妖精魔界戦記ディス・アヴァロン   作:サンダーボルト

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お久しぶりです。

トレジャーイベントで宝箱を開けまくって楽しんでますか?私は3種合わせて1000箱くらいは開けてると思います。

アルトリア・キャスターの冒険は暫く続けようと思ってますが、ちょっと展開が無理矢理かなー、と心のどこかで思ってるので、もしかしたら丸ごと消すかもしれません。

アルトリアとの絆イベントが必要なんや…。


アルトリア・キャスターの冒険

 私がコバヤシに買い取られてから随分と時間が経った。魔界の生活に慣れた頃に、変な魔法を覚えさせられてアイテム界とかいう地獄に何度も突っ込まされたり、エグい魔力が濃縮されたエキスを飲まされたりしたけど私は元気です。

 

 私以外に連れてこられた人も、魔界で凄いイキイキした生活を送ってると思う。

 

 特にバゲ子。前に鍛冶場に来た時のバゲ子は、何というかお嬢様の上級妖精でクッソーって感じだったけど、今だとよく暴走しているのを見る。

 

 

「れろれろれろれろれろれろ……」

「!?おい、ちょ、バーゲスト……ひ、ひひひ……こそばゆい……!放せって!」

「これはただの挨拶ですので……れろろー」

 

 

 椅子に座ってたコバヤシを後ろから羽交い絞めにして、首筋をレロレロしてるバゲ子。牙の氏族の挨拶らしいけど、人間のコバヤシにやらなくてもいいだろ。

 

 

「放せっつってんだろうがァ!!!」

「きゃああああああああああ!!!」

 

 

 遂にコバヤシがキレて、バゲ子が投げ飛ばされた。あのでっかいバゲ子が、下級妖精にマウントを取るマウンテンな妖精のバゲ子が宙を舞う。魔界っていうのはつくづく魔境だ。山が空を飛ぶなんて空前絶後な出来事が起こるのだから。

 

 

「あう……ああっ、壁に穴が開いてしまいました。急いで直さないと」

 

 

 投げられて壁にぶつかったバゲ子は壁を壊したが、本人はケロッとしている。アイツの体は何で出来ているんだろうか。

 

 ……まあ、バゲ子の事は置いといて。とにかく私は新天地でそれなりに楽しくやっているのだ。魔術も魔法もいっぱい覚えて、新しい戦い方も身についた。

 

 これからここで頑張ろうって、そう思っていたのだ。

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 ある日、暗黒議会の議長から呼び出されたコバヤシは、ある相談を受けていた。

 

 

「何、アルトリアのレベルが上がらない?」

「正確にはレベル1000から上に上がらないんです。彼女も何度も転生しているのに、思ったほど強さが振るわなかったのでおかしいと思い、調べてみたんです」

「それで、レベルが1000で打ち止めになってると気付いたのか…」

「私達にも原因が分からないので、モルガンさんへ調べてもらうよう頼んだんです」

 

 

 意気消沈したアルトリアに、少し気の毒そうな視線を送るモルガンは、コバヤシに調べた結果を報告する。

 

 

「我が夫よ、アルトリアは恐らく得られる強さに制限がかかっています。アルトリアも私と同じ、楽園から使命を持たされてブリテンに送られた妖精です。楽園の妖精はブリテン各地にある巡礼の鐘を鳴らし、力を取り戻して成長していきます」

「まさか魔界で転生しても特性が引き継がれるとはなぁ……」

「私は既に数え切れぬ程に巡礼を終わらせてきましたから、魔界でも十分なレベル上げが行えたのでしょう。アルトリアを魔界に順応させる為には、彼女にも巡礼を行わせる必要があります」

「ふーーーーーーーーーーーん……」

 

 

 明らかに面白くなさそうな表情と声音。コバヤシの反応にモルガンの顔色も少し悪くなる。

 

 嫌な沈黙の中で、アルトリアがおずおずと手を挙げた。

 

 

「べ、別に私はこのままでも良いかなー、なんて。ほら、正面切って戦えなくても、仕事なんて沢山あるでしょ?」

「いや、しかし、1000レベルで打ち止めならステータスだって大したものになりませんよ?私達だって強さが必要ない仕事だから大してレベル上げもしておりませんが、やろうと思えば一瞬で9999までいけますし。

 強い方が出来る仕事も増えます。この状態のままなのはオススメできませんよ」

「……うぅ」

 

 

