小さな捕手と小さな強打者 ~最強のスラッガーを目指して! 外伝~   作:銅英雄

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第49球 味方すらも開いた口が塞がりません

6回表。この回は和奈さんの攻撃……。こちらからすれば勝ち越す最大のチャンスですね。ここを逃すと向こうに流れが行きかねません。

 

「頼んだぞ和奈!」

 

「は、はい!」

 

緊張しながら打席に向かう和奈さん。あんな様子でも、いつも通りのパフォーマンスを発揮出来るのが和奈さんですからね。しかし……。

 

「でも向こうが素直に勝負してくれるのかしら?」

 

「うん……。歩かされる可能性が高いかも……」

 

「それか中田さんに交代してくるかも知れないぞ?」

 

「もしかしたら中田さんに交代した上で、和奈さんが歩かされるかも知れません!」

 

(今言ったように和奈さんとの勝負を避けてくるのか、中田さんに交代してくるのか……。大村さんが言った事を実行する可能性は低そうですが、0ではない以上視野に入れるべきですかね)

 

私としては中田さんに交代して、和奈さんを抑えに行く可能性が1番高いと思っていたのですが……。

 

「吉川さんが続投するみたいだよ!」

 

「本当ね……。歩かせるのかしら?」

 

「でもさっきまでの吉川さんなら抑えられると思っているのかも……?」

 

もしも山崎さんの言うように、ゾーン状態の吉川さんなら和奈さんを抑え切れると、そう思っているのなら……。

 

(和奈さんも随分と甘く見られたものですね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行けるのか?清本を相手に……」

 

「はい……。清本を私に抑えさせてください!」

 

「和美……」

 

「……そうか。どんな結果になろうとも、後悔しないピッチングをしろ。小林も精一杯のリードをしてやってくれ」

 

「「はいっ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?清本さんを相手には中田さんが投げるのかと思ってたけど、吉川さんが続投するんだね?」

 

「ゾーン状態に入っている吉川さんなら清本さんを抑えられるって思っているかも知れないよ」

 

「確かに、今の吉川さんは中田さんをも凌ぐピッチングをしているから、可能性はあるかもね」

 

(でもそれだけで清本を抑え切ろう……と思っているなら、その程度じゃ全然足りないんだよね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ、吉川が4番と勝負するみたいだぞ!」

 

「待ってたぞ~!」

 

「4番を抑えて、勢いを掴んでやれーっ!」

 

観客席からは吉川さんが和奈さんと勝負する事によって、凄い盛り上がりを見せていますね。裏の回では中田さんに回ってきますし、同様の盛り上がりを見せてくるかも知れません。

 

(清本……。1打席目は出会い頭だったが、今度は抑えてやる!)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

初球は低めにストレートで、和奈さんは見逃し……。徹底的に見ていってから、打つつもりですね?

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

次は小さめな変化のスライダー。ここから決め球を使って3球で和奈さんを抑えに行くか、1球様子を見てくるか……。それによって向こうのバッテリーの未来が変わってくるかも知れませんね。

 

(いける……いけるぞ!)

 

(1球目も、2球目も、今までで1番のキレ……。これならいけるかも……!最大変化のスライダーで抑えるわよ!)

 

(ああ!)

 

「…………」

 

(凄いなぁ……。こんな良い球を間近で見られるなんて思わなかったよ。全国ではこれ以上の球もあるんだよね?それに朱里ちゃんとの勝負だって……!)

 

3球目。吉川さんが投げたのは、これまでで1番大きい変化のスライダー。これは武田さんのナックルスライダーを彷彿とさせますね。

 

「…………!」

 

(うっ……!)

 

(えっ……?)

 

(な、なんだこの圧は!?ファーストまで……いや、球場全体を覆ってるような……それ程の規模の威圧感があの小さな身体から発しているのか!?)

 

(これが清本和奈の本領……。相手投手の実力があればある程に和奈さんの打者としての力が発揮され、威圧感が大きくなる……。これ程までに大きな圧を放つ和奈さんは初めて見ますが、もしも全国に行く事が出来れば、これ並の……いえ、これ以上の和奈さんが見られるかもですね)

 

 

カキーン!!

 

 

和奈さんが放った打球はこの大宮公園野球場を遥かに越える場外弾になりました。これに対して観客席は静まり返ってますね。

 

「あ、あれ?な、なんか静か……。どうしたの?」

 

「貴女の放ったホームランに対して唖然呆然としているんですよ。敵どころか、味方すらも開いた口が塞がりません」

 

「そんなに!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええ……。打球が空に消えて行ったよ……」

 

「私も久し振りにあの場外弾を見た気がする……」

 

「私もあんな風に本土の野球場の遥か上空を越えるホームランを打ちたいなぁ……」

 

(雷轟が言うと冗談に聞こえないのが怖いところだ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

「ごめん……。まさかあのスライダーが打たれるとは思わなかったわ」

 

「……依織のせいじゃないよ。私だってあれで清本を抑えられるって思ってたし」

 

「…………」

 

「今は切り替えて、後続の打者を抑えに行こう。まだ2イニングあるからな。ウチの打線ならきっと逆転出来るさ!」

 

「……そうね!」

 

(吉川はこの試合で大きく成長した……。これなら3年生の引退後はエースを任せられそうだ)

 

「……だがこの試合にも勝って、吉川の更なる成長に貢献してもらうぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

和奈さんに打たれたものの、そこから三者連続三振……。まだ吉川さんのゾーン状態が切れた訳ではなさそうですね。

原作よりも数人が大幅パワーアップ!?そのメンバーは……。

  • 珠姫、息吹、詠深、理沙
  • 珠姫、息吹、稜、菫
  • 珠姫、息吹、希、白菊
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