「初めまして佐々木過渡。私が黒霧です。今日はよろしくお願いします。」
「こちらこそ初めまして。黒霧さん。さんざんあなたの個性にはお世話になっていたのに今更初めましてというのも変な気がしますけどね。」
黒霧は佐々木をワープゲートで何度も送迎していたが、その際に佐々木とは直接会っていなかった。一度たりとも。
「挨拶は済んだかな。じゃあ黒霧と一緒に九陰刑務所を張り込んでくれ。頼んだよ。」
AFOにそう送り出され、二人で九陰刑務所の職員用出口付近を見える場所に陣取る。
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「ではここから出勤する、または帰宅する人を覗いてください。出勤時刻は決まっていますが、帰宅時刻はブレが大きいのでほぼ一日中窓に張り付いてもらいます。」
「ずいぶん準備がいいですね。」
佐々木が圧倒されながらそう言った。
「貴方はあの方が大切にしている方です。できるだけ良い待遇を求めました。」
「それは、ありがとうございます。私などにここまでしていただけるとは思いませんでした。」
そう言いながら黒霧から渡された双眼鏡を目に当てる。刑務所の入り口で口で警備している警備員の過去を見ながらそう聞いた。
「ところで、僕が双眼鏡などの矯正ありで過去視ができるとどうやって知ったんですか。」
「それは、貴方の姿を見れば明らかでしょう。眼鏡をかけているのですから双眼鏡越しでも過去視ができると考えるのが妥当です。とはいえ、確認しておくべきでしたね。申し訳ありません。」
「いえいえ、
警備員からは脱獄に有益な情報を得られず、少しばかり残念に思いながらも、会話を打ち切りしばし代わり映えのない時間が続く。
「佐々木過渡。」
数時間が経過し、人が出てくる様子を黒霧がとらえた。すぐさま佐々木に声をかけるが既に佐々木は過去視を始めている。
「分かっています。」
そう言って刑務所から出てきた蜥蜴頭の人の瞳を覗く。
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「ムーンフィッシュのタルタロス輸送の経路は今回は経路Bを使う。ムーンフィッシュの狂暴性を鑑みて、今回はいつもより多くのヒーローに協力を要請した。協力してくれるヒーローは輸送前の拘束のためにミッドナイト、護衛には三人チームで活動を続けているトリオ・セーフティがついてくれることになった。今回はいつにもまして凶悪な罪人の輸送だが、ヒーローも多い。いつも通りにこなすぞ。」
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「ビンゴ。」
そう言って手に入れた情報をメモに取り始める。
「分かりましたか?」
「ええ、運がよかった。なかなか上の方の方だったみたいですよ。あの人。もう大体の情報は手に入りました。」
「凄まじい情報収集能力だ。」
「一応、私が視た会議にいた人全員の過去を覗きます。大丈夫。出勤時間もさっき見た人の過去から手に入れられます。」
「分かりました。では、あなたが視た護衛に回るヒーローを教えてください。どこに事務所を構えているかを調べます。ここでの張り込みが終わったら今度はそこに行きましょう。」
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「しかし、経路がパターン化されているとは思いませんでしたね。それに輸送車が一見そうと分かりにくい。」
刑務所で過去視を終え、次の場所の座標をつなぐ準備をしながら黒霧がそう言った。
「普通はそのパターンも極秘、ある期間が経てば新しく経路を作り直しているので問題ないのでしょう。しかも、ご丁寧にすべての経路に同じような輸送車を送っているのでパターンをすべて見破られても透視の個性がない限りは襲撃も難しい。」
「すべての輸送車を襲撃するほどの戦力を整えるのは相当大変ですからね。よく考えれば、輸送車に透視を阻害する機構を搭載していてもおかしくないでしょう。」
「なるほど、それはそうですね。あまりにも過去視がうまくはまったのでつい…。」
「それほどあなたの個性が優れているということです。では、トリオ・セーフティのところに行きましょう。」
トリオ・セーフティが事務所を構える都市はそれなりに発展した場所だった。
