小さな捕手と小さな強打者 ~最強のスラッガーを目指して! 外伝~   作:銅英雄

51 / 60
第50球 リベンジ完了です

「…………」

 

「どうしたの?」

 

「……いえ、なんでもありません。それより武田さん、調子の方はどうですか?」

 

「問題なし!私はすこぶる元気だよ!」

 

「それがヨミちゃんの取り柄だもんね」

 

「うんっ!!」

 

流石に他にも武田さんの取り柄がある事を信じたいですね。それよりも……。

 

「武田さんは1日で最高で何球投げた事がありますか?」

 

「えっ?う~ん、ダブルヘッダーとかもあったしなぁ……」

 

先発投手が7イニング完投する場合の平均球数は85球……。ダブルヘッダーの経験があり、単純計算で2倍して170球ですが、流石にダブルヘッダーともなると球数を控える必要がありますし……多くても大体130球くらいが無難ですかね。

 

「……250球くらいかな?」

 

「は?」

 

隣で山崎さんが唖然としていました。私は半分呆れています。

 

「それは本当ですか?」

 

「えっ?正確な球数は覚えてないけど、多分それくらいだったと思うよ」

 

「勘弁してよ……。よく今まで壊れなかったね?」

 

「全力で投げてない事だってあったからねぇ」

 

250球……。仮に武田さんが3球三振で抑えたとしても、合計で約27イニング……。ダブルヘッダーだったとしても、これは1日で投げるイニング数を遥かに越えています。もしや既にガタがきているのでは……?

 

「でも今は全力で投げてるし、120球くらいでバテちゃうかも」

 

「……新越谷には川原先輩、藤原先輩、息吹さんだっています。武田さんが完投出来れば良いですが、無理をする必要はありません」

 

「瑞希ちゃんの言う通りだよ。投げ過ぎは厳禁。無理そうだったら、交代させるからね?」

 

「はーい!」

 

……本当にわかっているのでしょうか?こういうところも武田さんの危うさに含まれているんですよね。

 

(本当の意味で武田さんを助けられるのは山崎さんだけ……。この試合では私が手綱を握っていますが、本来なら山崎さんに武田さんの管理をお願いしたいくらいです)

 

それ程に、武田さんと山崎さんの相性は抜群ですからね。

 

「よーし、残り2イニング……全力で投げるよ!」

 

「全く、ヨミちゃんは……」

 

ですが全力の武田さんに頼らなくては梁幽館の打線を抑え切れないのもまた事実……。最悪川原先輩に交代する事も視野に入れてはいますが、中田さんに回ってくるこのイニングはなんとしても武田さんに投げてもらう必要がありますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「6回裏かぁ……。朱里ちゃんはどう見る?」

 

「……武田さんが中田さんを抑えられるかどうかで決まってくると思うよ。今の武田さんを打てるのが、中田さんくらいだからね」

 

「確かに……中田さん以外はほとんど三振してるもんね」

 

「だからここで中田さんを抑える事が出来れば、余程の事がない限りは新越谷の勝ち、もしも中田さんが武田さんからホームランを打とうものなら、まだ試合はわからない……。私はそう思ってるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

強ストレートとナックルスライダーを駆使して、2番、3番を三振。これでツーアウトですが……。

 

(次は中田さん……。ここで歩かせようものなら向こうにランナーが溜まり、更には武田さんの勢いが落ちてしまう可能性がありますし、ここは勝負で良いんですが……)

 

(武田……。まさかここまでウチの打線が手が出ないとは思わなかったよ。それも回が進む毎にその勢いは増している……謂わば尻上がりタイプの投手だ。それに武田だけじゃなく……)

 

「…………」

 

(ミットを構えている小柄な捕手のリードもあって、ウチはここまで苦戦している。特に高代のバント失敗を強要させたあの采配は他に出来る奴はいないんじゃないかと……そう思えるくらいありえないものだった。武田の強打者に対するピッチングと、二宮の2手、3手先を読むリードがここまでのものになろうとはな)

 

中田さんが前の打席にホームランを打ったコース……今回は敢えてそこを徹底して攻めてみましょうか。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

(これは……私が前の打席で打ったコース。武田なりのリベンジのつもりか、それとも何か裏があるのか……。1つ読み間違えると致命的になりかねないし、打つ方も慎重にいかないとな)

 

(……やはり簡単には手を出してはきませんね)

 

(どうするの?)

 

(こちらは変わらず3球勝負の予定です。同じコースに投げてきてください)

 

(了解!)

 

2球目。ここで投げるのは……。

 

(同じコースにストレート……いや、カットボールか!?)

 

 

カキーン!!

 

 

『ファール!』

 

(武田が今日初めて見せるカットボール……。本気で私を打ち取りに……あわよくば私を三振にしようとしているな?)

 

(今の1球でこちらの狙いに気付いた事でしょう。ですがこちらは狙いを変えるつもりはありません。ここからはナックルスライダーを中心に組み立てていきますよ)

 

(う、うん……)

 

 

カキーン!!

 

 

『ファール!』

 

(くっ……!前の打席よりも球威も変化も上がっている。ここまで凄い球を投げるのか……!)

 

(流石、梁幽館の4番ですね。今の球にも食らい付くとは……)

 

それなら次は強ストレートで確実に打ち取りましょう。ホームランを打たれたコースで、リベンジです。

 

(いっ……けーっ!)

 

 

カンッ!

 

 

(ぐっ……!私が、詰まらされた……?)

 

『アウト!』

 

流石に三振とはいきませんでしたが、打ち取る事が出来ました。リベンジ完了です。

原作よりも数人が大幅パワーアップ!?そのメンバーは……。

  • 珠姫、息吹、詠深、理沙
  • 珠姫、息吹、稜、菫
  • 珠姫、息吹、希、白菊
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。