 まだ魔界で過ごした時間が短いアルトリアでさえ、強くなる事の重要性は理解している。強者ひしめく魔界で自衛すらできないのであれば、どうあれお荷物になってしまうのだから。

 

 どうしたものかと各々が頭を悩ませる中、魔王コバヤシが動いた。

 

 

「なあ、アルトリアよ……」

「な、なに?」

「……俺と聖地巡礼デート、行く?」

「――――行く!!」

 

 

 思ってもみない提案に条件反射で返事をしたアルトリア。未だデートもよく知らない田舎娘であるものの、楽しい事なのは彼女も何となく分かっていた。

 

 アルトリアは金で買われた身であるので仕事は厳しいが、変に迫害されもせずに生活出来ている。コバヤシは基本、正直に物を言うのでアルトリアからの好感度はそれなりに高かった。

 

 あのバーゲストがお熱の彼を自分が独り占め、という妙な対抗心も合わさって、アルトリアは二つ返事で巡礼を引き受けたのだった。

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

「どうだ、この格好。これなら俺が魔王だってバレる心配もないだろう」

「顔がしっかり隠れるローブに、魔術師っぽいダサい木の杖……どこから見ても怪しい魔術師ね、コバヤシ」

「転生でレベルも1に戻したし、これ以上の正体の隠し方なんて無いよな」

「レベル1でも妖精國の連中より上とか、やっぱ魔界ってイカレてるぜ……」

 

 

 アルトリアに付き添うコバヤシは、正体がバレないように只の魔術師を装っていた。

 

 

「にしても、態々アルトリアの為に一緒に行くなんてコバヤシも優しいよねー」

「んー、まあ、買ったの俺だからな。さっさと鐘鳴らして帰ってくるさ」

「なるべく早く済ませてこいよな。コバヤシがいないと退屈で仕方ねーから」

「はいはい」

 

 

 ぽんぽんとバーヴァン・シーの頭に手を乗せる。

 

 旅の支度を終えたアルトリアが、モルガンに連れられてやってきた。が、その顔は赤く染まっている。

 

 

「アルトリア、その服どうしたの?アハッ、服に着られてる感ハンパねー!」

「うるせー!!着ていけってモルガンに渡されただけだよ!」

「私が昔、巡礼の時に着ていたおさがりです。あのみすぼらしい服では予言の子だと信じてもらえませんから」

「着てても怪しいけどなぁ」

「一番怪しいのはお前だコバヤシィ!!」

 

 

 吠えるアルトリアを宥め、コバヤシはモルガンに言葉をかける。

 

 

「俺がいない間、魔界はお前に任せたぞ」

「ええ。夫がいない家を守るのは妻の役目ですから。ええ、妻の役目ですから」

「妻強調すんな。手に負えないトラブルが起きたらちゃんと呼べよ」

「勿論です。そちらこそ気を付けて。私が世界中に釘を刺しておきましたが、それでも馬鹿な事を考える輩がいないとも限りませんから」

「心配いらないさ。俺達が通る道を邪魔するなら全部踏み潰すだけよ」

「……ふふ」

 

 

 モルガンは目を細めて優しく微笑み、コバヤシとの距離を詰めた――――零距離まで。

 

「!」

「……んっ……」

 

 

 見送りに来ていた者達が驚きで固まる中、モルガンの接吻をコバヤシは受け入れた。

 

 

「……お前……」

「……おまじないをかけました。我が夫が無事に帰って来られるように」

「アルトリアにはしないのか?」

「我が夫が帰ってきたなら、きっとアルトリアも一緒ですから」

「そうかい……」

 

 

 短い接吻の後、見つめ合う二人。そしてモルガンの魔法陣が迫りくる二つの影を押しとどめた。

 

 

「陛下!!抜け駆けはズルいですわ!!コバヤシ、私とも是非、キ、キキキ、キスをしましょう!?きっとご利益がある筈です!」

「コバヤシ!!僕という恋人がいながらなんて事を!帰ってきたら僕とちゅーしようね!約束だよ!!」

「な、で、では私も!無事に帰還した後にキスを所望しますわ!!」

「分かったから少し落ち着け」

 

 

 魔法陣に張り付くバーゲストとメリュジーヌに少し引きつつ、真顔で硬直しているアルトリアを引っ張ってコバヤシは妖精國へ飛んだ。

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 目の前に広がるのは、緑の絨毯が目の届くずーっと向こうまで敷き詰められた平原。まるで世界が私達だけのものになったと錯覚してしまいそうな、広大な景色。

 

 肌を撫でる風も暖かいお日様の光も優しくて、このまま横になったらすぐに眠っちゃいそう。

 

 

「最初はソールズベリーから行くか。一番近いし、嫌な事は初めに済ませてしまおう」

「あ、うん」

 

 

 そう言うとコバヤシは道なりに歩いていく……あれ?

