グロスターの鐘を鳴らし、オークニーを目指して北部の大地を旅する予言の子一行。霧が立ち込める広大な湖水地方のその奥に、枯れ果てて燃え尽きた巨大な空想樹が横たわっていた。
「あれが空想樹なんだ……。なんか、こう、おっきいね!」
「あれだけデカけりゃ、世界の一つや二つ、作るエネルギーがあっても不思議じゃないな」
大樹に蓄えられた力はモルガンに利用され、ブリテンを作り出す糧となった空想樹。今は最早、単なる枯れ木に過ぎないそれを見ている彼と彼女の心中は如何なものだろうか。
大きいというのはそれだけで力を表すもの。躯となって尚、そこにあるだけで圧倒的な存在感を放ち続けている。
「デカい上に燃えるか……レッドマグナスの野郎を思い出す」
「その人もコバヤシの知り合い?」
「そうだ。こんな異聞帯なんか片腕でぶっ壊せるくらい、デカい男さ。全身筋肉、脳も筋肉、ついでに考え方も筋肉だ」
馬鹿にしているとしか思えない口調。だが、コバヤシの口元には確かに笑みが浮かんでいた。懐かしい相手を思い返しているような、穏やかな顔だった。
燃え尽きる事を知らない燃え盛る男を思い出し、コバヤシは少し感傷的な気分になっていた。
「しかしまあ……静かだな、ここ」
「そうだね、モースも出てこないし」
「僕はこういう静かな場所、嫌いじゃないよ。好きな人と一緒にいるなら、猶更ね」
「そうかい」
「そっかー……」
「うん」
「……」
「……」
「……」
「メリュジーヌ!?」
「何でいるんだお前……」
「えへ♪」
「答えんかい」
唐突に現れたドラゴン娘、メリュジーヌ。
彼女が予言の子一行に合流したのは、自分の大元であるアルビオンの骸に異変を感じ取ったからであった。
「湖水地方にある龍骸の沼が荒らされてる?」
「うん……なんだか妙な胸騒ぎが治まらなくて。丁度、二人とも近くまで来ていたから一緒に行って欲しいな……」
「どうせ通り道だ。もう死んでるドラゴンに何の利用価値があるか知らんが、人の物に手を出した墓荒らしを仕留めに行くか」
「ありがとう、心強いよ」
妖精國で最も美しい妖精騎士は、躊躇いもなく異邦の魔術師の手を握った。それに軽い衝撃を受ける予言の子。
「沼までは僕が案内するよ」
「任せた」
「う、うん……」
ごく自然に手を取り、尚且つそのまま進んでいく。妖精騎士のスマートな動きに戦慄するアルトリア。自分もあれくらいできないと駄目なんだろうか?悶々とした気持ちを抱えつつ、森の中へと入っていったのだった。
「でも、何者なんだろう。骸の沼の水には呪いがしみ込んでいるから、誰も近づこうとはしない筈なんだけど……」
「ここにきて第三勢力とか勘弁してくれよ……。そのうちカルデアとかいうのだって来るってのに。どんどん面倒が増えてきやがる」
「ご、ごめん……面倒事を増やしちゃってごめん……」
「お前のはお前自身のせいじゃないから別にいい。……とはいえ、また呪いの類かよ。過去に負債を残し過ぎだ。どれだけ好き勝手やってりゃそうなるんだ……」
ブリテンのあちこちに蔓延る呪いの山に、コバヤシは深い溜息を吐いた。知れば知るほど問題が増えていくブリテンの長い歴史は、魔王の精神に少なからずダメージを与えていた。
やられた分は倍返しだ。誰に対してなのか知らないが。怒りをチャージして解放の時を狙うコバヤシ。魔王が浮かべる不敵な怒りの笑いにビビる連れ二人。下手を打つと、巡礼の旅が終わるまでにブリテン島が半分くらい消し飛ぶかもしれない。
「まあ侵入者が誰にせよ、どうせ碌でもない目的なんだろうよ」
「コバヤシ、なんだかやさぐれてない?」
「まあまあ。僕もコバヤシと同じ意見だ。何をしてでも阻止しないとね」
「うんうん。私もそう思うなー。私達の大切な場所だから、できれば追い払ってくれると助かります」
ぴたり。
立ち止まる一行。
増えてた。明らかに知らない声が一人増えてた。
「――きゃああああああああああ!?」
「今度は妖精亡主!?」
「ゴースト……?」
ふよふよと浮かぶ霊魂。怯えたメリュジーヌは魔王の背にマッハで隠れ、残りの二人はまじまじと観察を始める。
「こりゃ珍しい。ゴーストの割に随分と澄んでるな、お前」
「うん。敵意とか悪意とか、そういうの全然感じない」
「そりゃねー。私、未練とか恨みとか無いからねー」
「ふ、二人とも何をそんな冷静に……」
「私、妖精亡主のミラーっていいまーす!それでさっきの話なんだけどー。私達が守ってる骨々様に悪さしてる連中がいるの!お願い、何とかして!」
