太平洋領海監視場
太平洋方面を監視する小規模基地。
重要な基地のように聞こえるが、他の鎮守府によって監視ができるため実際の機能性はほぼ皆無で、現在は問題がある艦娘を更生させる施設となっている。
更生率は1割ほどだったのでこちらの面でもあまり機能していなかった。
そんな基地に3年前、人事異動によって新たな提督が着任した。提督主導による基地運用の改善によって次第に更生率は伸びて行き、7割を超えた。これによって解体等による戦力の減少を抑えられている。
『素晴らしい運用によって税金の無駄を無くし、さらには戦力の維持にも貢献した』
文章と共に自分の顔写真が新聞の一面にデカデカと載っている。恥ずかしいのでやめてほしいと言ったが、通らなかったらしい。
「司令官がようやく世間に認められたってことや。いいじゃん写真くらい」
自分の背中を手で軽く叩きながら、彼女が声をかけてくる。彼女、龍驤は着任した時に前任から引き継ぎの時に紹介された、古参の一人だ。
彼女の問題は既に解決したが未だ基地に所属している。普通は解決後に日本各地の鎮守府に所属するように命令が下るのだが、鎮守府に異動になった時「ここから離れるくらいならウチは自害するで」と真顔で言われた為に、どうしようもなくこの基地に配属されている。
「話題に上げられてしまっては身動きしづらいんだよね…」
「身動き?…あープライベートとかそういうこっちゃな。大丈夫大丈夫!ウチが守ったる!」
「それもそうだけどねぇ…」
必ず起こるであろう未来に頭を悩ませる。
そして事件は新聞に載った次の日に起こった。
マルロクマルマル、雲ひとつない空の色が段々と赤みを帯びてくる。
基地の正門で郵便を待つ提督は煙草をふかしながら、今日の対策を練っていた。
郵便屋から新聞と手紙を受け取り、手紙を確認していく。
「…やっぱりか」
いくつかの手紙に縁談の話があった。
新聞によって名声が上がった者を、早い内に囲もうとする上層部は何人か居るらしい。
手紙に同封されていた写真を見れば、誰もが美人だと頷くほどの美貌を持った女性達だった。男としては蹴るには惜しい、が命の方が大事である。
「あいつらにバレないように処分しないとな」
ウチは使えない道具やった。
初戦闘で重度の火傷を負って、PTSDになった。
戦場に出るのも怖くなってひたすら出撃拒否した。
数週間経ったらいつの間にか処理係に配属されていた。
けど、幸運やった。火傷痕を気味悪がって誰も手を出してこなかった。
1週間もせずにこの場所に配属されて今に至る。
けど最初ここに来た時は大変やったなー。資材も何も無いし提督は仕事せえへんしで、まるで艦娘の廃棄場やった。
環境も劣悪やし、塞ぎ込む子も多かったなぁ。
アンタが来るまでは。
アンタのお陰で基地としての機能や環境が改善されて、みんなの問題にもちゃーんと取り組んでくれて、ここはちゃんとした基地になった。めっちゃ感謝しとるで。アンタのお陰や。
せやから今までの分、ちゃーんとお返ししないとね!
「ねぇ司令官……朝の手紙どーしたん?」
読んでくれた貴公にシェイシェイ…
感謝です。また少し種を蒔いとこうと思います。