 

 

「いつもみたいに空飛んだり、モルガン陛下の魔術でショートカットしないの?」

「たまには、地に足付けた冒険も悪くないと思ってな」

「でも、歩きだと時間かからない?」

「……なら走るか」

「えっ」

 

 

 そう言うと、コバヤシは凄まじい速さで道を疾走していった。意地でも歩きで行きたいのかぁ……。

 

 

「って、待てーー!!私を置いて行くなーーーー!!!」

 

 

 まあ今の私ならコバヤシにだって余裕で追いつけるけどね!!

 

 ソールズベリーまで走っていった私達は、途中でモースに襲われる事もなく無事に辿り着く事が出来た。

 

 町には普通に入れたけど、問題は巡礼の鐘をどうやって鳴らすかだよね……。

 

 って思ってたら――

 

 

「な、なんだその魔力量は!?」

「こんな質の高い魔力を持った妖精、初めて見るぞ!?」

「きっと予言の子だ!女王を倒すために予言の子が来てくれたに違いない!!」

「「「予言の子!!予言の子だ!!予言の子がソールズベリーにやってきた!!」」」

 

 

 私はあれよあれよと祭り上げられて、鐘のある大聖堂まで案内されちゃった。

 

 

「よかったなアルトリア。今ならお前、立派な予言の子として認められてるぞ」

「……っていうか、どうして私だけ?魔力ならコバヤシだって凄いよね?」

「俺はしっかり隠蔽工作してるからな。アルトリアの魔力の質が高ければスムーズに事が運ぶと考えてたが、狙い通りだ」

「先に教えておいてくれないかな!?」

 

 

 妖精眼だからって何でも分かる訳じゃないんだぞ!!

 

 私の抗議を気にも留めないで、コバヤシは大聖堂へ躊躇なく入っていく。私も慌てて後に続いた。

 

 

「……凄い……綺麗だね……」

 

 

 大聖堂の中はとても広くて、空間が虹色に輝いていた。私が見とれていると、奥から一人の妖精が騎士を連れてやってきた。

 

 

「……町の騒ぎは存じています。貴女が予言の子……なのですね」

「あ、はい。初めまして。私はアルトリア・キャスターと申します」

「私はコーラル。オーロラ様に仕えている妖精です。……この魔力、皆が興奮するのも分かります」

「えーと、私達はここにある巡礼の鐘を鳴らしにきました。通して頂け…ますか?」

「なりません。この大聖堂は2000年前、モルガン女王陛下の戴冠式を行った特別な場所です。

 そこに従者とはいえ、人間ごとき下等生物を入れるなど。いかにオーロラ様が通せと仰られても、許容できるものではありません」

「む……」

 

 

 コーラルさんの表情が険しくなって、私達を睨みつけるように見てくる。そして後ろから、ソールズベリーの騎士たちがぞろぞろやってきた。

 

 

「予言の子と汚らわしい人間を捕えなさい。大人しく投降するのなら良し。逃亡するのなら人間は処理しても構いません」

 

 

 気づけば私達は武器を構えた騎士達に、すっかり囲まれてしまっていた。

 

 

「おい、抜かるなよ。人間の方はどうでもいいが、予言の子はオーロラ様が欲しがっているのだからな」

「ああ、今の女王陛下を倒すには予言の子の力が必要だ。予言の子がオーロラ様の物になれば、ブリテン中にオーロラ様の素晴らしさが広まるだろう」

「やるぞ、オーロラ様の為に!」

「……お前達、何を……?」

 

 

 やたら士気の高い騎士達に、コーラルさんも困惑しているようだった。まあ、なんにせよ……。

 

 

「私達、喧嘩売られてる?」

「みたいだなー」

 

 

 杖を持ってる手に自然と力がこもる。コバヤシを汚いもの扱いしたり、私を都合の良い道具扱いしたり……。

 

 

「俺の助け、いるか?」

「ううん、いらない」

「そうかい。なら……死なない程度に蹴散らしてやれ

 

 

 その言葉を皮切りに、私は兵士達の前に躍り出た。

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 「うりゃああああああああああ!!!」

 

 

 大きくジャンプしたアルトリアから繰り出される、杖による振り下ろしが炸裂する。大聖堂の床が割れ、周囲の騎士たちは纏めて吹き飛ばされた。

 