「そもそも、そのために来てるから良いですけど……」
「成仏したいとかじゃないんかい……」
底抜けに明るい亡霊ミラー。おっかなびっくり背中から出てきたメリュジーヌは、今度は酷く沈んだ表情になった。
「君、ここにいるって事は鏡の氏族の……?」
「うん。アナタとは久しぶりかなー?」
「……そう、だね」
「え?二人は知り合いなの?」
「そうだよー。6年前の事件は知ってる?」
「ええと、鏡の氏族が何者かに滅ぼされたっていう……?」
「そうそう。エインセルの予言通り、『炎』と『風』に皆殺しにされちゃってね」
「………………」
コバヤシは顔を手で覆った。
脳内で情報が整理され、答えが導き出されていく。
炎と風。殺しという事は何者かの意思。
風と聞いて思い浮かべるのは、風の氏族。氏族長オーロラ。
メリュジーヌのミラーに対する、後ろめたそうな態度。
炎と風。
メリュジーヌとオーロラ。
………………。
「あのド腐れクソ妖精!!!!!!」
コバヤシは叫んだ。絶対に名前を呼びたくない女が、またやらかしてた。妖精國はどうしてこう、自分の感情を逆撫でしてくるのか。
「そしてこの愛欠食のチビ!!!!」
「ふぎゃあっ!?!?」
コバヤシは殴った。自分はレベル1に戻ってるから死ぬ威力にはならないだろうと、思い切りメリュジーヌの脳天を殴った。
お前なにしてくれとんねん。悪魔も助走つけて殴るレベルの暴挙をやらかしてた。しかもこれ、ほんの一例に過ぎないんだろうなぁ……。コバヤシは無性にソールズベリーを焼きたくなった。自分が炎の災厄になる気マンマンだった。
「……一族郎党皆殺しにされたなら、街一つ燃え尽きる呪いが起きても不思議じゃないよな」
「コバヤシは何を考えてるのかな!?」
「あれー?ひょっとして私、とんでもない悪行の片棒を担がされようとしてるのかなー?」
邪な考えが脳裏をよぎる。だが自分に会いに来た桃色の妖精の顔を思い出し、ギリギリ堪えた。
「ふうぅぅぅぅぅ……!!」
「ぐえぇっ、重いよコバヤシ~……」
「うるせえっ、どいつもこいつも俺の堪忍袋の緒を引っ張りまわしやがって……!」
「ご、ごめんなさいぃぃぃ~……」
地面に倒れているメリュジーヌの体の上に、コバヤシは腰を下ろした。涙目の妖精騎士の頭に、拳骨がグリグリと押し付けられる。その様子を気の毒そうに見つめるアルトリアだが、やらかした事件が事件なのでフォローの言葉も出てこない。
「ていうか、ミラーは平気なの?随分フランクに話してるけど……」
「さっきも言ったけど、恨みとかは無いんだー。鏡の氏族は未来が見えるから、自分がいつ、どう死ぬかも分かっちゃってるから」
「一応訊いてやる。どんな理由で殺した?」
「……その、エインセルの予言が広まって鏡の氏族が注目され始めて、オーロラがエインセルを危険な妖精だって……」
再びメリュジーヌの頭部に落とされる魔王の鉄槌。固い地面にめり込む、妖精國随一の美貌を誇る顔。ズシン、と彼等を中心にして陥没する大地。「うわー、いたそー」と呑気な感想を口にする被害者の亡霊。アルトリアは死んだ目で現実から逃避を始めた。
言いがかりじみた疑惑だけで、一つの氏族が滅びる無法国家ブリテン。オーロラは当然だが、言われたままに動いてしまうメリュジーヌにも問題はある。しかも質の悪い事に、オーロラ自身が虐殺を命じてはいない。あくまでも客観的な事柄を並べ立てただけであり、それを受け取ったメリュジーヌが自発的に動いただけなのだ。
手を汚したのはメリュジーヌ。オーロラは悪くない。
主君の望むものを察し、命じなくても用意する従者。
一見して理想の関係に思えても、そこには信頼も無ければ責任も無い。
魔王は二人の関係に吐き気を催した。最悪の方向に嚙み合っている。こんなものが理想の主従などと言われたなら、自分の怒りはメリュジーヌの頭部を犠牲にしても治まらないだろう。
かつて、魔王セラフィーヌへ仕えていた自分。初めはプリニーよりちょっとマシな待遇でこき使われたり、名前を玩具にされた挙句に元の名前が分からなくなってしまった事もあった。
自分勝手で我儘な女に呼び出された挙句、記憶も無くして帰る場所すら分からない。最早、惰性で生き続けていた自分にとって、名前の消失など特に悲しくも無かった。
だが、その時初めてセラフィーヌは狼狽した。部屋へ引きこもった彼女は、次の日に今の名前を彼に贈った。
