もしもワンダショがポケモンの世界にいったら?If Wonder's go to the Pokémon world   作:GAOまる

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ポケモンとプロセカのクロスオーバー作品になります。シリーズものとなってますので、前回を見てない方はぜひ見てからご覧ください。



今回から視点が変わります。見にくかったらすみません。(私や俺などの一人称ではなく、三人称になってます。急に文体を変更してしまいごめんなさい。)


いよいよポケモンゲットします!登場させるポケモンが一癖二癖あるやつばっかで、物語を作るのが楽しいです!


もしもワンダショがポケモンをゲットするなら?(えむ編)

えむの場合

 

るんるるーん♪

陽気な歌声とともにステップの足音が響く。みんなと分かれてから既に30分経過している。だがえむの足は疲れなど微塵も感じさせないほど軽やかだ。

いつもなら学校に行っている時間だ。学校ももちろん楽しいが、えむの抑えきれない好奇心はそれどころではなかった。

 

「あーっ!真っ赤な鳥さん!わんだほーーい!!」

「うわーー!お花が歩いてるー!!お花さん!わんだほーい!」

 

道ゆく全てのポケモンにオリジナルの挨拶を披露する。当然通じるわけもなく、その全てがびっくりして逃げて行ってしまう。

 

「あー!?み、みんなー!ちょっと待ってよー!」

(どうしよう…みんな逃げて行っちゃうよ…)

これじゃあ司くんたちとの約束が果たせない。

今日の17時、それまでにポケモンを一匹ゲットしなくちゃいけないのに…

 

しょぼしょぼと歩く。途中で見かけたポケモンたちもえむの姿を見るたびたちまち逃げ出してしまった。

どうすればなかよしになれるんだろう?

試行錯誤しても、いいアイディアは出てこない。

 

(司くんだったら何か思いつくのかな…)

ふっと彼の顔が頭に浮かぶ。キラキラな夕焼け色の目が、ニコリとわたしを見つめている。このセカイに来てもその目は少しも変わっていない。わたしの大好きな色だ。

そんなことを思いながら空を見上げる。太陽の色が彼の色と重なって、見守られてるみたいだ。胸が温かくなる。

 

 

その刹那、

 

ぶわっ!!

 

 

と、何かが空をよぎった。それはとても美しい、金色の、

そうまさしく、つい先程まで頭を埋め尽くしていた彼の色に、瓜二つであった。

 

運命の出会いだと、そう感じた。だって初めて彼を見たときと、同じ気持ちになったから。

 

気づいたら駆け出していた。枝葉が刺さる。でもそんなもの、気にもならなかった。

わたしの真上を照らす、さんさんの太陽が

「がんばれ!」と言ってくれているかのように、わたしの背中を押してくれた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

どれくらい走っただろうか、

さすがのえむの体力にも少し疲れが見えてきた。

だが依然としてあの金色の鳥は大空を悠々と飛んでいる。

(負けるもんか!)

決して目を離さないように追いかける。

 

次の瞬間、一点を見つめていた視界は大空から大きく下降した。

どうやら目の前にある木の枝に止まったようだ。

 

(ようし!今のうちだ!)

すかさずスマホをかざす。パシャリとその瞬間をカメラに収めた。

 

[チルット!わたどりポケモン!ノーマル・ひこうタイプ!

真綿のような翼は空気を含んで、ふわふわの触り心地!

こまめな手入れを欠かさない!]

 

待ってましたと言わんばかりに意気揚々と語り出した。

(チルット…あの子、チルットって言うんだ…)

初めて知った相手の情報にえむは喜ぶ。

 

(あれ?) だがその相手を見た瞬間、疑問が走る。

(図鑑の写真と…色が違う…)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

色が違う。そうなのだ。図鑑の写真ではチルットは青色なのだ。

(じゃあ、あの子は一体…)

そう考えていると、枝木に止まっているチルットが鳴き出した。

見た目に反して大きな声をだす。驚いて見上げるとどうやら他のチルットが来たらしい。鳴き声を交わしている。

ということはあの子も間違いなくチルットなのだろう。

(一緒に眠りたいのかな… ………あ!!)

微笑ましく見ていると、次の瞬間、なんと後からやってきた2匹のチルットが金色のあの子をつつきはじめたのだ。

 

(なんで?!あの子は同じ仲間じゃーーーー)

 

そこまで考えたところでえむは察した。

(そうか…みんなと色が違うから…仲間として見てもらえないんだ…)

 

思えばあんなに小さいポケモンが親もおらず、1匹だけで飛んでいたのがそもそもおかしかったのだ。

きっと生まれたときからみんなと色が違うあの子は、誰にも頼ることができずに1匹だけで生きてきたのだろう。

 

(あ!!)

 

激しい攻撃を受けたチルットはぐらりとバランスを崩し、枝から落ちてしまった。

 

(大変!救けに行かなくちゃ!)

木のふもとに大きな湖が見えた。底に沈んでしまったら救いようがない。全速力で駆け出す。3分、いや2分あればあの木のふもとへは行ける。先のことなど考えずに足を進めた。

 

もしかしたら嫌われてしまうかもしれない。いきなりやってきた少女に怯えてしまうかもしれない。さっきみたいに逃げられてしまうかもしれない。

(でも… それでも……!!)

たとえどうなってもあの子を救けたかった。ひとりぼっちがどれだけ寂しいかは、自分が痛いほどわかっていたから。

 

脚を早める。視野が狭まる。グングンと進む。前に、前に、前に、進んでいった。その先に、その子はいた。湖の脇でぐったりとしている。急いで駆けつけようとしたその瞬間、湖の中から大きな影が、

 

    ザバァアアアン!!

