もしもワンダショがポケモンの世界にいったら?If Wonder's go to the Pokémon world 作:GAOまる
最近プロセカができていなくて、うぉぉぉぉ!と嘆いています。ストーリーを読まないと、ストーリーが書けんやないか!ということで頑張ってイベスト読みまーす!
類の場合
カシャッ!
[レディバ!いつつぼしポケモン!むし・ひこうタイプ!臆病で常に群れていないと不安!背中の模様は1匹1匹微妙に違う形!]
カシャッ!
[チェリンボ!さくらんぼポケモン!くさタイプ!ーーーーーー]
カシャッ!
[ホルビー!あなほりポケモン!ーーーーーーーーーーーーーー]
カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ!!
「ふふふ…はははははっ!!あぁ、なんて…なんて興味深いんだ!知れば知るほどわからなくなってくる!こんな体験は初めてだ!!」
類は森の中をカメラ片手に疾走していた。ポケモンを見つけては撮り、見つけては撮り…爆発した彼の好奇心を止める者は今この場にはいない。
類は抑圧から解放された獣のように、目を不気味に光らせながらポケモンたちを追いかけた。
「ふぅ…だいぶ集まったかな。」
類は図鑑を眺める。すでに50匹以上のポケモンのデータが集まっている。
「ただ…」
類は画面をスワイプする。未だ見たことのないポケモンがまだまだ400匹はいた。
「これは…骨が折れるねぇ」
類は図鑑アプリを閉じ、別のアプリを開いた。
パッと画面が変わり、紫と黄色のツートーンの画面が広がる。
……これはみんなには言っていない、類だけの秘密のアプリだった。なぜなら、その眩しいほどの画面の上の方にこう書いてあったのだから。
【カミシロルイの現実セカイ帰還条件】
きっとみんなにも同じようなものがあるのだろう。しかもわざわざ名前を変えるということはそれぞれに条件も違うはずだ。
きっとみんないつかは気づくだろうが、このことを自分の口からは言いたくなかった。この条件は、お互いに秘密にするべきだと、心に釘を打たれたような感覚になったからだ。
条件は2つ、そのどちらもが手付かずで類は何をすればいいのかわからない。とにかく今は沢山のポケモンを図鑑に登録してみたが、条件画面にたいした進捗は得られなかった。
(まぁ…これは今考えても仕方のないことだね、時間制限がないのが唯一の救いかな。とにかく、まだ僕たちはこのセカイのことをほとんど知らない。だからこそまずはひたすら調査だね。)
「さて…」
だいぶ自分のことに時間を使ってしまった。そろそろみんなとの約束のポケモンをゲットするとしよう。
類は再び歩きだす。
(………あ、そうだ1つ言い忘れてた)
「このセカイにも、やっぱりミクやカイトのように、バーチャルシンガーがいるのかな?もしこの声が届いているなら聞いてくれるかい?僕自身、君たち、いや自分たちのためにこの進捗は達成させるつもりだ。ただ、もしこれが原因でみんなが傷つくようなことがあれば…」
類は上を見上げて声を放つ。
「その時は…俺は絶対に、君たちを許さないからね。」
これは誓いだ。警鐘に見せかけた、自分自身への誓い。彼らの輝き続ける笑顔は、俺が絶対に守る。刻んだ誓いを胸に、類は再び歩き始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
だいぶ森の奥まで進んだ。汗が頬から滴り落ちる。辺りに見えるのは木々ばかりだ。かいてもかいても進めない水の中をもがくように、木々の影で薄暗い森の中を進んで行く。
「…ふぅ。おや?」
森の奥のさらに奥、いわば最奥とでも言うべきところか、そこから微かに光が漏れ出していた。類は餌を見つけた魚のようにそこへ向かう。そこは神秘的な場所だった。木に囲まれた小さい広場のような場所の中央に石の台座があり、そこへスポットライトのように木漏れ日が差し込んでいる。ポケモンたちもそれを囲んでのんびりと日光浴していた。
類は近づき、石の台座を触る。日光を浴びているのに、苔むしていて、ひんやりと冷たい。不思議な感覚だ。
幼少期の頃の記憶が蘇る。好奇心旺盛に、手当たり次第にものを触り、初めての感触に心を躍らせる、そんな記憶。
「ここにしようか。」類は重い荷物を下ろす。
このセカイに来てからずっと探していた場所。
自分のショーをポケモンたちに思い切り披露できる、そんな場所。ここならぴったりだ。
一礼して、台座に乗る。始めよう。ポケモンたちに送る最高のショーを。
「Ladies'and gentlemen!」
観客たちがこちらを向く。興味を示している。つかみは上々だ。
「今日お送りするのは、一世一代の最高の喜劇!観衆の皆々様は目を輝かせ、瞬きせずにご覧ください!」
木々が揺れる。この場所全体が拍手をしてくれているようで嬉しくなる。
(さぁ…ここからだ。)
類の右手から花がはじける。舞い散る花びらに目を取られている隙に袖からステッキを取り出す。くるくると回し、台座に打ち付けるとその先端から光が漏れ出した。弾けた光が花びらにつき、妖精のように舞い踊るーー幻想的な空間が誕生した。
(よしよし、次はロボットたちを出して…おや?)