その日から、彼の世界は色付き始めた。自分の執事にする為に、魔王の従者に相応しくなるようにと力と知識を蓄えさせた。
コバヤシはセラフィーヌをクソみたいな女だと思っている。今もクソだが昔はもっとクソ。
だが良い所も見えてきた。一握りくらいの良心は持ち合わせているし、意外と面倒見がいい所もあった。過去の仕打ちは決して忘れないし許さないが、自分の面倒を見てくれたことに対しては、感謝と敬意を抱いていた。
そんなセラフィーヌに比べれば、オーロラなど道端の石ころにすら値しない。そしてそんなのに愛を捧げ続けるメリュジーヌ。お前らいい加減にしろ。コバヤシは苛立ちを隠せなかった。
「殺しちまったものはもう取返しもつかん。せめて罪滅ぼしくらいはするんだな」
「……分かってる」
「そんなに気にしなくてもいいのにー」
「気に病ませろ!!お前らは良くても俺は良くないんだよ!!」
「……そっかー」
「い、いい加減先に進もうよ……」
「……それもそうだな」
メリュジーヌの首根っこを引っ掴んで立たせたコバヤシ。一行は再び龍骸の沼へと進み始めた。
――――――――――――
「モースの大群!?このっ、邪魔するな!!」
行く手を塞ぐように現れたモースを確認するや否や、神速で突っ込んで切り捨てていくメリュジーヌ。
「どんどん集まってくる!メガスター!!」
「どけやァ!!!!」
星の魔法と炎の魔法がモースを焼き尽くす。沢山のモースを目の当たりにして、逃げようと言おうとしたミラーも思わず言葉を引っ込めた。
「凄いね、みんな強いねー!」
「……私は最強の騎士だからね。それにアルトリアは予言の子。コバヤシに至っては人間の魔王だ。この程度、どうって事無いよ」
「予言の子?そっか、アナタが……そっかー……」
「?」
大量のモースの妨害をなぎ倒して進む予言の子一行。
沼に辿り着いてその光景を目にしたメリュジーヌは、激情に駆られて声を荒げた。
「なんだ、この恥知らずな紐は!!私達の湖によくもこんなものを!!」
沼の周辺に張り巡らされていたテープを引き千切り、メリュジーヌは上空に浮かぶ下手人を睨みつけた。
「おや、付近の警戒にあたらせていたモースが反応したと思ったら……とんだ大物、しかも本命がかかるとは幸運でしたわ」
スーツに身を包んだ人型の異形は、メリュジーヌを視界に収めると目の色を変えた。
「誰だお前。ここで何してやがる」
「あらあら、初対面の相手……ましてやレディに対していきなり名前を尋ねます?人の名前を尋ねる時は、まず自分から……というのが、礼儀というものではないでしょうか」
「墓荒らしが礼儀を語るな。この火事場泥棒が、服を着た程度で礼節が身につくと思うなよ」
「これは手厳しい。まあ、私もアナタの名前などに興味は無いのですが☆」
白々しく笑う眼鏡の美女に、魔王は敵愾心を露わにしていた。予言の子もまた、油断なく相手を見定める。
「私達は通りすがりの旅の者です。ここに眠るのは遥か昔にこの場所へ降り立った境界を司る龍、アルビオン。みだりに手を出していい物ではありません」
「知っていますとも。それが目的で来たのですから。まあ、ここにあったのはただのガラクタでしたが……本命を釣り出す餌としては十分でしたね」
「本命……?」
「ええ。妖精騎士ランスロット改め、妖精騎士メリュジーヌ。今を生きるアルビオンである、貴女の全てを頂きましょう」
「――――」
沼より這い出でる、膨大な魔力量の怪物。ノリッジでの厄災すら上回る、濃密な呪い。
――タマモヴィッチ・コヤンスカヤ。
人間以外のあらゆる生物を蒐集する彼女は、呪いの怪物ですら自らの手足として使役していた。
腐り落ちたアルビオンの死肉と、過去の戦争で皆殺しにされた北の妖精達の怨念が煮詰まった沼の水から、コヤンスカヤが作り出した眷属が牙を剥く。
「営業トークはここまでと致しましょう。大人しくその身を差し出すならばそれで良し。抵抗はそちらの自由ですが――」
目を細め、獲物を狙いコヤンスカヤは笑う。
「――たとえどのような体になったとしても、クレームは受け付けませんので☆」
その言葉を皮切りにして、厄災溜まりが襲い掛かる。
メリュジーヌが両腕からアロンダイトの牙を生み出して、真正面から迎撃の構えをとった。アルトリアは彼女に補助をかけつつも、空いている手の中に魔弾を仕込む。
一歩踏み込み、加速して最高速の剣技で葬ろうとしたメリュジーヌ。
しかし、そんな彼女の視界の端にあるものが飛び込んできた。
(……杖?)
