インフィニット・ストラトス Reconstruction   作:kue

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第二話 決闘宣言

翌日、俺はまたまたポツーンと一人寂しく教室で教科書を見ていた。

入学式から既に一日は経っているんだがいまだに何か話しづらい雰囲気でもあるのか、

遠くのほうから周りのクラスメイトは見ている。

……しゃべりに行こうとするとみんなササーっと下がるんだよな。

チラッと箒のほうを見てみるが箒も箒で何やらあったらしく、

窓の外をポケーっと眺めていた。

……誰かこの状況を打破するきっかけをくれぇぇぇぇ!

「ちょっとよろしくて?」

後ろから声が聞こえ、内心喜びながらも表情はいたって普通にし、

振り返るとそこには腰に手を当て男という存在を見下した目をし、

地毛の金色の髪を左右二つの縦ロールに分けている女子生徒が立っていた。

典型的なパターンの女子だな……あんまり好きじゃないが。

「な、何か?」

「いいえ。あなたがあまりにもかわいそうな状況でしたので、

このわたくしがしゃべりに来てあげたのですわ」

「そりゃ、どうも。でも俺、話し相手はいるからいいや」

「まぁ! このセシリア・オルコットの申し出を断るのですか?」

「話相手ならここにいる」

俺とセシリア・オルコットの間に入り込むようにして、

不貞腐れたような顔をしている箒が入ってきて、セシリア・オルコットの前に立った。

あっちは若干、悔しそうな顔を一瞬だけ浮かべるも再び見下したような眼をして、

自分の座席に戻って行った。

「まったく。男ならばあの程度のことはじき返せ」

「さすがに入学して早々、敵は作りたくない」

そう言うと箒は言い返したそうな表情をするが何も言えなかった。

そう、女性優遇のこの時代に女性の言うことをきかない男というものは、

使えない奴というレッテルが張られ、ごみくず扱いとなる。

だから大抵の男は女に従っているんだが俺は納得がいかない。

なんでゴマすりをしながら生きていかなきゃならないんだ……。

そんなことを考えているとチャイムが鳴り響き、周りも自分の座席へと戻ると、

教室の扉が開いて千冬姉が入ってきた。

「授業を始める……その前に織斑」

「はい」

「お前に専用機が渡されることになった」

その一言に教室が一瞬、ざわめき立った。

「お、俺に専用機ですか?」

「そうだ。倉持技研からお前に渡したいそうだ。データ収集という面もあるがな」

突然、千冬姉……織斑先生から言われたことに手に握っていたシャーペンを思わず、

手から離して床に落としてしまった。

このIS一強時代の中で自らの専用機を持つということは、

それ相応の地位を築いたという証明にもなりえる。

喉から手が出るほど女性たちがほしがっているのを、

特別扱いされた俺がこんな簡単に手に入れていいのか?

その証明に周りの女子たちのなかにはズルイとでも、

言いたそうな顔を俺に向けているものも見えた。

でも、ここでいりませんなんか言ったら余計に反感を買いそうだな。

「専用機を貰うという意味は理解しているな」

「……はい」

「ならいい。それとこのクラスの代表を決めたい。中学校でも委員長がいたと思うが、

このクラスにもそれを作る。委員長になれば様々な雑用、クラス全体のことを、

任されることになる。それ相応の覚悟をもってやって欲しい。間違っても、

売名をしようという気持ちでやるなよ。だれかいるか? 他薦、自薦何でもいいぞ」

専用機を貰うということは全員の期待を一気に集めるということであり、

貰ったからには強くならなければいけない……やってやる。

俺は真っすぐ手を挙げると周りから小さくだが驚嘆の声が、

いくつも響いてきた。

「俺にやらせてください」

「ほぅ……織斑を推薦するやつはいるか?」

「私は一……織斑君を推薦します」

後ろを振り返ってみると箒が手をあげていた。

「理由は?」

「確かに一夏はまだISに触れて時間もそうたっていません。

ISの知識も技術も劣っている。それは変わりようのない事実……でも、

私は一夏のことを誰よりも知っている。だからこそ私は推薦したい。

一夏は……十分、代表を務めてくれます」

箒が言ってくれたことに俺は若干の感動を覚えていた。

確かに今の俺はこの中じゃ知識も技術も一番下だ。それは変わりようがないけど、

代表に就任するからには絶対に強くなるんだ。

誰かを守る力のために。

「ちょっとお待ちになって!」

机を思いっきり叩いた音が教室に響き渡り、それと同時に大きな声が聞こえて、

そちらのほうを振り向くとそこにいたのは綺麗な金色の髪を左右に縦ロールにして流し、

透きとおった碧眼をもった女子生徒だった。

「皆さんここはどこか理解しておりますの!? IS学園ですわよ!

優秀なパイロットを育てる場所であって決して普通の高校ではありませんの!

それなのに技術も知識もない、よりによって男を代表にするなど、

他のクラスの良い笑いものですわ! そもそも!」

大きな声で叫びながらセシリア・オルコットはズビシ! と箒めがけて指を向けた。

「貴方がさっき言ったことは貴方の主観に過ぎませんわ!

何が十分、務めてくれますですの。それはあなたの主観から見れば、

そう見えるだけであって周りから見ればそんなものありませんわ! 

それに推薦は個人の私情を含ませるものではありません。推薦とは客観的にあらゆる点から、

その人物を査定し、いかに優秀であるかを判断してから行うべきものであり、

貴方のように個人の主観でやるものではありませんわ!

