小さな捕手と小さな強打者 ~最強のスラッガーを目指して! 外伝~ 作:銅英雄
今日は合宿最終日。大鷲高校と藤和高校との練習試合を行います。まずは大鷲高校との練習試合……この試合は藤原先輩と息吹さんの2人に投げてもらう予定だったのですが……。
「えっ?息吹ちゃんには投げさせないの!?」
「彼女は今私が作った練習メニューをやっています。投げるのはもう少し形になってからですね」
「出来れば実戦を積みたかったけど、瑞希がそう言うんなら仕方ないわね」
「ま、まぁ息吹ちゃんがそれで良いなら、問題ないんだけど……。じゃあ息吹ちゃんの投手練習は瑞希ちゃんに任せても良い?」
「もちろんです。私が息吹さんを今の道に引き込んだのですから」
息吹さんはまだメニューをこなしている途中ですからね。夏大会までに間に合うと良いのですが……。
「その代わりレフトで出場してもらいます。本来なら休養予定でしたが、人数もギリギリで、守れるポジションにも限りがありますからね」
「わかったわ」
大鷲戦のベンチは和奈さんと山崎さん。基本的には和奈さんの長打力に頼りきりにならないようにしています。それに和奈さんのデータを広められないようにするのも目的の1つです。
山崎さんに関しては1から私の捕手姿を見ておきたいそうです。私から何か学べる事があるのでしょうか……?
カンッ!
藤原先輩が投げたストレートを大鷲の選手がショートへ痛烈な当たりを打ち、そして……。
「あっ!?」
遂にやりましたか……。まだまだ今の新越谷野球部は経験不足ですからね。それを公式戦で露呈するよりはマシ……と考えるべきでしょうか。
「すいません。理沙先輩!」
「良いのよ。というかインプレー中に謝罪しない!」
川崎さんのああいうところは後々に正すとして、今は……。
「練習試合ですので、気にせず行きましょう」
「ええ。ありがとう瑞希ちゃん」
「カーブと……あとはスライダーもこの試合の内にある程度制球出来るようにするのが、今日の目標です」
「了解」
まだまだ藤原先輩が投げるカーブとスライダーはぎこちないですが、それがかえって相手打者のタイミングを狂わせてくれます。
『アウト!』
(それと藤原先輩が投げるストレートにはノビとキレがありますね。これはもしかしたら、ジャイロボール取得の条件に足を踏み入れているのかも知れません)
何れにせよ、今はこれで頑張っていきましょう。余裕がある時に、ジャイロボール会得用の教本でも渡しておきましょうか。
藤原先輩は5回投げて、3失点と初登板にしてはまずまずの結果になりました。
「はいっ!」
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
6回からは武田さんが登板。決め球のナックルスライダーを打ちあぐねており、初見では大鷲打線にも有効ですね。武田さん独自の間の抜けた掛け声に関してはスルーの方向でいきましょう。
カキーン!!
息吹さんの代打で出場した和奈さんが場外へとホームラン。相変わらず飛ばしますね。
「ナイバッチ!」
「わ、私もあのようなホームランを打ってみたいです!」
「白菊ちゃんならすぐに出来そうかも……」
しかしその後は打線が振るわず、3対2で新越谷の負けという形で試合が終わりました。
「守備方面ではかなり課題が見えますね」
「そうですね。こう言ってはなんですが、エラーさえなければ、藤原さんの失点を1減らせた筈ですからね」
「それでも初登板で5回3失点は凄いですよ」
「そうだよね~。私なんて10失点が普通だったし!」
(瑞希ちゃんのリード……慎重で保守的かと思ったけど、時々大胆で攻撃的なリードもするんだよね。それに理沙先輩の球威を上手く引き出してた……。私じゃ、こうはいかなかっただろうな)
「さぁ!次の試合に行くよー!」
次は藤和高校のBチーム。この試合は武田さんが先発で、私と和奈さんがベンチスタートです。私は先程の試合とは逆に、山崎さんの捕手としてのあり方を学ぶ良い機会ですね。和奈さんは言わずもがなです。
カンッ!
1番の中村さんが出塁、2番の藤田さんがランナーを進めて、3番の山崎さんがタイムリーヒット。これが今の新越谷の先制得点パターンですね。
カキーン!!
そして最終回に再び和奈さんが代打ホームラン。これも場外弾ですね。
藤和戦も3対2で私達の負けとなりました……。
「皆お疲れ様!今から反省会だよ!」
「今日はエラーが多かったな……」
「先生、帰ったら1000本ノックだって……」
この2試合で川崎さんが2回、藤田さんが1回、息吹さんが1回、大村さんが1回とエラーが目立ちましたね。
「打球が強いわよね……。前進だと思ったら後ろだったり……」
「私は守備のサインが細かくて集中出来ないよ……」
「それも含めての練習試合だよ!大会までには慣れてもらわないと。場合によっては1球ごと……それこそ緊張する暇もないくらい出すからね!」
こうして合宿はつつがなく終了を迎えました……。
「それでは……これで合宿を終了とする。皆お疲れ様」
「試合結果は残念だったけど、格上相手でも形になるのは確認出来たね。それぞれのやるべき事がもっと見えてきたんじゃないかな?これからもじっくりと地力を上げていこうね!」
私自身の打撃の課題と捕手としての動き、そして外野手の練習……。やるべき事をやっていきましょう。
「先生、最後に何かあります?」
「……皆さん。部活も大事ですが、中間テストも忘れずに。勉強も計画的にやっておくように」
『はーい!』
赤点を取ると補習になって、練習どころではないので、全員がやる気を出している事でしょう。
「私は嫌だ~!」
……そうでもありませんでしたね。
ちなみに……。
「か、和奈!中間どうだった?」
「えっ?えっと……」
和奈さんには中学の頃から勉学の方もみっちりと叩き込みましたので、それこそ名門大学に入れるレベルの学力を身に付けさせました。
「う、嘘……。合計870点!?」
中間試験では9教科の科目をやっています。和奈さんの答案を見る限り1、2個ケアレスミスがありましたね。
「み、瑞希ちゃんがいなかったら、赤点取ってたかも……」
「ち、ちなみに瑞希さんは……?」
私にも点数を聞かれたので、成績表をそのまま渡しました。
「ぜ、全教科満点!?」
「凄い。全部満点とか初めて見たよ……」
「学生の本文は勉強……。手を抜く事等ありえません」
「文武両道……尊敬します!」
「稜ちゃん……まさか赤点取ってないよね?」
「そ、それは大丈夫……」
「なーんだ。稜ちゃんが大丈夫なら、皆も大丈夫だね!」
「オーイ!それどういう意味ですか!?」
1番不安そうな川崎さんが大丈夫なら、他の皆さんも大丈夫でしょう。先輩方が赤点取ってるとは思えませんしね。
原作よりも数人が大幅パワーアップ!?そのメンバーは……。
-
珠姫、息吹、詠深、理沙
-
珠姫、息吹、稜、菫
-
珠姫、息吹、希、白菊