後ろから前へ。まさに今、飛び込もうとしている方向に飛んでいった杖を見て、メリュジーヌは押し止まる。
簡素な作りの杖は厄災溜まりへとすっ飛んでゆき――
――呪いが弾けた。
「………………えっ?」
弾けた。妖精國でも類を見ない厄災溜まりが、弾け飛んだ。
パチクリと、コヤンスカヤは瞬きを繰り返す。転移?否、ただの力技で消滅させられたのだ。
厄災を突き破り、地面に刺さった杖は異邦の魔術師が持っていたものだ。まさか、人間如きに――?
「――この、尻尾も生え揃ってない九尾の餓鬼が。身の程を知れ。お前、誰のモノに手を出してやがる――」
フードを脱ぎ捨て、正体を露わにしたコバヤシの体から、赤黒い魔力のオーラが立ち昇る。
超常の力を目の当たりにして、尻尾の毛が総毛立つコヤンスカヤは、それに吞まれまいと言葉を紡いだ。
「誰のモノとは不可解な言い回しですねえ。まさか、この沼一帯を貴方が所有しているとでも仰りたいのですか?」
そう言って笑って見せるコヤンスカヤ。この國の人間にそんな権利など与えられっこないのを見通しての発言で、ペースを取り戻す腹積もりだった。
――だが、相手が悪かった。
「そうだと言ったら?」
「…………は?」
「この國は、俺とモルガンの國だ。そしてメリュジーヌも俺のモノだ。お前程度の畜生が手を出して、許されると思うなよ……!!」
思い当たる節があった。
モルガンと同じ立場にあるという、妖精國大統領のポストに納まっている人間。
それが目の前の男だと、コヤンスカヤはようやく思い至った。
「メリュジーヌ、獲れ!!」
「――!!」
俺のモノ発言を聞いて、ちょっとポワポワしてたメリュジーヌ。
だが、魔王の号令を聞いて条件反射で体が動いた。展開していたアロンダイトを、殺人的な加速をもってコヤンスカヤの霊核へぶち込んだ。
「があぁぁぁぁぁっ!?」
致命的な一撃を見舞われて、必死で距離を取ったコヤンスカヤは姿を消した。
「に、逃げちゃった!」
焦るアルトリアを他所に、コバヤシはメリュジーヌを呼び戻す。
「メリュジーヌ、追えるな?」
「……うん。匂いも痕跡もバッチリだ。すぐにでも追撃に移るよ」
「よし、行け。それでころ……いや、とっ捕まえて捕虜にして、情報も魔力も搾れるだけ搾り取れ。あの尻尾も全部毟り取ってやれと、捕虜説得部隊の連中に命じておいてくれ」
「了解だ。君にこれ以上無い戦果をプレゼントするよ」
腕の返り血の匂いを嗅いで、メリュジーヌは追撃できると判断した。アルビオンの力は止まるところを知らず、本来なら時空ゲートや魔界調査船でしか行き来できない魔界間の移動を、彼女は単独で可能としていた。
故に手がかりさえあれば、コヤンスカヤがどこに逃げようと追いかけられるのだ。
信頼に応えるため、メリュジーヌは笑顔を見せて飛んでいく。
「良かったー。あの子、ちゃんと笑えてる」
「あん……?」
空に消えたメリュジーヌを見送っていたミラーが、ふと呟いた。
「私達の所に来た時も、ずっと辛そうな顔してたからさー。ああ、この子はずっとこうやって生きてきたんだなーって思ったの」
「だろうな……」
「でも今は、とっても楽しそうだし。いけない事をしたら、ちゃんと怒って止めてくれる人がいる。あの子に必要だったのは、きっとそういう人だったんだよ」
「……」
「ミラー……」
「へへー。ちょっとした心残りも消えた事だし、私の最後の仕事も終わらせなきゃねー」
亡霊の体が忽然と光りだす。鏡の氏族としての、最後の仕事。
「予言の子への伝令が、私に課せられた役目。まあ、本当はエインセルの仕事だったんだけど、私が引き受けちゃった☆」
「良いのかそれ」
「だって、死んだ後もずっと謝り続けてるんじゃないかってくらい、責任感のある人だったからさー。そんなの辛いじゃない?
