小さな捕手と小さな強打者 ~最強のスラッガーを目指して! 外伝~   作:銅英雄

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第2球 1球1球に想いを込めて……!

「あ、あの!に、入部希望です!」

 

大村さん(グラウンドに向かう途中に自己紹介をした)に連れられて、私と中村さんは野球部の皆と向かい合う。ま、また緊張してきたよ……。

 

「……主将の岡田怜、2年生です。名前とポジション等の紹介をお願いします」

 

主将の……岡田先輩の自己紹介が終わって、次は私達の番。最初は大村さんから……。

 

「お、大村白菊です!中学までは剣道部で、野球は初心者です。なのでポジションとかはまだ……」

 

(剣道部だったんだ……。どこか気品を感じるとは思ってたけど、剣道が影響してるのかな?)

 

でもなんで野球部に入る事になったんだろう……?

 

「……どこかで会った事あるかしら?」

 

「いえ?」

 

大村さんって有名人なのかな?でも私もテレビか何かで見た事があるかも……。なんだったかな?

 

「剣道かぁ……。良いね!下半身も鍛えられてるよ!」

 

部員の1人が大村さんの下半身をチェックしていた。でも確かに剣道をやっていただけあって、安定した強靭な下半身だと遠目で見て思う。私もあんな風に出来てるかな……?

 

「次、左隣の子も良い?」

 

「はぁ……」

 

中村さん、なんか元気がない……。どうしたのかな?

 

「中村希……。ファーストと外野してました。でもここに入部するつもりは……」

 

中村さんはどうにも入部するつもりはないみたい。私も……瑞希ちゃんの後押しがなかったら、尻込みして、逃げ続けていたのかな……?

 

「中村さんってもしかして左打ち?」

 

「えっ?うん……」

 

「おてて見ても良い?」

 

な、なんだろうこの光景?金髪ボブカットの子が中村さんの左手を見てる……。

 

「やったぁ!新越谷は今、左打者が1人もいないんだよ。あっ、新しい豆もある!春休みもバット振ってたんだ……」

 

どうやら春休みに出来た豆で素振りをしていたかどうかがわかるみたい。でも私はあんまり豆が出来ないんだよね。体質の違い?

 

「始まったわね……」

 

ボブカットの子のお姉さんらしき人がため息を吐いていた。これって定番のやりとりなのかな?傍目で見ると結構異様な光景だけど……。

 

「それじゃあ最後の子も自己紹介お願いね!」

 

(あっ、私の番だ……)

 

緊張はあんまり解れてないけど、落ち着いてやれば大丈夫な筈。自分を信じて……!

 

「き、清本和奈……です。野球をやっていたのは小学生までですが、その時のポジションはファーストとサードを任されていました……」

 

だ、大丈夫だよね?変な事を言ってないよね……?

 

「!!」

 

あれ?さっきまで中村さんの手を見ていたボブカットの子が私の下半身……?を見て驚いてる。何かあったの?

 

「き、清本さん!本当に小学校で野球辞めたの!?」

 

「え、えっと……。実は中学の頃は訳ありでチームに入れなかったんです。それからは瑞希ちゃん……友達に勧められて下半身強化と素振り、筋トレを中心に少しずつ……」

 

「ほぁぁぁ……!」

 

「よ、芳乃?一体どうしたのよ?」

 

芳乃ちゃんっていうんだ……。さっきの大村さんや中村さんの鍛え方を推測してた事からその分析力は瑞希ちゃんにも負けてない。こんな凄い子がいたんだね……。

 

「く、詳しい事は清本さんのバッティングを見てからだよ!もちろん中村さんと大村さんも一緒に!」

 

(な、なんか妙な事になってきた……)

 

(これからバッセン行こって思っとったし、丁度良いや。お金も浮くし……)

 

(バッティング……楽しみです!)

 

私達3人は着替えて、中村さん、大村さん、私の順番で打つ事になった。

 

「お願いします……」

 

「じゃあお手並み拝見といくか!」

 

マシンのセットが終わって、1球目……。

 

 

カンッ!

 

 

「ひっ!」

 

中村さんの打った打球はピッチャー返し。でも今の打ち方的に多分狙って打ってるよね……。

 

その後も中村さんは10球連続でピッチャー返しを打ち続けた。

 

「中村さん!中学はどこのチームだったの!?」

 

「箱崎松陽……福岡」

 

「福岡……野球王国!」

 

福岡かぁ……。そういえば瑞希ちゃんも福岡の野球チームは要チェックしてたような……。中村さんもその1人なのかな?

 

「でも驚いたな。新越谷がまだ越境組を取っていたとは……」

 

「ち、違うよ。埼玉来たのは親の仕事とかでたまたま……。本当は全国目指せるとこで野球したかったっちゃけど、でもここの野球部の事をよく調べんで入ったけん、入部する気は……」

 

……私もこの野球部の事はあんまり知らない。そういう情報収集とかは全部瑞希ちゃんがやってくれたから。

 

「中学の皆と約束したのに……。全国大会で会おうって」

 

「全国……」

 

(このチームじゃ現実感ないわね……)

 

(全国……。瑞希ちゃんは入るべき人間が入ったなら、全国出場は最低でも保障されるって言ってたけど、実際にはどうなんだろう……?)

 

「ガールズで全国経験のある珠姫はどう思う?」

 

「私に振らないでくださいよ……」

 

(ぜ、全国!?この子が!?)

 

全国経験がある人からなら信憑性は高いと思う。中村さんも食い気味で見てるし……。

 

「ここは参謀の芳乃ちゃんが……」

 

(こんなところでも凄い選手は一応入って来るったい……)

 

「このチームのレベル?うーん……。3人が入ってくれたとして、全国出場……もしかしたらそれ以上も行けそうかも」

 

(えっ……。そんなに?)

