12月4日、日曜日
午前10時
広場に集合した後、ディアベル達パーティを先頭に迷宮区タワーまで進んでいく。
時折左右からモンスターが現れる事以外は遠足っぽい。
「……ねぇ、貴方達は、ここに来る前、他の…MMOゲーム?ってのした事あるの?」
「ああ、まぁね」
『した事あるね〜』
「そのゲームでもこんな感じだったの?和気あいあいみたいな…」
「それは……」
『あんまり、無かったな。大概コントローラーとかでキャラ操作しながらだったし、チャット欄に打ち込むタイミングはなかなか無かった気がする』
「ボイスチャット搭載のでは違うけどな」
『うん、その通り』
****
午前11時
迷宮区到達
午後12時半
最上階踏破
ここまで死者が出なかった事に私は安堵する。
途中危うい所はあったが、索敵しながら敵がいたら弓を射ってた。
それを見てディアベルが指示を出していた。
接敵されそうになった長モノ部隊リーダー1人以外を下がらせ、重めのソードスキルを使わせてモンスターをノックバック。
すぐさま近接武器装備のメンバーとスイッチ。
その指示振りは日頃からリーダー職に慣れていなければとてもできることでは無い。
「さてと…。もう一度確認しようか」
真剣な顔付きでキリトが言う。
「ええ、そうだね」
『私が一番最初に目やら手やらに射つんだよね』
「ああ、そして、俺が相手の長斧をソードスキルで跳ね上げる、そして…」
「私のリニアーで…」
『上手くいけたら良いけどな…。まぁ、私は全体見とくよ。弓だし』
ちらりと、前を見るとディアベルが7つのパーティを綺麗に並ばせ終えた所だった。
「皆、死なずに戦おう…!」
ディアベルは銀の長剣を高々と掲げながら、大きく頷く。
他のレイドメンバーも各々の武器をかざし、頷き返した。
「――――行くぞ!」
短く叫び、大扉を押し開けた。
一寸先は闇のように見えたが、1番先頭のディアベル達が進む度に左右にある松明がボッと音を立てて燃え上がっていく。
ソレが奥まで続き、ようやく部屋の全体が見えてきた。
ついでにフロアボスの姿も。
記憶通りの《インファング・ザ・コボルドロード》、右手に骨の斧、左でにはバックラーを携え、腰には約1m半の湾刀。
HPは4本バー。
これが私達の倒すべき敵。
《インファング・ザ・コボルドロード》が雄叫びをあげ、周囲から取り巻きのセンチネルが3体出現する。
「戦闘、開始ッ!」
ディアベルが叫び、周囲のプレイヤーも雄叫びをあげる。
『行くか』
「ああ、行こうぜ」
取り巻きのヘイトを集めるため、真っ先に駆け出した、E隊のリーダー、キバオウと《センチネル》のソードスキルがぶつかり、火花が散る。
―――――――――――――――
弓の性質上、低い所から高い所へ射るのは味方を巻き込む恐れがあるので向いてないが、高い所から射るのは安全に撃てる。
壁走で《センチネル》の後ろを取り、ジャンプでうなじに3連射る。
壁走で背後を取り、ジャンプで防具のない所へ射る、それが基本だ。
極たまにボスにも攻撃を仕掛ける。
ボスに攻撃した時に少し違和感を感じた。
腰にかけている武器は《曲刀》カテゴリだったはず、それなのに、あまり反っていない。
…って事は《刀》カテゴリか。
敵を囲んた時に範囲攻撃スキルが刀スキルにあったような気がする。
キリトに確認しよう。
キリトの近くに戻った時、キバオウが近くにいた。
「あんじょう、そこのセンチネルのLAはあんたらにくれてやる」
「どうした」
キリトが片手直剣でセンチネルにトドメをさしながら言う。
『あのボス《曲刀》カテゴリの武器ではない』
「なっ……よく見てみると《刀》カテゴリなのか?」
『正解。刀スキルって強大な範囲攻撃あったよな?』
「って事は、死人が……」
『ソレを出さない為にもディアベルに伝えようと思う。今ならボスのHPは残り2本だし』
「ああ」
ボスとの打ち合いに忙しいディアベル隊。
味方の間を通り抜け、ディアベルに武器が刀という事を伝える。
「刀スキル、分かるか?」
『ああ、わかる。俺とキリトだ』
「指示、任せるよ」
『任せて』
ボスの体力は1本と半分。
アイテムウィンドウから毒瓶を取り出し鏃に塗る。
1番は麻痺なんだろうけど今は体力の減る毒を使う。
両腕、両足に慎重に射抜く。
『残り1本!』
ボスが腰にかけていた、刀を引き抜く。
長い刀身、大太刀ぐらいかな。
引き抜いたと同時に取り巻きが3体出現する。
――行くか。
壁走りを実行し、ボスの肩へ乗り移る。
顔面へ飛びハンマーで振りかぶる。
スキルもなんも乗せていない普通のなぎ払い。
空中で前転一回転し、弓で目を射抜く。
受け身を取りながら床に落ちる。
「スタン!!」
誰かのその声に、紫色の大鎌を持った少女が紫色の刀剣を輝かせながら駆け抜ける。
4連撃。
体力残り半分。
『キリト!』
「アスナ!」
同時に叫ぶ、呼ばれた本人達は刀身を輝かせながら、前へ切り進む。
キリトは片手直剣ソードスキル《レイジスパイク》、アスナは細県ソードスキル《リニアー》を同時に放つ。
2人の圧倒的な威力により《インファング・ザ・コボルドロード》はポリゴン状の粒子となって消える。
終わった。
【 Congratulations】のウィンドウが現れる。
――突如、激しい頭痛に襲われる。
立てれない程にだ。
座り込み、視界が暗転する。
目を開けるとソコは、SAOのアニメを見ている女性が1人。
年齢からしてみたら20代前半だろうか。
アニメのシーンは黒い格好している男性と赤と白のコートを身に纏っている高齢の男性が戦っている。
《私もこんな世界行けたらなぁ。まぁ五感支配する機械が高いからなぁ》
よく見てみるとテーブルの上にはSAOのゲームが何個か置かれている。
その事から彼女はSAO好きなんだろう。
――そしてSAOに関する記憶が脳内を駆け巡る。
そうか、彼女が私の前世的な人物なのか。
「……ーナ!…リーナ!」
声がして目を開けると私を揺さぶるアスナの姿。
「大丈夫?」
「あ…ああ。大丈夫だ。第1層クリア出来たから、安心しちゃったの」
先程の光景は、SAOが解放される直前のシーン。
黒い格好はキリトで、赤と白はヒースクリフ。
……アスナを血盟騎士団に入れたくないな。
ギルド作れば良いのか。
能力高いスキルを持った人達を集めて、死なせないように。
「よしっ!第1層フロアボスクリアだ!!みんなお疲れ様!LA取った人は誰かな?」
「俺だ」
ディアベルの声にキリトが答える。
あぁ、ディアベルが生きた。
彼が生きる事で影響がどこまであるかだな。
「申告ありがとう、キリト君。それはそのまま持っていて。さぁ、第2層転移門を解放しに行こうと思う。今から呼ぶ人は着いてきて。それ以外は申し訳ないんだけど、トールバーナに戻って無事攻略できた事を言って欲しいんだ」
ディアベルのその言葉にしっかりと聞いてくれるプレイヤーの方々。