 余りにも現実離れした光景に、コーラルも騎士達も唖然とする中、アルトリアは棒立ちの騎士に次々と襲い掛かる。

 

 

「グフッ!?」

「ぐわぁ!?」

「がぁっ!?」

 

 

 頑丈なミスリル製の鎧もなんのその。突き、殴り、ブン投げての大暴れ。小柄な体に似つかわしくないパワーでアルトリアは暴れまわる。

 

 

「こ、こいつっ!?」

 

 

 騎士から放たれた矢を片手で杖を回して防ぐアルトリア。

 

 剣や槍を持った騎士が襲い掛かるが、杖を構えたアルトリアが突進して人数差を物ともせず押し返す。

 

 

「な、なんだこの力は!?」

「甘く見るなぁ!!お前達なんか何百人相手にしようと負けるかー!!」

「う、うわぁぁぁぁぁ!?」

 

 

 何十人もの騎士がアルトリアに力負けして倒れ込む。倒れた騎士の一人に近づき、両足を掴んでグルグル振り回した。

 

 

「うおおぉぉぉぉーーー!!!」

「ウワアアアアアアア!?」

 

 

 ジャイアントスイングで近くの騎士を巻き込んで吹き飛ばし、十分に勢いを付けたアルトリアは、掴んだ騎士を空の彼方へ投げ飛ばした。

 

 

「飛んでけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「ぎゃあああああああああああ!!」

 

 

 聖堂の窓を突き破って騎士は外へ飛んでいく。乱れた息を整えながら、アルトリアの碧眼が騎士達を射抜く。

 

 

「ひ、ひいっ……に、逃げろぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 アルトリアに恐れをなした騎士の一人が逃げ出し、恐怖が伝染した他の騎士達も阿鼻叫喚の様子で我先にと駆けだした。

 

 勿論、それを逃がす魔界育ちのアルトリアではない。

 

 

「勝手な理由で襲い掛かっておいて逃げるなぁ!!メガスター!!!!」

 

 

 掲げた杖から星の力を宿した光による範囲攻撃を繰り出した。アルトリアの魔法は逃げようとした騎士全員を飲み込んだ。

 

 

「「「「ぐわああああああああああああ!!!」」」」

 

 

 騎士の悲鳴を最後に聖堂の中は静寂に包まれる。ズタボロの騎士と滅茶苦茶になった聖堂の広間を目の当たりにしたコーラルは青ざめた。

 

 

「あ……あああ……ソールズベリーの騎士たちが……聖堂の修繕費が…………きゅう……」

 

 

 心労がたたり、コーラルは意識を手放して倒れた。その様子にアルトリアとコバヤシは顔を見交わした。

 

 

「ど、どうしよう……私、やり過ぎた?」

「んー……コイツ、割とまともな部類の妖精だったのかねぇ……」

 

 

 やってしまったものはしょうがないので、気を失っているコーラルの傍に金の延べ棒を多めに置いて、二人は巡礼の鐘の場所へ向かう事にした。

 

 尚、オーロラへの謁見はスルーした模様。




・アルトリア・キャスター

 思わぬレベルキャップにショックを受けたものの、憧れだった旅ができる事になり持ち直した。現状でも妖精國では敵無しだが、魔界だとカモにされる。
 魔法使い職ながらバリバリ殴ってくる。ステータスとしてはモルガンの魔法ステを減らして筋力に回した感じ。


・魔王コバヤシ

 魔術師エネミーみたいな恰好で旅に同行する。レベルをある程度自由に操れるってムリアン涙目な設定だよなぁ…。
 今回の旅はアルトリアの為でもあるが、他にも目的はある模様。


・モルガン、バーヴァン・シー、バーゲスト、メリュジーヌ

 魔界でお留守番。妖精國の仕事も並行してやっている。


・コーラル

 動乱の妖精國を治められるかどうか、あくまで力を試すだけのつもりだったのに、騎士達が暴走した挙句に洒落にならない被害を被った。
「メリュジーヌ…早く帰ってきて…メリュジーヌぅ…」

この作品の設定を使った別の小説をぼんやり考えてます。なんか面白そうだと思ったものがあれば、一票どうぞ。

  • 転送事故でオラリオへ(ダンまち)
  • 転送事故でワノ国へ(ONE PIECE)
  • 汎人類史モルガンを陰から守る会
  • ゲーティア絶許・グランドオーダー
  • 原作6章、カルデア殲滅ルート
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