 

(やっぱり……。瑞希ちゃん並の眼を持ってる……!)

 

芳乃ちゃんと瑞希ちゃんは色々と気が合いそうかも知れないね。

 

「またまたぁ」

 

「それは嘗め過ぎじゃないかしら」

 

「嘗めてないよ?そっちこそ、自分を過小評価するのも良くないよ」

 

「そ、そうね……」

 

「尤も3ヶ月みっちりと練習して、運も良かったらの話だけどね」

 

本当に瑞希ちゃんみたいな事言ってる……。この言葉は信用出来そうかも。

 

(なんでかいな。この子は信用出来る気がする……!)

 

「じゃ、じゃあ1年後はどうなるかいな!?」

 

「そんなに先の事はわからないよ」

 

「全国優勝出来るっちゃないと!?」

 

「他の学校の事情も変わるし……」

 

中村さんと芳乃さんが話している間に、次は大村さんの番。

 

「大村さんは初心者だったわよね。スイングとかは大丈夫?」

 

「はい、一応……」

 

大村さんの構えは初心者とは思えないくらい様になってる。この構え方はもしかして……。

 

「お願いします……!」

 

マシンが放つストレートに対して、大村さんはフルスイング。

 

 

カキーン!!

 

 

け、剣道で使われた手首を利用して打ったのかな?凄いパワーだよ。打球も金網に直撃したし……。

 

「バットに当たりました!凄く良い感触……」

 

「嘘……。当たったってものじゃないわよ」

 

(今の感触を忘れない内に……!)

 

「次、お願いします!」

 

しかし2球目以降、大村さんのバットは空を切り続けた。

 

「なんだ、さっきのはマグレ当たりか……」

 

「そのようです……」

 

でもあれを物にすれば、大村さんはグッと成長出来ると思う。私がそう思うくらいなんだから、瑞希ちゃんならきっとそれ以上の事を思っている筈……!

 

(な、なんで初心者が……!私でもあんなに飛ばした事ないのに~!)

 

「あっ、思い出した!大村白菊さん!道場の娘で、剣道の全国優勝とかでテレビで見たわ!」

 

(ぜ、全国優勝……!)

 

私もそのワンシーンを見たのかな?偶然目に入っただけだから、おぼろ気だけど……。

 

「でもそんなに強いのに、続けなくても良いの?」

 

「元々は野球がしてみたかったんですよ。幼い頃に見た高校野球の試合で凄く感動して……。でも厳しい家でしたから、去年までは剣道に尽くしました」

 

それで全国優勝まで実現させたんだ……。大村さんって本当に凄い人なんだね。

 

「……という訳で高校からですけど、よろしくお願いします」

 

大村さんも打ち終わって、いよいよ私の番まで回ってきた。

 

「よ、よろしくお願いします……!」

 

対人戦(マシンだけど……)は小学校以来だけど、バッセンには週に2回行ってるから大丈夫……な筈。

 

「おお~!それってマイバット?」

 

「しかも木製だぜ!」

 

「う、うん。一応……」

 

(身体の作りでわかってたけど……こ、これは清本さんの実力はかなりのものかも……!)

 

右打席で構えて、心を落ち着かせる。

 

(バッティングの基本、1球1球に想いを込めて……!)

 

打つ!!

 

 

カキーン!!

 

 

『!?』

 

飛距離は大村さんと同じくらい……かな?上手くいったかな?

 

「す、凄いです!」

 

「つ、続けるぞ……?」

 

 

カキーン!!カキーン!!カキーン!!

 

 

「ぜ、全球センターの金網に直撃……。もしかして狙って打ってるの!?」

 

「い、一応……。瑞希ちゃんには広角に打てるようにした方が良いって言われてたので……」

 

「これは即戦力だよ!皆も負けないように頑張ってね!!」

 

(やっぱり清本さんの実力は本物だった……。これは皆にとっても良い刺激になりそうだね!)

 

(ま、負けられん……!)

 

「和奈ちゃんと白菊ちゃんには負けんけんね!」

 

『えっ!?』

 

拝啓瑞希ちゃん、野球部に入っていきなりライバル認定されました……。

 

「ん……?何か落としたぞ?」

 

「あっ、私の入部届け……」

 

後で渡すつもりだったけど、今渡しておこうかな……。

 

「あれ?でも2枚あるよ?『二宮瑞希』……?さっき和奈ちゃんが言ってた瑞希ちゃん?」

 

し、しかも間違えて瑞希ちゃんの分の入部届けも持って来ちゃった!あっ、瑞希ちゃんから通知……。

 

『何故私の入部届けまで持って行ったのですか?』

 

(ひえっ……)

 

この日……私達3人の入部と同時に瑞希ちゃんが幽霊部員になりました(後で瑞希ちゃんにこってりとお説教されました……)。




瑞希「さて、言い訳を聞きましょうか?」

和奈「お、お守りとして……」

瑞希「そのお守りを和奈さんがうっかり落としたせいで、私の印象は悪くなった訳ですが……?」

和奈「ご、ごめんなさい……。でも瑞希ちゃんが野球部に合流するのっていつ頃になるの?」

瑞希「本来なら原作で言うところの柳大川越との練習試合の後を考えていたのですが、こうなってしまっては展開を変えるしかないですね」

原作よりも数人が大幅パワーアップ!?そのメンバーは……。

  • 珠姫、息吹、詠深、理沙
  • 珠姫、息吹、稜、菫
  • 珠姫、息吹、希、白菊
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