 

と、飛び出してきた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

そのポケモンは突如、水の中から這い上がり、チルットの前に立ちはだかる。図鑑を確認している余裕はない。その表情は明らかに怒りを表していたからだ。

 

(どうして…?!)

なぜ怒っているのか最初は分からなかった。だがその疑問はすぐ解決した。踏んでいるのだ。落ちたチルットの下、無惨にも散らばったその子のものであろう木の実の山を。

 

餌場をめちゃくちゃにされたその子は、今にもチルットを攻撃しそうな勢いだ。当然、木から落ちたチルットに逃げる体力はない。

 

(救ける! …でも…)

どうやって?

間に入ったって、あの子の怒りは収まらないだろう。

かといって撃退するほどの力はえむにはない。それに傷つけたくはなかった。あの子は餌場を荒らされただけなのだから。

 

頭をフル回転させる。ぐるぐるとめぐる思考の渦に飲み込まれそうになる。

 

そのとき、

 

ーーーー!!

 

鳴き声が聞こえた。

 

間違いなく、あの子だ。言葉など通じるはずもない。

 

だが、確かに聞こえた。「たすけて!!」

 

孤独だったあの子がはじめて出した本気の言葉。

鼓動が響くえむの体に、その声が響く。

 

スパンッと渦の中から光が見える。

これだ…これ以外の方法はもう思いつかない。

 

えむはポケットから取り出したそれをおもいっきり投げた。

力いっぱい投げたそれは、風に乗り速さをまし、

カシュッと今まさに攻撃をしようとしているその子にあたる。

 

あたりに静寂が流れる。ポトっと地に落ちたそれは3回ほどゆれ、カチッと音をだした。

 

ゲットした…ゲットしたのだ。初めての経験に胸が少し弾む。

そして。次にえむに湧き上がったのは安堵だった。

 

チルットに駆け寄り、ボールを拾う。ぎゅっと握りしめポケットに入れると、倒れているその子を持ち上げた。

空を飛んでいたときには見えなかったが、身体中に小さな傷が無数にある。

(ずっと1人で… 耐えてきたんだね…)

いたいけなその子の姿に目が潤む。思わず抱く手に力が入る。

強く抱きすぎたのか、チルットは目を覚ましてしまった。

 

心の中で謝りながらえむは、言葉を発する。今まで生きてきた中で一番優しい声がでた。

 

「あなたは…ずっと1人だったんだね…、私もね…大好きなおじいちゃんが死んじゃってからはね、ずっとひとりぼっちだったの。

何をしても心から楽しめなくて、ご飯もあんまり美味しくなかった。ひとりぼっちって辛いんじゃなくて、痛いんだよね。心がギュウッてなって、締め付けられるみたいになるんだ。」

 

えむにとってあの時間はなによりも嫌な苦痛だった。あの時間を思い出すだけで心が沈んでいく。だが…

えむの顔はパッと笑顔になる。

 

「でもね、そんなときにやってきてくれたの!暗い世界からわたしを引っ張り上げてくれた、白馬に乗った王子様みたいな人が!

その人がね、サイッコーにわんだほいな世界にわたしを連れて行ってくれたの!」

 

あの出会いはえむにとって奇跡だった。彼との出会いがなければえむは今もあの苦痛の中にいただろう。

 

「その人はね、わたしの太陽なの!あたりをパッと照らしてくれて、いろんなものをわたしに見せてくれたの!」

 

チルットは逃げだすことなくえむの話を聞いている。

今しかない。言うんだ、自分の本心を、きっと伝わるはずだから。

 

「ねぇチルット…わたしはあなたの太陽になりたい…。彼に救ってもらったわたしが、今度はあなたを救いたい。……いい……かな?」

 

返事を待つ、胸がバクバクする。怖い、目を逸らしたくなる。

だが決して視線を外さずにまっすぐに見つめた。

 

コクンとチルットの身体が前に傾く。全身を使ったイエスのサインに思わず涙が溢れてきた。

 

「わたしのこと…信じてくれる…?」

 

チルットはふわふわの羽をえむの頬に当てる。涙を拭いてくれたのだろう、ふわりとした感触がえむの顔を包む。

 

えむはおもむろにポケットからボールを取り出すと、抱きしめているチルットに優しく当てた。

 

ヒュウンとボールの中に入り、カチッと音がした。

 

ーーー〜〜〜〜〜〜!!!!嬉しさが弾ける。堪えていた身体から、込み上げてくる気持ちを抑えることなどしたくなかった。

 

「わ、わ、わんだほ〜〜〜〜〜〜い!!!」

 

両手を空にあげジャンプする。疲れは消えていた。

着地するとえむは引き返し、帰り道をスキップで駆け出した。

 

早く帰ってチルットを治療してあげなくちゃ。怒っていたポケモンとも仲直りさせてあげよう。

(これからは…1人じゃないよ!)

ポケットに向かって話しかける。

 

夕日の光に包まれて、ポケットの中の2つのボールはキラキラと輝いていた。




後書きです!実はえむちゃんに何を捕まえさせるかは、決めていました。チルットでしたねー、正解した人はいるのでしょうか?
こういう予想ってほんとに楽しいですよね!私も(なにがええかなー)と迷いに迷って書きました!そしてもう1匹、最初は捕まえさせる気はなかったのですが、シナリオを作っていくにつれいたら面白くなる!と思って急遽追加しました。あえて名前を伏せましたが、次の司くんの目線で、えむちゃんがなにを捕まえたのかわかります!予想しながら、楽しんでください!
(ヒントはみずタイプ!   …当たり前ですねw)
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