小さな捕手と小さな強打者 ~最強のスラッガーを目指して! 外伝~   作:銅英雄

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第45球 これヤバいやつだ

4回裏。この回の先頭打者は……。

 

「いけーっ!中田ーっ!」

 

「ホームランだーっ!」

 

観客の声援を9割占めている中田さんですね。

 

「内野、外野共に後退してください」

 

私が中田さんと勝負する意志を見せると、観客席から更に大きな声援が聞こえました。正直騒がしいのは余り得意ではありませんが……。

 

(この勝負はきっと……武田さんにとってより良い経験となってくれる筈です)

 

それは抑えたとしても、打たれたとしても……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ど、どうやらバッテリーは中田さんと勝負するみたいだね」

 

「勝算があるのかな……?朱里ちゃんはどう思う?」

 

「……二宮の事だし、流石に無策で挑みはしないだろうね。ただこの勝負はどうなるかわからない」

 

「「わからない?」」

 

「武田さんが中田さんを抑えればそれで良いし、仮にホームランを打たれたとしても、同点止まり……。ここで中田さんを抑えれば、新越谷は一気に有利になるけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ズバンッ!」

 

 

『ストライク!』

 

(制球力はまだまだですが、空振りを誘える程度には投げられてますね)

 

(良い球だ。高代が空振りしたのも頷ける……)

 

ナックルスライダーと交互に投げて、要所でツーシームも挟んでみましょうか。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ボール!』

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

ボールが先行していると、多少コースが悪くても振ってくれるのはありがたいですね。歩かされるのを意識したバッティングでしょうか?

 

(つくづく和奈さんと同じタイプの打者ですね。そういう部分は好感が持てます)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「明らかなボール球もカットしていますね」

 

「カウントが悪くなったら歩かされるからだろうね。並の打者なら四球を意識するけど、奈緒は違う……。自身に求められているのが長打を打つ事なんだと思っているから。ウチは4番経験者が多く集まっているけど、奈緒が4番に選ばれたのはそれが理由だろうね」

 

「まさに4番の中の4番……ですか」

 

「そうかもね」

 

(しかしバッテリーもそれをわかっていて、攻めの姿勢を崩していない……。絶対に勝負するという意志が見える。コースに入ってきた決め球を奈緒は叩こうとしているんだろうが、果たして……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カキーン!!

 

 

『ファール!』

 

「良いぞ奈緒ーっ!」

 

「ナイスカット!」

 

ホームランすれすれの打球をカットと呼ばれるのもスラッガーの特権ですね。

 

(つ、次はどうするの?)

 

(投げられるコースは全て投げましたからね……。ここは玉砕覚悟で行きましょうか。強ストレートをお願いします)

 

コースは内角低め……。果たして今の武田さんの強ストレートは中田さんを相手に通用するでしょうか……?

 

「…………!」

 

(あっ、これヤバいやつだ)

 

 

カキーン!!

 

 

中田さんが高校通算50本のホームランの中には、今のように悪球打ちからのホームランもありました。武田さんの投げた球の球威とコースは悪くなかったですが、この打席は単純に中田さんがその上を行きましたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナイバッチ奈緒!」

 

「これで同点だな!」

 

「ああ……。だがまだ振り出しに戻っただけに過ぎない。この勢いのまま、一気に突き放すぞ!」

 

『おおっ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご、ごめん。打たれちゃった……」

 

「…………」

 

「み、瑞希ちゃん?怒ってる……?」

 

「……別に怒るような事を武田さんはしてないですよね?それに今のホームランは私の責任でもあります。まだ……勝負するべきではありませんでしたね」

 

「で、でも私のわがままに付き合わせちゃったし……」

 

「武田さん」

 

「な、なに……?」

 

「中田さんと勝負をしてみて、どうでしたか?」

 

「……悔しかった。私はまだまだなんだって思い知らされたよ」

 

「ヨミちゃん……」

 

「でもそれ以上に楽しかった!中田さんにはリベンジしたい!」

 

「……そうですか」

 

武田さんのメンタルは問題なさそうですね。武田さん自身が尻上がりタイプの投手なのもありますが、中田さんにホームランを打たれた事によってスイッチが入った気もします。

 

「まだ試合は振り出しに戻ったばかりですし、武田さんは気にせず投げてください。私達は打撃で援護しますから」

 

「うんっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あちゃー、打たれちゃったか……」

 

「中田さんは全国レベルのスラッガーだからね。単純に武田さんの実力が中田さんには及ばなかった……ってだけだよ」

 

(でも次の中田さんの打席では武田さんは多分更に成長してる……。2日間だけの付き合いだったけど、武田さんはそういうタイプの投手だって事は練習してきてわかってるからね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

(奈緒に打たれたから意気消沈してるかと思ってたけど、むしろ球威が上がってないか!?)

 

(なんだろう……?ホームランを打たれた後だっていうのに、なんか力が湧いてくるっていうか……)

 

(やはりそうでしたか……。中田さんにホームランを打たれた事がトリガーとなり、更に投球レベルがアップしています)

 

これなら全国レベルの相手でも……互角に試合が出来るかも知れません。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

(ストレートも、変化球も、勢いが増してやがる……!)

 

5番の笠原さん、6番の太田さん、7番の吉川さんを連続で三振に……。武田さんは本当に底が知れませんね。

原作よりも数人が大幅パワーアップ!?そのメンバーは……。

  • 珠姫、息吹、詠深、理沙
  • 珠姫、息吹、稜、菫
  • 珠姫、息吹、希、白菊
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