インフィニット・ストラトス Reconstruction   作:kue

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第四話  転入生

俺――――織斑一夏が一組の代表に就任してから早数日が経った。

早速、IS学園の新聞部が取材に来たり、クラスの雑用なんかも押しつけられたりしているが、

そのおかげかクラスの女子たちともようやくお話しすることなんかもできてきている。

…………のだが。

「わわわっ! セ、セシリア!」

「相変わらずちょこまかと!」

これで平穏になったかと思えばそうはいかず、あの決闘以来毎日のように、

セシリアに模擬戦を申し込まれており、毎日のように闘っている。

ビットからの全方位攻撃が俺めがけて向かってくるが以前と同じように二本の刀を持ち、

コマのように回転してすべてを叩き落とすがそこから進めない。

決闘のときはセシリアが油断していたこともあり、攻撃に移せたんだけど、

油断などしていない最初からマックス状態のセシリアの技術にはやはりまだ追いつけない。

「きぃぃぃ! この!」

が、あいつもあいつでイライラが頂点に達すれば正確な射撃が雑になること、

そしてさっき気づいたんだがビットを複数操作しているときはそっちに意識が行って、

自分で攻撃ができなくなる。

「うらぁ!」

「っ!」

俺がセシリアの周囲を回転しながら死角から刀を一本投げつけると、

ビットからの攻撃がピタッと止まった。

その瞬間に瞬時加速を発動させ、刀を握り締めながらセシリアの目の前に移動した!

「喰らえぇぇぇぇぇぇ!」

『そこまで!』

刀を振り下ろそうとした瞬間、ISの通信機能を通して千冬姉の声が、

頭に響き渡って思わず刀を振り下ろすのをやめた。

二時間目の授業の中での模擬戦……結果は引き分けか。

「まったく。第二世代ISでよくそこまで動けますわ」

「こっちもいろいろ必死なんだよ……負けたらあそこにいる人にこっぴどく……ね」

クラスメイトが集まっている場所に視線を向けると、

ジトーっとした視線をこちらに向けている箒がいた。

「ところであなたの専用機はまだですの?」

「クラス対抗トーナメントくらいに来るんだってさ」

先日、学校を通して倉持技研から連絡が入り、

ようやくアクシデントが終息したので俺の専用機をこっちに持ってきてくれるとのこと。

そして来週頃にIS学園全体で行われるクラス対抗トーナメント。

それぞれのクラス代表がトーナメント方式で戦うものでそれぞれ学年に分かれて、

ぶつかりあい、優勝したクラスは生徒会長と闘える権限が与えられるとか。

俺も入学式でしか見たことないけどこの学園で最強らしい。

「では、これで授業を終わる。織斑はISを直しておくように。解散!」

千冬姉の一言で授業が終了し、クラスメイトが帰っていく中、

俺はISを装着したままの状態で格納庫へと入り、もとにあった場所へ鎮座させ、

その状態でISを解除して外へ出ると箒となぜかセシリアもいた。

「箒はわかるが……なんでセシリアまで」

「初心者のあなたが何か事故を起こさないかと監視をしていますの」

「一夏はそんな初歩的なミスはしない」

「ほほ~う。では格納庫から出る際に頭をぶつけたのも初歩的なミスではないと?」

「ぐぐっ! そ、それは一夏のギャグだ! 緊張している私たちを解してくれたのだ!

