小さな捕手と小さな強打者 ~最強のスラッガーを目指して! 外伝~   作:銅英雄

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第25球 それが……瑞希ちゃんの持ち味ですから

梁幽館の吉川さんの対策として、ヨミちゃんとの1打席勝負をする事に。1人1打席ずつやって、私と瑞希ちゃん以外は全員ヨミちゃんと対決を終え、結果は全員三振。本当にヨミちゃんって凄い投手なんだね!

 

「よろしくお願いします」

 

私は最後だから、瑞希ちゃんが先に打席へ。

 

「そういえば……瑞希ちゃんってあんまり打席に入る事がないから、瑞希ちゃんの打力がよくわかってないんだよね。和奈ちゃんは詳しく知ってる?」

 

「えっと……。この場で言えるのは瑞希ちゃんが粘り強い打者だって事と、相手投手の球をよく分析して打つって事かな……?」

 

「……と言うと?」

 

「瑞希ちゃんは1打席目に打つ事は余りないんだよね。投手の球を瑞希ちゃんなりに把握して、それをチームメイトに伝えて、皆の2打席目以降に上手く対応する為なんだって」

 

「成程……。道理で練習試合でも私達が2打席目以降はよく打てると思ったのは、それが原因だったのね。確かに瑞希ちゃんはベンチにいる時でも、私達に相手投手の持ち球や、癖なんかも伝えていたもの」

 

「それが……瑞希ちゃんの持ち味ですから」

 

それでも私達が全然勝ててなかったのは相手チームの対応力が良かったからなんだろうね。瑞希ちゃん的には私がもっと早くに試合に出られてたら……って試合展開もそれなりにあったけど、それがわかっていて最後の方まで出さなかったんだって。新越谷全体の打撃力を見てたのかな?

 

(瑞希ちゃんってどこまで先を見据えてるのかな……?)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

ヨミちゃんの初球はツーシーム。瑞希ちゃんは平然と?それを見送った。

 

(良いコースに決まっていますね。相手打者が手を出してきそうなコースを攻めてます)

 

2球目はカットボール。珠姫ちゃんの話だと、まだまだ使い物にはならないって事みたいだけど……。

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

(カットボールを読まれた!?皆にはまだ投げてなかったのに……)

 

(武田さんの持ち球は合宿時点の分までですが、一応把握しています。どんな球がどんなコースにくるかを比較すれば、カットボールはまだ打ちやすい方です)

 

でもこれで瑞希ちゃんは追い込まれた……。これまでの皆との勝負通りに考えるなら、ここであの球がくるんだよね。1打席につき最低1球は投げるみたいだし。

 

(いくよヨミちゃん。あの球!)

 

(うん!)

 

(ナックルスライダー……そろそろ投げてくる頃ですかね)

 

ツーナッシングから投げられたあの球。ツーシームとカットボールは変化の小さい球だから、変化の大きいあの球が不意に来ると打ちにくい……と言うより空振りを誘いやすいんだよね。欅台との練習試合では最後の1球しか投げてなかったけど、そんな印象を私と瑞希ちゃんは持っていた。だから……。

 

 

カンッ!

 

 

(打たれた!?)

 

『ファール!』

 

(武田さんのナックルスライダーはわかっていても簡単に打てる球ではなさそうですね。私の打力ではこれが限界です)

 

(……もう1度あの球でいくよ!)

 

(了解!今度は三振取っちゃうよ!)

 

(次もナックルスライダーでしょうか……?)

 

 

カンッ!

 

 

(ま、また打たれた……。瑞希ちゃんが言ってたけど、あの球は変化が大きいから、その分見極めがしやすいって。だからこんなにタイミングを合わせてくるのかな?)

 

(むぅ……。どうしようか?)

 

(それならもう1つ……あれを投げるよ!)

 

(えっ?でもあれはまだ調整段階だって……)

 

(だから瑞希ちゃんに投げるんだよ。瑞希ちゃんの視点からアドバイスとかもらうの)

 

(わ、わかった……)

 

な、なんかヨミちゃんと珠姫ちゃんがサインで長いやり取りしてたけど、何か新しい球を投げるのかな……?

