内通者   作:三軒過歩

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内通者

僕の個性を話すと、大抵の人は最初僕のことを恐れる。でも、その詳細を話すと、安心したように警戒を解くのだ。

 

最も僕の個性を知る人はこの学校にはいないけれど。

 

 

「水曜日の午後、USJでオールマイトが授業。担当は1年A組で、他には十三号が担当に着きます。」

 

誰もいない部屋で独り言のようにそうこぼす。その部屋の隅には黒い靄が掛かっている。

 

「いつもありがとう。君の個性はやっぱりすごいね。僕も欲しいくらいだよ。」

 

「勘弁してください。この個性をあなたに認められてから、好きになれてきたんです。」

 

そこまで言ってはたと思い出したように先生に文句を言った。

 

「そう言えば、オールマイト、あんな体になってたんですね。想像よりだいぶ弱ってて顔に出さないように必死でしたよ。」

 

「ははは、ごめんごめん。少し驚かせてみたくてね。」

 

「そう言うことは事前に言っておいてください。」

 

「今後は気を付けるよ。それじゃあ今後も頼むよ。」

 

会話を打ち切れると気配が消える。

 

「先生、そう言うことすると、生徒にかみつかれるんですよ?」

 

口角をいびつに歪める。ちょっとした意趣返し。先生なら自力で気づくだろうが、あの人が驚くことがあるのなら見てみたい、そう思って伝えなかった。

 

 

「今日の授業はここまでとする。今回の範囲は今後の考え方の土台となる。理解の甘いものは復習をしておくように。」

 

抹消ヒーロー・イレイザーヘッド、本名、相澤消太。プロヒーローであり、雄英の教師。

 

「ふう、相澤先生の授業って分かりやすいけど、緊張感半端ないよな。」

 

「ほんとほんと、もうちょっと愛想があればいいのになあ。」

 

イレイザーヘッドが教室をでて少しすると、クラスメイトが騒ぎ出す。ここは雄英高校普通科。個性使用訓練のようなヒーロー科の授業はないが、ヒーロー情報学、ヒーロー史など雄英だけあってヒーローでもある先生から授業を受けることも珍しくない。

 

「佐々木!ここの範囲を教えてくれ!俺よくわかんなくてさ。」

 

「いや僕もよくわかったわけじゃないよ。」

 

「嘘つけ、お前、この前の小テスト満点だったって言われてたじゃないか。」

 

「まあ、じゃあ僕の理解ができた範囲でさっくりいくよ、この事件が世論を動かした要因は…」

 

クラスメイトとの話を授業を思い出しながら話していく。いや、この男、佐々木に限っていえば思い出すなんて言う程度ではないレベルで授業を脳内に再現しながら話していくといってもいい。

 

「なるほどな、うん。ここまでは分かった!ありがと佐々木。また昼休みになったら聞きに来る!」

 

そう言って席に戻る友人を呆れた顔で見送った。彼も雄英に受かるほどの頭脳の持ち主。ここの授業がハイレベルなだけで、充分頭は良い。

 

「ええー!昼休みは、私にも教えてよ、佐々木君。先生みたいに教えてくれるからすごくわかりやすい。」

 

彼はクラスで優等生としてなじんでいた。

 

 

 

「失礼します、ミッドナイト先生に用があってきました。」

 

学級委員としての雑務で毎日何かしらの用事で職員室に入る。誰もそれを不思議に思わない。先生方に会釈をしながらヒーロー史担当のミッドナイトの元に行く。

 

「今日使う資料なんだけど、一人じゃ運びきれなくてね。」

 

「いえいえ、何かありましたらいつでも呼んでください。いろんなヒーローがいる職員室って、僕にとっては何回だって行きたいところなんですから。」

 

そう言いながら彼は個性を使う。彼が個性を使っていることを彼以外誰も知らない。彼が個性でオールマイトの秘密を知ったのは初めて直接オールマイトとあった時。

 

 

私が、普通にドアから来た!

 

「今日のヒーロー史の授業は歴史を作り続けているオールマイトに特別に来てもらいました。」

 

「すげえ、本物だ!本物のオールマイトだ!」

 

「一人だけ字の強さが違う…!」

 

「これでも雄英の教師だからね。今日は普通にヒーロー史を教えていくぞ!」

 

セメントス先生の言葉は届いていないかのように盛り上がるクラスを見て佐々木は一人、顔を伏せた。隠せないと思ったからだ。オールマイトの真の姿を、オールマイトの個性の秘密を。それを知った自分の顔はきっと嘲笑(わら)っていると思うから。同じ笑顔でも他のクラスメイトと一線を画すこの顔は№1に見せるには怖すぎる。

 

 

「林間合宿はプッシーキャッツが所有する庵木市の山岳地帯です。日程は例年と変わらず。担当はイレイザーヘッドとブラトキング、それにプッシーキャッツの四名です。」

 

「ありがとう。そうそう、なかなかいい個性を見つけたんだ。君さえよければこれを君に渡そうかと思うのだけど。」

 

「それ、僕が脳無になるやつでは…?」

 

「はっはっは。二つまでなら問題ないはずだよ。ワンフォーオールだって無個性の人だけを渡ってきたわけじゃないからね。まあ、オールマイトは無個性だけれど。」

 

「なるほど、でも遠慮しておきます。僕はこの個性をもっと使いこなしたいので、今は二つあると混乱します。」

 

「そうか。ならばそれもいい。それじゃあ、今後も頼むよ。」

 

 

「なあ、佐々木、期末テスト、どこが出ると思う?」

 

「う~ん、この辺怪しいかなあ。」

 

個性を使えば、テスト問題を知ることなどたやすい。でも個性を使って知っていることを佐々木は教えない。

 

「ありがとう!」

 

期末テストもつづかなくこなす。だれも彼が内通者であることを気付かない。

 

「やっぱり佐々木君は優秀ですね。全教科ほとんど満点近い。」

 

「ええ、この雄英でここまでの成績はなかなか見ない。」

 

「たしか、無個性なんでしたっけ、学習向けの個性にも全く引けを取らないどころか、圧倒してる。」

 

(僕が内通者だと知ったら、どんな反応をするのだろうな。)

 

職員室でそう話しているのを廊下で聞く。吹き出しそうになる。

 

個性:過去視 視線を合わせた人の過去を合わせてから二十四時間いつでも見ることができる。ただし巻き戻せるのも二十四時間。




少し思いついたので書きましたが続かないです。少なくとも今書いてるやつが完結しない限りは。
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