な、なあ! そうであろう、一夏!」

「そうですの!? 織斑さん!」

勢いのある二人に迫られ、俺は苦笑いを浮かべながら二人を落ち着かせるしかなかった。

実際、授業が始まる際に格納庫のシャッターに頭をぶつけたのはみんなの緊張をほぐすなんて、

崇高な目的ではなく気付かずににぶつけたのだ。

ISを装着すると背が高くなるからな……でも、まさかそんないい方向に解釈するとは。

「と、とりあえず戻ろうぜ。休憩時間なくなるし」

「どうですの!?」

「そうなのだろ!?」

二人の追撃から逃げるように俺に特別に用意してくれた大きな更衣室に入り、

扉を閉めて鍵までしてやるとさすがにあの二人も諦めて自分たちの更衣室へ入ってくれた。

「ふぅ。何か疲れたひゃぁぁ!」

一息つき、ISスーツを脱ごうとした瞬間に脇腹を撫でられたような、

悪寒が両方の脇腹のあたりから全身に広がり、変な声を出してしまった。

慌てて後ろを振り返るとそこには髪をツインテールに結んだ女子生徒がいた。

「…………な、なんでお前がここにいるんだよ!」

「にひひひ~」

後ろにいた女子生徒の正体に俺は驚きを隠せなかった。

なんせ俺の目の前にいるのは小学生の頃に箒と入れ替わるように中国から、

こっちへやってきて俺の小学校に転入してきた二人目の幼馴染なのだから。

「鈴!」

「お久~ね。一夏」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、日本の中華って味が濃いわね」

ぶつぶつと文句を言いながらも学食で購入した中華セットを一心不乱に食べている姿を見て、

俺は行っていることとやっていることが矛盾しているぞ、という突っ込みを入れたいが、

なんとか我慢をしてサンドウィッチを食していた。

「一夏。こいつは誰だ」

「あ、あぁ。箒と入れ替わりで入ってきた俺の二人目の幼馴染の」

「中国代表候補生の鳳鈴音よ。よろしくね」

そして俺の両サイドを埋めるようにセシリアと箒が座っている。

セシリアは異国の代表候補生が目の前にいることもあってか、

何かふだんよりも醸し出している雰囲気が強いように感じるがまあ、気のせいだろう。

「本当はあたしも入学式に来る予定だったんだけど軍部の連中と意見が合わなくってさ。

ねえ、聞いてよ一夏。あいつら喧嘩するなって言うのよ?」

「それが普通だ。お前は昔から気に入らないことがあれば喧嘩で解決してきたしな」

「でも、気に入らないことってやっちゃいけないことでしょ?」

鈴の言う通り、こいつが今までに喧嘩をしてきた連中って言うのは誰かを複数で苛めていたり、

男子が女子に手を上げたり、はたまた教師の横暴などだった。

お陰でついたあだ名は鈴姉御。男子からも女子からもそう呼ばれていた。

まあ、本人もノリノリだったしな。

「あ、この前の模擬戦見たわよ~。第二世代でよくあんなに動けるわね。

まあ、相手があんたを相当見下していたせいもあったけど」

その一言にセシリアは両肩をびくっとビクつかせて鈴から若干、

視線を外し始めた。

さらに追撃として鈴がセシリアの視界に入っていくが最終的に彼女は、

鈴とは反対のほうを向いてしまった。

「こっちはこっちで忙しかったみたいね」

「まあな。疲れたよ、ほんと」

「ところであんたの部屋どこ? 今日行きたいんだけど」

「箒、良いよな?」

「なんでそいつに聞くのよ」

「同室なんだよ」

そう言った瞬間、一瞬だけだが鈴のツインテールが真上を向いた気がした。

そう、例えるならばよくアニメなどで髪の長い女性が、

ブチギレた際に表現されているアニメーションのような感じだ。

「その部屋の相方はどうやって決めるの」

「さ、さあ? 一応、一年の寮長は千冬姉だからあっちが決めてるんじゃないのか?」

「そう……千冬さんが……一夏!」

「お、おう」

「今度行われるクラス代表対抗トーナメントであたしがあんたに勝ったら、

あたしの部屋に引っ越してきなさい!」

……俺また、いけない事でもしたっけ?

入学してから今日までのことを必死に逆再生していき、

確認していくが鈴の正義感に触れるような悪しきことは一切していない。

うん。心に誓ってそう言い切れる。

「ちょ、ちょっと待て!」

「何よ、牛パイ」

「う、牛!?」

「と・に・か・く! 中国代表候補生としてあんたに決闘を挑むわ!」

鈴がそうたからかに宣言した瞬間、周りにいた生徒たちが一斉にどよめき立って、

ある者がおお慌てて学食から出て行ったがそれはもうこの際、無視をしておこう。

「え、えぇ~」

「男に二言はないはずよ!」

俺はまだ何も言っていない。

「良いわね!」

「……そこまで言われたら仕方がない。ただし! 

俺が勝利したら部屋割については何も言うなよ!」

「ええ、良いわよ。あたしが勝てば文句言わずにあたしの部屋に引っ越しよ!」

そんなわけでお引越しをするか否かをかけた決闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……そこまで言われたら仕方がない。ただし! 

俺が勝利したら部屋割については何も言うなよ!』

「…………っっっっっ!」

一夏と鈴の決闘が約束された日の晩。

箒は一夏が眠っている隣のベッドで一人、枕を抱きしめながらあの時、

一夏が宣言したことを何度も頭の中でリピート再生しながら悶えていた。

もしかしたら一夏は自分と離れるのが嫌だからあんなことを言ったのではと、

勝手な解釈をしながらも顔を真っ赤にしながら悶えていた。

「よ、よし……決闘までの間、私が一夏を全力でサポートするのだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願い!」

「え、えぇ~」

箒が一人悶えていた頃、鈴ともう一人の女子生徒が誰もいない夜の学食で、

テーブルをはさんで話し合いをしていた。

よく考えれば転入生である自分がクラス代表対抗トーナメントに出られないことに、

後になってから気づき、大慌てで二組の代表と話し合いをしていたのだ。

「い、いや私はいいんだけど先生がなんて言うか」

「大丈夫! そこは私が何とかしてあんたに迷惑は行かないようにするから!」

「そこまで言うなら……良いよ。代表も候補生がしてくれるんだったら、

クラスのみんなも納得するとは思うし」

「しっ! ありがとね!」

こうして水面下で己の望みをかなえるための行動が繰り広げられていた。




受けが悪いので一巻の内容で終わります。
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