小さな捕手と小さな強打者 ~最強のスラッガーを目指して! 外伝~   作:銅英雄

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第26球 引っ掛かる方が悪いのです

武田さんの新越谷野球部員の1打席勝負。最後は和奈さんが打席に立ちます。

 

(えっと……。瑞希ちゃんは威圧感を剥き出しにしても良いって言ってたよね……?)

 

 

ズズズズ……!

 

「「!?」」

 

(な、なんてプレッシャー……。これが瑞希ちゃんの言ってた全国トップクラスの打者が放つ威圧感なの!?)

 

(ひ、冷や汗が止まらない……)

 

武田さんは冷や汗をかいており、山崎さんは和奈さんが放つ威圧感に驚いています。予想通りの反応をしてくれますね。それに……。

 

「こ、これが和奈ちゃんなの!?」

 

「ふ、普段の和奈とは別人だ……」

 

「で、でも今までの練習試合では和奈ちゃんからそんなの感じなかったわよ?」

 

先輩3人は三者三様の反応を見せていました。まずは藤原先輩の疑問から答えましょう。

 

「それは和奈さんに威圧感のオンオフを完璧に出来るように練習していたからです。新越谷に入ってからの和奈さんは練習試合において最終回の、最後に代打として出場し、打席に立ちます。この時の和奈さんは威圧感を完全に断った状態です。和奈さん本人は無の境地と呼んでいましたね」

 

「た、確かに代打に立った和奈ちゃんは全く圧を感じなくて、そんな和奈ちゃんが自然にホームランを打つのは凄いって思ったわ」

 

「あのように和奈さんは低身長なので、大半の相手は油断をしてくれます。その油断が原因で相手投手はほんの僅かに甘く入る傾向がありました。そんな和奈さんに対して一切の油断がなかったのは柳大川越だけでしたね」

 

あの時も和奈さんは場外弾を放ちましたが、朝倉さんのピッチングと、浅井さんのリードは3球勝負を決めに行こうとしつつ、和奈さんを全力で抑えに行っていました。他の相手は先程述べたように多少の油断慢心がありました。

 

「代打に入ったのが低身長の和奈で、私達新越谷の人手不足からそんな選手しかいないのか……という油断を誘っているのか?」

 

「流石にそこまで愚かな考えは持っていないと思いますが、和奈さんは緊張しやすいので、ガチガチになって打席に立つ姿から相手は警戒心が無意識になくなっていきます」

 

まぁいわゆる不意討ちの騙し討ちに過ぎませんけどね。単純明快ではありますが、引っ掛かる方が悪いのです。

 

「ちなみに……今の和奈は本気の本気って事なのかしら?」

 

「現状の和奈さんは0かMAXしかありませんので、威圧感を最大に引き出しています。つまり……これから見られるのは和奈さんの本気ですよ」

 

その内威圧感のコントロールをした方が良いんでしょうか……?

 

「…………!」

 

(ま、まずは外角高めにストレートを!)

 

(う、うん!)

 

初球は高めにストレート。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

(み、見送った……?)

 

(まだまだ油断は出来ない……。今度は同じコースからあの球を!)

 

2球目に投げられたのはナックルスライダー。1球目と同じコースなので、空振りを誘いやすいですね。ですが……。

 

 

カキーン!!

 

 

(えっ!?)

 

(い、いつバットを振ったの!?全くわからなかった……)

 

『ファール!』

 

打球はギリギリライト線に切れましたか……。それにしても場外まで飛んでいきましたね。

 

(そ、それなら、瑞希ちゃんを抑えたストレート……。これで和奈ちゃんを打ち取るよ!)

 

(不意に投げられるあのストレートで、瑞希ちゃん同様に詰まらせる……!)

 

3球目は外角……それも私や和奈さんからは届きにくいコースへ。投げたのは私を打ち取った武田さん本来のストレートでしょうか?

 

「…………!」

 

(えっ!?)

 

(ふ、踏み込んできた!?)

 

和奈さんは外角に投げられる事を予め予測して、バッターボックスいっぱいに踏み込みました。最初から和奈さんが苦手とする外角高めに狙いを絞っていましたか……。

 

 

カキーン!!

 

 

打球はセンターへ一直線。またもや場外へと消えていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~あ。全勝とはいかなかったか~」

 

「最後の1球は完全に狙われてたね……」

 

「和奈ちゃんが踏み込んできた瞬間に『打たれる!?』って思っちゃったもん」

 

「私も……。『これはヤバい!』って思ったよ」

 

和奈さんとの勝負を終えて、反省会。武田さんも山崎さんも和奈さんに打たれる瞬間をわかってしまったようで……。

 

「梁幽館の中田さんも同様に、打つ瞬間になると和奈さんのように圧を放ちます。中田さんと勝負する事になったら、今の和奈さんを思い出してくださいね」

 

「勝負する事になったらって……?」

 

「中田さんと勝負をするのは3打席目以降……。それまでは敬遠で歩かせてください」

 

「あ、歩かせるの!?」

 

私の提案に武田さんは驚く。芳乃さんは私の言いたい事をわかっているのか、勢い良く首を縦に振っていました。

 

「理由は2つあります。1つは単純に武田さんが中田さんを抑え切る実力がないから、もう1つは威圧感を放つ打者との勝負は体力をかなり消耗するからです」

 

「1つ目はわかるけど、2つ目の理由を聞いて良い?」

 

「ひ、1つ目はわかるって……。タマちゃん酷い……」

 

何やら落ち込んでいる武田さんは無視して、山崎さんの質問に答えましょうか。

 

「では先程和奈さんと勝負してみてどうでしたか?」

 

「そういえば……2球目にあの球を投げた時、若干コントロールが乱れていたような……」

 

「威圧感打者と勝負する時の特徴の1つですね。圧を放たれた投手は制球力を乱します。では武田さんは他の人達と比べて、和奈さんと勝負してどうでしたか?」

 

「なんか妙に疲れたかなって思ったよ」

 

「今武田さんが言ったように、威圧感打者に対して球数を費やすと、いつもよりも早くスタミナ切れが訪れます。これが中田さんとの勝負をギリギリまで避ける理由ですね」

 

「成程……!」

 

私の話を息吹さん、藤原先輩、川原先輩が何やらメモを取っていました。こんな話が参考になったなら幸いですが……。

 

「ねぇ芳乃ちゃん」

 

「どうしたの?」

 

「もしも私達が初戦を勝ち抜いたら……」

 

なにやら山崎さんが芳乃さんに耳打ちをしていました。私が気にする話では……ないんですよね?

原作よりも数人が大幅パワーアップ!?そのメンバーは……。

  • 珠姫、息吹、詠深、理沙
  • 珠姫、息吹、稜、菫
  • 珠姫、息吹、希、白菊
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