小さな捕手と小さな強打者 ~最強のスラッガーを目指して! 外伝~   作:銅英雄

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第36球 これ以上やったら先生が死んじゃう!

「ではいきますよ!」

 

 

カキーン!!

 

 

藤井先生のノックですが、いきなりホームランを打ってきました。力みからのミスとは考えにくいですが……。

 

「ホ、ホームラン……でしょうか」

 

(ライトスタンドへ飛ぶホームラン……。これを切欠に打線が爆発するデータが春大初戦の梁幽館にありましたね。これはその状況を模したノック……という事でしょうね)

 

(あの表情……二宮さんはもう気付きましたか。流石ですね)

 

「次!」

 

 

カンッ!

 

 

次の打球は二遊間を抜ける鋭いゴロ。これも上手く再現出来ていますね。

 

(しかし今のゴロはプロの二遊間でも捕れそうにないぞ……)

 

(先頭打者ホームランに、センター前ヒット……。これってまさか!?)

 

(それなら次の打者はバントを仕掛けてくるでしょう)

 

「……ピンときたのが2人だけですか。今日は帰れませんね」

 

「ノーアウト一塁ですので、内野陣は併殺体制を組んでください」

 

(……と口で言いつつ、別のサインを内野陣に出しておきます)

 

(これは……!)

 

(バントプレスの……)

 

(サイン……!)

 

(……というか今更ですが、何故私が捕手の守備位置に付いているのでしょうか?梁幽館との試合は山崎さんがマスクを被る筈でしたが、その山崎さんはサードに入っていますし……)

 

藤井先生が打球を打たずにポトリとボールを落とす。これがバント代わりでしょうか?

 

「2つ、お願いします」

 

「任せて!」

 

 

バシッ!

 

 

「1つ!」

 

「アウト2つ……取れましたか?」

 

「……良いでしょう。次!」

 

 

カキーン!!

 

 

「左中間!」

 

(くっ!いけるか……!?)

 

 

バシッ!

 

 

「ナイスキャップ!」

 

(今の打球は抜ける可能性が高かったですが、岡田怜の真骨頂である守備力が活かされた好プレーでしたね)

 

「抜くつもりで打ちましたが、やりますね」

 

「これは春の大会……初戦の梁幽館の攻撃ですね?」

 

「ええ。ぶっつけ本番で当たるよりも、相手打線を追体験して、1つ上のプレーをしておく事で、多少の自信にはなるでしょう。尤も二宮さんには先頭打者ホームランの時点で気付かれてしまいましたが……」

 

「まだあくまでもあの段階ではその可能性がある……という程度でした。私ならああする、こうすると新越谷の守備力を考慮しつつ、頭の中で考えた結果……2番打者には出塁させて、3番打者で併殺を取った方が確率は高かったと思いました」

 

実際に春大会に出場していた2番打者よりも、3番打者の方が打率は低かった訳ですからね。安定した攻撃の中に隠れている奇襲……梁幽館の攻撃は全国でもトップクラスでしょう。

 

「次、2回表!いきますよ!」

 

(確かに……残された時間でやれる事の中では最も効果的かも)

 

「梁幽館ノックだか知らねぇが、楽勝だぜ……」

 

「足が震えてるわよ」

 

「で、でも6試合分で結構ピンチを防いだと思うよ!」

 

「そうだな。これなら次の試合では良い感じに戦えるかもな」

 

確かに全体の守備力が底上げされているのが伝わってきますね。

 

「さぁ、水分補給をしたら散りなさい。関東大会の分もありますからねぇ」

 

「ま、まじ……?」

 

そう言う藤井先生の足は震えていました。先程の川崎さん以上ですね。

 

「……続きは明日にしましょうか」

 

「こ、これ以上やったら先生が死んじゃう!」

 

「うぅ、無念……!」

 

(ほっ……)

 

新越谷を卒業してからは余り身体を動かしてこなかったのでしょうか?そういえば合宿の時も筋肉痛で嘆いているのを目撃しましたが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新越谷高校が次の試合の対策をしている中、梁幽館高等学校では……。

 

 

ズバンッ!

 

 

「よし!今日はこのくらいにしとくか!」

 

「調子は良さそうね」

 

「私はいつも絶好調さ。それに相手は……」

 

「次の相手は新越谷高校です。かつては強豪校でしたが、例の不祥事により今春まで活動自粛……。今は1年生を中心とした新チームですし、先日の試合以外はノーデータですが、停部明けは県外の有力校と活発に練習試合をしていたようです」

 

「最初の難関……宗陣を突破出来た事で、しばらく楽な相手が続くと気が緩んでいる事だろう」

 

梁幽館の主将……中田奈緒の発言に数人が目を逸らす。

 

「だがそれは必ずしも悪い事ではない。格下と思えるのは……激しい練習に耐え、強者の自覚を持っているからだ。ただ野球をナメるな。何があるかわからん……。自信を持っていつも通り勝つぞ!」

 

『おおっ!』

 

「……それに初戦のデータを見れば、新越谷に対する油断はなくなってくるでしょう」

 

「そういえば試合結果しか聞いてなかったな。新越谷はどんな勝ち方をしたんだろう……」

 

「私と友理で新越谷との試合を観に行ったが……あれは一方的だった」

 

「い、一方的!?どういう事だよ!?」

 

「それは映像を見た方が早いかと……」

 

梁幽館の戦略担当マネージャーの高橋友理が新越谷と影森の試合を撮った映像を部員の皆に見せた。

 

「うわっ!今のプレー上手くない?バスターエンドランを阻止した……」

 

「幸い肩はそんなに強くないから、盗塁は難しくなさそうだけど……」

 

「あれ……?珠姫がマスクを被ってない。サードを守ってる!?」

 

「新越谷のサードと知り合いですか?確かに背番号は2番を付けていますが……」

 

「ガールズが同じだったんだけど、強気なリードと捕逸0のかなり優秀な捕手だよ。私の暴投なんかも全部止めてた……。そんな珠姫を差し置いて、マスクを被ってるあの13番何者だよ!?」

 

梁幽館の2番手投手の吉川和美が新越谷の13番である二宮瑞希がマスクを被ってる事に驚いていた。

 

「……彼女は、二宮瑞希。私が小学生の頃に入っていたクラブチームと対戦した相手チームの正捕手です」

 

ポツリと、高橋は二宮の正体を洩らした。




和奈「後半は梁幽館sideだったね」

瑞希「次回はこの小説初の三人称(梁幽館)sideで話が進みます」

和奈「そこでは高橋さん達から見た瑞希ちゃんの印象とかが語られるよ」

瑞希(多分和奈さんの印象なんかも語られそうですね)

瑞希「文字数が今回よりもかなり短くなると思いますが、三人称sideをお楽しみください」

原作よりも数人が大幅パワーアップ!?そのメンバーは……。

  • 珠姫、息吹、詠深、理沙
  • 珠姫、息吹、稜、菫
  • 珠姫、息吹、希、白菊
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