内通者   作:三軒過歩

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物間くんが冷静さを欠いている気がしますし、取蔭さんが優秀すぎる気もします。これが俗にいうキャラ崩壊というやつなのでしょうか。


内通者と体育祭3

「おや、英雄(ヒーロー)が来たのかな?」

 

相対してきたB組二人を見てそう話す。

 

「そういう君は、まるでヴィランだよねえ。」

 

「妨害アリとはいえ、流石にやりすぎじゃない?」

 

取蔭が言うように何人が予選を通過できるかを知らないままに妨害をするのはものすごくリスクが高い。しかも佐々木が妨害したのは35位以下である。ともすれば予選通過を棒に振る行為にしか見えない。

 

「いえいえ、無個性の私が予選を通過するためにはこれしかないもので。」

 

「ああそう!」

 

そう話しに意識をそらす。逆走して佐々木と相対するまでほかのB組を守る壁として使っていた体を攻撃に回す。

 

「不意打ちとはちゃんとしてるなあ。」

 

攻撃に回った大量の身体の破片を佐々木は鉄棒を回転させて弾いていく。

 

「普通はこれで決まるんですけど。どうしてこんなに動ける人がヒーロー科に落ちてるのかなあ。」

 

「そりゃあ、僕はヒーロー志望じゃない(普通科を受験した)のでヒーロー科にいないのは当然です。」

 

忌々し気にそう言う取蔭に対して佐々木は言い放った。

 

「じゃあ、夢を掴むチャンスの邪魔はしないで欲しいなあ!」

 

物間も取蔭と同様に体を分割させて攻撃していく。物間の個性はコピー。物間は今トカゲのしっぽきりが使える。二重の不意打ちで仕留めるつもりだったのにそれができない。目の前の普通科の男は物間の肉片も防いで言い放った。

 

「ちゃんとしてますけど、浅いですよね。」

 

そう言って肉片を捌きながら掘り起こした地雷を投げつける。逆走しているときにコピーした円場の個性で壁を作って防ぐ。

 

「何で今の不意打ちが防げるかなあ!」

 

近距離で戦えば数の有利を生かせるが、長物を持っているために接近できない。中距離では勝負にならず、必然長物の間合いから外れた取蔭の個性による遠距離攻撃が主になる。決定力に欠けて時間ばかりがかかる。三人の横をすり抜けていく生徒の数も十人を超えようとしていた。

 

「もう結構抜かれちゃいましたね。このまま僕の相手ばっかりしてていいんですか?予選落ちしちゃいますよ?」

 

煽るようにそう話す。そろそろ離脱してくれないと佐々木自身も予選通過ができなくなるからだ。

 

「まさか通過する気なかったのか?」

 

しかし、あおりを受けた側はそう思わない。ここから逆転して予選通過することは難しく、十人以上を抜き去るにはそれこそ地雷原を全力疾走して突破できなければいけないからだ。佐々木(目の前の男)がヒーロー科を道連れにしようと考えていた可能性が頭をよぎる。

 

「大丈夫大丈夫、今なら私の”個性”で間に合う。そろそろ撤退しよ。私達以外のB組はもう地雷原終わりかけだし、物間の予想通りならこいつはもう予選通過できないだろうから次からは安心だ。」

 

そう言っておまけとばかりに分割した体をいくつか投げつけ、浮遊して飛んでいく。物間も取蔭の個性を使って同様にゴールを目指しだす。

 

「あらら。冷静に状況読めてるなあ。うん。彼等はちゃんと英雄(ヒーロー)になれそうだ。」

 

そう言って佐々木は地雷原を突っ切る。彼は最初に妨害する際、やみくもに地雷原を投げていたわけではない。地雷原を投げた場所では誘爆が起こり、安全地帯ができる。それが道になっていた。佐々木が物間たちの対応しているうちに抜き去られた生徒を再び抜き返す。

 

「んなっ!」

 

「マジかよあいつ…!」

 

浮遊しながら移動している取蔭と物間が追い上げてくる佐々木を見てそう驚きを口にする。

 

「ひどいなあ。無個性って言ったのにそんなに僕を通過させたくないんですかね!」

 

物間が体を切り分けて攻撃してくるために一度足を止めて防ぐ。佐々木が安全地帯を踏んでいると知った後ろの生徒が佐々木の後を追ってくるが長物でけん制してこれ以上抜かれることはない。

 

「くっそ!」

 

地雷原を飛びぬけた取蔭と物間が地雷原外から攻撃をするが、決定打になりえない。最終盤にしてさらに時間が掛かる。

 

「先行きな物間。」

 

コピーの継続時間を気にして物間が体を元に戻していく。その様子をみて取蔭がそう言った。

 

「いや、コピー時間が切れても、もう一度コピーできればまた戦える。破片を一つ渡しておいてくれれば、隙はほとんど出ないさ。」

 

「良いから先行きなよ。”トカゲのしっぽきり”は()の個性だ。」

 

「…分かった。」

 

物間は取蔭を残して先に行く。実際に、取蔭のいうことは正しい。物間は基本的に誰の個性でもコピーできるが、それは付け焼刃の域を出ないものが多い。最初から強い個性はこの世界にほとんどないのだ。分裂させられる数も取蔭に劣り、再生に消費する体力も多い。

 

「さて、普通科の無個性さん、君が予選を通過するとやばそうだから、ここで止めさせてもらうよ。」

 

足を止め、佐々木に相対する。全力で足止めしようとする取蔭を見て佐々木は少し困った顔で言った。

 

「いやいや、勘弁してください。貴方の相手をしながらだと、流石に予選を通過できなくなる。そうなるくらいなら本格的に道連れを狙いますけど?」

 

予選通過ギリギリのラインでの戦いだが、まだまだ盛り上がりに事欠かない。




佐々木を予選通過させようか、それとも防いでしまおうか。とても悩ましい。どっちもかけますし、体育祭編が間延びしないためにはここで止めた方が良い気もするんですよねえ。流石に体育祭優勝はさせられませんし。
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