やはり俺が『怪異症候群』に巻き込まれるのはまちがっている 作:クロスディア
第3話
美琴「由佳、由佳…」
八幡「………………………」
謎の声に怯えながらも、涙を貯めて目の前に倒れ伏す少女の名を呼び続ける彼女…
その姿が、どうしようもない程に…
『小町!八重!!頼む、死なないでくれ!!!』
重ねてしまう、あの忌まわしい悪夢の過去。
俺が救えなかった、彼女達の姿と…
だが…
八幡「…少しどけ。」
美琴「…………えっ?」
無理やり彼女を退かし、倒れ伏す少女へ近づく。
…聞こえる。ほんの微かだが、呼吸の音がする。
八幡「落ち着いて、胸に耳を当ててみろ。コイツ、まだ息があるぞ。」
美琴「えっ、本当ですか!?」
八幡「こんな事で嘘を吐く理由が何処にある?」
と、少し離れ、彼女に少女の鼓動を聞かせてやる。
耳を当てた彼女の涙は、悲しみの涙から喜びの涙へと変わり…
美琴「い、生きてる。良かった、本当に良かったよぉ…」
だが、安心している暇などない。
…まだ、この少女をこうした元凶は潰せていないのだから。
八幡「…さて、そろそろ行くぞ。」
と、倒れ伏している少女を背負う。
だが、彼女は怪訝そうな目で…
美琴「えっ、何して…」
八幡「このまま此処に寝かせておく訳にはいかないだろ。緊急事態なんだ、背負う位でセクハラだの何だの喚くなよ。」
中学の時、困っている子を手伝おうとしただけで嫌な目で見てくる奴も居たからな。
その後、何故か悪い噂まで流れたし…
美琴「えっと…その……はい。」
八幡「…ならいい。早く行くぞ。」
美琴「ど、何処にですか?」
八幡「…この事態の犯人、元凶の所だよ。」
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俺は少女を背負いながら、彼女と共に真っ直ぐ元凶の所へと向かう。
美琴「場所、解るんですか?」
八幡「…色々あってな。解るんだよ、感覚的にな。」
その精度はGPS並だ。
解りすぎて、嫌になるレベル。
その分、確実に捉えられるから困った物だ。
八幡「この臭いは…」
美琴「えっ、何が臭ってますか?私は何も臭いませんけど…」
八幡「少し覚悟をしておけ、この先には悲惨な物が待ってるぞ。」
そう彼女に告げ、目の前の部屋を開けさせる。
その先には…
美琴「そ、そんな…」
八幡「やはり、か…」
胸を何かに刺され、血塗れになった男が転がっていた。
死の臭いもキツい。俺達がこの家に来る前に、殺されていたのだろう。
美琴「お、おじさん…」
八幡「成る程、この子の父親か。それよりも、俺より前に出るな。」
あの男の死体の元へ駆け寄ろうとする彼女を、制止する。
美琴「な、何で!」
八幡「此処から先は、奴の
そう告げた時、この部屋の襖の内側から…
バン!バンバン!バンバンバン!と、リズミカルな殴打音が響き渡る。
まるで、太鼓の達人だ。
美琴「きゃっ!い、いきなり何が…」
八幡「どうやら、おいでなすった様だ。今回の元凶が。」
その瞬間、襖は吹き飛ばされ中から熊の人形らしき物体が飛び出してくる。
奴は俺達を認識すると、嬉しそうな声で…
???『私…鬼ごっこがしたい♪』
と、告げたのだった。
続く
原点にして頂点…ラリックマ、遂に登場。