小さな捕手と小さな強打者 ~最強のスラッガーを目指して! 外伝~   作:銅英雄

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第47球 思い切りバットを振ってください

「よーし!打つぞ~!」

 

私を三振に打ち取ると再び中田さんと吉川さんが入れ替わり吉川さんがマウンドに上がり武田さんが張り切って打席に向かう。彼女の前向きさは見習うべきなんでしょうが、どこか危うさも感じます。

 

「武田さん、少し耳を貸してください」

 

「どうしたの?」

 

私は武田さんにある発言を……。

 

「そ、そんなので良いの?」

 

「駄目だった時は切り替えてください」

 

「う、うん……。とりあえず行ってくるね!」

 

私の言葉を聞いた武田さんは疑問に思いながらも、納得してくれました。これに関しては常日頃武田さんがやっている事と余り変わりませんが……。

 

「ヨミちゃんになんて言ったの?」

 

「武田さんにとっては普通の事を言っただけに過ぎません。成果があるかどうかは、武田さんの打席でわかるでしょう」

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

「吉川さんの球威が……上がってる」

 

「確かガールズ時代の吉川さんが今のようなピッチングをしていましたね。その際に球が荒れているのも今の吉川さんと類似しています」

 

「うん……。瑞希ちゃんが言ったように、ガールズ時代の和美さんはこの勢いのあるストレートと、スライダーで多くの奪三振を取っていったんだ」

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

コースがギリギリに見える分、見極めも難しそうではあります。

 

(しかし武田さんの打撃においてはそのような小細工は通用しないでしょうね)

 

何故なら武田さんのスイングは……和奈さんが初めてホームランを打ったその時と、同じスイングをしているのですから。

 

「はいっ!!」

 

 

カキーン!!

 

 

「う、打った!?」

 

「大きいです!」

 

皆さんは武田さんが吉川さんのストレートをタイミングドンピシャで打った事に大層驚いていました。これは武田さんの打率が0.50で打撃方面では全く信頼されてないからこその反応でしょう。

 

(そう考えると、武田さんもスラッガーとしての素質を秘めているんですよね)

 

打球はライトフェンスに直撃し、ツーベースとなりました。

 

「み、瑞希ちゃん!」

 

「一体ヨミにどんなアドバイスをしたの!?」

 

芳乃さんと藤田さんが私の方に詰め寄って来ました。他の皆さんも同様に気になっているみたいですね。あと近いです。離れてください。

 

「……別に私は何も特別な事を言っていませんよ。ただ思い切りバットを振ってくださいと……それだけです」

 

「そ、それだけなのか……?」

 

「はい。どんな打者でも、思い切りバットを振れば必ず何かが起こります。先程の武田さんがそれを証明してくれました」

 

この作戦は朱里さんとの対決の時に、相手チームがよく使われたものです。それ程に朱里さんの投げる球を打てる打者は少なかったのが、とても印象に残っています。

 

「な、何にせよ勝ち越しのチャンスだ。絶対にランナーを還すぞ!」

 

『おおっ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「武田さんやるなぁ……。今のストレートは私の中でも自信のある球だったのに」

 

「まぐれ当たりだとは思うけど、やられたわね……」

 

「続投は出来そうか?」

 

「はい!このままじゃ終われませんよ……」

 

「ならば良し。だが無理はするな。監督も言っていたが、私達にとってキツい相手は互いに交代して投げ合うとなっている……。ヤバくなったら合図を出せ。私が引き受ける」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし!ワンアウト二塁だ……。続け!」

 

「次は珠姫ちゃんだね!」

 

「吉川さんの投げる球は球威もキレも序盤よりも上です。気を付けてください」

 

「うん……!」

 

(私もヨミちゃんに続かなきゃ……!)

 

(珠姫……。武田さんには打たれちゃったけど、これ以上は打たせん!)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

(ストレートの威力はガールズ時代以上……)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

(スライダーの方も今までで1番のキレ……。ヨミちゃんのピッチングを見て更に奮起したみたい)

 

(これで……三振だ!)

 

(絶対に……ヨミちゃんを還す!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カンッ!

 

 

「ショート!」

 

「くっ……!」

 

「抜けろーっ!」

 

山崎さんが打った打球はショートへの鋭いゴロ。この打球が抜けると、二塁ランナーの武田さんがホームに還れるのですが……。

 

(絶対に……捕る!)

 

 

バシッ!

 

 

『止めた!?』

 

「で、でも送球は間に合わない。つまり……」

 

『セーフ!』

 

山崎さんはセーフ。武田さんも無事に三塁へと辿り着いています。

 

「よっしゃ!これでワンアウト一塁・三塁だ!」

 

「ナイバッチ珠姫!」

 

この勢いに乗る事が出来れば、和奈さんに回って来るまでに得点が期待出来そうですが……。

 

「…………!」

 

(あの吉川さんの眼……。もしや吉川さんも今の……いえ、武田さんの1打で更に手強くなっているかも知れませんね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「新越谷はワンアウト一塁・三塁のチャンスだね!」

 

「これでゲッツーを取らない限りは確実にクリーンアップに回るよ!」

 

「……そう上手くいくと良いけどね」

 

「朱里ちゃん……?」

 

「吉川さんの方も武田さんと同じで、何かが切欠で手強くなっている可能性があるって事だよ」

 

(もしも本当に以前二宮が言っていたゾーンに吉川さんが入る事が出来たとしたら……)

 

「新越谷は更に苦戦する事になるかもね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワンアウト一塁・三塁で藤田さん……。文句無しにスクイズですね。芳乃さんもスクイズのサインを出しています。

 

(ただ吉川さんの様子を見ると簡単に決められそうにはありませんが……)

 

「…………」

 

(初球で決める……!)

 

吉川さんの投げる1球目は……。

 

(は、速い!?)

 

 

ガッ……!

 

 

『ああっ!?』

 

(しまった!?)

 

藤田さんは吉川さんの球を打ち上げてしまい……。

 

『アウト!』

 

キャッチャーフライ。幸いランナーは戻れていますが、ここでのスクイズ失敗は後の展開に響いてきそうです。

原作よりも数人が大幅パワーアップ!?そのメンバーは……。

  • 珠姫、息吹、詠深、理沙
  • 珠姫、息吹、稜、菫
  • 珠姫、息吹、希、白菊
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