 

(い、いくよタマちゃん……!)

 

(こい!)

 

珠姫ちゃんが構えたところにヨミちゃんが投げたのは……。

 

(ストレート……?いえ、これは……!)

 

 

ガッ……!

 

 

み、瑞希ちゃんが打ち上げた!?

 

『アウト!』

 

珠姫ちゃんが打ち上げた打球をキャッチ。瑞希ちゃんとの1打席勝負もヨミちゃんが勝ったんだけど……。

 

「……成程。最後に武田さんが投げたのは柳大川越との練習試合で数球投げた武田さん本来のストレートでしたか」

 

「い、今のがヨミ本来のストレートなのか?」

 

「さっきまで投げてたストレートと余り変わっているようには見えないけど……」

 

「実際に打席に立ってみないと実感出来ないと思いますよ。私に投げてきた球はそういうものです」

 

そ、そうか……。その時に私がヨミちゃんの本来のストレートはもっと威力がある……みたいな事を珠姫ちゃんと芳乃ちゃんに言ったんだ。

 

「柳大戦を終えてヨミちゃんと2人で練習してきたんだ。それで今実戦で投げても大丈夫なレベルなのかを瑞希ちゃんに判断してほしかったの」

 

「ど、どうかな瑞希ちゃん……?」

 

珠姫ちゃんとヨミちゃんが尋ねると、瑞希ちゃんは少し考えてから……。

 

「……そうですね。ナックルスライダーと上手く使い合わせれば、今の時点でも良いところまで行けると思います」

 

「そうなの!?」

 

「あ、あとで私にも投げて!」

 

瑞希ちゃんの言葉に何人かは驚いて、希ちゃんはあとで投げてほしいとせがんでいた。私も打ってみたいな……。

 

「ですがこれはまだ未完成なんですよね?」

 

「……うん。まだ改良出来るって思ってる。このストレートを中心に、あの球や他の球種も」

 

「ま、まだ未完成なんだ……」

 

「ヨミってどこまで成長するのかしら……?」

 

端から見たら成長が見え隠れしてるようにも見えるけど、あの時瑞希ちゃんに投げたストレートで一気にヨミちゃんの成長が見えてきた気がしたよ。

 

「も、もしもあの球や他の変化球がさっきのストレートみたいな感じで投げられたら、その時の私は……瑞希ちゃんから見てどこまで行けそう?」

 

再びヨミちゃんが瑞希ちゃんに質問。その答えは……?

 

「……キチンと物に出来れば、全国でも通用するでしょう」

 

「ほ、本当に!?」

 

「はい。……とは言えまだ時間が掛かりそうなのも事実。この夏大会には間に合わないでしょう」

 

「……まぁそうだよね」

 

「ですのでこの夏大会では武田さんの球が更なる成長を成し遂げるように、色々試していきましょうか」

 

「そうだね。私もヨミちゃんの為に頑張るよ」

 

「その粋です」

 

な、なんだか良い感じにまとまってきてる……。

 

「では最後に和奈さんを相手に、武田さんの集大成をぶつけてください」

 

あっ、そういえば私もヨミちゃんと1打席勝負をするんだった。瑞希ちゃんの話に皆気を取られてたよ……。

 

「和奈さん程の打者は全国でも中々いませんので、もしも和奈さんを抑える事が出来れば……武田さんは全国トップクラスの投手となるでしょう」

 

あれ?なんだか私にもプレッシャーが来てない?気のせい?

 

「よーし!和奈ちゃんも抑えて、全勝を目指すぞ~!」

 

「頑張ろうね!」

 

ま、負けられない。私も頑張らなきゃ……!ヨミちゃんに完勝するつもりで!

原作よりも数人が大幅パワーアップ!?そのメンバーは……。

  • 珠姫、息吹、詠深、理沙
  • 珠姫、息吹、稜、菫
  • 珠姫、息吹、希、白菊
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