小さな捕手と小さな強打者 ~最強のスラッガーを目指して! 外伝~ 作:銅英雄
「自主トレ?」
「うん!この後息吹ちゃんと……さっき希ちゃんも誘ったんだけど、和奈ちゃんも参加する?素振りとランニングだけど」
トス打撃をしていると芳乃ちゃんから自主トレのお誘いがきた。
(今日は瑞希ちゃんとの練習もないし、参加しようかな……)
「うん。お邪魔じゃなかったら是非」
「決まりだね!」
なんか嬉しそう……。私も瑞希ちゃん以外と自主トレするのは小学校の時以来だから、結構楽しみだな……。
「ふい~。今日も練習楽しかったぁ!」
「だねー」
練習も終わり、自主トレの前にプロテインを飲んでいると、ヨミちゃんが声を掛けてきた。
「希ちゃん、和奈ちゃん、何飲んでるの?」
「プロテイン」
「私も……」
瑞希ちゃんが作ってくれたやつだけど、効き目があるのかはいまいちわからないんだよね。習慣だから飲んでるけど……。
「む……。なんか粉っぽい」
「わ、私も飲んでみたいです!」
「白菊ちゃんは駄目」
(今よりパワー付いたら困るし……)
「そ、そうですか……」
希ちゃんは白菊ちゃんにプロテインをあげたくないみたい。ライバル視してるからかな?
「あの、良かったら私のを少し飲む……?」
「い、良いのですか!?」
「う、うん……」
凄い食い付き……。そんなに飲みたかったの?
「白菊ちゃんの飲み方、上品だね」
「そ、そんなに飲んだらムキムキに……」
白菊ちゃんって剣道で全国優勝してるくらいだし、もうムキムキになってるかも知れないけどね……。
「お、おまたせ!」
「そんなに待ってないわよ。私達もさっき準備が終わったところだし」
「あれ?和奈ちゃん、練習中に使ってたバットとケースが違うね?」
「今持ってるのって素振り用のバットなんだよね。学校で使ってたのは試合とか、打撃練習とかに使うやつなんだ……」
「それぞれ専用で分けてるって事?」
「う、うん。瑞希ちゃんもその方が良いって言ってたし……」
「ちょっと見ても良い?」
「あっ、凄く重いから気を付けてね」
私も今持ってるバットって凄く重くて、使いこなすのにかなりの時間を費やしたんだよね。お陰で今みたいなパワーを身に付けたんだけど……。
「えっ……」
(何、この重さ……?和奈ちゃんっていつもこれで素振りしてるん!?)
「ど、どうしたのよ?」
「これ、持ってみたらわかるけん……」
希ちゃんが息吹ちゃんに私のバットケースを渡す。あのバットって最初は持ち上げるのも苦労したんだよね……。
「ええっ!?こんな重いバットを使ってるの!?」
「よく今まで身体を壊さなかったね……」
3人から凄い反応がくる。やっぱりこのバットって普通じゃなかったんだね……。
「何か剥がれてきてる。これって……鉛?」
バットを取り出してみると、巻き付いていた鉛が少し剥がれていた。
「あっ、剥がれてきちゃってる……。小4の頃からずっと使ってるし、ガタがきてるのかな……?」
「こんなのを6年以上も振ってるなんて……。そりゃパワーも付くわよね」
私の素振り用バットはプロのスラッガーが昔に使用していた金属バットに鉛を巻き付けている特注品って瑞希ちゃんが言ってた。始めは重かったけど、1年もすると慣れちゃったんだよね……。
「むむむ……!私も和奈ちゃんや白菊ちゃんに負けん為にはバットを重くした方が良いんやろか?」
「の、希ちゃんは希ちゃんのペースでやった方が良いよ!」
「……それもそうやね。それでフォーム崩したら元も子もないけん」
うんうん。希ちゃんには希ちゃんのやり方で力を付けた方が良い成果が出せると思うよ。
「じゃあランニングに行くよーっ!」
「そ、そうね……」
芳乃ちゃんの号令でランニング開始。どこまで走るのかちょっとワクワクするね。
しばらくランニングをすると見渡しの良い場所に出た。
「近くにこんな所があったんだ……」
「良い眺め……」
「あれ……ヨミと珠姫じゃない?」
あっ、本当だ。素手で、制服でキャッチボールしてる……。
「……なんで隠れるのよ」
「なんとなく」
な、なんとなくで隠れちゃったんだ……。でもなんか割り込み辛い光景なのはわかる……かな?
