小さな捕手と小さな強打者 ~最強のスラッガーを目指して! 外伝~ 作:銅英雄
主将同士のじゃんけんの結果、私達は先攻となりました。先制点を取って勢いを付けたいところですね。
「おーい!」
ふと球場から声が聞こえたので、見上げてみると……。
「応援に来たよ~!」
「良い試合を期待してるよ」
雷轟さんと朱里さんと……もう1人連れて来てますね。同じ日の出高校の部員でしょうか?
「あれ?そっちの子は?」
武田さんが全員思っている疑問を2人に尋ねる。
「この子は真ちゃんだよ!」
「それ紹介になってないから……。新宮寺さん、自己紹介をお願いしても良い?」
「う、うん……」
新宮寺さんと呼ばれる方が朱里さんと雷轟さんの前に立つ。
「日の出高校1年、新宮寺真です!本格的な野球経験は今年からですが、部員ナンバー1を目指して日々頑張ってます!よろしくお願いします!!」
「彼女も初心者なのか?」
「初心者に間違いないですが、新宮寺さんは今の野球部の中では1番の成長株です。期待出来ますよ」
「朱里ちゃん!私は私は!?」
「……雷轟はエラーが目立つからね。その点新宮寺さんは雷轟のようなミスはしないし、成長速度は凄まじいし、現時点でもプロレベルの力はあると思ってるよ」
『プ、プロレベル!?』
朱里さんから見る新宮寺さんはプロレベルという話に私と芳乃さん以外は大きな声を出して驚いています。
「ま、またまたそんな……」
「お、大袈裟……よね?」
「…………」
「芳乃?」
「……ううん、早川さんの言葉は決して大袈裟じゃないよ」
「えっ?」
「フェンス越しで見ただけでもわかるよ。梁幽館の選手達に比べたら小柄な方だけど、上半身も、下半身も凄く出来上がってる。まるで一流のアスリートみたい……」
「……まぁ間違いじゃないかもね。新宮寺さんは中学までの間は運動系の部活を12個掛け持ちしていたフィジカルエリートだから」
『12個!?』
今日は驚きの発言が続きますね。まだ試合は始まってすらいませんよ?
「……そろそろ試合も始まりそうだし、私達3人は上の方で試合を観てるね。行くよ2人共」
「「はーい!!」」
朱里さんが雷轟さんと新宮寺さんを連れて観客席の上の方へと歩いて行きました。
「サード!」
カンッ!
整列が終わるとそれぞれの高校でノックを行います。まずは梁幽館からですね。
「ノックも上手いけど、応援席からの声が半端ねーな……」
「これは守備の時にプレッシャーになりそうね……」
(わ、私控えで良かったかも……)
これが総部員数が100を越える強豪校の圧ですか……。問題はこれに皆さんが呑まれないか……という点ですね。
「ちょ、ちょっとお腹が痛くなってきたかも……」
「またですか」
「で、でも試合までには絶対に治すから大丈夫だよ!」
まぁ試合になると成果を発揮するのが和奈さんですし、そこは疑ってませんよ。
「ショート!」
カンッ!
「わっ!?」
「あっ!?」
……先程円陣を組んだ時の勢いはどこに行ったんですかね?溢しまくりじゃないですか。
『…………』
(しかし梁幽館側からは一切の油断が見えませんね。影森との試合映像を見たせいでしょうか?)
それと妙に私に対する視線が多いのは気のせいでしょうか?私を見ても何もありませんよ?
『プレイボール!!』
梁幽館との試合は吉川さんの球筋を新越谷の中で1番把握している山崎さんを1番に置きましたが、その成果が発揮されるかですね。
「お願いします」
(珠姫め……人数が少ないとは言え、1番とは出世したね。サード出場なのはびっくりしたけど)
(春大の傾向では格下相手に対して外中心にストライクをポンポン入れていた。決め球のスライダーが来る前に……!)
吉川さんは格下相手に対しては外角寄りに投げる傾向があります。山崎さんならそれさえわかれば……。
(叩く!)
カンッ!
「先頭出塁!」
「流石全国経験者!」
「ナイス!タマちゃん!!」
(スライダー打ちの練習はしたけど、試合では好球必打……。正直、ストレートなら朝倉さんや早川さんと比べたらなんとか打てる!)
(珠姫やるわね……。さぁ、サインは?)
