小さな捕手と小さな強打者 ~最強のスラッガーを目指して! 外伝~   作:銅英雄

33 / 60
第32球 そんなオカルトあり得ません

大宮公園野球場……。この球場で埼玉県予選が行われます。

 

「見渡す限りの……野球選手!!」

 

「テレビや漫画で見るのと遜色ない風景です!あっ、あの方は私と同じ10番です!」

 

「あの6番デカいな!」

 

「もう……。はしゃぎ過ぎよ」

 

「まぁ緊張するより良いか……」

 

「そうですね」

 

かといって遠足やピクニック気分で来る場所でもないとは思いますが……。

 

「…………」

 

「どうかしましたか?」

 

「瑞希ちゃん……。やっぱり2番の選手は体が大きい人が多いなって……」

 

「確かにそうですね。ですが体の大きさが全てではありません。山崎さんは山崎さんのリードを見せれば良いのです」

 

「そうだね。ありがとう……」

 

それを言ってしまえば私や和奈さんのような低身長の選手達に人権がなくなってしまいます。

 

「そういえばヨミ達、トイレ遅いな……」

 

「どうせ油売ってますよ」

 

「あれ?和奈ちゃんもいないね?」

 

「和奈さんはいつものですね」

 

「いつもの?」

 

「小学校の頃にあった野球大会の開会式……選手入場等のプログラムが行われる度に、人混みが苦手なのと、緊張により時間ギリギリまで木陰の方で休んでいますからね。迎えに行ってきます」

 

この会場付近だと……あそこですかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うう……。こういう行事の度に気分が優れなくなるのをなんとか治したいよ。皆にはトイレって言ってるけど、瑞希ちゃんにはバレてるだろうし……。

 

(えっと、確かこっちの方だよね……?)

 

『!?』

 

皆が心配する前に早く戻らなきゃ!

 

「やはりここにいましたか」

 

「瑞希ちゃん!……やっぱりお見通しなんだね」

 

「和奈さんとの付き合いは長いですからね。この大宮公園野球場の付近だとこの木陰にいると判断しました」

 

「心配……掛けちゃった?」

 

「私はもう慣れましたよ」

 

瑞希ちゃんに苦労を掛けない為にも、この癖を治さなきゃ……。その内大事になったら嫌だもんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タマちゃん。その人は……?」

 

「お、おかえりヨミちゃん。えっと、この人は……」

 

皆のところに戻ると、そこには梁幽館の吉川さんがいました。何が私達がいない間にあったのでしょうか?

 

「あ、あわわ。修羅場だよ。昼ドラだよ……」

 

「そんな事はないでしょう。和奈さんはドラマの見過ぎです」

 

「み、瑞希ちゃんに和奈ちゃんも!?いつの間に戻ってきたの?」

 

「つい先程ですが……」

 

そういえば山崎さんと吉川さんは美南ガールズではバッテリーを組んでいましたね。吉川さんからすれば、山崎さんとは久し振りの再会という事でしょうか?梁幽館は寮生活とも聞きますし。

 

「そっかそっか!貴女が新越谷の1番さんね?梁幽館の吉川和美です。美南ガールズでは珠姫とバッテリー組んでました~」

 

「武田詠深です。『今は私が』タマちゃんとバッテリー組んでます。よろしくお願いします~!」

 

「こちらこそ~!」

 

「あわわわ。ヨミちゃんと吉川さんからなんだか炎が見えるよ。やっぱり修羅場だよ……」

 

「気のせいです。そんなオカルトあり得ません」

 

一体和奈さんにはどういう光景に見えているのでしょうか?

 

「珠姫ってさ、めっちゃ投げやすいでしょ?昔からそうなんだよね!」

 

「『うちのタマちゃん』、良い音で捕ってくれるし、気持ち良いです~」

 

「年下のくせに強気なリードでさ、私はいつも従わされてたよ」

 

「わ、私はいつも引っ張ってもらってます!」

 

「試合の後は反省会したいとか言って付いて来るのが可愛かったなぁ!」

 

「いやいや!試合の後に限らず、いつも一緒にいたいって言ってくれますけど!?」

 

「捏造で張り合わないで!ベタベタしてくるのはアンタ達でしょうが……」

 

このやり取りを見てると、武田さんと吉川さんは似た性格をしていますね。もしも経緯が違えば仲良くなっている事でしょう。

 

「まぁ珠姫がいなかったら、今の私はなかったから……。感謝してるよ」

 

「私もです。タマちゃんがいなかったら、私はここにいなかったし……」

 

武田さんも、吉川さんも、昔に山崎さんと組んだ経緯があったから、今の2人がいる訳ですね。2人の成長には山崎さんの頑張りも混ざっていそうです。

 

「いたいた!和美、早く戻るわよ。目を離すとすぐいなくなる!」

 

「ごめん!もう帰るよ」

 

吉川さんを迎えに来たのは梁幽館の正捕手の小林さんですね。去年の秋頃からレギュラーに食い込む実力の持ち主です。

 

「珠姫!武田さん!続きは試合で語ろっか。初戦勝ちなよ!」

 

「言われなくたって!」

 

「どうも、失礼しました」

 

「ところで武田さん、珠姫とお風呂入った事ある?凄いんだよ!」

 

「そ、そのくらい私だってあります!」

 

「なに!?」

 

「いいから、早く来なさいよ!」

 

「わ、わかったってば!」

 

吉川さんは小林さんに引っ張られて、嵐のように去りました。

 

「ねぇ、珠姫ってなんで新越谷に来たの?」

 

「別に……学力とか、家の近さとか……」

 

「でも梁幽館に誘われてたんだろ?」

 

「まぁ強豪校に行っても、野球を楽しめるかどうか不安だったしね……。でも今は好きだよ。野球も、このチームも!」

 

私や和奈さんも山崎さんのように強豪校で野球をしようとは思いませんでしたね。朱里さんも梁幽館や咲桜にスカウトが来てたという話でしたが、断っていましたし、自分の環境に合った場所で野球をするのが1番成長すると思います。

 

『まもなく選手入場を開始します』

 

「い、いよいよ入場ね……」

 

「出陣ですか!」

 

「これからテレビに映るよ!強いチームは行進も良い!左右は私に、テンポは演奏に合わせて格好良くね!」

 

「よし……行くぞ!」

 

『おーっ!!』

 

夏大会……今の私達はどこまで通用するでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おー、映ってる映ってる!」

 

「皆の晴れ舞台格好良い!」

 

「それにしても13人だとやっぱ目立つよな……手足が同時に出てる奴!」

 

「「はううう……!」」

 

息吹さんと大村さんは手足が同時に出てましたね。これからは幾度もこういう機会があるので、早めに慣れてほしいところです。

原作よりも数人が大幅パワーアップ!?そのメンバーは……。

  • 珠姫、息吹、詠深、理沙
  • 珠姫、息吹、稜、菫
  • 珠姫、息吹、希、白菊
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。