代表はクラスで最も強い者がなるべきものであり、

その座はイギリス代表候補生であるセシリア・オルコットがやるべきですわ!」

代表候補生……確か国家代表の卵だったよな?

箒は言い返したそうな表情をしているが何も言い返せなかった。

確かにあのセシリアとか言う女性生徒が言っていることは正しい。

クラス代表っていうのはこの学園の定義でいえば最も強い奴がなるべきであり、

誰もが代表候補生とただの一般人のどちらを選ぶのかは明らかだ。

「だ、だが時間がたてば一夏とて」

「それはどれくらいかかりますの?」

「そ、それは……」

「三年間の間で素人が代表候補生クラスになるとでも? 御冗談を。

まあ、あなたが魔法でも使って彼を強くできるのなら話は別ですが」

そうセシリアが言うと周りの生徒たちがクスクスと小さく笑い始めた。

「…………ちょっと待った」

今にも座ろうとしたセシリアに一言声をかけると、

まだ何か? とでも言いたそうな顔をして俺のほう見てきた。

「セシリア・オルコット! 俺と代表の座をかけて決闘だ!」

「はぁ? 何を言ってますの、あなた」

「別に箒はまだ、推薦を取り下げてない。別にいいだろ」

「ですから。何を言ってますの。貴方といい篠ノ乃さんといい、どうして、

優秀なお姉さまの顔に泥を塗るようなことをするのですか?

このまま引き下がっていれば良いものを」

「余計にやる気が出てきたな。俺は嫌いなことが三つある。

一つは時間にルーズな奴。ひとつは女に手を挙げる奴。もう一つは、

俺と姉を比べる奴だ! 昔から比べられるのが大嫌いなんだよ!」

「……そこまで言うのならばいいですわ。引き受けてあげます。

代表候補生の座にかけてあなたを叩き潰してあげますわ!」

「ちょ、ちょっと~。勝手に決められては困ります~」

俺とセシリアの間にオロオロしている山田先生が入って仲裁をしようとするが、

俺の視界にもセシリアの視界にも全く入っておらず、互いを睨みあっていた。

「良いじゃないか、山田先生。どのみち、二人以上出てくれば、

決闘で決める予定だったんだ。来週の土曜日。放課後、第三アリーナで行う。

お互いに決闘の準備は怠らないように。では授業に入る」

千冬姉がパンパンと手をたたくと生徒たちが一斉に俺たちのほうから、

黒板のほうへと向きなおった。

俺もセシリアから視線をはずして椅子に座り、黒板のほうを向いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏の決闘宣言から二日が経った晩、

箒は部屋に取り付けられたシャワールームで部活の汗を流していた。

あの時の一夏の顔がいまだにこびりついて離れない。

昔のように子供らしさなどない、男の表情そのものを見た箒は思い出しては、

胸が鼓動を強く打つのを覚えていた。

「……一夏」

その名を呟くだけで胸が又鼓動を強く打った。

好き……そんなものを通り越してもう心の底から彼のすべてを愛していた。

しゃべり方、目つき、髪型……そのすべてを。

その時、自室の扉が閉まった音が聞こえ、箒はすぐさま思考を止め、

体にバスタオルを巻いてシャワールームから出た。

「同室の篠ノ乃だ。これから……」

そこまで言ったところですべての時間が停止してしまった。

何故なら目の前についさっきまでその名前を呼んで、

想いを馳せていた一夏本人が目の前に立っていたから。

「な、な、なぜ貴様がここにいるのだ!」

「ち、違う! 俺も部屋がここなんだよ!」

「と、とりあえずむこう向くのだ!」

大声でそう叫び、一夏が後ろを振り返ったのを確認してから大慌てで下着をつけ、

寝巻である和服を着ていく。

普段から着ているはずの和服の着方を間違えてしまったりなどのハプニングも起きながらも、

なんとか見せてもおかしくない状態に持って行けた。

「い、いいぞ」

「落ち着いて聞いてくれ。俺もこの部屋なんだよ。ほら」

ルームキーを見せられるとそこにはちゃんと1025室とこの部屋のルーム番号が書かれており、

一夏が言っていることが間違いでないことは分かったがどうも箒は理解できなかった。

なぜ、年頃の男女を同じ部屋に押し込めたのかと。

「お、お前が私と一緒にしてくれと言ったのか?」

「いや、そうじゃないんだけど……でも同室者が箒でよかったよ」

そう言われ、また胸が鼓動を強く打った。

「な、なぜだ」

「だって全く知らない人だったら話せないしな……でもよかったよ、ほんと」

その笑顔を見るだけで今日一日の疲れが吹き飛ぶどころか明日一日分のエネルギーさえも、

補給できてしまうんじゃないかと重くらいの衝撃が箒の体を駆け巡った。

「……何故、あの時決闘なんか申し入れたんだ。相手は代表候補生だぞ」

「……目の前でお前が見下されてて何もするなって言うほうが俺には無理だ。

大丈夫だって。お前が言ってたことは正しかったっていうことにすれがいいんだよ。

俺が決闘であいつに勝てばそうなるんだ」

「だ、だが」

「絶対に勝つ。おまえのために」

その日、箒は一週間分のエネルギーを補給することができた……気がした。




とりあえず、一巻の内容まで書いてみて受けが良ければ、
再構成ものとして連載していきます。それでは
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