ロン・ポン・チ―! ~クソ顧問に無一文で置き去りにされたけど、麻雀で帰ります~ 作:ビーサイド・D・アンビシャス
「不運は……甘んじて、受けるべし……されど向き合え……」
『楽しい旅行から帰る時にしておく心掛け』を口に出してみて、思う。
――沼田先生、これを不運って言うのは、ちょっと違いませんか?
さんさんと降り注ぐ真夏の太陽。
青々と育った海原みたいな稲がそよいで、さざ波が立つ。
わたし達、麻雀同好会の面々は、そんな昔ながらの心和む風景の中で――――こんなところに生徒を置き去りにした教師への恨み言を振りまいていた。
「あンのくそ顧問ぜっったいブン殴ってやるからなぁーーーっ!」
どこもかしこも、ちっちゃな体でぴょこぴょこ跳ねるプラちゃん。
その元気な金髪ポニテが怒りに揺れていた。
「沼田和義ぃぃぃ~っ! 帰ったらただじゃ済まさないわ!」
モデルみたいな玉体を折って、腹の底から咆えるナルちゃん。
そのサラサラな黒髪が汗でベッタベタになっていた。
でも二人とも怒りをパワーに変えているからか、その足取りは早い。そんな
「……もうまぢムリ。足痛ぃ~~汗気持ち悪ぃ~~谷間蒸れるぅぅ~~」
最後の一個以外は、もうすっごく共感できた。
膝がふるふる震えるまで歩いたのなんて初めてで、足の裏がひりひりして痛い。
陽射しがじりじり照りつけて、肌からじっとりと汗がにじんでくる。息がはぁはぁ乱れて、全身にかぁぁって熱がこもって、目がぽやぁってぼやける。
これ、まずいかも。
危険を感じて、わたしは顔を伏せた。そしたら、汗で濡れたブラウスによって、ブラが透けてることに気付いた。
メンちゃんに褒めてもらった、水色のレースで縁を彩った可愛いブラ。
普段だったら恥ずかしくて絶対隠してたけど…………そんなことより、この陽射しを何とかしてほしい!
「ラブさん! なんとかなりそうですよ!」
「えっ⁉」
ナルちゃんの一言で、陽射しの辛さが吹き飛ぶ。わたしはパァッと輝かせた顔を上げて……眼前に立ち塞がる山々の連なりを目にした。
「この山を越えれば街に着きます! そしたら東京まですぐに帰れますよ! だからがんば」
「――
頑張ってと応援しようとしたナルちゃんが、メンちゃんの冷めた声音に凍らされた。
高校2年の夏休み、合宿旅行の帰り道にて。
わたし達4人は、先生に置き去りにされました。
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