でもそれだと、オリュンポスに砲撃しなくない…?
それはそれで良いのか…?
いっそベリル死んだままにする…?
諸々の疑問を明後日の方向に放り投げて書いてます
トリスタンが目を覚まし、モルガンは全員に事の顛末を話した。自分達は人間の魔王に敗北し所有物となった事。ブリテンに戻り全てを手中に収めるため、自分達も魔界の住人となる事を。
「私は……お母様が決めたならそれについていくわ」
最初に切り出したのはトリスタン。未だ迷いながらも、ガウェインも口を開く。
「異界からの侵略者とはいえ、負けたのは事実です。目的が破壊や殺戮でないのなら、私は弱肉強食の掟に従ってこの身を預けましょう」
最後はランスロットが話を締めた。
「僕は最強の騎士。それが打ち砕かれた今、おめおめと帰る事はできない。まあ、帰してももらえないだろうけど。この魔界という場所で更に強くなれるのなら、僕もお供します」
「話は纏まったな。魔王を待たせている。すぐに行こう」
妖精國一行が魔界病院を出ると、すぐ近くで魔王コバヤシが待ち構えていた。
「来たな。魔界の住人になる第一歩として、まずはこれを飲んでもらおうかな」
プリニー、と呼ばれる珍妙なぬいぐるみのような悪魔が、ガラスの水差しに入った液体を運んできた。ランスロットはそのうちの一つを手に取って、目を細めて観察する。
「これは、ひょっとして、マナ?」
「え、知ってんの?
まあ正解。これはマナポーションっていって、飲むだけで魔界のマナを得られるモンだ。これを体に宿して転生する事により、お前らは正式に魔界の住人として、俺の所有物として認められる」
「ふうん、便利なんだね」
そう言ってランスロットはためらいなくポーションを飲み干した。ランスロットは暫く様子を見ていたものの、特に変わった事は感じ取れない。
「あまり、体が変わった気がしないね」
「マナそのものにそんな力は無いよ。これは単なる力の源だ。魔ビリティっていう、まあお前らの世界でいう所の魔術の加護みたいなモンを取得したり、自分の持つ技を強くしたりとか……色々出来るんだ」
「なるほど……」
「そんじゃ早速実践しましょ。トリスタンだっけか、お前から」
「わ、私?良いけど……どうすればいいのかしら?」
「転生は担当の悪魔がしてくれるから、特に何も。ほら、さっさとポーション飲んで」
「う、うん……」
言われるがままにポーションを飲んだトリスタンに悪魔が近づき、何やら呪文を唱えると共にトリスタンの体が眩い光を放ち始める。
モルガンはその姿に、僅かに不安を覗かせた。
「院長、治療頼める?」
許可を待たずに4人の女をベッドに寝かせる魔王コバヤシ。院長と呼ばれた女も文句を言うでもなく、テキパキと治療を始めていた。
「これは珍しいお土産を持ってきましたね」
「珍しい?」
「ええ。どうやら彼女等は妖精のようですが、魔界に存在するどれとも姿が一致しません。一番小さい子に至っては龍種も混じってますよ。死にかけてますが」
「まあぶっ飛ばしたからねぇ。しかし思いもよらずレア物が手に入ったもんだ」
「いえ、そうではなく。女王の方を除いて存在が酷く不安定なんです。どうにも外付けの力で体を無理矢理、形作っているようで」
「ふぅん」
魔王は彼女等を一瞥して、鼻を鳴らす。
「ま、問題無いけどね。ここで転生させりゃ嫌でも自分の形が強く固定される。魔界の汎用種族と違うなら尚更でしょ」
魔界における転生とは、リセットではなく強くてニューゲームである。強さの証であるレベルと一定のマナを糧として、より強い自分へと昇格させる。レベルは1に戻り最初からのスタートとなるが、育ちきったのならば前世より一回り強くなった自分と再会できるだろう。
「一番ヤバいのはどれ?」
「この赤い髪の方ですね」
「ああコイツ……言動が明らかにヤバかったから沢山殺してるだろうな。さぞ経験値も溜まってるだろう。転生分は問題なさそうだ」
「では、目を覚まし次第、即転生させますか?」
「俺の物になったって分からせてからな」
「では、手配しておきますので」
「ああ。必要な物はプリニーにでも運ばせておいて」
良い子の良い子のバーヴァン・シー。皆に好かれるバーヴァン・シー。
皆が彼女に石を投げ、皆は嗤う。彼女は笑う。
けれどただ一人、笑ってくれない人がいた。
彼女が消えてしまいそうな時、いつも来てくれる人がいた。
“誰?だれ?とてもやさしいあなたはだあれ?”
