小さな捕手と小さな強打者 ~最強のスラッガーを目指して! 外伝~   作:銅英雄

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第41球 誰よりも君を1番警戒している

2番の白井さんを抑えて、3番の高代さん……。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ボール!』

 

(やはりコースがボール半個分外れるとナックルスライダーは振ってきませんね)

 

同じ手が2度も通じる相手ではないですね。それなら勝負していきましょうか。3人で切れるに越した事はありません。

 

(……という訳で、ナックルスライダーで三振を取りに行きましょう)

 

(うん!)

 

カウントは2ボール、1ストライク。本来ならカウントを稼ぐ為に他の球種を投げさせる予定ですが、梁幽館の打線ともなるとカウントを稼ぐ球を叩きかねませんからね。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

「……っ!」

 

(よし!追い込んだ!このまま三振を取りに行く?)

 

(そうしても良いですが、試しておきたい事があります)

 

(瑞希ちゃんに任せるよ)

 

(……わかりました)

 

武田さんも私に任せてくれるみたいですので、1球外す為にストレートを投げさせる。

 

(とは言っても、コースギリギリです。果たして……?)

 

 

カンッ!

 

 

(成程……。ギリギリのコースで、打てる球なら打っておこう……という算段でしたか)

 

「セカンド!」

 

「オーライ!」

 

高代さんが打った打球はセカンドの正面のゴロですが……。

 

『セーフ!』

 

「足、速過ぎ……」

 

梁幽館のレギュラーメンバーならあれくらいの走塁はするでしょう。特に上位打線の方達は繋ぐ為により必要になってきますしね。

 

(そうなると問題は……)

 

(ここでホームランを打てば同点に追い付けるが……)

 

梁幽館の4番打者……中田奈緒さんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおっ!?凄い歓声だね?」

 

「梁幽館の4番打者の中田さんを観に来てるって人が多いからね。梁幽館野球部の応援はもちろん、観客の大半はそうなんじゃない?」

 

「へー!じゃあ私達もその中田さんのバッティングを目に焼き付けないとね!」

 

「それはその通りではあるんだけど、少なくともそれは今じゃないかな?」

 

「どういう事?」

 

「直にわかるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中田さんが打席に入ると、私はタイムを掛けて、武田さんのところへ駆け寄る。

 

「……やっぱり勝負しちゃ駄目?」

 

「少なくとも3打席目までは駄目です。例え満塁で中田さんに回ったとしても勝負を避けます」

 

「ま、満塁でも駄目なんだ……」

 

「……でも私もそうした方が良いと思う」

 

「う~ん……。瑞希ちゃんにタマちゃんが言うなら、仕方ないかぁ……」

 

「でもここまで中田さんの応援があると、敬遠した時にものすごい野次が飛んできそうね……」

 

「確かに……。大丈夫なのか?」

 

「私は特に問題ありませんが……武田さんはどうですか?」

 

「う~む、その時にならないとわからないかも……」

 

「ではその手筈で行きましょうか」

 

タイムを終えて、それぞれが守備位置に戻り、私は敬遠策の為に立ち上がります。

 

「初回から敬遠かよ!?」

 

「そりゃないよ!」

 

「勝負してよ!」

 

「せこい采配!」

 

「不祥事!」

 

「敬遠球打て中田!」

 

何やら言いたい放題言ってますが、言わせておきましょう。あと不祥事は関係ありません。

 

「そっちも県外から強い選手集めとー癖に!せこいとか言われたくないっちゃけど!!」

 

レフトから中村さんが野次に対して怒りの声をあげていました。中村さんって結構大声を出せるんですね。ここまで聞こえてきましたよ?

 

「そういうアンタも県外だろ!」

 

「博多じゃん!」

 

「うっ……!」

 

まぁ正論ですね。中村さんの場合は両親の都合で新越谷に来たらしいですが……。

 

「私は親の都合でこっちに来ただけやもん……。それに博多区やないし、東区やし……」

 

先程とは打って変わってか細い声になりましたね。実は中村さんも精神面が脆いのではないでしょうか?これはメンタルトレーニングが必要ですね。

 

『ボール!フォアボール!!』

 

ともあれ四球で中田さんを歩かせます。すると中田さんが私に話し掛けてきました。

 

「……君程の人間なら、私をどう打ち取ろうか模索していると思っていたが、こうもあっさりと歩かせてくるのは意外だったな」

 

「……今でも対策は練っていますよ。それを実行するのは今ではない……というだけです」

 

「…………」

 

「それにこちらの準備が整いましたら、貴女とも勝負する事になるでしょう。武田さんとの勝負を望んでいるのなら、その時まで楽しみに待っていてください。きっと良い勝負になりますよ」

 

(武田さんは尻上がり型の投手……。後半になればなる程実力を発揮します。3打席目、或いは4打席目で中田さんを打ち取れるレベルにまでなっている可能性が高いですからね)

 

「……それも楽しみにしておくよ。武田と清本もそうだが、私達は誰よりも君を1番警戒している。それだけは覚えておいてくれ」

 

「……わかりました」

 

私はそこまで評価されるような選手ではないと思いますがね……。

 

(さて……ツーアウト一塁・二塁のピンチですね。ここからは武田さんのメンタルに左右されてきます)

 

頼みますよ?新越谷のエース。

 

(意外となんともないな……野次。瑞希ちゃんやタマちゃん達も付いてる……。頑張ろう!)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

(……とりあえずストライク判定はもらえてますね)

 

球審によってはボールになるコースですので、これはありがたいですね。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

(……追い込まれても余裕の表情ですね。流石は梁幽館のレギュラー)

 

三振を取るなら決め球を投げさせますが、1球目も2球目も同じ球ですし、ここは球種を変えていきましょうか。

 

(内角高めのストレートなら、ナックルスライダーの残像で手が出しにくい……ですかね?)

 

本来ならその裏を突いていきたいところですが、ここは素直に行きましょう。

 

 

カンッ!

 

 

5番の笠原さんが打った打球はショートの頭を越えて、センター前へ。高代さんの走塁を考えると……。

 

(流石にホームは無理か!)

 

主将の送球先はサードへ。グラブへ届く前に二塁ランナーがホームイン。1点返されましたが……。

 

『アウト!』

 

これでチェンジ。なんとかリードを維持出来ましたね。

原作よりも数人が大幅パワーアップ!?そのメンバーは……。

  • 珠姫、息吹、詠深、理沙
  • 珠姫、息吹、稜、菫
  • 珠姫、息吹、希、白菊
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