観客席の一番奥、隅の方だろうか、縮こまっている観客がいる。
その目は、体毛で隠れていてよく見えないが雰囲気でわかる。
楽しむことを遠慮しているような…1人きりの孤独な姿が。よく見ると、ほかの観客たちも困ったようにその子を見ている。
「そこの可愛いお客様!どうぞお手をこちらに!ともに踊りましょう!」類は台座を飛び降り、たまらず声をかけた。けして、自分の過去と重なったとかそういうのじゃない。ただ心から自分のショーを楽しんで欲しかった。
その観客は、おずおずとこちらを向くと類の横を歩き出した。
類は再び台座に登るとショーを再開する。
(よく見ててね。)目配せをすると、類はロボットをとりだそうとした。
その瞬間ーーバチンと音がする。手に痺れが走り、思わず手を離した。ロボットが台座に落ちる。
(ショート?故障か?ありえない、こんなに急に…)
類は振り返る。あの観客が自身の毛を目一杯膨らませていた。
ばちばちと音がしている。この子に原因があることは間違いないようだ。だが、わざとではない。類はずっと人を見てきた。表情なんて見れなくても何を思っているかは、わかる。
怯えている。自分のせいでショーを台無しにしてしまったと。心の底から謝っているのが伝わる。
ごめんね、君をそんな顔をさせるために連れてきたんじゃないんだ。僕はただ君にも…楽しんで欲しかったんだ。
カツンとステッキを打ち付ける、空気が変わった。もう大丈夫。
君を笑顔にーー、類はロボットの部品を空に投げた。空を舞う部品にあの子の体から電気がほとばしる。やっぱり彼のものだ。
おそらく自分の身体からできる電気をコントロールできないのだろう。彼の前では、機械は使えない。
だが、それがどうした。その程度のこと、障害ですらない。
類は腕を大きくふった。部品がさらに空を舞う。撃ち抜くように電気が飛んだ。あの子はブルブルと震え俯いている。
「大丈夫、僕を信じて、上を向いてごらん。」
優しく、優しすぎるほどに声をかける。
あの子が恐る恐る顔を上げた。
ーーーそれは、大樹だった。大きな大きな木。放出された電気が茂みとなり、類が先ほど振り撒いた光る花弁とあいまって、夢のような輝きを放っている。
その子の目は、この場にいる誰よりも輝いていた。目隠しされた顔から涙が落ちている。さっき見た怯えの涙じゃない。綺麗なものを見たときに流れる、美しい宝石のような涙だ。
類はしゃがんで語りかける。
「君はショーが大好きなんだね、見ていればわかるよ。でも放電が怖くて近づけなかった。でも、これを見てごらん。君の電気は、個性だよ。欠点なんかじゃない。こんなに綺麗なものを作れる、素晴らしいものなんだ。もっと自分に自信を持っていいんだよ。」
その子の顔がパッと輝いた。これだ、この笑顔が見たかったのだ。
「…それでは皆さん!惜しみない協力をしてくれた彼に拍手を!」
観客たちから拍手が飛び交う。これでもうこの子が放電に怯えることはないだろう。
「それではこれにて閉幕です。今日の奇跡は皆様にとって、心に咲き続ける花となるでしょう!それでは、またいつか必ずどこかでお会いしましょう!」
類は台座から降り一礼すると、ステージに背を向け歩きだす。観客たちの拍手の嵐が、類の背中を温かく押した。
最奥を出た、あとはまっすぐ帰るだけだ。……あ、
忘れていた。ポケモンをゲットしてくる約束だったんだ。
(まぁ帰り道でいいか)
歩く類の背中に衝撃が走る。
思わずよろけて、後ろを振り向くとさっきのポケモンがいた。
鼻息を鳴らしながら自信満々に類を見つめている。
「君…ついてきたのかい?」と聞くと、元気の良い鳴き声が聞こえる。どうやらYESのようだ。
類が少し歩くとテクテクと後をついてくる。どうやら本気のようだ。
「えっと…じゃあ君、僕と一緒にくるかい?」
その子の目がパッと輝く。そうと決まれば…
類はボールを取り出す。
(確か…当てるんだよね……あっ!)
その子は自分の額をコツンとボールに当て自ら中に入った。
カチンと音がした。類は胸の奥から湧き上がる喜びに打たれる。
なぜだかわからないが、得もいえない達成感があった。
類は捕まえたポケモンをボールからだす。そして図鑑をかざした。
[メリープ!わたげポケモン!でんきタイプ!ふわふわの体毛は静電気が溜まると2倍に膨らむ!触ると感電してしまう!]
なるほど…君の名前はメリープか…
「よろしくね、メリープ。」
メリープは元気に鳴く。本来はこれくらい明るい子だったのだろう。類はメリープをボールに戻すと再び森を歩きだす。
そのときーーー<ありがとう>
言葉が類の頭に流れ込んできた。振り向いてもただ森がざわざわと揺れているだけだ。
「まったく、今の声はなんなんだい?本当にこのセカイは僕を退屈させないね。」
類は歩く。この声の正体は今はわからなくてもいい。
いつかわかったときに、君にずっと会いたかったと、この子にで合わせてくれてありがとうと、そして僕のショーを見てくれてありがとうと、そう胸を張って言えるから。
後書きです。
更新早くしますと言いながら遅くなって申し訳ございません。
類くんに誰をゲットさせるかは決めていたんですが、ストーリーの根幹に関わる部分もあり、考えるのに時間がかかってしまいました。
さて、次回でワンダショメンバー全員がポケモンをゲットしたことになります。実は考えているのはそこまでで、あとは一切ストーリーは考えていませんでした。しかし、今回類くんのお話にあったように、もとのセカイに戻るための条件を追加しました。
まだ何も考えていませんがここから話を膨らませていきたいなと思っています。
それでは次回の寧々ちゃん編でお会いしましょう。
閲覧、誠にありがとうございました。