最初のあなたは悲しそうでした。
最後のあなたは辛そうでした。
ありがとう、と伝えても、ごめんなさい、と謝っても、あなたは笑ってくれなくて。
「○○○○、○○○○○○○○○○○…!」
「○○○○○○○、○○○○○○○○○○○○○…!?」
「○○○○○○○○○○○○○○、○○○○○○○○!」
思い出そうとしても思い出せない。
当の昔に擦り切れた彼女の記憶に、言葉は宿らない。
――――それでも、紛れもない彼女自身の経験として刻み込まれていた。
それだけで十分だ。
彼女が殺した妖精。女王モルガンの加護。命と魔力を混ぜ合わせ、擦り切れた魂を治していく。
バーヴァン・シーの霊基が魔界のマナで補強されていく。より強い存在として生まれ変わるために。
「どうして、あなただけがこんな目に…!」
「どうしていつも、あなたはこんな終わり方なの…!?」
「何故おまえはいつもそうなのだ、バーヴァン・シー!」
“…あ、あぁぁ……!”
思い出した!思い出せた!!
どんどん大きくなっていったけど、いつも私の所に来てくれたあなた!!
「――――
転生を終えた
バーヴァン・シーがそれを覚えている訳がない。あれだけ皆の慰み者にされ、今にも消えそうだった彼女の記憶に残っている訳がない。
「……トネリコって誰さ」
「わ、私達の國における、大昔の救世主の名です……が……」
「え、陛下がトネリコ……?ええ……?」
「トリスタン。何を言っている、私は……」
「もうトリスタンじゃないわ!私はバーヴァン・シー!全部、全部思い出したの!いつもお母様が来てくれてたのね!覚えていなくてごめんなさい!来てくれてありがとう!」
紛れもない、バーヴァン・シーだ。迫害され続けたトネリコにずっと感謝してくれていたあの子だ。妖精國で善の心を生まれ持った奇跡の子。今世で終わると半ば諦めていたあの子が、ギフト無しでもしっかりと存在出来ている。
娘と呼べるほどに愛を向けた子を、胸の中に包み込む。暖かい鼓動を感じる。消えかけていた妖精はもういない。
「ああ、良かった……。バーヴァン・シー……私の愛しい娘……」
「ああ……ようやくお母様が笑ってくれたわ……。ずっと気がかりだったの。お母様は私といるとき、辛そうなお顔をよくしていたから……」
「そんな事は無い……。バーヴァン・シー、お前が笑っていてくれるなら、私はそれで幸せなんだ……」
静かに涙を流し、絶対に放さないと抱きしめ合う親子の姿がそこにあった。
「……えっと、次の転生どうしますか?こんな展開予想外ですけど……?」
「こいつら過去に何抱えてんの……?ま~暫く戻ってきそうにないし、モルガンは後回しにして残りはこっちで勝手にやっちまおうか」
「……ああ、騎士としての私がここにいる……!縛られずとも、獣を抑えこめる私がここにいる……!!ここなら私はもう……!!」
「……僕の、体。僕だけの体……。私だけの体だ……。う、ううっ、腐った肉の体じゃない、龍の、妖精の……!!」
「…………」
「この人達、転生した時に通常より大量にマナを食いましたね」
「マナなんていくらでも稼げるから良いけどさ、揃いも揃って悪魔よりやべぇ闇抱えてんのな」
「魔王コバヤシ……お待たせして申し訳ありません。私もお願いできますか?」
「あー、うん。好きにして……」
「?」
泣きじゃくる
救われない世界の救われない妖精を抱え込んだ魔王は、ブリテン統治をモルガンに勧めてしまった事を早くも後悔するのでした。
・モルガン
新しいブリテンの統治の道を教えてくれた+バーヴァン・シーを救ってくれた=好感度上昇。
魔界へ取り込むためにコバヤシにブリテンの歴史を説明するも、進めれば進めるほどコバヤシのブリテンに対する嫌悪感が増していくので内心ビクビクしてる。嫌悪する理由も理解できてしまうので宥める事も出来なくて泣きそう。
・妖精騎士ガウェイン→妖精騎士バーゲスト
転生で騎士としての存在のバーゲストが固着し、呪いに対する抵抗力が上昇+自分より強く、自分に食われない存在=好感度上昇。
モルガンのブリテン説明会に加勢し、弱肉強食の掟によって弱い存在は守るもの。妖精の善も悪も無いあり方はそういう存在だから嫌悪しないで欲しいと説得するも効果無し。
「いや、力の有る無しに関わらず存在そのものが害悪だから。お前らは別だけど絶対ここに連れてくんなよ。連れてきても受け入れないし、それ返してブリテンぶっ壊すからな」
・妖精騎士ランスロット→妖精騎士メリュジーヌ
転生で自分が理想とした体になれた+同僚を助けてくれた=好感度上昇。
生まれ変わった体をオーロラに見せに行きたいと懇願。
許してくれたけど、コバヤシはオーロラの名前を呼ばないし、反対はしないけど遠回しに行くなって言ってくる。どうして??
