小さな捕手と小さな強打者 ~最強のスラッガーを目指して! 外伝~   作:銅英雄

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第43球 思惑通りにいって良かったです

「コントロールの良いストレートに、ツーシームと、大きな縦の変化球……。好投手だ。だが攻略出来ぬ事もないだろう。狙い球を絞って打つも良い。球数を放らせるのも良い……。上位に回るこの回……一気に突き放すぞ!」

 

『おおっ!』

 

(少なくともこちらの攻撃で監督が動く事はない……。私達で武田を、そして二宮を突破しないとならない。とにもかくにもまずはチャンスを作る事から始めないとな……!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この回は9番から……。次の打者から二巡目に入りますし、ここは絶対にアウトがほしいところですね。

 

(……ナックルスライダーを中心に攻めて行きましょうか)

 

(うん……!)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

(陽さんを三振に取った球……成程、1年生の投球レベルを遥かに越えている。この投手は夏の後もウチ等の前に立ちはだかる事になる……。今の内に叩いて置かなければ……!)

 

2球目もナックルスライダーを要求。その結果は……。

 

 

カンッ!

 

 

「!?」

 

9番打者の西浦さんが打った打球はライト前へ。ノーアウト一塁。先頭打者を出してしまいましたか……。

 

(しかしこれで今日の梁幽館のスタメンのデータは取れました。二巡目に入りますし、ここからは私の推測も交えたリードをしていきましょう)

 

(ヨミちゃんのあの球が狙われていた?一巡目は見てくると思い込んでたけど、瑞希ちゃんはどう思ってるんだろう……?)

 

梁幽館のセオリーではノーアウト一塁の場面で送りバントをしてくる可能性は非常に高いですが、それは陽さんと中田さん以外の打者の場合の話……。アウトカウントは稼がせてくれそうにありませんね。

 

(そうなると1打席目で空振りしたナックルスライダーを決め打ちする可能性がありますね。ツーシーム、カットボール、ストレートで誤魔化して行きましょう)

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

(うひー!タイミングドンピシャ……。これって陽さんの狙い球が合ってたら、ホームラン打たれてたよね?)

 

(次はツーシームで引っ掻けましょうか。運が良ければ、併殺が狙えます)

 

(うん……!)

 

本来ならカーブ系の変化球で併殺を狙う予定でしたが、陽さんの狙い球がナックルスライダー……つまりカーブ系の変化球である以上はツーシームで打ち取るとしましょう。

 

(ツーシーム……。もうあの変化球は投げてこないか……!)

 

 

カンッ!

 

 

「ショート!」

 

「くっ……!」

 

打球は三遊間を抜けるヒット……。流石にそこまで甘くはありませんでしたね。

 

(それなら……予定より早いですが、そろそろ武田さん本来のストレートを解禁させましょうか)

 

その前にノーアウト一塁・二塁というピンチから脱出する必要がありますね。

 

(向こうは恐らく併殺を避ける為にバントをしてくる筈……。それならありがたくワンアウトを頂いておきましょう)

 

 

コンッ。

 

 

「1つ、お願いします」

 

「うん!」

 

『アウト!』

 

2番の白井さんが送りバントを決めて、ワンアウト二塁・三塁。

 

「ワンアウトワンアウト!」

 

『おおっ!!』

 

(さて……ここで読み合いが発生しますね)

 

ここの択に勝つ事が出来れば、流れは新越谷に戻ってくる筈……。頑張っていきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワンアウト二塁・三塁……。梁幽館側は負けてるし、ここはスクイズで点を取ってくるの?」

 

「まぁそうなるだろうね。ただし読み合いが発生する」

 

「読み合い?」

 

「この打席はよく見ておいた方が良いよ。多分誰もが予想出来ない光景が見られるだろうから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバンッ!

 

 

『ボール!』

 

(ここで不味いのは四球を与えて満塁で中田さんに回す事……。そうなってくるとカウントを悪くしたくないし、ストライクがほしい……と相手は思っている事でしょう)

 

それならここの采配は……!

