿り着く。
だが、そこには誰も居らず…
(そんな…)
でも、何とかしなきゃ…
適当なボタンでも押してみて…
『先頭車両のロックが解除されました♪』
色んなボタンを押すと、そんなアナウンスが流れてくる。
そ、そんな…
今、真逆に居るのに…
【うふふ、残念でした~♪ここであ・な・たは~挽肉DEATH~~♪】
(い、嫌ぁ!)
(残念ながら、ミンチにされるのお前の方だ。クソピエロ!)
ピエロが私に襲いかかった瞬間、私達以外の声が電車内に響き渡る。
そして…
【ぎゃふん~!?】
(思ったより、他愛ないな…)
その声、その姿…
何でここに居るかは解らない。でも、でも…
(八幡さん!)
(また怪異に襲われてるな、姫野。お前は怪異サーの姫か何かか?)
…また、八幡さんが私を助けてくれた。
まるで、白馬の王子様の様に…
続く
悪夢にだって救世主は現れる。