・妖精騎士トリスタン→妖精騎士バーヴァン・シー
大事な記憶を取り戻せた+モルガンの笑顔を見せてくれた+皆を喜ばせてくれた+自分を縛って必要としてくれる存在=好感度爆上り。
ギフトは消えたものの、モルガンによる教育は健在で言葉遣いは直らない。まあコバヤシにとっては、所有物に過ぎない彼女がどんな言葉遣いをしようと咎めるつもりもない。
でも、彼女にとっては大切にしてもらえる事自体が嬉しいのでガンガン距離を詰めて懐いてくる。かわいい。
・魔王コバヤシ
多くの魔界を見てきた彼ですら、ブリテン妖精の救いの無さや救われなさに引いてる。
でも手放すことはしない。だって俺の物だから。
モルガンやバーゲストがブリテンについて教えてくるが、聞けば聞く程気分悪くなってくる。こんな世界を欲しがるモルガンは魔界でも天然記念物モノの変わり者だという位置付け。モルガンは泣いていい。
・ウッドワス
キャメロット崩壊の惨事を聞きつけ、急いでキャメロット跡地へ。辛くも生き残った妖精から事の顛末を洗いざらい吐かせ、モルガンを敵に売り渡した事に激怒して、生き残りを抹殺した。
現在は暫定の妖精國の代表として振る舞う。まあ他に異界の侵略者に対応出来そうな奴いないし…。各地から色々押し付けられて禿げそう。
・ノクナレア、ボガード、円卓軍
厄介な女王や妖精騎士が消えたものの、理由が理由なだけに素直に喜べない。今は地盤固めと情報収集を優先して動く。
・アルトリア・キャスター
私は予言の子として皆に育てられました。
でもある日、予言とは関係なく女王が消えて、私は予言の子ではなくなりました。
私はウソつきだと皆が言います。私が予言の子だと思ったから皆が世話したのだと。
私は馬小屋に住んでいたので、その日から本当の馬になりました。
普段は逃げられないように鎖で繋がれて、皆が遊びたい時に連れ出されます。
首に紐を結ばれて、村のあちこちを四つん這いで歩きます。馬だからです。
でも皆、歩くのが早いから私はいつも引っ張られてばかり。
歩くのが遅いとお尻を蹴られます。遅くなくても蹴られます。
痛いけど私はいつも笑います。だって笑ってないと殺されちゃうもん。
腕も足も痛いけど、魔術で誤魔化せばへっちゃらだし。
誰も食べ物をくれないけど、食べられる草なら分かるし。
わたしはみんなのおもちゃ。みんなを騙した分だけ、みんなを楽しませないといけないの。
でもいつか、この村を出て旅に出るんだ。
そう、いつか。
いつか――
だれか。
だれかたすけて。
モルガン「コバヤシのブリテンに対する低評価ぶりが止まらない…。何か珍しいものを紹介して、コバヤシにも少しだけ興味を持ってもらわないと。
そうだ、確か私を打倒するという予言があったな。それに出てきた予言の子なら珍しいだろうし、コバヤシも喜んでくれるはずだ。魔術の修行がてら探してみるか」
※救済フラグ
読者の皆様の原作知識を教えてください。
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FGOは知ってる
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Fate/シリーズは大体知ってる
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ディスガイア5は知ってる
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ディスガイアシリーズは知ってる
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両方とも知ってる
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両方とも知らない