それでねー。一つ目は巡礼の鐘の在処なんだけど、ここには無いんだー。あれは氏族の長が持つ物だから」
「ふーむ……」
「それと、エインセルの最期の言葉も伝えておくねー。
『やがて予言の子が二度、やって来る。一度目は生きるために。そして二度目は、死ぬために』だって!」
「……はい。大切な予言、確かに受け取りました」
「でも囚われ過ぎない方が良いかもねー。私達、コバヤシ君みたいなのを見逃してたくらいだし、もうあんまり役に立たないんじゃないかなー」
「えっ」
「コバヤシ君てお前……」
「いっその事、予言なんて当てにならないくらい、滅茶苦茶にかき回してくれた方が良いかなーって!」
「ミラー!?」
「あははー、冗談冗談。でもねー、私達の知らないコバヤシ君が、私達の知らない未来を持ってきてくれるの、ちょっとだけ期待しちゃうんだー」
「……そうか」
「お願い聞いてくれてありがとうね!さようなら!」
「……ありがとう、ミラー!あなたこそ達者で!」
「さよならだ、鏡の氏族のメッセンジャー」
こうして、役目を終えた亡霊は、光となって消えていった。
元の二人旅に戻った事で一抹の寂しさを感じながら、二人はオークニーを目指して歩を進めるのであった。
・魔王コバヤシ
配下が虐殺を引き起こしていた上、ブリテンに土足であがりこんで泥棒行為をしていたビーストに遭遇。キレた。
割と温厚な魔王なのだが、我慢ならない事はある。
一つはこちらを舐め腐った上で喧嘩を売ってくる相手。魔界の長として甘く見られるのは許せない。
一つは自分の物を遠慮なく奪おうとしてくる相手。認めた相手なら譲るのもやぶさかではないのだが、そうでないならぶっ殺す。
・メリュジーヌ
過去のやらかしが明るみに出て、凄く怒られた。
それでも、自分の事を思ってくれているからこそ叱られているので、内心ちょっぴり嬉しかったりする。
モルガンと同じくらい爆発的に成長した。ミニ魔界では攻めのメリュジーヌ、守りのモルガンという構図が出来上がるほど。魔界の外からの脅威に対しても、時々モルガンよりも先に気付く時がある。
・ミラー
滅亡した鏡の氏族のメッセンジャー。未練は無いと言いながら、メリュジーヌの今後を少しだけ心配していた。
予言してた異邦の魔術師ってこんなんだっけ?と困惑。まあ異邦から来てるけど魔術師ではないからなあ……。
・タマモヴィッチ・コヤンスカヤ
ブリテンに入り込んだ泥棒。
魔界の九尾族は惑星級の力を行使できる程の強大な力を隠し持つので、本来なら警戒されて然るべき相手。
なのだが、幼体で尻尾も生え揃っていないため、コバヤシからすればぶっちゃけ恐くもなんともない。なのにあの言動。そりゃキレる。
あの場は逃げ出したものの、メリュジーヌに追撃されてお縄につく。全てを奪われた挙句に処刑と超過酷労働の二択を迫られる。どうなるコヤンスカヤ。
・捕虜説得部隊
という名の拷問部屋。コヤンスカヤが何をされたかは想像にお任せします。
この作品の設定を使った別の小説をぼんやり考えてます。なんか面白そうだと思ったものがあれば、一票どうぞ。
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原作6章、カルデア殲滅ルート