「最初はね、ヨミちゃんと一緒なら、勝ち負けとか関係なく、楽しくやれれば良いかなって思ってたんだよね」
「タマちゃん……」
「もし人数が集まらなかったら、キャッチボールするだけの部でも良いと思ってた。頑張っても頑張っても上には上がいたり、レギュラーから外されたり……」
これは……珠姫ちゃんの実体験なのかな?私も共感出来る部分はある……。だから誰にも負けないように、今の素振り用バットを使ったりもしてる。
「誰よりも頑張った人が1回戦で消えてしまったり……」
これはヨミちゃんかな?なんか苦笑いしてるし……。
「……そういうのは中学で辞めた筈だった。でもね、いざ人数が揃って本格的に部活をするようになって、全国という言葉まで聞いちゃったら、なんでだろう……中途半端は嫌なんだ。いつの間にか本気になってる」
「……それはタマちゃんが知ってるからでしょ。皆で勝った時の味を」
「そうだね……。勝ってみたい……このチームで。私も好きだから」
……良い話だよね。盗み聞きとは言え、私達が聞いても良い内容かどうかはわからないけど。
(でも私も頑張ろうって気持ちにはなれた……!)
「とにかく!これから練習時間増えていくだろうし、ヨミちゃんは着いて来られるのって話だよ」
「まさか……心配してくれたの?」
「まぁ……一応」
「本当は帰らずにずっと練習していたいくらいなんだよ。その上勝てたらどんなに楽しいだろうね。だからね……?」
ヨミちゃんは息を吸って、珠姫ちゃんの方をじっと見て、私を連れて行ってよ……と、そう言った。珠姫ちゃんもそれに肯定して、これからの練習に力を入れる事を話している。
「……着いて行けるかしら?」
「素晴らしいよ~!混ざりたい~!」
(私も、ヨミちゃん達に負けないように頑張ろう……!)
あとは……瑞希ちゃんが野球部に入ってくれたら、良いのに。
「明日からやる事いっぱいあるよ。クイックとか、守備とか」
「イエッサー!」
ヨミちゃんもなんかノリノリだね……。
「基礎トレも2倍くらいに増やさないとね」
「き、基礎トレって1人だから、あんまり楽しくない……」
「それなら息吹ちゃんと一緒になるように調整するから。あの子も足腰足りてないし……」
基礎トレってそんなに楽しくないのかな?息吹ちゃんが隣で冷や汗かいてるけど……。
「総合メニューは芳乃ちゃんと相談してから……」
「呼んだ!?」
……えっ?いつの間に!?
「芳乃ちゃん、息吹ちゃん、希ちゃん、和奈ちゃん……。4人はなんでここに?」
「ランニングしてたんだ。私達の家はすぐそこだし」
「へぇ。……どこから聞いてた!?」
ま、まぁそうなるよね。今来たところって息吹ちゃんは誤魔化してるけど、話を聞いてたの多分バレてるよね……?
「そんな事より練習の話をしよう!」
ヨミちゃんと珠姫ちゃんは顔が赤い。聞かれて恥ずかしい話じゃない筈なのに、なんだか恥ずかしい……って気持ちはなんとなくわかるかも。
「皆集まって~!新しい練習スケジュールを配るよ~!」
芳乃ちゃんが皆を集めて、練習スケジュールが書かれた紙を配る。
「文句がある人は遠慮なく言ってね」
け、結構ハードな練習だね……。
「……練習内容はともかく、食事の献立まで決められてるんだけど」
菫ちゃんの言葉にスケジュールを見直すと本当に書かれていた。
「もし無理なら、私が作ろうか?」
「そういう問題じゃなくて!」
(そういえば瑞希ちゃんが考えた練習メニューも食事献立を決められていたっけ……)
当時は小学生だったから、お母さんに頼んでご飯を作ってもらったけど、今は自分で管理出来る……。芳乃ちゃんが決めてくれた食事献立に従ってやってみようかな……。
それからそれぞれで練習していると、再び集合が掛かる。
「先生、お願いします」
「引き継ぎが遅れてすみません。顧問の藤井です。皆さん自主的に練習されていて、偉いです」
家庭科の先生……だったかな?優しそうって生徒の中で評判だって瑞希ちゃんが言ってた。
「……さて、どうやら全国を目指しているらしいですね」
突如、先生の雰囲気が豹変した。この雰囲気……もしかして野球経験者?
「そこで1週間後に練習試合を組みました」
「試合!?やった!」
「どこまでやれるか見せてくださいね」
1週間後……。試合は小学校以来だから、楽しみだな……!
原作よりも数人が大幅パワーアップ!?そのメンバーは……。
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珠姫、息吹、詠深、理沙
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珠姫、息吹、稜、菫
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珠姫、息吹、希、白菊