 

(スクイズ……ですね)

 

投げるコースはウエスト。これでスタートを切ったランナーを上手くいけば刺せる筈です。

 

(絶対に当てる……!)

 

(強引に当てに来た!?)

 

なんと飛び付いて強引に当てに来ました。見た目によらず、アグレッシブな行動に出て来ますね。

 

「……ですが思惑通りにいって良かったです」

 

何故なら私がここで武田さんに指示した球種は……。

 

(ま、曲がった!?)

 

ナックルスライダーなのですから。

 

 

パシッ!

 

 

「なっ! 素手で捕った!?」

 

武田さんのナックルスライダーを素手で捕ったので梁幽館ベンチが驚いていますね。ですが外に大きく外れるナックルスライダーを瞬時に捕るにはミットをつけてない右手で捕るしかありませんので……。

 

 

『ストライク!』

 

ウエストコースにナックルスライダーを投げた場合のシミュレーションを脳内で何度も行って正解でしたね。これがなければ、きっとこの案はなかったでしょう。

 

(……っと、ランナーが飛び出してますね)

 

ありがたくこのアウトももらっていきましょう。

 

『アウト!』

 

これでツーアウト二塁。一変して、向こうのチャンスを崩せました。

 

(それにしても球場が騒がしいですね……)

 

そんなに目立つプレーはしていませんよ?私の中では想定内のプレーです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うわぁ……。球場中が大騒ぎだね」

 

「む、無理もないよ。今の1球は私達もビックリするもん……」

 

「まぁ誰も予想してなかったからね。武田さんの決め球であるナックルスライダーがウエストコースから投げられるなんて。しかも素手で捕ったよ……」

 

「でも朱里ちゃんはそこまで驚いてないね?」

 

「まぁ二宮と3年間バッテリーを組んでたからね。まさか本当にやるとは思ってなかったけど、二宮ならこれくらいはやりかねない……とは頭の片隅には入れてたよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、中田さんに回す前にここを凌がせてもらいますよ。

 

(……という訳で、解禁です。思い切り投げてください)

 

(あ、あのサインは……!)

 

武田さん本来のストレート……山崎さんが強ストレートと呼んでいた球です。

 

(この失態は……絶対にバットで取り返す!)

 

(行っくよ~!私本来のストレート!)

 

(なっ!?速……!)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

今までのストレートに比べて大分速く感じますね。これなら中田さんとも渡り合えそうです。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

3回裏はピンチを招いたものの、なんとかリードを維持する事が出来ましたね。予定よりも早い強ストレートの解禁でしたが、ここからまた梁幽館の攻撃から予想を組み立てていきますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん……」

 

「気にするな。誰にでもミスはある。それに2球目に投げられた球に関しては私達も予想外だった。まさかあそこで武田の決め球を投げてくるとは……」

 

「それなんだけど、あの捕手はそれを想定していた感じがしたの」

 

「ど、どういう事ですか!?」

 

「私が強引にバントを決めに行こうとした時に、あの捕手は『思惑通りにいって良かった』って呟いていたから……」

 

「つ、つまり高代さんが強引にバントをする事を一点読みして、ウエストコースからあのエグい変化球を投げてきた……という訳ですか?」

 

「そうだと思う……」

 

(つまりあの状況下ですらも二宮の予想通りに事が運び、私達はその思惑にまんまとはまってしまった……という事か)

 

「それとあの投手が最後の2球に投げてきたストレート……あれは球威もキレも段違いだった……」

 

「武田側も実力を温存していたって事?私達を相手に?」

 

「わからない……。でもこれまで投げてこなかったのも事実だから……」

 

「……何にせよ、まだ4イニングある。武田の攻略を徹底的に行うぞ!」

 

『おおっ!!』

原作よりも数人が大幅パワーアップ!?そのメンバーは……。

  • 珠姫、息吹、詠深、理沙
  • 珠姫、息吹、稜、菫
  • 珠姫、息吹、希、白菊
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