「結構人口多そうですね。まあ、事務所の場所さえわかれば見つけるのは容易いですけど。」
「件のヒーロー事務所の前にファミレスがあります。そこで張り込みましょう。」
そう言って歩を進める黒霧を佐々木は止める。
「いえ、その必要はありません。これくらいの規模の都市なら彼らは外でヒーロー活動に従事しているはず。すぐに見つけます。」
そう言うとビルの屋上から下の交差点にある警察署にいる人の過去を窓越しに視ていく。
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「ご利用ありがとうございました。」
「調子に乗ってるんじゃねえよ!ちょっと上手くいったくらいで。」
「あの人、見た目は良いんだけどねえ。」
「よくこんなうまくできるなあ。素直に尊敬するよ。」
「わあーこんないいとこに連れてってもらって、ありがとうございます!」
「そこの暴走者!止まりなさい!」
「ポイズンベール!」
「お疲れ様でーす。」
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「見つけました。」
「は?」
「金子通り八丁目でヴィランと戦ってたみたいですね。警察に引き渡して次は多分上呂高速道路で暴走してる二人組のヴィランを捕まえに行ってますね。そこ付近にワープできますか。金子のインターチェンジから入ってるんで二つほど先の合津インターチェンジに先回りすれば多分見つけられます。」
「…分かりました。少々時間をください。」
あまりの速度に圧倒されながら座標をつなげて顔が入る程度の微小なワープゲートを作る。佐々木がそこに双眼鏡を突っ込んだ。
「流石、サイズ感もぴったりです。」
*
「捕まってたまるかよお!」
個性を使って凄い速度で逃げるヴィランをトリオ・セーフティが車で追いかける。このヴィランに素で追いつけるのはバージルだけだ。
「ガベル、ランダー、先に行く!」
バージルが車を飛び出し個性を使って凄い速度で駆けていく。
「追いかけて来るんじゃねえええ」
「じゃあ逃げるんじゃない!」
「!?なんで俺の個性に走って追い付けるんだ!」
「兄貴、ここは任せろ!」
車輪の個性で四つん這いで高速移動しているヴィランの上でもう一人の片割れがそう言って個性を発動させる。
「ラフレシア!」
そう言ったかと思うと巨大なラフレシアが登場しあたりはものすごい臭いに包まれる。
「ウッ」
「馬鹿、こんな距離でお前の個性を発動したら俺までやられるだろうがっ!」
バージルとヴィランが減速している隙にランダーが毒ガスでラフレシアを枯らす。
「年貢の納め時だな。お前等。」
追い付いたランダーが言った。
「まだだあ!」
車輪を回転させながら殴りかかるヴィランをガベルが掴む。
「俺相手に近接は無謀だ、ぞっ。」
一撃で気絶させ、ヴィランはお縄になった。
*
「佐々木過渡、視えましたか?」
「ええ、過去を視ずとも大体のことが読み取れましたけどね。なかなか珍しいタイプのヒーローです。」
「珍しいというと?」
「ヒーロー飽和社会において、特定の相棒と抜群のコンビネーションを発揮するより誰とでも一定以上に組めるのが良いとされる中で、この三人はこの三人でこそ最も輝くタイプです。この三人が護衛に着くと少しやりにくそうですね。」
ヒーローの情報をまとめつつそう佐々木は評した。
「で、脱獄の襲撃は僕も仕事がありますかね?正直切った張ったは苦手なんですけど。」
「何か特別な護衛策を暴いてもらうために同行はしてもらいますが、基本的には最初に視ていただければあとは隠密に奪取しますので私に任せてもらえたらと。」
「そうですか。じゃあ、お任せします。」
「輸送日は一週間後でしたね。その時にまた呼びに行きます。自宅で待機していてください。」
そう言ってその日は黒霧と別れた。
次話以降もう二度と出てこないかもしれないオリキャラ紹介。
トリオ・セーフティ
ガベル
個性はエネルギー変換。受けた攻撃を自分のエネルギーにして戦う。
ランダー
個性は毒ガス。文字通り毒ガスを吐くぞ!体全体にまとったりもできる。
バージル
個性は剛腱。足が強い。すごく強い。
ドラゴンボール超を見てた人は分かると思いますがあれですね。第9宇宙のトリオ・デ・デンジャーズがモデルです。