「瑞希ちゃんならここはどうするの?」
「リードしているならともかく、今の状況下では無難に行くのが良いと思いますよ。無理をする必要はありません」
「そうだよね!」
(……バントね。了解!)
コンッ。
「1つ!」
『アウト!』
藤田さんは無難に、確実に決めてくれました。これでワンアウト二塁……。
(ほっ、良かった……)
「ナイスバント!」
「プレッシャーの中でよく決めたぞ!」
「次は中村さんですね」
(中村希……。初戦では1番を打ってたよね)
(恐らく当てるのが天才的に上手いタイプ……。三振は取りにくいから、丁寧にコースを突いて、あとは守備に任せるわよ)
(了解!)
ズバンッ!
『ストライク!』
(変化の小さいスライダー……!良い制球力やね)
出来る事なら、チャンスを広げて和奈さんに回してほしいですが……。
カンッ!
『ファール!』
(追い込んだら三振を狙っても良いだろ!)
ズバンッ!
『ボール!』
(次はストライクからボールへ落とすわよ)
(了解!空振っちまいな!)
(来た!変化の大きいスライダー!)
カンッ!
「よし!」
「先制点取れるぞ!」
打球は二遊間抜けそうな当たりですが……。
「!?……珠姫ちゃん!バックバック!!」
「えっ?」
バシッ!
『アウト!』
今のプレーは上手いですね。和奈さんの声掛けがなければ、山崎さんも刺されていました。
「ごめん……」
「ドンマイ。今のは仕方ないよ」
「…………」
「……和奈さん、少なくとも今ではないですよ」
「瑞希ちゃん……」
「オフの状態で行ってください。打てるならそれで打っても構いません」
「うん……!」
さて、和奈さんは打席に向かいましたし、あとはこのお通夜ムードをなんとかするだけですが……。
「こら!まだチャンスは終わってないよ!」
……ここは武田さんに任せますかね。
「まだ私は1球も投げてないのに、お通夜は困るなぁ。KOされてからにしてくれない?」
「というかKOされないでください」
「はーい!……という訳で決めろ和奈ちゃーん!」
ツーアウト二塁……。この場面で私に打席が回ってきた。
(このグラウンドの空気、練習試合ではなかった緊張感……。これが公式試合だよね!)
「お、お願いします……」
でも緊張しちゃうものは緊張しちゃうよね。次のイニングになったらトイレ行っとこうかな……。
(こんな小さいのが4番か?迫力も全くないし……)
(どんな打者でも4番にいる以上、油断は出来ない……。バットが届かないであろう外角高めを中心に攻めるわよ)
(OK!)
初球は外角高め……。やっぱり真剣に勝負をしてくれる人はどの投手も初球に外角高めに投げてくるよね。
(だから……私は外角高めが得意になったんだよ?)
「あちゃー、清本を相手に1番やっちゃいけない事をしたね」
「?あの4番の子は背が低いし、それに合わせて外角高めに投げるのは理に叶ってるんじゃないの?」
「普通の打者ならそれで良いんだけどね……。でも清本の場合は話は別。清本は自身の身長の低さを徹底的に対策してるから、今みたいな外角高めなら軽く打ってくるよ」
カキーン!!
「わっ!?良い音!」
「凄ーい!」
「まぁ清本を侮ってない辺りは評価出来るけどね。でも清本相手にはそんなんじゃ全然足りないよ」
和奈さんが初球から打った球は場外へと消えていきました。流石ですね。
「ナイバッチ和奈ちゃん!」
「梁幽館を相手に先制したな!」
「この2点をなんとしてでも守り抜くよ!」
和奈さんを祝福している光景を見ながら、私は次の一手を考えておく。
(このまま安定行動を続けていれば、この2点で新越谷が逃げ切るのは然程難しはくないですが……)
安定を上回る打撃を持つのが梁幽館……。しっかりと守り抜きたいですね。
瑞希「今回の話の前半で新たに登場したのは『電波教師』から新宮寺真さんです」
和奈「本編の方にはいなかったよね?」
瑞希「そうですね。本編にも出す予定ではありますが、いかんせん扱いに困っている……というのが現状です」
和奈「既に本編はカオスだもんね……」
原作よりも数人が大幅パワーアップ!?そのメンバーは……。
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珠姫、息吹、詠深、理沙
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珠姫、息吹、稜、菫
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珠姫、息吹、希、白菊